スタジアム | IAIスタジアム日本平 | 主審 | 飯田 淳平 |
入場者数 | 6,076人 | 副審 | 唐紙 学志、浜本 祐介 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 18.8℃ / 49% | 第4の審判員 | 野田 祐樹 |
メンバー
清水
C大阪
- 監督
- 平岡 宏章
- 監督
- ロティーナ
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き(入場可能数の「50%以下」又は
入場可能数が「20
000 人以上のスタジアムは30%程度からの段階的な緩和」)での試合開催
<監督コメント>
<選手コメント>
前節から中10日で迎えた明治安田生命J1リーグ第27節、敵地IAIスタジアム日本平での清水エスパルス対セレッソ大阪の一戦は1-3で敗戦。J1での対戦では、清水エスパルスはヤンマースタジアム長居・長居球技場で1998年に勝利して以降22年間勝利がないが、この敗戦でセレッソ大阪もIAIスタジアム日本平では2004年に勝利して以降の勝ち無し期間が16年間に延びた。
■メンバー
清水エスパルスの先発メンバーは前節と全く同じ11人。入れ替わったのはベンチメンバーの1人のみで成岡に代わって河井が3試合ぶりのベンチ入りとなった。平岡監督就任初戦となった前節は就任発表から2日後には試合があったので、今回はようやくじっくりと時間をかけて迎えた試合となる。
セレッソ大阪の先発メンバーも前節と全く同じ11人。入れ替わったのも同様にベンチメンバーの1人のみ。古巣対戦となりえた高木が外れ小池が2試合ぶりにベンチ入りとなった。
■清水の狙い
清水はこの試合に向けてビルドアップの強化云々という話しがあったが、試合を見る限りおそらく狙いのファーストチョイスは前線でボールを引っ掛けてのショートカウンターだったんだと思う。
そう感じさせるほどセレッソのビルドアップに対する清水の守備は徹底されていた。
清水の守備はまず4-4-2でセットし、SHを中央に絞らせ2トップは背中でCHを消しながら、前線4人で中を閉めるという形。CBから簡単に中にはボールを付けさせないぞという強い意志を感じさせるものだった。
特徴的だったのがセレッソのCHに対するアプローチ。ボールサイドのCHに対しては清水のCHが前に出てきて対応、逆サイドのCHに対してはFWの1人が降りてきて捕まえるという形をとってきた。
セレッソのCHはサイドにボールが出たときに必ず内側から横にサポートに入るので、通常であればサイドでハメに来られたとしてもここにボールを出すことで逆サイドに展開する。なのでここに対するアプローチを徹底してきたのだろう。立ち上がり最初のビルドアップではデサバトに対する竹内の寄せが甘くデサバトがターンすることで逆サイドに展開、セレッソがボールを運ぶことに成功したが、以降はここにかなり強くくるようになった。
清水が前に人数をかけている分長いボールを使って一気にボールを運ぶ場面もあったが、CHのところでボールロストが起こっていたのはこれが原因だった。
■セレッソの対応
清水の狙い通りボールを引っ掛けられショートカウンターという形を何度か作られていたセレッソは飲水タイムの直前ごろからビルドアップの立ち位置を変える。
おそらくこれに対してのコメントだと思うが、平岡監督は試合後のフラッシュインタビューで「セレッソはいつもと違う特殊なやり方をしてきた」と語っているが、セレッソは形ではなく目的が優先。この対応は特殊なやり方をしてきたというよりも目的から逆算した対応方法の1つだと言えるだろう。
そしてこの動きを飲水タイムで整理。SB(松田)でSH(西澤)と2トップ(後藤、カルリーニョス・ジュニオ)の鎖を断ち切り、SB(松田)とCB(ヨニッチ)の間にCH(デサバト)を落としてCH(デサバト)が2トップ(後藤、カルリーニョス・ジュニオ)脇をドリブルでボールを運ぶ。
この運ぶデサバトに対して誰も対応できないので、清水はズルズルとブロックを下げるしか無くなった。
こうしてファーストディフェンスが機能しなくなったことでセレッソが試合を支配し清水を完全に押し込む展開になる。
なんとか清水は守っていたが前線が孤立してしまっているのでほとんどハーフウェイラインを越えることもできない状態が続いていた。
しかしセレッソにも決定機はわずか。
清水のCHは動くのでそこからチャンスは作れそうな雰囲気はあったのだがシュートまでは持っていけず。またサイドに侵入するとCBも簡単に出てくるので大外で人数が足りなくなっているのだが、クロスを合わせることもできず。また前半にあった3本のCKと7本のFKからもチャンスは作れなかった。
そして28分にはドリブルで持ち出したデサバトからの縦パスで清水のDFが譲り合う格好となり豊川がペナルティエリア内でGKの梅田に倒されるもファールはなし。
梅田は全くボールにプレーできていないので厳密に言えばファールなのだが、VAR無しで主審がピッチで笛を吹いている以上ああいうプレーでPKは取りにくいだろう。
前半のラスト5分は清水がようやくセレッソゴール前までボールを運ぶ場面を作ったが、前半はセレッソが試合をコントロールしたと言える展開だった。
■簡単に失点するもペースを取り戻す
西澤が左から右に移動するのは前節同様のパターン。後藤は献身的によく動いていたが、セレッソが押し込み始めてからは攻守において役割がぼやけていたのでおそらく鈴木に何か指示が入る形で交代となったのだろう。
こうして始まった後半。49分に清水がヘナト・アウグストのゴールで先制する。
形としては中盤でボールを奪いそのまま前につけて飛び出していったというもの。
シュートは見事だったが、形としては雑だった。しかしセレッソはあまりにも簡単に失点。ゴリっと来られたところで対応できなかった。
今季こういう失点が少し増えている。
この後少しバタバタして木本のミスからピンチを招く場面もあったが、構造で上回るセレッソが徐々にペースを取り戻す。
清水は後半に入った鈴木が2トップというよりも、守備の時には中盤のサポートに戻り、奪い返せばカルリーニョス・ジュニオと中盤以下の4-4の間で受けるという4-4-1-1の様な形に変化していた。
立田は右SBで出場することはあるものの左SBはほとんどない。一方でファン・ソッコは今季6試合ほど左SBで出場しているので最初から入れ替えるという選択肢もあったかと思うがそのまま投入されている。
そして同時にセレッソは豊川と藤田に代えてブルーノ・メンデスと柿谷を投入。この2人がFWに入り奥埜がCHに下がる。
ペースを取り戻していったセレッソはこの後チャンスをいくつか作るようになる。
チャンスを作っていた形は左サイドから右サイドに展開してクロスを入れるという形。セレッソの右サイド、清水にとっての左サイドだったのは、左SBに慣れていない立田という部分もあるのかもしれないが、それ以上に左SHの中村が立田の前に戻っていない場面が増えたからではないかと思われる。そんな形の1つが65分の松田のクロスに坂元がヘディングで合わせた形。フリーだっただけに決めたいところだった。
そして66分には柿谷が右サイド起点となり松田がグラウンダーのクロスを入れるもブルーノ・メンデスは合わせられず。
この場面での中村はどこを守ってるのかよくわからない状態になっていた。
そして67分。今度は中村が戻ってきたが坂元と1対1に。坂元のドリブルに翻弄され全くプレッシャーをかけられず、上がったクロスに対してファーサイドで清武が合わせてゴール。ようやくクロスが合ってセレッソが1対1の同点に追いつく。
この試合を見る限り清水はCBを超えたクロスへの対応が怪しいので、今後ここは狙われそうな気がする。
■安い失点再び
75分、清水は竹内に代えて宮本を投入。そして直後の77分坂元がターンでのミスタッチでボールを外に出したことで得た清水のスローインのタイミングで甲高い声の「ソッコ、悠悟」という指示が聞こえ、ファン・ソッコと立田の立ち位置を入れ替わる。
セレッソとしてはペースは握れているものの試合終盤になってミスも増えてきていた。
77分に松田のクロスにブルーノ・メンデスがヘディングで狙うもヒットせず、直後には清武の個人技からペナルティエリア内でブルーノ・メンデスがボールを受けるもシュートはブロックされた。
すると直後の86分。シンプルなワンツーからここしかないというタイミングで中村が打ったシュートが、ここしかないというコースに飛んでゴール。
2-1と清水が再びリードを得る。きちんと守備組織は作れていただけにこれも勿体無い失点。
こういうのはもちろん起きる可能性もあるが、戦術とかとは関係ないところなので本当に勿体無い。
セレッソはなんとか同点に追いつこうと前がかりになることでカウンターを受け、90+4分にカルリーニョス・ジュニオに決められ3-1となり万事休す。
そのまま試合終了となり、セレッソ大阪は清水エスパルスに敗戦。J1で行われたIAIスタジアム日本平での試合は2004年に勝利して以降勝ち無し記録は16年間に延びた。
■その他
内容と結果はイコールではないというのはよくあることで、前半のペースを握るまでの展開は実に論理的でチームの力を感じさせるものだったが、結果は敗戦。なんとも言い難い試合だった。
3失点目は前がかりになった結果なので別として、2つの失点はディティールの問題。この試合は中10日だったとしてもここまでの疲労の蓄積とか、ここ最近勝ち点を落とす試合が増えていることなどが影響しているのだろう。
もちろん得点の部分でも同じことが言える。何度もFKやCKはあったが困った時のセットプレーも炸裂しなかった。
以前にも書いたが、今季はクラブ史上初めて最初から本気でリーグ優勝を具体的な目標として戦ってきたシーズンで、それが現実的には不可能になったシーズンでもある。
目標を実現するために足りなかったこと、そして現実的に難しくなった時にチームとしてどう振る舞うかという部分は、今後のクラブにとって大きな財産となる。
チームはもちろん天皇杯に向けて残り7試合を全力で戦うことを目指しているだろうが、それ以上にクラブは今シーズンから多くのことを得てほしいと思う。
負けた試合のレビューほど興味深いと思って読んでます。
返信削除「きちんと守備組織は作れていただけにこれも勿体無い失点。こういうのはもちろん起きる可能性もあるが、戦術とかとは関係ないところなので本当に勿体無い。」と書かれていますが、やはり疲労だったり「絶対守りきる」という気持ちの部分が原因に失点なんでしょうか?
正直、前半戦と比べてゾーナルディフェンスが破綻してるように見えないのでなぜ失点が増えているのかが不思議です。
今シーズン得たものを繋げてブレずに継続性のあるクラブになるため、モリシには死ぬまで社長を続けてもらわないといけません。(笑)
返信削除今のクラブの売上、人件費では、リーグ戦で優勝するのは難しい規模だと思いますが、尹晶煥、ロティーナとこの4年上位に食い込んできてるんで、切に願います。
もうジェットコースターには乗りたくないです(笑)