2020年11月27日金曜日

11/25 明治安田生命J1リーグ第29節 VS. 大分トリニータ @ 昭和電工ドーム大分


スタジアム昭和電工ドーム大分主審村上 伸次
入場者数3,861人副審大塚 晴弘、渡辺 康太
天候 / 気温 / 湿度晴 / 14.7℃ / 66%第4の審判員池田 一洋

大分トリニータ大分

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • 片野坂 知宏
 
  • 監督
  • ロティーナ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き(入場可能数の「50%以下」又は
入場可能数が「20
000 人以上のスタジアムは30%程度からの段階的な緩和」)での試合開催

※入場可能数や適用時期は主管クラブが決定

<監督コメント>


<選手コメント>


今月唯一の平日開催となる明治安田生命J1リーグ第29節。セレッソ大阪は敵地昭和電工ドーム大分で大分トリニータと対戦し0-1で勝利。
5試合ぶりの勝利を挙げた。

■メンバー

リーグ戦ではロティーナと片野坂監督の8度目の対戦となるこの試合。過去片野坂監督は1度も勝ったことがなく1点も取ったことがない。
これまでのいずれの対戦でも片野坂監督は常にロティーナ監督をリスペクトする発言をしてきているが、おそらく片野坂監督にとってはロティーナ監督との対戦は少し特別なものなのだろう。
そしてきっとそれはロティーナ監督にとっても同様。もちろんチームにとってはリーグ戦の中の1つの試合に過ぎないが、他の監督との対戦とは少し違う感覚があるんじゃないかと思う。DAZNの試合前アライバルインタビューでロティーナが「大分は最も対戦してきたチーム。」「同じ監督でありしっかりとしたコンセプトを持っているチームなので分析するのはそんなに難しいことではない」といった主旨のコメントを聞いてそんなことを感じさせた。

大分トリニータのスターティングメンバーは前節から3人入れ替え。伊佐、田中、小出が外れ、知念、松本、刀根が起用された。
刀根と三竿が同時起用されているということで、三竿が1つ前の左WBに入っている。
田中、伊佐、高澤らはベンチスタートとなる。

一方のセレッソ大阪のスターティングメンバーはこちらも前節から3人入れ替え。都倉、豊川、瀬古が外れ、ブルーノ・メンデス、奥埜、丸橋が起用された。
2試合ぶりの先発復帰となる奥埜だがこの試合ではCHで起用」 。また片山は右SHに入り普段右SHに入っている坂元は前線に。
メンバー発表の時点から普段とは少し違う様子が窺い知れた。

ロティーナ監督はおそらく大分の布陣を読み切っていたと思う。
ここのところの大分は片方のWBにSBタスクもできる選手を使っている。前節の川崎F戦では右WBに小出。ちなみに川崎F戦の1つ前の横浜FC戦でも右WBに小出。その前の浦和戦では左WBに三竿。
こうしてみるとサイドを固定しているのではなく試合によって入れわかっていることがわかるが、マッチアップする相手をみるとなんとなくその意図が見えてくる。
川崎Fは左WGに長谷川、横浜FCは左WGに斉藤光毅、浦和は右SHにマルティノス。
セレッソは左SHに清武、右SHに坂元がベース。なので今節の左WBに三竿はロティーナ監督は十分予想できたと思われる。
それを踏まえて今回のメンバー、戦い方を選択したのだろう。

■4-4-2か3-4-2-1か

セレッソの布陣は4-4-2なのか3-4-2-1なのか。中継では実況・解説陣がかなり混乱していた。
答えとしては「どっちも」なのだろう。ただ例えばボール保持4-4-2、非保持3-4-2-1というシンプルな変化ではなかったので余計に混乱したんだと思う。

片方のWBにSBタスクをできる選手を起用する大分は、左右のWBの高さを変え4バック的な形でビルドアップを始める。
これに対してセレッソはいつも通り4-4-2で対抗。マッチアップがあっているので立ち上がりは前線からプレッシングに行く場面が見られた。
大分は立ち上がりからセレッソがこれだけプレッシングに来ることを予想していなかったのか、セレッソは何度かボールを奪い返す場面もあったが、大分にとってはこんなことは慣れっこ。想定内だろう。

大分がこの4バック的な形で狙っているのは相手のSHを食いつかせること。
GKが積極的にボール回しに参加することでプレッシングを外すと相手のSHが3バックのサイドに食いついてきたタイミングでスイッチを入れWB、ボールサイドのシャドゥを使ってSB、CBを動かしながらサイドの深い位置を狙う。これに対応しようと相手の守備ブロックがサイドにスライドすれば低い位置に降りていた逆サイドのWBが上がって大外ミスマッチを作る。
擬似カウンターとも言われる大分の十八番の形である。

セレッソはここに罠を仕掛けた。

清武が岩田に食いついた(様に見える)タイミングで右SHだった片山は松田の外側、右WBのポジションに移動。そしてDFラインはボールサイドにスライドし5バックに。なので丸橋は松本に躊躇なくアプローチに行くことができるし、丸橋の背後は木本がカバーできる。
大分が道が開けるスイッチだと認識している形を作った上で、その先を全て塞いでしまったのである。

その結果、大分は立ち上がりから思うようにボールを運べず、かなりの時間シュートを打つところまで持っていくことができなかった。

■セレッソのボール保持


セレッソのボール保持については普段は大外に入ることが多い坂元が内側に立っている以外は普段と大きな変化はない。
松田、藤田の立ち位置でビルドアップを調整して、相手が5-4-1の形になれば松田は前に出ていく。内側にいる坂元は得意の大外に出ていけば片山は斜めに内側に。普段からコンビを組んでいる松田と坂元に、技術レベルはそれほど高くないかもしれないが、身体の強さと選択を間違えない賢さをもつ片山が絡む。ポジションが動くので自由に流動的に動いているように見えるかもしれないが、選択する基準が明確にあるので動きが重なることはほとんどない。

先制点を奪ったのはセレッソ。10分に清武のシュートが三竿の足に当たりコースが変わり、ゴールネットに吸い込まれた。
流れとしては坂元のFKが跳ね返されてからのやり直してという形だったが、その前は大分の攻撃を跳ね返したところから坂元がドリブルで運んでファールを受けている。

得点となった最大のポイントはブルーノ・メンデスがサイドに流れて起点を作ったことだろう。
セットプレーからの流れということもありマッチアップしていた3バックの中央に入る鈴木がそのままついてきた。というか引っ張り出した。
ブルーノ・メンデスが奥埜に繋ぐと奥埜に刀根が寄せてくるのだが、刀根は3バックの左。ということで中はCB誰もいない状態で2対2。大分はCHの長谷川と左WBの三竿、セレッソは坂元と片山。この状況で奥埜の折り返しを坂元が受け、後ろから飛び込んでくる清武に優しく落としたところでズドン。
大分は完全に後手後手に回っていたので、清武にボールが渡った瞬間にボールウォッチャーになっていた町田が慌てて動き出していたのが印象的だった。

■両監督の立ち位置をめぐる攻防

構造的にも有利に立ち、さらにリードを奪ったことでここからは完全にセレッソペース。
得点を決めた後、通訳の小寺さんが木本に「マルが食いついた後8番が狙っているから」ということを伝えていた。
先にも書いた縦に運んでサイドの奥を取ろうとする形のことである。

道の先を塞がれていた大分は飲水タイムのタイミングでビルドアップの形を変える。
町田が中盤に落ちて3-5-2の形に。これで中盤ではボールを持つことができるようになる。
ただし、そうなるとセレッソは下がってブロックを作るのでサイドでボールを運べる様にはなるが、シャドゥの1人を落とした分前線は孤立。中央にボールを入れられないままサイドでボールを運ぶので、待ち受けているところにクロスを入れたところでヨニッチ、木本に跳ね返される。

後半開始から大分は刀根に代えて田中を投入。田中は左WBに入り三竿が3バックの左に下がる。

そしてビルドアップの形も変更。CHの1人が最終ラインに落ちるいわゆる4-1-5のミシャ型に。
左WBの田中が最初から高い位置に出るので片山は最終ラインに入り、セレッソはスタート5-2-3から5-4-1で守る形になる。
野村が降りてきてビルドアップの出口になることで、大分はボールを運ぶことができるようになっていた。

ただ、リードしているセレッソとしてはこの展開はそこまで大きな問題ではない。
そもそもセレッソはボール非保持も苦にしないし、CBが動かされているわけでもなく、DFラインは全て前向きに仕事ができている。
シーズン半分近くまで(正確には第16節まで)セレッソはクロスからの失点がなかったチームである。待ち構えているところに大外からクロスを入れられたところで対応できる。これでもし0-0や1-0のビハインドであれば、勝つためにどこかで無理をしなければいけないのだろうが、リードしているのでそんな必要もない。

4-1-5対5-4-1の展開になっていることで大分は64分、町田と島川に代えて高澤と小林を投入。
高澤は昨季プレーしていた群馬で空中戦を武器にゴールを量産していた選手である。クロスは入れることができているのでということなのだろう。
セレッソ戦ではこういった展開になって相手が空中戦に強い選手を投入してくるという交代を良く見るが、こういうのでやられた記憶はほぼない。(チームとしてのやり方が変わったわけではないが、ここからセレッソの布陣は3バックにした。)

この展開を受けてセレッソは73分に坂元に代えて瀬古を投入。瀬古は3バックの左に入る。この交代でセレッソははっきりと3バックに。そして3-5-2に形を変えた。
5-4-1ではなく5-3-2である。

この交代から少し後の77分にサイドチェンジから後ろに戻しペナ角辺りからのクロスに高澤が合わせるというこの試合ほとんど唯一の決定機を作られるがキム・ジンヒョンがスーパーセーブ。

その後78分に大分が知念と松本に代えて伊佐と高畑を投入。右利きの田中が右WBにまわり、左利きの高畑が左WBに入る。
セレッソも81分に清武に代えて豊川、87分にブルーノ・メンデスに代えて柿谷を投入する。

終盤のポイントとなったのは、セレッソが5-4-1から5-3-2に変えたことだろう。これにより
大分は簡単にボールが運べなくなり、クロスまでも思うように持ち込めなくなった。
ここはホントに守備のファーストラインが1枚なのか2枚なのかで何が変わるかということが非常によくわかる展開だったと言えるだろう。
大分も田中と高畑の左右を入れ替えるも問題はそこではないので効果なし。

81分に豊川が追加点に迫る決定機を迎えるがヘディングシュートを枠に飛ばせず。しかしこの段階ではセレッソが完全に試合をコントロールしているので、そのまま試合をクローズさせ0-1で試合終了。
セレッソ大阪は大分トリニータに勝利し、5試合ぶりの勝ち点3を獲得。片野坂監督はまたもやロティーナ監督から勝利はもちろん得点を奪うこともできなかった。

■その他

久々の勝利。ロティーナらしい素晴らしいゲームで素晴らしい勝利だった。
ロティーナはよく「相手の良さを消すこと」と「自分たちの強みを発揮すること」は別のことではないと語っているが、まさにその通りであると感じさせた見応えのある試合だった。
試合中にTwitterでは「ロティーナの新しいやり方」といったニュアンスのものも見たが、形としてはそうかもしれないが仕組みとしてはそうではない。なので新しいやり方というよりも対大分のやり方なのだろう。
ただ誤解してほしくないのはそれは対大分のスペシャルプランという意味ではないということ。これまでも何度か書いてきたつもりだが、このチームは形でサッカーをしているわけではなく、タスクや役割が形になって見えるチームだからである。

そして印象的だった試合後の清武のインタビュー。
「監督が変わる」ということを公言した。どう見てもうっかり漏らしてしまった訳ではなさそうである。
前回の最後にもまた後日と書いたように、この騒動については改めて書くことを考えているのでここではこれ以上踏み込まないが、今回の勝利、そして公言したことをきっかけにして今季終了まで再び前を向いて進んで欲しいと思う。

このチームはすごくいいチームだし強いチーム。ここまでやってきたこと、方向性は間違えていないと思っているので、是非それを証明して欲しいと思う。




1 件のコメント :

  1. 後半はとても押し込まれていて(そういうゲームコントロールではあるが)、解説もこのままではまずいですよーみたいなことを言ってました。見慣れたこうけいではあるものの確かにエラーが起これば失点すると思える状況でした。瀬古が鹿島戦か何か起こした2つのエラーはいい例です。或いは敵に強烈が個がいるときも突破やクロスからのエラーがよく起こります。
    ゲームを閉められていた前半戦と、エラーが起こりやすくなっている後半戦に状況的に違いは、両チームがお互いに戦術を理解している点と休養が十分な点が大きいと思うんですが、相手の方がこの2点においてアドアドバンテージが大きかったから後半戦は勝ち点を落とし続けたと考えていいでしょうか。
    ブログにいつも励まされていますが、少し自信をなくしています。。

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