2020年11月24日火曜日

明治安田生命J1リーグ 第29節 vs. 大分トリニータ プレビュー

 2020年11月25日 19時00分:昭和電工ドーム大分

予想スタメン

久々のミッドウィーク、中3日での試合となる明治安田生命J1リーグ 第29節。セレッソ大阪は敵地昭和電工ドーム大分で大分トリニータと対戦する。


■前回の対戦

前回の対戦は2/22に行われた今季開幕戦。本拠地ヤンマースタジアム長居での一戦は1-0でセレッソ大阪が勝利している。

前回対戦時のスターティングメンバー

この試合でのスターティングメンバーは上記。セレッソ大阪は藤田が離脱しており、CHは木本とデサバト。2トップはブルーノ・メンデスと奥埜。キム・ジンヒョンが体調不良から復帰してきた。

大分トリニータは1トップに川崎Fから期限付き移籍で加入した知念を起用。田中はシャドゥで起用されている。


この試合は今季開幕戦でもあったが、昨季の最終節にも対戦していたので実は公式戦としては2試合続けての対戦となった試合。

大分の片野坂監督はヴェルディ時代からリーグ戦ではロティーナ監督のチームに勝利はおろか1点も奪ったことがなく、さらに昨季の最終節の対戦では「セレッソは個の能力、強度。判断、そして組織としての規律、バランスなど。全てがJ1トップレベルであり、今季の最後の試合で我々が目指すチームのスタイルを学ばせてもらいました。試合は0-2でしたがスコア以上に完敗でした。」との片野坂監督の試合後のコメントが象徴するような内容だった。


それを踏まえてのこの試合。片野坂監督は念入りにセレッソをスカウティングし、十分に準備をしたことが伺える試合となった。


まず見せたのがプレッシング。3-4-2-1の大分は元々5-4-1もしくは5-2-3の形で守備をすることが多かったが、この試合では左WBの香川が1つまえに出て、右シャドゥの田中が右に落ちる4-4-2のような形を取り、町田と知念でCBに対してアプローチ。セレッソの両SBはサイドに落ちた田中と前にでた香川で捕まえるという形を取ってきた。

これでセレッソからボール保持での自由を奪うと狙ったのはサイドの奥。

このスペースに長いボールを入れ田中や知念を走らせセレッソを押し込んで来る。


セレッソを押し込むことができると、次はサイドチェンジを多用。大外に展開させSBをスライドさせると広がったSBとCBの間にシャドゥを走らせ、中央からヨニッチと瀬古を動かす。そこに知念で勝負しようというのが狙いだったのだろう。

途中からセレッソは坂元を松田の外に落しサイドチェンジに5バック気味で対応するようしたことでなんとか守りきれそうな形をとることはできたが、前半は完全に大分ペースで試合が進んでいた。


しかしセレッソは完全に大分がペースを握る前、試合立ち上がりの8分にCKからブルーノ・メンデスが頭で合わせて先制。この先制点が結果的には大きかった。

リードしているので無理をする必要が無かったのである。


後半に入るとセレッソは坂元を右サイドの高い位置にはらせる形に変える。

これで大分のプレッシングのキーマンでもあった、前にでてプレッシャーをかけようとする左WBの香川をピン留めに成功。これでセレッソは松田のところで時間を作れるようになり、ボールを持つ時間を作れるようになる。つまり大分の構造的な優位性を消すことに成功したのである。


その結果最後は大分が力押ししかなくなり、セレッソはそれをすべて跳ね返すことに成功。

1-0でセレッソが勝利したという試合だった。


■現在の大分トリニータ

30得点37失点。10勝6分11敗で勝ち点36で11位。

J1に復帰した昨季は疑似カウンターを武器に9位と躍進を見せたが、今季は昨季よりも成績を落している。

この成績となっているのは第4節から第15節までの12試合でわずか1勝、5連敗を含む7敗を喫したことが大きい。

開幕戦では変則4-4-2でプレッシングを見せた大分だったがベースは5-4-1でリトリートし、敵陣にスペースを作っての疑似カウンター。J1復帰後2年目となった今季はこのベースであるリトリートで守りきれなくなっていたのだ。

それを象徴するように、攻撃陣にタレントを擁する上位チームには全く勝てなかった。

その結果、GKとしては異例のパス数を記録していた高木はスタメンから外れ、メンバーも変わること多数。そして期待の知念もなかなかフィットしなかった。


しかしここに来て調子は上向きに。

前倒しで行われた第24節でFC東京に勝利すると、第19節では鹿島に勝利。そして前節は勝てば優勝という川崎Fにも勝利した。

前節は34分に谷口が退場し数的有利になったとはいえ、そこまでの時間帯でも試合を支配していたのは大分。後半はなんとか自力で優勝を決めようとする川崎Fに押し込まれる時間もあったが、まさにプラン通りの勝利だったと思う。


調子が上向き始めた要因の1つは、開幕戦でみせた変則4-4-2をどこのチーム相手でも高いレベルで機能させることができるようになったからだろう。

またこの変則4-4-2は、開幕戦では右シャドゥの田中が右SHに落ちる形だったが、第25節の浦和戦では高澤を左シャドゥで起用し左SHに落とす形も披露。前節の川崎F戦では田中を左WBで起用し右WBには3バックの右に入ることもある小出を起用。様々なバリエーションを持ち、相手によって使い分けることができるようになっているのである。

開幕戦でもそうだったが、待って守るだけでなく前から制限をかけることができるようになったことで、守備がかなり楽になっているのだろう。


その結果特徴であるビルドアップも機能。GKには高木も戻ってきている。

このチームは縦のポジションチェンジと1つ飛ばしたパスを使うのが非常に上手い。


そういった部分でキーマンとなっているのが、シャドゥでもWBの左右どちらでもできる田中。

アップダウンができ、突破力もある田中の存在はかなり大きい。

川崎F戦では、左WBに田中、左シャドゥに野村を起用し、田中を前に出して野村が落ちるという動きに川崎Fの守備陣はかなり手を焼いていた。


最後にもう1点。

大分は通常であれば10/24に行われる第24節がACLに出場するFC東京戦だったので前倒し。そして11/14に行われる予定だった第27節が対戦相手柏の新型コロナウィルス感染により延期。ということで、前節11/21の川崎F戦の前は11/3なのでなんと中17日。そして10/18の第23節と10/31の第25節の間も中12日と、ここのところ他のチームと比べてかなり試合数が少なかった。

今季は練習試合を行うことも難しい状況なのでこれだけ空くと別の問題も出てきそうだが、連戦によるコンディション面では少し楽な状況にはあった。


■プレビュー

セレッソ大阪の予想スタメンだが、前節の前半を考えると何人かのメンバーの入れ替えはあるだろう。可能性が高いのは奥埜の先発復帰。そしてFWは豊川なのかブルーノ・メンデスなのかというところか。

また前節ベンチ外だったデサバトの状態は気になるところ。問題なければ先発に戻ってくるだろうが、無理なら再び木本と藤田という組み合わせになるか。


一方の大分トリニータの予想スタメンだが、前節は期限付き移籍元との対戦ということで契約上出場できなかった知念は先発に復帰する可能性もありそう。

まだまだフィットしているとはいえないので機能性としては前節も先発した伊佐の方が高いが、知念には一発の力がある。

そしてポイントの田中達也のポジションは前節同様左WBが濃厚か。

野村とのコンビネーションが良かったので同じ組み合わせで起用する可能性は高い。


試合のポイントとしてはやはりビルドアップ。

前節の前半に機能しなかった形をどれだけ取り戻せるかだろう。

なんと言ってもビルドアップはセレッソの生命線である。3-4-2-1とはいえ変則4-4-2なので簡単にCHの脇を使うことは難しい。大外の幅と内側のセットで考える必要があるだろう。


後はもう選手たちが平常心で、自分たちのこれまでやってきたことに自信をもって取り組むことができるかどうかだろう。

これだけ雑音が多いと、試合に集中するのはかなり難しい状況だとは思う。

しかしこのチームは間違いなくクオリティが高い。

雑音にめげす、なんとか普段のプレーを取り戻してくれることを願うばかりである。



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