2021年10月26日火曜日

10/24 明治安田生命J1リーグ第33節 VS. 横浜F・マリノス @ ヨドコウ桜スタジアム


スタジアムヨドコウ桜スタジアム主審上田 益也
入場者数9,635人副審八木 あかね、赤阪 修
天候 / 気温 / 湿度曇 / 18.3℃ / 48%第4の審判員村井 良輔
VAR家本 政明
AVAR野村 修

セレッソ大阪C大阪

 

横浜F・マリノス横浜FM

 
  • 監督
  • 小菊 昭雄
 
  • 監督
  • ケヴィン マスカット

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「10000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:小菊昭雄監督

横浜F・マリノス:ケヴィン・マスカット監督


<選手コメント>

セレッソ大阪:乾貴士、喜田陽

横浜F・マリノス:實藤友紀、水沼宏太


3週間ぶりのリーグ戦となった明治安田生命J1リーグ第33節。本拠地ヨドコウ桜スタジアムで行われたセレッソ大阪対横浜F・マリノスの一戦は乾貴士の復帰後リーグ戦初ゴールを含む2点を奪ったセレッソ大阪が2-1で勝利。勝ち点をJ1残留の安全圏とも言える42に伸ばした。


■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーはリーグ戦前節から4人を入れ替え。進藤亮佑、小池裕太、原川力、アダム・タガートが外れ、松田陸、丸橋祐介、喜田陽、松田力を起用。直近の公式戦にあたるルヴァンカップ準決勝セカンドレグから見ると3人の入れ替え、奥埜博亮、原川、山田寛人に代わって藤田直之、喜田、松田力が入る形となる。

原川、奥埜、タガート、山田はベンチからも外れる形となり、清武弘嗣は8月28日の第27節以来、新井晴樹は8月9日の第23節以来、豊川雄太は8月25日の第26節以来、中島元彦は9月26日の第30節以来のベンチ入りとなった。

ベンチ外の選手はもちろん怪我やコンディション不良の可能性もあるが、この試合から中2日で天皇杯準々決勝、ルヴァンカップ決勝と連戦が続くのでメンバー構成を調整した可能性もある。


横浜F・マリノスのスターティングメンバーはリーグ戦前節から5人を入れ替え。ティーラトン、喜田拓也、扇原貴宏、マルコス・ジュニオール、レオ・セアラが外れ、實藤友紀、小池龍太、水沼宏太、渡辺皓太、杉本健勇が起用された。

實藤は9月18日の第29節以来今季5度目の先発。小池は10月1日の第31節以来20度目の先発となるが、左SBとしての先発は今季3度目。水沼宏太は今季初先発。渡辺は9月25日の第30節以来7度目の先発。杉本は8月12日に行われた第18節以来2度目の先発となる。

外れた5人のうち累積警告で出場停止のマルコス・ジュニオール以外の4人はベンチ入り。

そしてマルコス・ジュニオールの出場停止に加えて、天野純も負傷離脱していることで誰が起用されるか注目だったトップ下のポジションには水沼が起用された。試合後のコメントによるとトレーニングではこのポジションを試していたそうだ。


■セレッソの狙い


横浜FMはビルドアップの時にCHの1人が前に出てIH化することが多い。この試合では岩田がアンカー気味に残り渡辺が前に出ていく形が多かった。

それに対してセレッソは4-4-2の陣形でセットし、守備のスタート位置としてはアンカーの高さ。アンカーを2トップで挟む形で立ち、SHはプレスの意識を持ち前を伺う。

しかし守備の1列目、2トップの高さをボールが越えると完全にSHは下がって4-4-2のブロック。この時にFWの1枚(主に松田力)も下がって4-4-1-1のような形になる。

ただ、バックパスだったりプレスにいくチャンスがあれば2トップ+SHで前にプレスに出て行く。そうなると横浜FMはIH化している選手が助けるために下がっていくがここに対してもセレッソはCHがついていくことを徹底。

GKにまでボールを下げると相手の状態が厳しい状態でなければもう一度最初からやり直し。アンカーのところで2トップがセットして守備を始めるという形になっていた。


その結果横浜FMはビルドアップからの展開ではボールを持つことはできるもののブロックの外ばかりという状態に。サイドチェンジなどの長いボールを使って何とかしようという意図は見られたが、結局ブロックの中にボールを刺せないのでやりたい形でボールを保持するというのは出来ていなかった。

このあたりは間受けの達人であるマルコス・ジュニオールはもちろん、微妙な立ち位置を取って相手を動かしにかかる天野もいないというのが痛かったのかもしれない。トレーニングではトップ下で起用されているらしい水沼は前に出るかブロックの外で受けるかのどちらかでしかなかった。


ボール保持ではあまり上手くいかない状態だった横浜FMとしては、となると非保持からのトランジションが狙い目。横浜FMはプレスの強度がかなり高いまさにハイプレスのチームである。


非保持では水沼が1列前に出て4-4-2になるのがベース。そしてCBにはもちろんGKにまでアプローチかける。

これに対してセレッソはボールを動かしCHがいなくなったCBの前をかなり有効に使った。この試合で2トップにボールが収まる場面が多かったのはここにスペースがあったからである。

ここにスペースができたのは横浜FMは2トップが前にアプローチをかけたタイミングでCHも当然連動して前にアプローチをかけるから。

そして試合の立ち上がりにセレッソはここから背後を何度も狙ったことで、例えばSBがいなくなったスペースに乾が飛び出す動きに対して渡辺がついていくような図式を作ることができたからだった。

横浜FMのCBとしては、前に誰もいない、横も人数が余っているわけではない状態なのでなかなかここに食いついて潰しに行くことはできない。

無理に潰しに行くと34分の乾のスルーパスに松田力が抜け出し最後に加藤がシュートを放った場面のような形になってしまうのだ。

もちろん横浜FMのプレスに時間を消されて蹴っ飛ばすしか無い場面も何度もあったが、時間を作ることができればこうして確実に縦に刺せる形があり、前線でボールを収める形があったのはセレッソにとってはかなり大きかったし、横浜FMにとってはプレッシャーだっただろう。


そして順序は逆になるが7分の先制点の場面はこの乾の抜け出しにCHがついていかずDFラインのスライドで対応しようとしたところから。

この時抜け出した乾も加藤も松田力もオフサイドポジションにいたが横浜FMがボールを回収したのでプレー続行。

しかし實藤からのパスを受けた松原がミスキックで丸橋にボールを渡してしまうと、そこから再びセレッソの攻撃に。


そしてセレッソはサイドで乾がボールを持った時に対応したのが渡辺。となるとDFラインの前には岩田1人しかいない状態になっていたので喜田のハーフスペースへの飛び出しには対応できずセレッソがCKを獲得。

この時にチアゴ・マルチンスは岩田に対してついていけよという指示を出していたが、渡辺がいなくなってるので岩田までいなくなるとDFラインの前に誰もいなくなるので難しかったと思う。

ここからCKが2本続きボールが流れたところから乾が喜田とのワンツーでペナルティエリア内に侵入。

放ったシュートはあたりそこねだったがブロックしようとしたチアゴ・マルチンスの足に当たってコースが変わりゴールに吸い込まれた。

乾自身が語っているようにラッキーなゴールではあったが、そこまで持ち込んだのは横浜FMのやり方を見て自分たちの狙いがはまったものだった。


横浜FMにとってはCHがサイドまで出て行ってしまうというのが難しくさせている要因と言えるのだが、ここでいかなければ前半何度か丸橋がノープレッシャーでクロスを入れていたようにボールホルダーにプレッシャーがかかっていない状態になる。なのでCHにしても行かざるをえない。

じゃあ出て行った時にSHの選手が内側に戻ってくる形(ルヴァン準決勝セカンドレグで原川がサイドに出て行った時に乾が中央に戻っていたような形)があればまだいいのだろうが、それも無い。

ただこれは優先順位的な話しで、横浜FMのSHは前でプレスに行くこと、ボール保持での槍であることが最優先事項なのでそこまではやらせたくないという部分もあるのだろう。これをやることでプレスの強度が下がり、試合のテンポが上がらないなら横浜FMとしてはやったところであまり意味がない。

なので横浜FMとしてはボール保持で狙い通りにいかず、さらにセレッソがプレスを外す形も作れていたということでデメリットが目立つ格好になったのだろう。


21分の追加点もCHの動いた後を使った形。

以前にも書いたが、ロティーナの下でプレーしたことでキム・ジンヒョンは浮き球でスペースに落とすパスはJリーグで一番上手いGKになった。

その浮き球でスペースに落とすパスで喜田についてきた岩田の背後にいる藤田へボールを届けると前向きでフリーの状態なので松田力にスルーパス。その折り返しを加藤が決めセレッソが2-0とリードを広げた。


この松田力からの折り返しについてオフサイドかどうかという話しがあるようで、この試合のVARだった家本氏までがツイッターでコメントを出す事態になっているが、全てのゴールはVARでチェックしており、そのチェックの結果オフサイドはなかったという判定。2Dライン(地面に線を引くか)3Dライン(空間に壁を作るか)という話にまで発展しているようだが、別にこれは今回運用方法が変わったわけではないので特に何もいうことはない。

横浜FMとしては失点後に高丘が藤田のスルーパスの局面に対してチームに指示を出しているように、あそこでフリーで前向きにプレーされたところが痛かった。


セレッソも特に小菊監督就任後に何度も背後を取られる場面があったが、ボールホルダーにプレッシャーがかかっていないとどうしてもこういう場面は作られる。

横浜FMの場合は守備のスタート位置がかなり高いのでそこを外されると間延び局面というか中間にスペースが生まれやすい。


■配置を変えた横浜FM

2失点を喫したことで横浜FMはボール保持の局面でCHの1人がIH化する場面が少し減りブロックの外で2CHがいて前にトップ下の水沼、その前にCFの杉本という形になる時間が増える。

しかしこうなると余計に水沼が間でボールを受けることができなくなりブロックの外にまで下がってくる場面も増えることに。仲川と前田の左右のSHを入れ替えるなどしていたが、ボール保持の形としては不完全燃焼だったと思う。


しかし43分、横浜FMにとってこの試合最初のCKで實藤が決めゴール。2-1と1点を返すことに成功する。

このまま2-0であれば横浜FMは後半早々に思い切った手を打たざるをえなかっただろうし、そうなればもっとやりやすい展開になっただろう。

ただこういうところでワンチャンスを決めてくるのも横浜FMが今の順位にいる理由なのだろう。


2-1で折り返した後半。両チーム共に選手交代はなかったが横浜FMは前線のポジションを入れ替えてきた。

それまでトップ下だった水沼が右SHに入り、トップ下には杉本。CFには前田が入り、仲川は左SHに移った。

試合前のスターティングメンバーが発表された時は、水沼がトップ下でトレーニングをしていることを知らなかったので、横浜FMの立ち位置はこの並びかと思っていた形である。


後半の立ち上がりは前半同様の守備の形でセレッソは機能し、51分には藤田のFKがポストにあたるなどチャンスを作っていたが、時間の経過と共に徐々に横浜FMに押し込まれるようになる。

ここから後半の飲水タイムまでの時間がセレッソにとってはこの試合で最も難しい時間帯だったし、勝負という部分でいえばここを0で抑えたことが大きかったと思う。


難しくなったのは横浜FMの前線で前田が背後を狙うことでDFラインを下げられ、さらに杉本トップ下でボールに顔を出してくるから。

前半の水沼は完全にブロックの外まで降りて来ていたが、杉本は間で顔を出す。セレッソもスペースは与えないのでターンされることはなかったが、どうしてもCHはそこに引っ張られるし、杉本は身体も強いので受けることはできる。

その結果サイドからクロスを入れられる本数もかなり増えてしまっていた。

この並びがありながら前半は別の並びで戦っていたということは、おそらくこの並びにはまた別の問題やデメリットがあるのだろうが、この試合では上手く機能していたと言えるだろう。


セレッソは61分に松田力に代えて清武弘嗣を投入。

松田力は地味な仕事だったが、身体をぶつけることを厭わずかなり効果的なプレーを続けていたと思う。


■はっきりした終盤


71分に横浜FMは水沼と杉本に代えてエウベルとレオ・セアラを投入。前線にレオ・セアラと前田が並ぶ4-4-2にする。

杉本トップ下の4-2-3-1は機能していたが、1点ビハインドの状態で試合の3/4が経過。前線にアタッカーを投入する決断は理解できる。


ただこれで横浜FMは前がかりになることは確定なのでセレッソにとってもこの試合のここからやるべきことがはっきりした。


セレッソは77分に西尾と加藤に代えて進藤亮佑と大久保嘉人を投入。

西尾の交代はおそらく前半最初に受けた水沼のファールの影響だろう。その時に左ひざを痛めたようで後半開始から左ひざにテーピングを巻いており、試合後にも左ひざにアイシングをしていた。

試合後の周回にも参加していたので大きな怪我ではないと思うが、ちょっと心配ではある。


ゴールが遠い横浜FMは84分に仲川に代えて宮市亮を投入すると、セレッソも85分に乾に代えて豊川雄太を投入。


横浜FMは力押しで前がかりになって攻め込むが、セレッソは清武や大久保がうまく時間を使いながら最後までしっかりとブロックで守りきり逃げ切りに成功。セレッソ大阪が2-1で横浜F・マリノスを下した。


■その他

プレビューでも触れたが、最近の横浜FMは勝っているものの難しい時間帯も結構あって、爆発的な攻撃力を持ちはまった時の勢いはハンパないがちょこちょこ隙もあるというチームになっていた。

今回の対戦ではその隙をうまくつくことができた会心の勝利だったと思う。

あまり試合に出ていない松田力も喜田もタスクを全うし素晴らしい活躍を見せた。

ここから名古屋とのカップ戦2連戦が待っているが、この勝利でチームのムードとしてもいい状態で挑むことができるのではないかと思う。


そして小菊監督になり乾が戻ってきて出場を重ねているわけだが、ちょっとエイバルっぽいやり方になってきたなとも感じている。

0 件のコメント :

コメントを投稿

新着記事

人気の投稿

セレッソ大阪公式Twitter

楽天

楽天トラベル