2020年12月16日 19時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
いよいよ今季のホーム最終戦となる明治安田生命J1リーグ 第33節 、セレッソ大阪はヤンマースタジアムでサガン鳥栖と対戦。18時の予想気温が6℃とかなり冷え込む中での試合となりそうだが、是が非でも勝ち点3を奪いたい試合である。
■前回の対戦
前回の対戦は7/26に行われた第7節。アウェイ駅前不動産スタジアムで行われた一戦は1-1の引き分けに終わっている。
前回対戦時のスターティングメンバー |
両チームのスターティングメンバーは上記。
中3日での試合ということで直近の試合からは鳥栖は3人、セレッソは2人を入れ替え。
鳥栖のメンバーでは、豊田は今季先発は5試合しかないが、そのうちの1試合がこの試合。また開幕から第5節までは4-3-3だったがこの試合の前の第6節清水戦から4-4-2に変更。以降は4-4-2がベースとなった。
一方のセレッソメンバーでは、今季清武と柿谷が同時に先発したのは3試合しかないが、初めて同時に先発したのがこの試合。そしてこの試合では柿谷が左SH、清武がトップ下に入る4-2-3-1を採用。プレシーズンマッチでも一度トライしているこの並び・布陣だが、今の所採用したのはこの1試合だけだった。
ちなみにこの時点で鳥栖はまだ未勝利だった。
立ち上がりは鳥栖が積極的にハイプレスを仕掛けてくる。
それに対して2CBと2CHの2-2でビルドアップを行うセレッソ。安易にCHを下げずキム・ジンヒョンを使うことでプレッシングを回避し、鳥栖の2トップの背後までは安定してボールを運ぶことができていた。
しかし問題があったのはここから。2トップの背後にはボールを運べているのだが、その先でボールを引っ掛けられてしまうことが多く、そこからSBの背後を狙われる。そのためトランジションの多いテンポの速い試合となっていた。
鳥栖が狙ったのは松田の背後。これは右CBのヨニッチを動かしたいという狙いがあったのだろう。そもそも鳥栖の布陣は左SHにサイドアタッカーの小屋松、右SHにCHタイプの原川という左右非対称の関係になっていた。
セットプレーを中心に鳥栖にチャンスを作られていたセレッソだったが前半は0-0で折り返し。
後半に入るとセレッソは柿谷に代えて片山を投入。片山はそのまま左SHに入る。
その片山が見せたのは背後への飛び出し。この試合は4-4-2の2トップではなく4-2-3-1の1トップで、前半はその2列目のところを迎撃型で激しくアプローチを受けていたので、背後をつくことでスペースを広げようという狙いだったのだろう。
こうしていくつかの修正を行いまずまずの入り方をした後半だったが、51分に失点。
前から奪いに行ったところをひっくり返されてカウンターを受けることに。
そして豊田がヨニッチと競り合うことでファール気味にヨニッチが潰されるというアンラッキーな部分もあったが、最終的に石井にプロ初ゴールを決められてしまった。
ここから鳥栖は先制したことで守備のスタート位置を下げる。一方でセレッソは清武、豊川、丸橋に代えて鈴木、奥埜、小池を投入。鈴木と奥埜の2トップにする。
これでセレッソは普段の4-4-2に戻すのだが、それ以上に大きな変化は左には清武も柿谷もいない状態を作って、坂元を内側でプレーさせたことだろう。
サイドで1on1の状況を作ってドリブルで仕掛けるというのがこのチームにおける坂元の最大の役割だが、この試合で初めて基本の位置を内側にした。
現在は2トップの一角に入り内側でプレーする時間を長くしているがその最初がこの試合だった。
そんな中で坂元が同点ゴールを決める。
セレッソでよく見る右から運んで逆サイドで内側に入った左SHがフリーになる形の左右を入れ替えた形。木本からボールを運ぶことで鳥栖の布陣を左サイドにスライドさせ、右サイドの大外には松田が出ていくことで、鳥栖の左CHと左SHの間を広げ、その間でフリーになった坂元が左足のミドルを叩き込んだ。
終盤には坂元のクロスに小池が飛び込むという形をつくり、その小池は遅れてきた松岡に倒されるのだがPKは都市伝説。
試合はそのまま終了となり1-1の引き分けに終わっている。
■現在のサガン鳥栖
前回対戦時にも書いたが、対戦相手から見た鳥栖の評判はすこぶる良い。
プレッシングもできるし、きっちりとブロックを作ることもできる。またボールを持てば後ろから丁寧にビルドアップを行い、相手の守備を動かしてくる。
そして、セレッソを見てもわかるようにそういった戦い方の場合、 良いサイドアタッカーがいるかどうかというのが大きなポイントになるのだが小屋松という優秀なサイドアタッカーもいる。
ロティーナ監督が以前鳥栖には優秀なサイドアタッカーがいるというコメントを出していたが、おそらく小屋松のことだろう。
そして川崎F戦では2度共に引き分け。これはあたり順による関係もあるのだろうが(2度の対戦が、開幕戦と優勝が決まってからの試合)今季の川崎Fが唯一勝てなかったのが鳥栖である。
圧倒的な強さを見せた今季の川崎Fだが、その中で比較的精度が高く無いのがビルドアップのところとセットディフェンス。なので川崎Fのビルドアップにどれだけ制限をかけることができるか、そして川崎F相手にどれだけボールを持てるかがポイントになるのだが、鳥栖はそのどちらもできるので、この結果はそれほど不思議ではない。
しかしそれほど評判が良いにも関わらず鳥栖の順位は14位。勝ち点が32しか取れておらず、勝利数はわずか6勝。これは仙台の5勝に続く、湘南、清水と同じリーグで2番目に少ない数字である。
こうなっている要因はハッキリしている。
チャンスはつくるが、とにかく点が取れないのだ。
失点数はリーグ5位タイの40失点。しかし得点数はワースト3位タイの33得点しか無い。
なので引き分け数がなんとリーグ最多の14。次に引き分けが多い広島、大分、神戸、札幌、仙台が9であることを見ればその多さがわかるだろう。
ちなみに先制した試合が10試合あるが、5勝5分け。負けないのだが半分は同点に追いつかれ勝てていない。そして先制された試合は1勝5分12敗。
複数失点で勝ったのは1度だけで、引き分けも2度しかない。
鳥栖が点を取れない理由の1つは単純に質の問題。得点を量産できる選手がいない。
チーム内得点王の林こそ8点を取っているが、次がレンゾ・ロペス、石井、森下、本田、チョ・ドンゴンらの3点である。
セレッソも同じ様な悩みを抱えているが、鳥栖が点を取れる選手を補強できれば順位はもっと上がってくるだろう。
もう1つはFWの守備でのタスクがあまりにも多いこと。
セレッソでも当然ながらFWにも守備のタスクがありそれをこなすことが出場する上での最低条件となっているが、鳥栖は人を捕まえるプレッシングの頻度もかなり高いのだ。
なので、それのやり方が理にかなっているかどうかというと微妙なところなんじゃないかと思う。
■プレビュー
セレッソ大阪の予想スタメンだが、木本の出場はやはり難しい様子。そして前節途中交代しているブルーノ・メンデスの出場も難しそうだ。
ということでトップに入るのは豊川。そして3バックの右/4バックの右SBに入るのは片山となるだろう。中3日での試合となるが、ロティーナ監督は3日あればきっちり準備できる。
一方のサガン鳥栖の予想スタメンだが、鳥栖はこれまで、連戦となる場合は何人かの選手を入れ替えることが多い。
次節は中2日でホーム最終戦なので、やはり選手を入れ替える形をとるのではないだろうか。
となると、前節はレンゾ・ロペスと本田を縦関係の2トップにしたが、前線には林を起用する可能性が高いだろう。
試合のポイントとしては、まずは失点をしないこと。
鳥栖は両SBを上げてくるので今の4-4-2/5-3-2の可変で対応できるはず。
林は幅広く動くことができ、スピードとパワー、さらに思い切りまでも兼ね備えている選手なので相手にすれば厄介だが、プレーが少し雑。勢いに惑わされず落ち着いて対応すれば大丈夫だ。
そしてボール保持ではビルドアップを安定させること。
鳥栖がボールを取りに来るときは広く動くので2CHの脇が空く。ここを使ってSBの背後を狙いたい。そうすればラインを押し下げることができるし相手も間延びする。
そしてSBの背後に起点を作ることができれば、CBを動かすことができる。
これができれば得点のチャンスは生まれるだろう。
前節は柏の人数をかける守備ブロックの前に攻めきれなかったが、鳥栖は4バックなのでCBさえ動かせればゴールに一気に近づく。
泣いても笑ってもこれがホーム最終戦。
チームが正しい方向に進んできたことを結果で証明して欲しい。
そして最終節に可能性を残したい。
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