2020年12月7日月曜日

12/5 明治安田生命J1リーグ第31節 VS. 北海道コンサドーレ札幌 @ 札幌ドーム


スタジアム札幌ドーム主審西村 雄一
入場者数8,905人副審野村 修、堀越 雅弘
天候 / 気温 / 湿度屋内 / 21.1℃ / 39%第4の審判員船橋 昭次

北海道コンサドーレ札幌札幌

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • ペトロヴィッチ
 
  • 監督
  • ロティーナ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き(入場可能数の「50%以下」又は
入場可能数が「20
000 人以上のスタジアムは30%程度からの段階的な緩和」)での試合開催

※入場可能数や適用時期は主管クラブが決定


<監督コメント>


<選手コメント>


今季のJリーグもいよいよラスト4試合。明治安田生命J1リーグ第31節、敵地札幌ドームでの北海道コンサドーレ札幌対セレッソ大阪の一戦は1-3でセレッソ大阪の勝利。木本のJ1通算100試合出場で対札幌として初のシーズンダブルを達成。リーグ戦3連勝となった。

■メンバー

札幌の先発メンバーは前節から1人入れ替え。ドウグラス・オリヴェイラに代わってジェイが最前線に起用された。
とはいえ前節も前日まではジェイが主力組でトレーニングに参加している様に先発予定だったのだが、直前に右太ももの違和感で回避したという経緯があるのでこの11人がやりたかったメンバーだったと言える。
ということで今節もWBは逆足配置。右WBに左利きの金子、左WBにルーカス・フェルナンデスが入る。

一方のセレッソ大阪の先発メンバーも前節から1人入れ替え。丸橋に代わって瀬古が起用された。
このメンバーからもわかるように布陣は3-4-2-1。スタートからはっきりとした3-4-2-1で挑むのは今季初、昨年4/27の第9節大分戦以来となる。

■3バックを使う理由と3-4-2-1を使う理由

昨季の第10節以降は相手が3バックであろうが4-4-2でボールを中心にした守り方を行なってきたセレッソ。しかし今季終盤にチーム状態が落ち込んだ中で迎えた3バックの広島戦で「過去最低の内容の前半」を過ごしたことから最終ラインを5枚にするという形に取り組んでいる。
札幌のペトロヴィッチ監督は5トップ気味に戦うことのパイオニアであることを考えると、その5人の前線に対応するために3バック/5バックを使うことは容易に予想できる。

しかし前々節の大分戦、前節の横浜FC戦で使ったのは完全な3-4-2-1ではなく基本は4-4-2ながら状況によって5バック的な立ち位置も取る4バック/5バック(3バック)可変システム。それがこの試合ではスタートから完全な3-4-2-1。冒頭にも書いた通りはっきりとした3バックで入るのは今季初。昨年4/27以来である。

セレッソがこの選択に至った理由は、おそらく守備面ではなく攻撃面を考慮してのことなのではないかと思う。
札幌は守備でマンツーマン気味に前から捕まえにくる。なのであえてマッチアップを合わせる。
そうすることで相手は捕まえやすくなるが、逆にそれを外すことができればスペースを作ることができるからである。
試合後の会見でロティーナが
「どのチームにとってもグラウンドのスペースは同じで、前にスペースを空けたくないチームと、後ろに空けたくないチームがあります。彼らも彼らのやり方があり、その裏には、彼らの弱点があります。」
と語っているが、札幌は前からマンツーマン気味に人を捕まえにくるやり方をするということを踏まえて、あえて人を合わせそれを外すことで彼らが隠そうとしている弱点を使いたいという狙いだったのだろう。

■札幌ペースで始まった試合

こういった狙いを持って始まった試合。前半の立ち上がりは、というよりもキックオフから25分の飲水タイムまでは札幌ペースで試合が進んでいた。
この時間帯までに沢山決定機を作られていた訳でもなかったし、全く攻められないという訳でもなく14分に清武のクロスから坂元がヘディングで、21分には坂元のクロスにブルーノ・メンデスがヘディングで、とペナルティエリア内でシュートを打つ場面は作っていた。
しかし、セレッソは試合前から狙っていた様な試合にはできていなかった。

3-4-2-1のセレッソはまず5-2-3の布陣で守備をスタートさせる。

しかし札幌はCHの宮澤が最終ラインに落ちて福森を前に出す形を取り、さらに駒井はシャドゥの位置から頻繁に落ちてくる。
もちろんセレッソも札幌がこういった手順で形を変えてくることは理解していたと思うが、特に坂元、ブルーノ・メンデス、清武で高い位置からアプローチに出た時に、浮いた福森と引いた駒井をどう対応するのかというのが曖昧になっていた。福森に対しては松田が1つ前に飛び出したり、駒井に対しては何度か木本が前について行ったりしていた場面もあったが、そうなると背後にスペースを作ってしまうことになる。
なのでどうしてもブロックを下げて5-4-1で守るという形が増えていた。

そして札幌は左WBのルーカス・フェルナンデスからアーリークロス気味に上げる右足でのクロスを多用していた。
この形は昨季のホーム大分戦、松田陸が左WBで先発した時にも触れたが、WBの選手が少し引いた位置で逆足で上げてくるクロスは、対峙している選手からすると遠い方の足で蹴ってくるのでクロスに対して制限をかけにくい。
セレッソでいえばだからこそ坂元も必殺技を繰り出すことができるという部分でもある。

ここでシンプルにクロスを上げられたところで、セレッソの3バックは中に3人共揃っているため十分対応できる。なのでよっぽどピンポイントで合わない限りピンチになるということはないのだが、セレッソが押し込まれる/札幌が押し込むという部分では効果があった。

ここまでは札幌のボール保持/セレッソのボール非保持について書いたが、続いてはその逆。セレッソのボール保持/札幌のボール非保持について。

セレッソがこの試合で3-4-2-1を使ったのでマッチアップは完全に噛み合う。そもそも札幌はマンマーク気味に人を捕まえるので、基本はずっとこの対面の相手を捕まえている。札幌もボール保持でポジションを入れ替えたりするのでトランジションの局面などではそのまま人が入れ替わったりもしているし、セレッソの選手がポジションチェンジをするとマークを受け渡したりもするが、3バックには1トップ2シャドゥが、CHにはCHが、WBにはWBが、と基本はマンツーマンである。
そういったやり方を取る相手に対して立ち位置を調整して時間を作り、どこかでひっくり返そうというのがセレッソの狙いだったのだろうが、札幌の勢いを受ける感じになってしまい、ボールを奪われるという場面はそれほどなかったが、ミスや慌てて蹴ってしまうという形でボールを失う場面は多かった。

そしてセレッソは相手のプレッシャーがきつい様だと清武がCHの近くに下がってくるという形も準備していたのだろう。実際に5分を過ぎた頃から既に清武が下がってくる場面も増えていた。
しかし立ち上がりは札幌も元気な状態ということもあって、やはりボールを失う場面が多かった。

もちろんひっ繰り返すことができた場面もいくつかあり、それが最初に書いた14分の坂元のヘディングシュートや、21分のブルーノ・メンデスのシュートの場面なのだがいかにも効率が悪かった。

セレッソにすれば立ち上がり3分にジェイにうまく頭に当てられたヘディングシュートがあったぐらいで、決定機を作られていたわけでもない。
DFラインはさほど動かされていないので守れているといえば守れている。
しかし狙っている形はできていなかった。というのが25分の飲水タイムまでの時間帯だった。

■4-4-2/5-3-2に


飲水タイムをきっかけにセレッソは選手を変えずに布陣を変える。
それまでの3-4-2-1から松田が右SHで、木本が右SB、前線で坂元とブルーノ・メンデスが並ぶ4-4-2に。
結論を先に書くと、これがこの試合の最大のポイントだった。

この4-4-2はもちろん普通の4-4-2ではなく、セレッソの左サイドで札幌がボールを保持している時(サイドチェンジを狙えそうな時)は逆サイドに当たる右SHの松田が最終ラインに落ちて5-3-2になる。

しかしセレッソの右サイドで札幌がボールを持っている時は4-4-2。
つまり前節、前々節と使っていた4-4-2/5-3-2の可変システムにしたのである。
これによって札幌が見せていた宮澤を下げて福森を浮かせていたところにも松田が早くアプローチに出ることができる様になった。

しかしこの変化におそらくピッチ内にいた札幌の選手は気が付いていなかったんじゃないかと思う。
というのもセレッソのビルドアップ時の基本的な配置は変わっていないからだ。
セレッソは従来の4-4-2でも右SBの松田が最終ラインに残って3バックになり、右SHの坂元が幅を取る形、右SB残しの3バックビルドアップを持っている。
今回の4-4-2では右SBにあたるのが木本で右SHにあたるのが松田。となるとこの布陣での右SB残しの3バックビルドアップをすると、スタートの3-4-2-1と全く同じ形になるのだ。

しかし一見同じに見えるこの形も、トランジション、攻守の切り替えの場面ではかなり様相が変わる。
松田のスタートポジションが前に移動したからだ。

それがはっきり見えたのが34分に坂元がミドルを放った場面。
坂元のミドルは枠を外れたのだが、その右前で松田が完全にフリー。この場面で札幌の選手は松田を誰も見ていなかった。

この場面はヨニッチから前に飛び出した片山へのロングフィードがスタート。そのこぼれ球をという形である。
片山が後ろから一気に前線に飛び出したので右WBの金子もかなり長い距離を走って戻っており、ブルーノ・メンデスとマッチアップしているキム・ミンテも当然戻る。さらに引いてボールを受けようとした清武についていった3バックの右に入る田中も、ヨニッチがロングボールを蹴る(蹴りそうな)のを見て清武のマークを捨てて下がって行った。
一方で3バックの左に入る福森はマークすべき坂元が引いていたので前に食いついていた。そして対角へのフィードということもあってか坂元のマークをそのまま続けている。
そしてここからこぼれ球を後ろから出てきた坂元がミドルシュート。ここで坂元がミドルを打てたのは福森がボールウォッチャーになって坂元を完全に離していたという問題もあるのだが、注目したいのは坂元の前で完全にフリーだった松田。
松田に対しては当初少し遅れてルーカス・フェルナンデスがついて行っていたのだが、ルーカス・フェルナンデスにしてみれば最初にヨニッチが蹴った時に対面していたのは木本だったので松田は自分の担当じゃないという感じだったのだろう。しかしルーカス・フェルナンデスの後ろにいる福森が見ていたのは坂元。つまりこの場面では松田のマークを担当している選手は誰もいなかったのである。

そして40分のセレッソの先制場面も同様。

田中が右サイドで前に出たところで、高嶺が縦パスを引っ掛けられるという形から始まっているので札幌の下がってくる選手は変わっているのだが、清武から坂元に出たところで福森が食いつく。しかしその外側では松田が思いっきりフリー。
そして松田からのクロスをブルーノ・メンデスが頭で合わせた。
ブルーノ・メンデスもこれがこの試合3本目のフリーで放ったヘディングシュート。これだけ打ってればそりゃ入る。
そしてそれ以上に松田がビックリするくらいフリーの状態でペナルティエリア内にドリブルで侵入していること。

飲水タイムまでの時間帯は札幌が押し込んでいたので「1チャンスを決めた」といったイメージがあるかもしれないが、そうではなくやり方を変えたセレッソに対応できていなかった札幌という構図と言っていいだろう。
ペトロヴィッチ監督の言う様に「切り替えの部分」の問題ではあるが、単に切り替えのスピードとだけではない。

そしてもう1つ。札幌に決定機らしい決定機は作らせなかった、セレッソにとって守りやすかったのは札幌の逆足WBの影響もあるだろう。
序盤は逆足からのアーリークロスが押し込まれる原因となっていたが、札幌がそこから先に進めなかったのも逆足WBによるものではないかと思う。
ペトロヴィッチ監督は途中で「WBが中に入ることで中央で1トップ2シャドゥと対峙しているCBをずらそう」という指示を出しているというレポートがあった。FWをマークしている相手DFに選択肢をぶつけるという意図なのだろう。
しかしセレッソはギリギリまで人ではなくスペースを見ている。なので内へ内へと入ってきてくれるのは、スペースがどんどん無くなっていくのでむしろ好都合だった。

■ハーフタイムで改善できなかった札幌

0-1のセレッソリードで折り返した後半も展開は変わらず。
52分にセレッソは松田が抜け出しもう少しでGKと1対1という場面を作っている。
この場面は前半のリピートなのでルーカス・フェルナンデスが最後まで戻って対応したが完全に遅れていたので、松田が本職のアタッカーなら(これがもし弟の松田力なら)ボールとの間に身体を入れルーカス・フェルナンデスをブロックしシュート、もしくはPKをもらう形を作っていただろう。

そして54分にセレッソが追加点。飛び出した清武に藤田からのパスが入りワントラップしてシュート。
豪快にネットを揺らした。
この場面は完全に札幌のマンツーマンを利用した形。
ブルーノ・メンデスが下がってきていたので札幌の中央を守るべきキム・ミンテはついてきている。ということは中央には誰もいない。
そんな状況で清武は自分をマークしている田中の背中をとっていた。なのでここから飛び出せばフリー。これはスカウティングしてチームとして狙っていた場面だろう。キム・ミンテが食いついているなら福森が絞ればいいのにとも思うが、右サイドには福森がマークすべき坂元が開いていたのでそうはいかない。なのでボールの取られ方の問題でもないと思う。

■順足配置に


リードを広げられた札幌は57分に2枚替え。高嶺と駒井に代えて深井と菅を投入。
人に強い深井をCHに入れ菅は左WBに。ルーカス・フェルナンデスが右WBに移り、金子は左シャドゥに移る。
これでWBが逆足配置から順足配置になった。

この後も次々とチャンスを作るセレッソ。ここで3点目を奪っていれば早々に試合は決まっていただろう。
しかし決められなかった。

そんな中で65分に福森のアーリークロスが逆サイドまで流れ、そのボールを拾ったルーカス・フェルナンデスが再び折り返し。そのボールをジェイが頭で合わせ札幌が1点を返す。
この場面は大外から大外というポジショニングが一気に変わる場面なのだが、直接失点につながったのは木本がポジションを取るのが少し遅れたことだろう。
ただ、その前に気になるのが福森に対して松田が遅れていること。これは松田の対応云々ではなく、松田が4-4-2のSHではなく5-3-2のWBになっている場面が増えていたからである。
札幌のWBが順足になり内側に向かわず幅を取るようになったこと、そして札幌の左サイド/セレッソの右サイドで左利きが2人並んだので松田が最終ラインに入って対応する場面が増えていた。

■3-5-2

失点の後、札幌が元気になり少しセレッソにミスが続いたりした中で後半の飲水タイム。

飲水タイム開けの72分からセレッソは再び3-4-2-1に。

そして76分には清武と坂元に代えて豊川と丸橋を投入し3-5-2に。片山が右IHに移動する。
奥埜と片山がIHに入ったのはここの強度を高め、片山が福森のところに出ていくようにしたかったからだろう。

この交代で3-5-2の強度を上げたセレッソは80分に追加点。
ハーフウェイライン付近でのFKから縦に走った豊川が福森との競り合いに勝ちクロス。それをブルーノ・メンデスが落ち着いて決めた。
この3点目は隙を突いたというか、福森の守備での淡白さをうまく攻略したというところだった。

これで試合は決まり。

83分にセレッソはブルーノ・メンデスに代えて高木を、同時に札幌もジェイに代えてウーゴ・ヴィエイラ、アンデルソン・ロペスに代えて今季限りでの引退を発表している早坂を投入。
さらに88分には札幌が福森に代えてこちらも今季限りでの引退を発表している石川を投入。
この試合が札幌の今季ホーム最終戦である。
セレッソはアディショナルタイムの90+4分に奥埜に代えて都倉を投入。豊川を左IHに移動させるとそのまま試合終了。

1-3でセレッソ大阪が北海道コンサドーレ札幌を下した。

■その他

前半の飲水タイムでの修正が全てだった。
そこまでは難しい試合だったが、ここから一気に試合を動かすという見事な修正だった。
これで3連勝。2位に入るには残り試合を全て勝ってどうかというところだろうが、それを狙えるチームに戻ってきたと思う。

後、この試合では終盤にここ2試合続けて出場していた柿谷ではなく高木が選ばれた訳だが、そうなったのは前節投入直後の柿谷のプレーぶりによるものだろう。
5-3-2の2トップで入ったにも関わらず5分ほどは5-4-1の右SHをやってしまっていたプレーである。
とはいえ柿谷にはまだ出場機会も訪れるだろうから、そこでタスクをこなしながらプラスアルファのプレーを見せて欲しいと思う。

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