スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 中村 太 |
入場者数 | 7,365人 | 副審 | 聳城 巧、数原 武志 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 13.1℃ / 56% | 第4の審判員 | 武部 陽介 |
メンバー
C大阪
横浜FC
- 監督
- ロティーナ
- ヘッドコーチ
- 増田 功作
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き(入場可能数の「50%以下」又は
入場可能数が「20
000 人以上のスタジアムは30%程度からの段階的な緩和」)での試合開催
<監督コメント>
※横浜FC下平監督が新型コロナウイルス感染症濃厚接触者疑いで自主隔離を行ったためヘッドコーチが監督代行として指揮
<選手コメント>
ロティーナ監督の今季限りでの退任が正式に発表されてから迎える初めての公式戦。明治安田生命J1リーグ第30節、本拠地ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪対横浜FCの一戦は1-0でセレッソ大阪の勝利。10/14、10/17の第22節、第23節以来となる連勝となった。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは前節と同じ11人。ベンチメンバーも含めて全く同じ18人となった。
前節の大分は3-4-2-1が基本布陣だったが今節の横浜FCは4バックが基本なので少し意外な選択だが、ここ最近失点が続き結果が出ていなかったことで、前節結果を残した際の安定性を優先したということなのだろう。
一方の横浜FCは前節から5人入れ替え。南、志知、安永、武田、中山が外れ、六反、マギーニョ、袴田、手塚、斉藤光毅が入った。
とはいえこの入れ替わった5人は普段から出場機会の多いのメンバー。久々の中3日での3連戦ということもあり前節にターンオーバーを行い、今節は現状のベストとも言えるメンバーが並んでいる。
プレビューでは布陣は4-4-2ではないかと予想したが、試合開始時点での横浜FCは4-3-3。出場停止明けの手塚がアンカーに入り、IHに瀬古と齋藤功佑、斉藤光毅は左WGに入る形となっていた。
■拮抗した前半
立ち上がりは少し横浜FCが優勢だっただろうか。
立ち上がりは横浜FCが高い位置からプレッシングを行ってきたこともあり特に松田のところであまり時間を得られず。その結果、横浜FCにボールを渡してしまう場面も多かった。
そこから多かったのは袴田が内側に入って左ワイドにいる斉藤光毅に直接付けるという形。この袴田が内側に入ることと斉藤光毅に直接付けるのは必ずセットで、袴田が内側に入ることで右SHの片山が絞るのでCBからWGへのパスコースが開くというものである。
立ち上がりに横浜FCが少し優勢だったのは、この様な形で早くボールを回収し、早く前線に運んでいたからだった。
しかし10分を過ぎた頃から横浜FCのプレッシングが弱まると少しずつセレッソがペースを握り始める。
セレッソで見られたのが坂元が降りてきて大外の片山、内側の坂元と松田やヨニッチに2つの選択肢を与える形。これまでの松田が残る3バックビルドアップでは坂元は大外にいたがこの布陣では内側になるので、直接入ってターンするという形や、片山にボールが入ったタイミングで内から外に流れてボールを受ける形などが見られた。
この片山を使って坂元を斜めに走らせる形はゴールキックからやサイドチェンジからなどいくつかあったので確実に狙っていた形なのだろう。12分には木本からのサイドチェンジで片山と袴田を空中戦でぶつけ競り勝ったボールを坂元が拾う。そして坂元から大外に入ってきた清武へインスイングのクロスという形でチャンスを作っている。
横浜FCはセレッソに押し込まれる時間が続いたからか、15分を過ぎた頃からビルドアップで両SBを上げ、両WGは中央に、そして手塚をCBの間に伺わせる3-4–2-1の様な形を取るようになると、セレッソは前節のように片山を松田の外に落とす形で対応する。
そして飲水タイムの前後あたりからセレッソが藤田を最終ラインに下げて松田を前に出す形を取り、片山と坂元のプレーする場所を少し前にだすも、横浜FCの4-4-2の守備ブロックも簡単に食い付かずスペースを簡単に明け渡すようなことはしない。
ということで前半は両チームともに我慢比べといった展開になっていた。
セレッソは14分清武から片山のように何本か可能性のあるクロスが入ったり、横浜FCも28分に手塚のFKからのこぼれ球がゴールに向かうもキム・ジンヒョンがスーパーセーブした場面などどちらにも全くチャンスが無いという訳でもないが、チャンスの数自体は少なくいかにも前半0-0という試合になっていた。
セレッソとしては飲水タイムの後に背後を狙うボールを増やしていたので、おそらく前半は背後を狙う動きが足りないと感じていたのだろう。
このあたりは片山をSHで坂元をFWで起用していることのマイナス面かもしれない。
後、上から見ていて個人的に狙えそうだなと思っていたのが、横浜FCが前に取りにきた時の手塚の脇。
34分に木本がブルーノ・メンデスに縦パスをつけた場面がまさにそれにあたるが、とはいえセレッソもこの形を何度も使うというところまでは至っていなかった。
■セットプレー
後半開始から横浜FCは斉藤光毅が中央、齋藤功佑が左サイドの4-4-2になる。前半途中からボール保持で3-4-2-1になっていたので、ネガティブトランジションの時に斉藤光毅がそのまま中央で守備をし齋藤功佑が左に出る場面はあったが、おそらくきっちりと4-4-2にしたのは後半開始からだと思う。
そしてこの動きを見てセレッソは52分に丸橋に代えて豊川を投入。片山が左SBにまわり坂元が右SH、豊川とブルーノ・メンデスの2トップになる。
豊川の投入は前半から物足りないと感じていたであろう裏抜けを狙ってのもの。後半開始早々のプレーでも合わなかったが早いタイミングで丸橋が右足でDFラインの裏へ出していた。
そして横浜FCが4-4-2なのであれば片山を松田の外に落とす必要もないだろうということもあったのだろう。
もちろんこれまでもやってきたように必要であれば坂元も松田の外に落ちることもできる。
そしてこの豊川投入の前から後半はセレッソが攻め込む時間が増えていた。
ポイントになっていたのはセットプレー。ペナルティエリア外からのシュートが多い分シュート数は横浜FCが上回っていたが内容としては拮抗していた前半。そんな中でもセレッソが大きく上回っている項目がいくつかあった。上回っていたのはドリブル数(11-8)、FK数(6−2)、CK数(3-1)。そして空中戦勝利数(6-2)。
これを踏まえ、後半からはセットプレーで勝負できるという計算があったのではないかと思う。
実際に後半が始まるとブルーノ・メンデス、ヨニッチ、木本と立て続けにセットプレーでチャンス作っていた。
ということで試合が動いたのはセットプレー。
61分、ショートコーナーから片山がクロスを入れるとブルーノ・メンデスが頭で合わせてゴール。
ロティーナ監督のジャンプとともにセレッソが先制点を奪う。
ロティーナ監督がジャンプして喜ぶのは10/17の横浜FM戦以来今季2度目である。
先程の空中戦勝利数だが、この試合を通じての結果は18-5。ここは圧倒的にセレッソが優位に立っていたポイントだった。
■5対5
リードされたことで横浜FCは65分に一美に代えて瀬沼を投入。
横浜FCとしては先程紹介したように空中戦ではなかなか厳しいのでフィニッシュまで持ち込むにはセレッソのブロックを広げるなりという作業が必要となる。それに当たって効果的なのが中央にクサビを打ってサイドに展開するという形なのだが、中央は消されており一美はなかなか受けることができなかった。なのでこの交代ということなのだろう。もちろん前節フル出場している影響もあったとは思うが。
しかしこれは個人というより組織の問題。交代で入った瀬沼もなかなか中央で受けることはできないままだった?。
66分に小林から背後に飛び出す斉藤光毅といいう場面は作ったが、斉藤光毅はコントロールしきれずキム・ジンヒョンがキャッチしている。
この図のようにまるっきり6枚が前線にとまでになることは少ないが、齋藤功佑や松浦が中盤の瀬古樹をサポートしながら、ほとんどの場面で前線に5人は並んでいるような状況になっていた。
以前であれば相手の布陣に関わらず4-4-2のままでやっていたと思うが、「就任以降最も悪い内容だった」広島戦を受け、安全策じゃないが3バック/5バックを取る様になっている。
セレッソは3バックになってからは押し込まれる時間帯が増えていた。とはいえ決定機は作られておらず、おそらくエラーさえなければ守れていたとは思う。
しかしリーグ戦も終盤に入ってからは疲労の蓄積や目標達成に失敗したことによる影響もあってエラーが増えていたことは事実。
大分戦でも見せたが2トップにすることで前で制限をかけることができるようになり相手の攻撃方向を限定させることができる。
それができれば簡単に押し込まれることは無くなるからである。
しかし交代で入った柿谷は投入直後こそ2トップの位置にいたが最初に右サイドにカバーに入った場面からそのまま右サイドにいて5-4-1の様な形になってしまうので押し込まれる展開がしばらく続く。
慌ててロティーナ監督、イバンコーチは柿谷に「2トップなんだから前にいるように」という指示を送っていた。
完全に3バックにして中央に瀬沼、皆川のターゲット+斉藤光毅という形にする。
しかし2トップで制限をかけられるようになったセレッソの前にチャンスを作れずそのまま試合終了。
1-0でセレッソ大阪が横浜FCに勝利。第22節、第23節以来となる連勝を飾った。
■その他
共通点も多いスタイルのチーム同士が戦う拮抗した我慢比べの試合。1-0と最少得点差での勝利だったが、負ける要素はほとんどない試合だったと思う。横浜FCはどんどんアタッカーを投入し形も変えていたが、それに対して確実に手を打って行くといった面も含めてロティーナらしい勝利だったと言えるかもしれない。
広島戦の敗戦があり、前節の大分戦からは守備面でより慎重な戦い方となっているので先制点が大きな鍵となりそうだ。
これで一時は苦しいかと思われた2位に滑り込む可能性も少しづつだが大きくなってきた。
選手たちが口を揃えて言うように、このチームのコンセプト、戦い方が間違えていないということを証明するためにも1試合1試合を大切に勝ち点を積み重ねていってほしいと思う。
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