2020年11月3日 14時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
先週末の試合が無かったセレッソ大阪。中9日あけてのリーグ戦となる明治安田生命J1リーグ 第26節は本拠地ヤンマースタジアム長居でのガンバ大阪戦、今季2度目、通算40回目の大阪ダービーとなる。
■前回の対戦
前回の対戦は7/4の第2節。新型コロナウィルスの感染拡大によるJリーグ中断が開けての再開初戦。パナソニックスタジアム吹田で無観客試合として行われた一戦は1-2でアウェイのセレッソ大阪が勝利している。
前回対戦時のスターティングメンバー |
前回対戦時のスターティングメンバーは上記。ガンバは3-1-4-2、セレッソは4-4-2。
ガンバに今季加入した昌子は負傷離脱から戻らずベンチ外となり3バックは菅沼、三浦、キム・ヨングォン。遠藤がアンカーでIHは倉田と矢島。2トップはアデミウソンと宇佐美。
高尾、井手口、山本はベンチスタート。福田はベンチ外となっている。
一方のセレッソは、FWの都倉以外は今も定番となっている選手たち。
瀬古、片山、ブルーノ・メンデス、豊川、柿谷がベンチスタートとなっていた。
宮本監督には「先に失点しない我慢強い戦いをして、前半はある程度0-0で推移しながら…」というゲームプランがあったようで、守備ではプレッシングではなく5-3-2でセットする形を選択。それに対してセレッソはCBからビルドアップを行うので、そこでひっかけて素早く縦につけてフィニッシュまで持っていくというのが狙いだったのだろう。
しかしそのガンバの戦い方はセレッソが狙う凪状態を作りやすくする。
この坦々と進む凪状態の試合について、当時は「無観客試合だから」といったニュアンスの報道が多く見られたが、今となればその試合展開こそがセレッソが狙うものだったことがわかるだろう。
そしてセレッソは静かな展開から動かす手段も持っていた。
右は坂元、左は丸橋が幅を取り、2トップの脇でビルドアップの出口になるのが松田。
ガンバはここに中盤の3枚がスライドして対応するので左サイドから中に入った清武はフリーになる。
前半終了間際45+2分の先制点はまさにそんな形で、自陣からパスを繋ぎ述べ19人目で中央の清武が受けると3バックから菅沼が出てくる。そのタイミングで丸橋がオーバーラップ。右WBの小野瀬の背後を取るとマイナスの折返しに奥埜が合わせてゴール。完全に崩しきった得点だった。
「アグレッシブさを取り戻す」と意気込んだ後半のガンバは54分に遠藤と矢島に変え井手口とパトリックを投入するが、追加点もやはりセレッソ。
右サイドのスローインから坂元に変わって入った片山の折返しは清武がコントロールミスをするも、戻したボールを丸橋がズドン。62分にセレッソが0-2とリードを広げる。
直後の66分に小野瀬のシュートの対応で木本がハンドを取られ68分にアデミウソンのPKで1店を返されるも淡々と試合をクローズさせたセレッソが逃げ切り1-2で勝利。2019年9/28の第27節での3-1に引き続き、大阪ダービー2連勝を飾った。
■現在のガンバ大阪
直近10試合を9勝1分の無敗で勝ち点を荒稼ぎしているガンバ大阪。
大きな分岐点となったのは無敗記録が始まった第17節の札幌戦だろう。
前回対戦時も含めてここまでは3-1-4-2で戦っていたが、この試合から4-4-2に変えている。
この札幌戦の直前の湘南戦まで8試合のガンバは2勝1分5敗と勝てていない時期を過ごしていた。
4バックになってからのガンバは右SBに高尾が入るようになる。そして札幌戦で三浦が負傷交代し、その後は昌子とキム・ヨングォンのCB。左SBには最初は藤春が起用されていたが、その藤春も離脱し現在は福田が起用されている。
CHは井手口と遠藤からポジションを奪った形となる関西学院大学卒のルーキー山本。SHが小野瀬と倉田。2トップは宇佐美、渡邉、パトリック、アデミウソンの4人をローテーションするといった形だ。
戦い方としては「できるだけ敵陣でプレーしようとする」というベースの部分は変わっていない。このあたりは宮本監督の根本的な考え方なのだろう。
なのでボール非保持では前線からのプレッシングをかけようとするし、ボール保持では素早く敵陣にボールを運ぼうとする。
そのため、SBをあげてSHを中に入れるという立ち位置の調整はするものの、ビルドアップの形はそこまで作られたものはなく、どちらかといえば選手に任せる部分が大きい。
ただ「どんな試合でもそんな自分達のやり方を貫く」というわけでは無いというのが現在の好調の要因。
前回対戦時も「先に失点しない我慢強い戦いをして、前半はある程度0-0で推移しながら…」と考えていたように、ベースはありながらもリスク対策については考慮されていたが、現在はそれがより徹底されている感じ。セレッソも堅いチームだと言われるが、従来の「堅い」というイメージにより近いのは今のガンバだろう。
スタッツ的には、ボール保持率が48.1%でパス数は11位。得点数もセレッソと全く同じ37点である。
こうしたリスク管理の徹底で勝ち点を稼ぐ事ができる様になったのも、クオリティの高い選手が揃っているからに他ならない。
東口、三浦、昌子、キム・ヨングォン、井手口、倉田、小野瀬、宇佐美、パトリック、渡邉、アデミウソンはいずれもJリーグ屈指のタレント。そこに加わるのが活きの良い高尾、福田、山本の若手たちである。
具体的なプレーで見ると、アタッキングサードでの選択は中央より。
相手が2トップの場合は主に山本が最終ラインに落ち、SBを上げ(主に左SBの福田が出てくる)SHは倉田、小野瀬の2人共が中央へ、さらにそこに宇佐美などFWも降りてくるので中央に人が集まりやすい傾向にある。
なので「サイドからクロス」というよりもボールサイドに人数をかけや中央で流動的なコンビネーションを見せるという形が多い。狭いエリアでプレーできる選手が揃っているからこその形だろう。
ただ、これだけでは当然困ることもある。
そんな時に効いてくるのがパトリック。この出来ることと出来ないことがはっきりとしているストライカーはガンバの多くの選手とは全く違う特徴を持っており、困った時にはパトリックで勝負が出来るというのが大きな強みになっている。
ちなみにパトリックは今季5得点。数字だけみるとあまり多くないように感じるかもしれないが、この5得点全てが決勝ゴールである。
ただ直近好調の10試合の中でも、この戦い方がうまく噛み合わない時間帯もある。
よく問題が見られるのがビルドアップの部分。
先にも書いたが、ビルドアップは個人によるところが大きいのでなんとなくボールを届けるものの「後ろから時間とスペースを送る」という最大の目的が達成されていないことも多い。
その分中盤に負担がかかることも多く、前節札幌戦ではなんと最終ラインに下がらないことが多いCHである井手口の前半終了時点での前方パス成功率がわずか38%という衝撃の低さになっていた。
あともう1つ、現在のガンバ大阪について外せないのがアデミウソンの件だろう。
酒気帯び運転での事故で現在は謹慎処分を受けている状態。前例を考えると契約解除となる可能性も高いが、どちらにしても今回のダービーには出場出来ないだろう。
そして前節は菅沼が起用されたように昌子も負傷離脱。
中心選手が2人欠けるというのは大きな痛手である。
■プレビュー
セレッソ大阪の予想スタメンだが、中9日での試合なのでベースとなるのはいつものメンバーに変わりはないだろう。豊川も引き続き先発するのではないかと思われる。
そんな中で10/31に行われたファン感で松田が負傷は癒えたと発言。本当に起用できる状態であれば、松田の復帰となる可能性が高い。そしてそうなれば左SBは片山が戻る可能性が高そうだ。
一方のガンバ大阪の予想スタメンだが、こちらは10/31に試合があったので中2日での試合となる。しかし前節はこの試合を見越し宇佐美、小野瀬、倉田という攻撃のキーマンを60分で交代させている。そう考えるとこちらも大きな変更はない可能性が高い。
とはいえ中2日。パトリックや前節ベンチに復帰した藤春は先発となる可能性もあるが、パトリックは後半勝負どころでの投入という形も考えられる。
試合のポイントとしては、ガンバがどういう形で試合に入るか。
前回はプレッシングに来なかったが、果たしてそれは良かったのかどうか。
ただ個人的には最初からプレッシングには来ずに一旦はセットする迎撃型を選択するのではないかと思っている。
となるとセレッソのビルドアップがポイント。豊川で背後を見せながら少なくとも前半はセレッソがボールを持つ展開に持ち込みたい。
ガンバの4-4-2は中を締めてくるだろうから、前回同様に坂元と片山で幅を作り、松田からズレを作ってCHを動かしMFとDFの間にボールを届けたい。相手SBの背後はもちろんだが、松田からMFとDFラインの間に斜めに入れるパスは有効となり得るだろう。
そしてもう1つ、ガンバはサイドにボールを保持された時のFWのポジショニングが曖昧になることがある。一応ここはCHの機動力でカバーしているが、サイドチェンジのルートを消しきれていない場面も多い。
なので左右にボールを動かしながら坂元の必殺技もチャンスに繋がるのではないだろうか。
ここ最近のセレッソは勝ったり負けたりといった結果が続いているが、やりたいことが出来ていない試合はほとんど無い。
コンディション面はもちろんだが、チームの総合力としても上回っているのはセレッソ。
大阪ダービー3連勝という結果でそれをはっきりと示したい。
いまさらかもしれませんが、
返信削除大阪ダービーでこんなにいい試合ができるようになったんだなぁ、
という感慨を改めて覚えたゲームでした。
アレを決めてれば勝てた、といえるのはある意味幸せなことですよね…