2021年10月12日火曜日

10/10 YBCルヴァンカップ プライムステージ準決勝 第2戦 VS. 浦和レッズ @ ヨドコウ桜スタジアム

スタジアムヨドコウ桜スタジアム主審福島 孝一郎
入場者数8,654人副審五十嵐 泰之、松井 健太郎
天候 / 気温 / 湿度晴 / 29.2℃ / 51%第4の審判員今村 義朗
VAR西村 雄一
AVAR西尾 英朗

セレッソ大阪C大阪

 

浦和レッズ浦和

 
  • 監督
  • 小菊 昭雄
 
  • 監督
  • リカルド ロドリゲス

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「10000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:小菊昭雄監督

浦和レッズ:リカルド・ロドリゲス監督


<選手コメント>

セレッソ大阪:加藤陸次樹、キム・ジンヒョン

浦和レッズ:鈴木彩艶、岩波拓也


ファーストレグから中3日で迎えたYBCルヴァンカップ プライムステージ準決勝セカンドレグ。今回は本拠地ヨドコウ桜スタジアムでの対戦となるセレッソ大阪対浦和レッズの一戦は加藤陸次樹のゴールで1-0の勝利。アグリゲイトスコア2-1でセレッソ大阪の勝ち上がりとなり、2017年以来となるルヴァンカップ決勝進出を決めた。


■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーはファーストレグと全く同じ11人。全く同じメンバーを並べてきた。

そしてベンチには負傷交代となった8月28日のJ1第27節以来、清武弘嗣が復帰。以前からこの試合での復帰を狙っているという報道があったので、順調に回復したというところ。

その結果、西川潤がベンチから外れたが、その他のベンチメンバーも前節と同じとなった。


浦和レッズのスターティングメンバーは前節から5人を入れ替え。槙野智章、山中亮輔、平野佑一、大久保智明、汰木康也が外れ、岩波拓也、明本考浩、柴戸海、関根貴大、小泉佳穂が起用された。

起用された選手のほとんどが最近の普段のリーグ戦でも出場機会が多い選手たち。ファーストレグで休ませた選手を戻したという形。

ただし前線にはキャスパー・ユンカーを継続起用。ファーストレグは1-1でアウェイゴールを許しての引き分けだったため、セカンドレグでは絶対に得点が必要となった為だろう。


■ようやく意味を得たライン設定

前半のスタッツではシュート数がセレッソの3本に対して浦和は5本。数字では浦和がリードしていたが、試合内容としてはストレスを感じていたのは浦和の方だっただろう。それはこの5本のシュートがほぼ前にセレッソの選手がいる状態でのミドルシュートだったことが象徴しているが、浦和としてはやりたいことができている状態ではなかった。狙い通りに試合を進めることができていないが、どうしても得点を取らなければいけないのでミドルシュートという選択が増えたのだろう。


そうなった要因としては、まずこの試合のセレッソが前線からプレッシングを仕掛ける頻度を高くしたことにある。4分の浦和にとっての初めてのゴールキックからのビルドアップ。ここからセレッソはプレッシングを仕掛けた。

最終的にこの場面では、柴戸から西への苦しい状態でのパスを奥埜がカットしようとしたところで西と交錯するような形になり、結局は江坂がカバーしたので浦和がプレスを回避することに成功したが(逆サイドにボールを届けることができた)、かなりギリギリの浦和にとってはラッキーな回避の仕方でもあった。そしてそこからボールを戻した後に、岩波から西へのパスがずれセレッソボールでのスローインとなったのでプレスによる圧力は受けていたのだろう。

セレッソはファーストレグの前半早々に先制を許し、試合を動かさなければいけなくなった後半にようやくプレスを仕掛けたが、リーグ戦で戦った9月28日の第29節でもほとんど前線からプレスを仕掛けることがなかったので、前半から仕掛けるのは初めてである。


ただ、中3日とはいえ連戦で、しかもこの試合は10月にもかかわらずキックオフ時点での気温が30.1℃。全部が全部プレスを仕掛けるのは難しい。

そこでプレスにいけない場面での形も調整してきていた。


浦和はこれまで同様に西を残した方上げ3バックがベース。それに対してセレッソは4-4-2だが西のところにはいつでも乾が出ていけるように準備。FWが追い込んで西のところにでれば乾も出ていってプレッシングのスイッチが入る。

FWの追い込みは、ベンチや乾からの「GO!」という掛け声が合図になっていたが、乾はまあまあ鬼のタイミングでも「GO!」の合図を出してFWにCBに対してプレスに行くように指示を出していた。FWは加藤と山田の若い2人なので実績も経験もある乾に言われれば行かない訳にはいかない(笑)。

なので浦和としては西のところでどうしても窮屈になるので逆サイド、ショルツ側からのボール前進を図る。FWがCBにアプローチをかけたときにCHに縦パスを出されるのが一番嫌なので、もう1人のFWはCHの低い位置にいる方の選手(主に柴戸)をケアするので浦和の2CB+西という3人に対して、セレッソも2トップ+乾という構図で枚数はあっているのだが、CB同士の横パスは比較的簡単に出せる。


そうなれば、浦和がショルツが持ち出してというファーストレグで先制点を奪った形になるのだが、ここでセレッソは坂元がショルツにアプローチに行くのではなく、坂元は奥埜とともに絞ってショルツからインサイドレーンに立つ江坂への縦パスのコースを消すことを徹底していた。

その結果、ショルツは大外レーンの明本へ。しかしこの試合ではこの明本に対して後ろの松田陸が一気に距離を詰めて捕まえに行く。ファーストレグの浦和の先制点の場面のような狙ってクロスを入れる時間を与えなかった。

ちなみに逆サイドでも、西から右の大外レーンにいる主に関根にパスが出た場合は丸橋が前に出て一気に捕まえにかかる形になっていた。


セレッソのこのやり方を確認した浦和はSBが食いつくならと食いついたSBの背後にインサイドレーンでシャドゥ的な立ち位置にいる選手、浦和の左サイド/セレッソの右サイドであれば江坂を松田陸の背後に走らせ、そこにCBから長いボールを入れようとする。

しかしこの江坂の動きに対してセレッソはCB西尾がついていきここで潰しきる。

ボールの出し手がCBとなる分、パスに距離があるので身体を当てる形で十分この形で対応できていた。

ちなみに西尾が出ていくならと何度かは中央のユンカーへ長いボールを入れる形も何度か見せたが、そこは瀬古が捕まえて対応。ユンカーは背負ってプレーするよりもスピードとスペースでプレーするタイプなのでこのレンジのパスなら十分対応できる。この形はさらにパスのレンジも伸び、サイドに流れる以上にスペースもないのですぐにやらなくなった。


これまでのセレッソの守備はセットすることに比重を置いており、その結果ボールホルダーにプレッシャーが全くかからず単なるカラーコーン状態だったのだが、この試合ではセットした状態からボールホルダーにプレッシャーがかかっていなければ陣形を崩してでも捕まえに行くようになった。


そこで浦和は比較的早めの時間から柴戸がCBの間に降りて西を前に出す形を見せていた。

しかしこれだとあまり状況は変わらない。いや、それ以上にビルドアップを助けるために西残しの3バックの時以上に小泉が下がってきてビルドアップに参加する頻度が上がる。

そしてセレッソはその小泉に対してかなり激しくアプローチに行くことで何度もボールを奪い返す場面を作っていた。

小泉はもちろん相手にとっても脅威ではあるのだが、浦和の選手にとってもビルドアップで困った時に最も頼れる存在なんだろう。なのでビルドアップに困った状態で小泉が動くとそこにボールをつける頻度がかなり高い。それを踏まえてセレッソもかなり小泉の動きは意識していたと思われる。

ただ、それが可能だったのはセレッソがラインを高く設定しコンパクトな陣形を保っていたから。なので奥埜や原川が近い距離で潰しに行くことができたし、39分の場面でも岩波から小泉にボールをつけた時に瀬古が潰しに行くこともできた。

これまでデメリットでしかなかったハイラインが、プレスとブレイク(ポジションを捨てること)が整理されたことでようやくメリットが上回るようになった。ようやく高いライン設定に意味ができた。


そこで30分を過ぎた頃から浦和は2CBの左に伊藤が降りるようになる。

となればセレッソは乾も坂元と同じ高さに戻って坂元と同じような仕事を行う。


江坂があえて松田陸のすぐ脇に立つことで松田陸に前に出にくいような形を作ったり、江坂が開いて明本に内側を走らせたり、また小泉もあえて右の大外レーンに出たりすることでなんとかセレッソのオーガナイズを動かそうとしていたが、セレッソもSBが出られなければSHが頑張って戻ることで何とかカバー。SBの背後を取られた時にはCHの2人も戻るのでCHの前が空きそこからミドルシュートを打たれる場面は何本かあったが、セレッソとしては概ね非保持で準備してきたことが機能していた前半だった。


■加藤のゴール

ここまで浦和のボール保持/セレッソのボール非保持についてばかり書いてきたが、前半からセレッソはいくつかチャンスを作っていた。

その要因となっていたのは、浦和のプレスを外すことができれば加藤と山田の2トップで前線に起点を作れていたこと。

もちろん浦和にとっては得点が絶対に必要な試合だったという部分もあるのだろうが、特に浦和が柴戸や伊藤が最終ラインに降りてビルドアップをする頻度を高くしてからはよりトランジションやプレスを外した局面で浦和のCBはスペースを埋めることを優先せざるを得ない状態が増え、セレッソの2トップはよりボールを収めやすくなった。

もちろんセレッソはプレスを回避するためにキム・ジンヒョンが参加できるのも大きい。


両チーム交代なしで後半がスタートすると、浦和は前半終盤から見せていた伊藤が2CBの左に降りる形でビルドアップ。しかしセレッソは立ち上がりにプレスをかけて小泉からボールを奪っている。


浦和にとってチャンスだったのは5分の明本からユンカーへのスルーパスの場面と6分のカウンターの場面だろう。ここで先制されていたらさすがにセレッソは難しかったと思う。

5分の場面はセレッソの守備のやり方をうまく掻い潜ってユンカーにボールが届いたが、シュートは枠の左に外れた。そして6分の場面は瀬古の距離の詰め方、コースの消し方がよかったのか、江坂はユンカーに出せずシュートまで持っていけなかった。


逆にセレッソが試合を動かしたのが53分。

キム・ジンヒョンのロングキックから一気に坂元にボールが届くと、奥埜を経由して左サイドに展開。ボールを受けた丸橋がGKとDFラインの間にボールを流し込むとそこに飛び込んだのは加藤。最初のシュートは鈴木彩艶に防がれたが、こぼれ球を拾って右足を振り抜くと鈴木の手に当たってボールはゴールに吸い込まれた。


まずポイントとなったのは間違いなくキム・ジンヒョンからのロングキック。直前のプレーが西と小泉が右サイドで絡んで西のクロス。そしてそこに左SBの明本がペナルティエリア内に入ってきていたのでキム・ジンヒョンがキャッチしたときには左SBが誰もいない状態だった。

これで一気に裏返すことに成功すると、サイドチェンジで丸橋に。ここで岩波が加藤を離してしまったことで加藤はフリーで最初のシュートを打つことができた。


ファーストレグが1-1なのでセレッソが先制したとはいえ浦和が追いつけば延長に持ち込むことができる。なので浦和に必要なのは1点であることは変わらない。時間もアディショナルタイムを考えるとまだ40分ぐらいはある。

ただ、浦和はしては思い通りの試合運びができていない中での失点。1点以上のダメージがあったのだろう。


■逃げ切り成功

ビハインドとなった浦和は伊藤が左に降りる3バックを止め、2CBだけでビルドアップを行うようになる。


そして62分に小泉に代えて山中亮輔を投入。この交代で明本を1つ前に出し江坂がトップ下に入るかと思われたが、明本とユンカーの2トップ、江坂はそのまま左サイドに入る。


さらに72分に西と関根に代えて平野佑一と田中達也を投入、伊藤が右SBに入る。


先に潰れてくれる明本が前線に入ったことでユンカーはプレーしやすくなった部分はあるだろう。77分にはあわやのシュートを放っている。

ただセレッソにしても相手がビルドアップで人数をかけなくなったことでプレスに行きやすくなった。

得点後の10分近くはセレッソがビッグチャンスを立て続けに迎えている。


<6>

セレッソも79分に山田に代えて大久保嘉人、83分に加藤に代えて清武弘嗣を投入。前半から仕事量の多かった2トップを入れ替える。


何としてでも1点を取りたい浦和は87分に柴戸に代えて槙野智章を投入。槙野は準々決勝同様に前線に入る。そしてセレッソも90+3分に乾に代えて松田力を投入。清武が左SHに移動。


試合はこのまま終了。セレッソが1-0で勝利しアグリゲイトスコア2-1で勝ち抜きが決定。2017年以来となるYBCルヴァンカップ決勝進出を決めた。


■その他

会心の勝利と言っていいだろう。そして何よりようやくハイラインの意味を見出すことができた。

ハイラインとプレスは必ずセット。そもそも守備の鉄則は狭く守ること。なのでプレス無しのハイラインは意味がないし、逆にいえばプレスをしてラインを下げることも意味がない。

これまで結果が出ていなかった最大の要因がこれだったが、ようやく解消できた。

キム・ジンヒョンも試合後に語っているがハイラインが小菊監督の目指す方向性なのだからプレスは絶対に必要である。

もちろんまだまだ課題も多いが、ようやく最大の懸念事項が解消されノーマルな状態になったのでひとまずホッとしている。

決勝の相手は名古屋。柿谷曜一朗や木本恭生が移籍したチームであり、慎重な戦い方をする強敵だが1試合での勝負なので十分チャンスはある。また埼玉スタジアムで歓喜の瞬間を迎えたい。


そして浦和。ずっと好調でありながら第31節に神戸にハイプレスを仕掛けられ大敗。そしてファーストレグでも後半に捨て身のハイプレスで同点にされ、このセカンドレグでもセレッソのプレスに苦しんだ。

このチームの中心は小泉で、この試合でもその小泉にボールロストが多かったのだが、そうなったのは小泉の問題というよりもチームのビルドアップの問題だろう。

この試合でセレッソが最も上手くいったのは西を常に窮屈な状態に押し込めることができたこと。浦和はここで逃げられないので全てが詰まり、その結果小泉のところでボールを奪う回数も増えたように見えた。

浦和をずっと追いかけているわけでは無いのでこれが正解かどうかはわからないが、この試合であればCBとGKでもう少し外せるようであればセレッソは厳しかったと思う。

ただ、今回のセカンドレグでこれが出来たのもファーストレグでアウェイゴールを奪っての1-1にできたことが大きかったとは思う。



1 件のコメント :

  1. メイン上層から見ていたのですが、乾の守備が素晴らしいと感じました。
    丸橋の縦スライドが間に合う時は西にプレスをかけ、間に合わないと判断したらプレスをかけない、という動きをしていたように思ったのですがいかがでしょうか。

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