2021年10月8日金曜日

10/6 YBCルヴァンカップ プライムステージ準決勝 第1戦 VS. 浦和レッズ @ 埼玉スタジアム2002

スタジアム埼玉スタジアム2002主審佐藤 隆治
入場者数8,734人副審平間 亮、田尻 智計
天候 / 気温 / 湿度曇 / 20.8℃ / 79%第4の審判員上田 益也
VAR飯田 淳平
AVAR西橋 勲

浦和レッズ浦和

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • リカルド ロドリゲス
 
  • 監督
  • 小菊 昭雄

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「10000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

浦和レッズ:リカルド・ロドリゲス監督

セレッソ大阪:小菊昭雄監督


<選手コメント>

浦和レッズ:キャスパー・ユンカー、山中亮輔

セレッソ大阪:山田寛人、坂元達裕


JリーグYBCルヴァンカップもいよいよ佳境となるプライムステージ準決勝、浦和レッズ対セレッソ大阪。敵地埼玉スタジアム2002で対戦下ファーストレグは1-1で終了。貴重なアウェイゴールを手にすることに成功した。


■メンバー

浦和レッズのスターティングメンバーは直近のリーグ戦から7人を入れ替え。日本代表でチームを離れた酒井宏樹の他、西川周作、岩波拓也、明本考浩、柴戸海、関根貴大、小泉佳穂が外れ、鈴木彩艶、西大伍、槙野智章、山中亮輔、伊藤敦樹、大久保智明、キャスパー・ユンカーが起用された。また外れたメンバーのうち、明本、岩波、小泉、関根の4人はベンチスタートとなっている。

江坂・小泉の前線コンビが機能していることもありユンカーは8月29日のJ1第27節湘南戦以来となる先発。また山中は負傷交代となった7月7日の天皇杯3回戦相模原戦以来の先発となる。

大幅に選手を入れ替えたのはこの試合が中3日、さらにセカンドレグも中3日でやってくるということもあるだろうが、リーグ戦前節に神戸に5-1で大敗を喫した影響もあるのだろう。


セレッソ大阪のスターティングメンバーは直近のリーグ戦から4人を入れ替え。オーストラリア代表でチームを離れたアダム・タガートの他、進藤亮佑、小池裕太、藤田直之が外れ、松田陸、丸橋祐介、奥埜博亮、山田寛人が起用された。また外れたメンバーのうち進藤、藤田はベンチスタートとなっている。

こちらは直近のリーグ戦からは中2日。それを踏まえてリーグ戦では両SBを入れ替えていたのでここで戻したという形。そしてベンチには9月5日のルヴァンカップ準々決勝セカンドレグ以来となる新井晴樹が入った。


■盤面を支配しようとする浦和

まずは浦和のボール保持・セレッソのボール非保持から。

浦和は4-2-3-1から西残しの3バックでボール保持。序盤この形が多かったのは前回対戦時同様に乾を引き出してその背後という狙いがあったのだと思われる。

それに対してセレッソは4-4-2でブロックを作る。ラインを上げて4-4-2でセットするが、2トップはCBにまではプレスに行かない。2CHを背中で消すようなポジションを取る形となっていた。


そこから試合開始早々の3分に浦和っぽいなあと感じさせるボール保持があった。


西が乾を引き出すと右SHの大久保智明が降りてくる。しかしセレッソもここは前回やられた場所なので丸橋がついていく。となると江坂が丸橋の背後に。典型的なSBの背後を取るパターンだ。

だがそこにはセレッソもCHをついて行かせていた。ここも前回対戦時の反省を生かしての形なのだろう。

しかしそうなると浦和はCHが1人いなくなった中盤のスペースに狙いを変える。伊藤、江坂、とボールを繋いだところで、3人目の動きで外側から内に入っていった大久保智明へ。これでセレッソのDFラインの前で前向きにボールを持つことに成功する。

大久保智明はここでゴールに向かってドリブルをしてしまったので最後は選択肢がなくなり結局はセレッソがボールを奪い返すことに成功したが、ここで左サイドの山中に展開されてしまうと4-4-2のブロックで対応するセレッソにとっては大ピンチとなりえるボールがピッチを横断する形。

この試合ではこの場面の様に相手の判断ミスに助けられることも多かったが、得点には繋がらなかったものの何度もこういう形があり、局面ではなく盤面を捉えた今の浦和らしいポジショニングとボールの動かし方だと感じた。


■課題を突かれた先制点

ただし12分の先制点を奪われたのはまた別の形。

それまで浦和は西を最終ラインに残した方上げ3バックをベースに、平野が2CBの左に降りたり、伊藤が2CBの右に降りたりとセレッソの出方を伺っていたが、CBにはほとんど出てこないことを把握すると乾と反対側の坂元サイドからショルツがボールを持ち出す回数を増やしていく。


そのショルツの持ち出しからショルツは山中へ、山中が丁寧なコントロールでボールを蹴れる位置におくと、DFラインの背後にアーリークロス。ここにユンカーが飛び込み浦和が先制点を決める。


この場面はユンカーのシュート技術の高さや、動き出しの質の高さもあるが、問題はその前。

持ち出したショルツにも、クロスを入れた山中にも誰もプレッシャーをかけにいくことができていない。

にもかかわらずラインは高い。そうなれば裏を取られるのも当然である。チグハグなセレッソの課題を突かれた失点である。

ちなみに浦和は最初からここを狙っていたことは、最終的に松田陸がクロスを引っ掛けたのでCKになったが、3分に全く同じパターンがあったことからもわかる。


ちなみにこの後も36分の江坂が抜け出した場面も含め何度も最終ラインの背後を取られている。解説の坪井さんが「これだけ高いラインで揃えているのであればもっと前からプレッシャーに行った方が良いのではないか」とおっしゃられていたが、このライン設定だと普通そう感じると思う。


■局面で勝負するセレッソ

一方でセレッソのボール保持だが、前半は浦和がボールを持つ時間が長かったので回数自体も少なかったのだが、少し特徴的な部分もあった。


特徴的だったのはこの試合では基本的に坂元を大外に張らせていたこと。

ベースとなっていた松田陸残しの3バックはもちろん、奥埜や原川が最終ラインに降りた時も、松田陸が坂元のサポートポジションに入ることはあってもベースとなっていたのは坂元が大外。なので松田陸が内側に入ってくる場面が多かった。


そしてセレッソが狙っていたのは浦和のSBの背後を取ること。丸橋や坂元で相手のSBを引っ張り出して背後にFWを走らせるという形を多用していた。

ただ、浦和と違っていたのは、あくまで局面で勝負していたこと。

セレッソが崩そうとしている形は局面で人数をかけたり、コンビネーションを使ったりというものばかり。例えば最初に書いたようなボールの動かし方で相手を動かしてチャンスを作ろうとしていた浦和のような盤面で勝負する形はない。

これは今に始まったことではないのでこれまでも「コンビネーションとアイデアで勝負する」と書いてきたが、小菊監督になり昨季までの様に立ち位置やリサイクルという言葉を多用しているが、ちょっと昨季までとはニュアンスが違っている。これはビルドアップでも同様。一発で相手をひっくり返すような形は狙っているものの、ボールがこう動いていけば自然とチャンスになるという形はない。

なので坂元が右の大外で張っている場面は多かったが、基本的にはそこにボールが渡るのは大きなサイドチェンジのみ。とはいえこれまではそのサイドチェンジもあまりなかったので、そこは改善されたと言えるかもしれない。そこから結局はコンビネーションとアイデアに頼ることには変わらないが。


局面を打開しそのアイデアからチャンスを迎えたのが39分の場面。山田が槙野の股を抜いてシュートを放つも鈴木彩艶がセーブした。シュートまでは素晴らしかったが少しコースが甘かった。ただ鈴木彩艶のスーパーセーブだった。


■プレスに行くセレッソ

後半に入るとセレッソは前からプレスに行くようになる。それまで放置していたCBに対しても2トップがアプローチをかける場面が増え、CHがCHを捕まえるために前に出て行くようになる。

当然前から守備をすることはリスクにもなり得る。なので普段はあまり前から守備をしようとしないのだろう(それでいてハイラインというのも意味がわからないが)。実際に52分にはプレスを外され山中のクロスにユンカーが合わせようかという場面を作られている。


そんな中プレスという決断に至った要因としては単純に負けていたからだとは思うが、その決断にはカップ戦のアウェイでのファーストレグであるということも影響しただろう。

カップ戦には2戦合計スコアが並んだ時にアウェイで決めたゴール数を2倍に換算する「アウェイゴール」というレギュレーションがある。同じ1点差負けなら1-0より2-1、さらに3-2、4-3の方がセカンドレグに向けて有利なる。アウェイの試合では失点数よりも得点数の方が重要なのだ。

セレッソにとっては同じ1点ビハインドなら1-0での敗戦が一番キツい。ということですでにビハインドとなっているセレッソにとっては撃ち合い上等。なので後半頭から積極的にプレスを仕掛けるという決断に至ったのだろう。


浦和にひっくり返される場面もあったがこのプレッシングによって浦和の攻撃のスピードは上がった。攻撃のスピードが上がったということは浦和がボールを失う回数も増えるということ。つまりセレッソの攻撃回数も増えた。また結果的にボールホルダーにプレッシャーがかかるのでDFラインの背後をかんたんにとられることもなくなった。


そして56分には丸橋のクロスから加藤、乾のクロスから山田と立て続けに2本のチャンスを掴むもシュートはクロスバーに跳ね返される。

どちらも決めたいチャンスではあったが、決めることができなかった。


ここで浦和が3枚替え。60分に山中、大久保智明、江坂に代えて、明本考浩、関根貴大、小泉佳穂を投入する。

この交代は攻撃面というよりもチームを普段の状態にしたいという意図だろう。入ってきた選手はいわゆるレギュラー組である。


先ほどセレッソからみたこの状況について書いたが、浦和にとってはその逆。1点差勝ちなら1-0が一番いい。なので浦和としてはオープンな展開は避けたい。目に見える部分では異なる面も大きいが、リカルド・ロドリゲス率いる浦和も昨季までのロティーナが率いたセレッソと同様秩序のチームである。なので秩序を取り戻したい。無風状態にして1-0勝ちにするのが理想だからである。


しかし交代後も展開は変わらず。セレッソがプレスを続けることで相手に秩序を取り戻す時間を与えなかった。

すると66分、セレッソは坂元の縦への突破からのクロスに山田が合わせてゴール。同点に追いつく。

明本は坂元の左足を警戒してボールを持ち直せないように対応していた。ボールを持ち直されると必殺技があるからだ。

そこで坂元は持ち直さずにそのまま縦に抜けて右足でクロスを入れた。おそらく中のCB2枚、ショルツも槙野も持ち直すパターンをかなり警戒していたんだと思う。なので対応が遅れ、ファーサイドに入ってきた山田にボールが届いた。


そしてこの同点ゴールに至った最大の要因は先にも書いたように浦和が秩序を取り戻せなかったからだろう。

浦和はボールを持つことで秩序を作るチーム。なのでボールを持てるレギュラー組を一気に投入したのだがそれができなかった。カウンターでボールを運ぶ場面はあり、もちろん追加点を奪えたかもしれないがそれだとオープンなまま。リスクは変わらない。

そう考えると、昨季までのセレッソがボール保持だけでなくボールを持たなくても秩序を保つことができたというのは大きな武器だったことが実感できる。


同点に追いついたあとも戦い方を変えないセレッソは69分に前線でボールを奪い返し最後は加藤がシュートする場面を作るも、またもや鈴木彩艶がセーブ。そして74分には丸橋からのボールを受けた加藤が反転し右足を振り抜くと、鈴木彩艶の指先をかすめてまたもやクロスバー。

前半終盤の山田のチャンスや後半3本当てたクロスバー、そして加藤のチャンスのいずれか1つは決めておきたいところだった。


73分に浦和は汰木に代えて田中達也を投入し関根が左へ移動。76分にセレッソは加藤と山田の2トップに代えて西川潤と松田力をそのまま前線に投入。さらに85分には乾に代えて新井晴樹を投入。そして90分には坂元に代えて大久保嘉人を投入し、西川が右サイドへ移動。


しばらくはセレッソもプレスを続けていたが、時間の経過とともにプレスの強度が弱まり浦和に反撃を受ける場面も出てくる。

これはもちろん疲労の度合いもあるが、78分に明本のクロスに田中が合わせようとするもヒットしなかった場面があり、それ以降はカウンターでやられるより1-1のまま終わったほうが良いのではないかという考えが出てきたんだと思う。

この田中の決定機の場面はクロスに対するL字ポジショニングができていなかった。


最後にペナルティエリア内で西川の手にボールが当たったのではないかということでVARチェックが入るがお咎めなし。中継映像では手に当たったかどうかはわからなかったが、VARの映像では当たっている様な映像があったのだろう。しかし手に当たっていたとしても先に体に当ててからなので、こういう場合はハンドにはならない。


ということでファーストレグは1-1で終了。引き分けながらアウェイゴール1つを持って日曜日のセカンドレグに挑むこととなった。


■その他

浦和にとってはファーストレグホームの難しさを感じる試合だったのではないだろうか。オープンに持ち込まれた試合を修正できずに同点。セレッソが逆転していてもおかしくなかった。

一方でセレッソにとっては勝つ可能性もあった試合だったが、ファーストレグアウェイの結果としては上々である。


これでセカンドレグではセレッソの勝利および0-0での引き分けまででセレッソが勝ち抜け。1-1の引き分けで延長。2-2以上の引き分け及び浦和の勝ちでセレッソは敗退となる。


アウェイゴールとはいえ1点なのでそんなに有利じゃないんじゃないか、今のセレッソが狙って0-0にできるとは思えない、という意見もあるかもしれないが、実際のところこのアウェイゴールはかなり大きい。

というのも浦和はセカンドレグで0-0ならダメなので、絶対に1点は取りにいかなければいけないから。つまり秩序を90分間保つだけでは不十分なのでどこかで勝負を仕掛けないといけない。ということはセレッソはあらかじめ浦和の出方を想定できる。セレッソはそれを踏まえてゲームプランを立てることができるのである。

リーグでの対戦で「ボコスコいかれた」ことを考えると、チームとしての完成度は浦和に分があるが、出方が想定できれば準備できる。


ただ、セカンドレグではオープンにしたくないのはセレッソの方。おそらくリカルド・ロドリゲスはオープンな展開を望まないとは思うが、セレッソもファーストレグとは違う戦い方が必要となる。



1 件のコメント :

  1. いつも楽しみに拝見してます。
    1点だけ指摘ですが・・・

    カップ戦には2戦合計スコアが並んだ時にアウェイで決めたゴール数を2倍に換算する「アウェイゴール」というレギュレーションがある。

    ↑これは現在では正確ではなく、単純にアウェイゴール数で比較してます。(下のレギュレーションを参照)もちろん、2試合合計同点の場合アウェイゴール数がモノを言うので、アウェイゴールの重要性には変わりありません。


    ----
    ●準々決勝、準決勝(ホーム&アウェイ)
    90分間(前後半各45分)の試合を行い、勝敗が決しない場合は引き分けとする。各回戦の勝者は2試合の勝利数が多いチームとする。勝利数が同じ場合は、次の順によって決定する。

    ①2試合の得失点差
    ②アウェイゴール数
    ③第2戦終了時に30分間(前後半各15分)の延長戦
    ※延長戦ではアウェイゴールルールは適用されない
    ④PK方式
    (各チーム5人ずつ。勝敗が決定しない場合は、6人目以降は1人ずつで勝敗が決定するまで)

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