2020年12月19日 14時00分:県立カシマサッカースタジアム
予想スタメン |
今季最終節となる明治安田生命J1リーグ 第34節、セレッソ大阪は敵地県立カシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズと対戦。これがミゲル・アンヘル・ロティーナ監督率いるセレッソ大阪の最後の試合となる。
■前回の対戦
前回の対戦は9/19に行われた第17節。ヤンマースタジアム長居での対戦は1-2で鹿島アントラーズに敗れている。
前回対戦時のスターティングメンバー |
両チームのスターティングメンバーは上記。
セレッソは7連戦の5試合目、中2日での試合ということもあり直近の試合からは5人入れ替え。直近の試合とは都倉が退場したアウェイ神戸戦。その神戸戦から都倉、丸橋、木本、西川、柿谷が外れ、片山、藤田、坂元、清武、ブルーノ・メンデスが先発。
一方の鹿島は中6日での試合なので直近の試合からは2人入れ替え。町田と杉岡が外れ、関川と永戸が先発となっていた。
立ち上がりはセレッソがボールを保持する展開。藤田が最終ラインに下がってCBとの3人+松田でビルドアップを行うセレッソに対して、鹿島は4-4-2で中を閉め、サイドに出たところでアプローチをかけようとする守備。しかしセレッソは左SBの片山が高い位置に出ていき、瀬古、藤田、ヨニッチ、松田と右ズレの形を取るので右SHのファン・アラーノが目の前に誰もいない状態になる。その結果、鹿島の左サイド、セレッソから見て右サイドで、セレッソは浮く選手を作っていたからだった。
しかし前半の飲水タイムごろから鹿島は右SHのファン・アラーノを一列前に出し3トップ気味にしてセレッソのCB+藤田にぶつけてくる。
ここをハッキリさせたことで鹿島はセレッソの選手をマンツーマン気味に捕まえることができるようになる。つまり清武をレオ・シルバで捕まえられるようになったのだ。
この形は今季中盤戦でセレッソ対策の1つとして頻繁につかわれる様になる。
マッチアップをあわせたことで鹿島のプレッシングが機能し始める。
33分の鹿島の先制点はまさにプレッシングから。和泉のシュートを片山がブロックするも、そのこぼれ球をファン・アラーノに押し込まれた。
しかしマッチアップをあわせてマンツーマン気味に捕まえられるということは、1つずらすことができれば芋づる式にどんどんずれていく。
右サイドでヨニッチ、松田、奥埜、坂元とつないだところで鹿島のマッチアップは完全にずらされているのでブルーノ・メンデスはフリー。坂元の折返しをブルーノ・メンデスが決め1-1の同点に追いついた。
1-1で迎えた後半は、立ち上がりの40秒で失点してしまう。
鹿島は身体の強いエヴェラウドを使って中央でスクランブル状態を作ると、セカンドボールを拾った和泉がシュート。これはキム・ジンヒョンが弾くも、そのこぼれ球をエヴェラウドに詰められてしまった。
これでスコアは1-2となったが、ここまでの内容的にはそれほど悪くない試合。
ということでセレッソは丸橋、柿谷を投入し、鹿島ゴールに迫り何度もチャンスを作る。
しかし決められない。
試合終盤には鹿島は3バック(5バック)にして守りを固め始め、そんな中でレオ・シルバがペナルティエリアでハンドの反則を犯すが、なぜか笛はならず。
そのまま鹿島に守りきられ1-2の敗戦となった。
■現在の鹿島
今季はACLプレーオフ敗退という屈辱的な結果から始まった鹿島アントラーズ。
しかし、前回対戦時もシーズン折返しの前半戦最終節だったので既に復調していた。
そして現在はセレッソと勝ち点差1の5位。この試合に勝てばセレッソと順位が入れ替わって4位。名古屋の結果次第ではセレッソ同様に3位の可能性がある。
そしてこの3位争いは来年のACL出場を争うもの。
リーグ戦でACL出場が決まるのは3位まで(リーグ戦3位チームはプレーオフから)だからである。
しかしJリーグからの出場枠は3位まで+天皇杯優勝チームの4。
そして今季はJ1から天皇杯に出場できるのが既にACL出場が決定している1位、2位の2チームのみ。
ということは、当然ながらこのどちらかが天皇杯で優勝する可能性が高いため、繰り上がって3位がストレートイン、4位がプレーオフからとなるがACL出場が濃厚。
そしてこの最終節が鹿島対セレッソなので、現在3位の名古屋はたとえ最終節に敗れたとしても4位。ということで名古屋、セレッソ、鹿島の3チームのうちセレッソか鹿島のどちらかだけがACLに出場できない。
つまり最終節は鹿島は勝てばACL出場濃厚となる。(セレッソは引き分け以上でACL出場濃厚)(川崎Fとガンバ以外のチームが天皇杯に優勝した場合は4位チームも出場できない可能性が高く名古屋の結果次第となる)
ということで現在の鹿島について。
中盤戦以降は調子を上げ着実に勝ち点を積み重ねている。
特徴的なのが得点力。直近4試合で10得点を挙げており、その原動力となっているのがエヴェラウドと上田綺世の2トップである。
エヴェラウドは前回対戦時にも強烈なインパクトを残しているので説明の必要は無いかと思うが、オルンガに次ぐ得点ランキング2位の17得点を決めている。
そしてもう1人の上田綺世。昨年のコパ・アメリカにも出場していたのでなんとなくプレーの記憶が残っている人も多いかとは思う。
そんな上田は、今季序盤にポジションを掴みかけたところで怪我をし、前回対戦時も含め復帰後は短い時間の出場にとどまっていたが、ここに来て完全にポジションを獲得。
先発わずか9試合ながら既に10得点。そして直近2試合で共に2得点ずつを奪う大爆発中である。
上田が最も優れているのはオフ・ザ・ボールの動き。ボールを受ける前の動き出しが抜群に上手い。
昨年のコパ・アメリカでも数々のゴールチャンスに顔を出していたように、既にJリーグでもトップクラスじゃないかと思う。
しかし、昨年のコパ・アメリカではそのチャンスでことごとくシュートを外してしまっていたが、本来は決定力の高さにも魅力がある選手。
昨季途中に法政大学を中退しプロ2年目となる今季はプレーにも余裕が出てきたのか、10月以降は持ち前の決定力の高さも見せるようになった。シュートのバリエーションも多いし、そもそもシュートが上手い。かなり危険なストライカーである。
そんな2トップを擁する鹿島だが、上田が結果を残し始めた11月頃は土居がトップ下の様な位置に立ち、エヴェラウドが左よりにいる4-2-3-1とも4-3-1-2ともいえる布陣を取っていた。
しかし11/25の柏戦で試合を優位に進めながらもカウンター4発を浴び1-4の敗戦。
以降の2試合、11/29の浦和戦、12/12の清水戦では土居を左SHにずらした4-4-2にして、4-0、2-0と快勝。
前回対戦時にも目の当たりにしたアグレッシブなフィジカルコンタクトを軸にインテンシティの高い守備で、ショート・ロングのカウンターを武器にテンポの速いサッカーで得点を量産しているといったところである。
■プレビュー
鹿島アントラーズの予想スタメンだが、鹿島はミッドウィークに試合が無かったのでこの試合が中6日。快勝した浦和戦、清水戦のメンバーから大きな変化は無いだろう。
前節の清水戦でエヴェラウドが鼻骨骨折の負傷を負ったが、鼻骨骨折は治療しようがないのでフェイスガードをつける形になるのかもしれないが、問題なく試合に出てくるのではないかと思われる。
試合前日に「新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた選手が出た」とのリリースがあったが、選手には濃厚接触者はいないということなので大きな影響は無いだろう。
一方のセレッソ大阪の予想スタメンは、前回対戦時同様にセレッソだけが中2日での試合となるが、こちらも前節から大きな変化はなさそうだ。とはいえ前節は豊川が負傷交代。負傷の状態がわからず、また本人は試合に出るようなことを言っているようだが、先発は難しいかもしれない。となればFWには柿谷が入るということになるか。
試合展開だが、柏、鳥栖、そして鹿島と戦う最後の3連戦。
ここに向かうにあたってこの3チームで最もセレッソの特徴を出しやすいのはこの鹿島戦だと思っていた。
もちろん鹿島は強敵でしかもアウェイ。鹿島とは6連敗中でロティーナ監督就任後も3連敗中。
鹿島で最後に勝ったのは2017年の3年前である。
しかしロティーナ監督就任後3連敗している3試合でも試合はコントロール出来ていた。
それでも勝てなかったじゃないかと見る向きもあるかとは思うが、セレッソは自分たちのコンセプトを全うした先に勝利があるという考え方の中で戦ってきたし、それがチームの戦い方である。それが自分たちの立ち返る場所であり、戦い方なのだ。
ということでやるべきことはハッキリしている。
まずはビルドアップ。鹿島のプレッシングに臆さずボールを動かし運ぶこと。
そして試合のテンポをコントロールすること。
鹿島の速いテンポに引っ張られず、じっくりとした展開に持ち込みたい。
さらにスペースを消すこと。強烈な2トップがプレーできるスペースを消し続けなければいけない。
これらはこの2年間常にやろうとしてきたことである。
ロティーナ監督率いるチームの最後の試合は、これまで積み重ねてきたことをどれだけ徹底できるかにかかっている。
それを踏まえて、狙いどころはSBの裏。サイドの奥に起点を作って、大外、もしくはマイナスのボールで決めきりたい。
ここ数年のセレッソは最終節の勝率がかなり高いというデータもあるが、それ以上にこの試合がこのチームの最後の試合。
ACLや3位といった目標もあるが、それ以上に最後の試合でこの2年間の集大成を見せそれを結果に結びつける。そんな美しい試合にしたい。
0 件のコメント :
コメントを投稿