スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 木村 博之 |
入場者数 | 19,553人 | 副審 | 渡辺 康太、中野 卓 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴のち曇 / 17.5℃ / 45% | 第4の審判員 | 谷本 涼 |
メンバー
C大阪
G大阪
- 監督
- ロティーナ
- 監督
- 宮本 恒靖
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き(入場可能数の「50%以下」又は
入場可能数が「20
000 人以上のスタジアムは30%程度からの段階的な緩和」)での試合開催
明治安田生命J1リーグ第26節、ヤンマースタジアム長居で行われた40回目となるセレッソ大阪対ガンバ大阪の大阪ダービーは1-1の引き分けに終わった。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは前節から2人入れ替え。前節失点に絡んでしまった瀬古に代わって木本がCBに下がり藤田が3試合ぶりの先発。そして負傷で離脱していた松田が4試合ぶりに復帰。松田離脱の間に右SBに入っていた片山がベンチスタートとなった。
またベンチではここ3試合ベンチ外が続いていた柿谷も4試合ぶりにベンチ入り。西川、高木、ブルーノ・メンデスもベンチに入る。
一方のガンバ大阪の先発メンバーは、前節から1人のみ入れ替え。渡邉千真が外れパトリックが2試合ぶりの先発となる。
またベンチには9/19の第17節以来負傷で外れていた三浦弦太が復帰。前節の藤春と並び少しずつ負傷者も復帰している様子。
■優勢に試合を進めていたセレッソ
この試合最初のシュートこそガンバ倉田のシュートだったが、立ち上がりから優勢に試合を進めていたのはセレッソだった。
この倉田のシュートの後のゴールキックではデサバトが右サイドの松田の後ろに落ちる形を見せるがこれをやったのはこの1回のみ。
ガンバの出方を探っていたのだろう。
2トップ脇からボールを運んでいこうとするのだが、よく見られたのがCHがCBの間ではなく左に落ちる形。その場合松田が内側に絞ってCH的な場所にいることが多い。
ただしヨニッチが持ち上がる場合は松田が外に開いて坂元は中に入る。
その時に特徴的だったのが、ガンバはSHも低い位置にまで戻していたこと。
これは坂元対策ということなのだろうが、坂元にボールが入った時に必ず左SHの倉田が戻ってきて2対1、さらには山本もその背後をカバーする様なポジショニングをとっていたので3対1のような状況を作る。
こうしてガンバは坂元に対しては徹底的に縦を消す様な形で対応してきたのだが、そうなると坂元の選択肢は内側へ。
そのため試合の序盤は坂元が中へと入っていく場面が多かった。
そして内側に入った坂元からは序盤は何本かスルーパスを狙う様な場面もあったが、徐々に逆サイドへサイドチェンジするという場面も増えていく。
ガンバは倉田を戻すだけでなく、山本までもがボールサイドに寄っているので、その分逆サイドが大きくことになっていたからである。
そしてその広いエリアをカバーするのは右SHの小野瀬と右CHの井手口。ということでガンバは両SHにかなり守備の負担が大きいやり方をとっていた。
そしてもう1つ。セレッソが優勢に試合を進めることができていた要因の1つが、ボールを奪った後の展開。
ガンバのボール保持からセレッソが中盤でボールを奪った後にも、セレッソは比較的スムーズにボールを運ぶことができていた。
例えば坂元のところでボールを奪った場合では、奥野が下がってきたり、SBの背後に出ていこうとする動きを見せることで山本を動かす。井手口はボール保持で前に行こうとしているので、この山本を動かしてしまえば豊川へのパスコースが空く。さらにそこに清武も中に入ってくるのでCBは安易に食いつきにいけない。という形が頻繁に見られた。
セレッソは自分たちが何をすべきかということができていた前半だったと思う。
■ガンバのプラン
ガンバはSHにかなり負担がかかる守り方をしていたのだが、そうした1つにセレッソはブロックを作る形を優先するのである程度ボールを持つことができるという計算もあったんじゃないかと思う。
実際に前半のボール保持率でもセレッソ52%に対してガンバが48%だった様に、縦に速く攻めることはなかなかさせてもらえないが、後ろでボールを持ってという時間は作ることができていた。
しかしプレビューでも書いたが、ガンバのビルドアップはセレッソの様にどういう原則の中で何をすべきかということがチームの中で組み立てられているというよりも、かなり個人に依存している(様に見える)。
具体的にいえば、前線に時間とスペースを運ぶことができるかどうかは、山本や井手口からいいタイミングでサイドやトップにパスを出せるかどうか。良い形で攻撃できるかどうかはほぼこれ次第になっていた。
しかし当然ながら遅攻になり時間がかかるとセレッソの守備はスペースを消してくるので、タイミングも出しどころもなくなる。
時間の経過とともに宇佐美が下がってくる場面が増えていたのはこういったところからだろう。
攻撃から守備への切り替えは徹底されているので、高い位置でボールを奪い返し攻め込むという時間が無かったわけではないが、なかなか思い通りには試合を進めることはできていなかったと言えるのではないだろうか。
しかしそんな状況の中でも先制点を奪ったのはガンバ。
小野瀬からのクロスをパトリックが身体の強さを活かして収めると折り返し、入ってきた倉田への折り返しは松田が足に当てるがそのボールがこぼれたのはさらに後ろから飛び込んできた井手口の前。井手口が蹴り込んで32分にガンバが先制する。
セレッソはマイナスのボールに対しても対応できる様なポジショニングを徹底することが出来ているチームで、この場面でもデサバトが戻ってきているのだが、松田の足に当たったことで対応しきれなかった。
この場面や、41分の宇佐美のシュートの場面の様にガンバには可能性の低いところからでもチャンスを作ってしまうという個の強さがある。
チャンスの入り口あたりまではたどり着いていたにもかかわらず先制を許したセレッソだったが、直後の34分に同点に追いつく。
得点につながったのは困ったときのセットプレー。
清武が倒されて得たFKから、丸橋のボールを木本が合わせるとクロスバーに直撃。そのこぼれ球を豊川が詰めゴール。1-1の同点となる。
ここからはセレッソが何度もガンバゴールに迫るが決められず。
39分の清武のクロスに豊川が狙うもシュートはヒットせず。40分に豊川のクロスに藤田が合わせた形は完全に崩していただけに決めたい決定機だったがシュートは左に外れた。
■ネットを揺らせず
両チーム交代なしで迎えた後半。
立ち上がりから圧力をかけてきたのはガンバだった。ガンバは結構こういう戦い方をする。
この時間帯で押し込まれた要因、セレッソにあった問題はボールゲインの部分。 ボールを奪い返した後に簡単に失ってしまう場面が続いていたからだった。
なので実際には決定的なピンチという場面はそれほどなかったのだが、52分にパトリックが落としたボールを小野瀬がシュートを放つという場面では丸橋がブロックに入っていたのでシュートは枠外になったものの、清武が少しサボっていたので小野瀬の周りには大きなスペースがあった。
膝は長期離脱もあり得るだけに、ようやく三浦が復帰したタイミングでキム・ヨングォンの負傷離脱はガンバにとってはかなり痛い。
この辺りからは完全にセレッソは前半同様のペースに。
65分にエアポケットの様に丸橋とデサバトの間にパスを通され小野瀬にクロスを入れられるという場面があったがヨニッチがクリア。
この場面のヨニッチのポジションを捨ててマイナスのコースを消しにいくプレーは見事だった。
そしてその直後のセレッソのボール保持。66分に一旦中盤に降りた柿谷がスルスルっと前に出ていくのだが、丸橋は是非ここに出したかった。
さらに70分には清武と柿谷のコンビネーションでガンバの守備を切り裂きかけるも柿谷から清武に出たところでオフサイド。ペースは握りながらも得点にまではなかなか結びつかない。
セレッソは最後までガンバゴールに迫り、奥埜が三浦にペナルティエリアすぐ外で倒されFKを得る場面や、さらに終了間際には片山のロングスローから清武がオーバーヘッドでシュートを狙うがわずかに右に外れ試合終了。
40回目の大阪ダービーは1-1の引き分けに終わった。
■その他
お互いの特色が出ていた試合だったと思う。
セレッソにとってはチームの原則、コンセプトに沿った戦い方ができ、優位に試合を進めることが出来ていた。
試合はもちろん相手のあることで、サッカーではそれが直接結果につながらないこともあるし、それがサッカーの面白さでもあるのだが、ダービーだっただけに勝ち切りたい試合だった。
また試合後にも話題になっていたが、この試合でガンバが受けたイエローカードは5枚。この試合の前まではリーグで3番目にイエローカードが少なかったことからも分かる様に本来イエローカードが少ないチームなのだが、パトリック以外は全てC2(ラフプレー)でのカードだった様に、セレッソのボール保持に対して遅れて対応するためファールになるというプレーが多かった。
そして、おそらくダービーということで出さなかったんだと思うが、イエローカードにはC4(繰り返しの違反)というものもあるので、坂元に4度ファールしていた福田にはもう1つ前でC4でカードを出してもよかったんじゃないかな?とも思う。
もしそれが出ていたらC2でカードを受けたデサバトへのファールはやらなかっただろうし。
またアディショナルタイムでの三浦が奥埜を倒したプレーもカードが出てもおかしくなかったと思う。
これで残り8試合。チーム状態は取り戻せているので他のチームの順位は気にせず、目の前の試合を戦っていけばいいんじゃないかと思う。
お疲れ様です。
返信削除概ね自分も同じような解釈でした。
宇佐美はこういう試合で結構強引にペナに入っていってスクランブルを作ることもあるイメージでしたが、今回あまりそれが無かったのはアデミウソンがおらず狭いスペースで繋げる相手が居ない(倉田は坂元を見ている分攻撃参加が遅れるorカウンターになると14番1人で坂元を見るリスクを減らしたかった?)のも大きかったのかな?と。
交代枠の少なさがゲームが想定内で進んでいたことを表しているようだったと思います。
あと、木村博之主審は14番にさっさとカードを出していればこんなに荒れなかった、というのも同意ですし、三浦の奥埜に対してのプレーは接触時に足を引いたとはいえアフターでの接触、奥埜に避けられる要素はないことを考えてもカードを出すべきだったと思いますね。時間帯的に結果は変わらなかったかもですが。去年の鳥栖戦といい、ダメですね、あの人。