2021年7月17日 19時00分: ヨドコウ桜スタジアム
予想スタメン |
AFCチャンピオンズリーググループステージから戻り5月30日以来およそ7週間ぶりとなる明治安田生命J1リーグ第20節。セレッソ大阪は新しい本拠地ヨドウコウ桜スタジアムにヴィッセル神戸を迎えての一戦となる。
■前回の対戦
今回からは2巡目の対戦となるので前回対戦時の内容も振り返っておこう。
前回対戦は5月15日に行われた第14節のアウェイゲーム。
坂元のゴールでセレッソが先制しそのまま試合を進めるも、ラストプレーでトーマス・フェルマーレンのゴールで神戸が追いつき1-1の引き分けに終わっている。
前回対戦時のスターティングメンバー |
布陣は共に4-4-2。神戸はサンペールが負傷しCHには郷家、セレッソは中島が前節負傷交代した影響で加藤と豊川の2トップと前節からは1人ずつ選手を入れ替え。イニエスタは負傷からの復帰中でベンチスタートだった。
この時の神戸は4-4-2からCHの1人がCBの間に落ちて両SBが上がるという可変システムを使っていた。この試合ではサンペールが不在なのでCB間に落ちるのは山口。そして右SHの井上は内側に入ってCH化。一方左SHの中坂は前に出て古橋を頂点に左に中坂、右に佐々木という3-4-2-1に近い形になる。
立ち上がりは両チーム共に少しバタついたが徐々にリズムを掴んでいったのはセレッソ。神戸は3バック化はするもののそこからなかなか効果的にボールを運ぶことができない。一方でセレッソはボールを奪えば坂元や加藤が上がった両SBの背後に飛び出すことで、神戸陣内でプレーする時間を増やすという流れになっていたからである。しかし神戸はSBの背後を狙われたとしてもCBが躊躇なく出ていくことで対応していた。
後半に入ると神戸は中坂に代えて初瀬。初瀬は内側に入るよりも外側のレーンでプレーし、その分酒井は最初から高い位置をとらなくなっていたので、前半の酒井の背後で坂元がプレーしている状況への対策といったところか。
その後神戸はイニエスタを投入し4-2-3-1に。セレッソも高木を入れて清武が中央に入る4-2-3-1にすると試合を動かしたのはセレッソ。右SB山川の背後に飛び出した高木に菊池が出てきたところでクロスを入れると、酒井とフェルマーレンの間に飛び込んだ坂元が頭で合わせて先制する。
先制後は前がかりになる神戸に対してセレッソは裏返す形で追加点を狙いに行くも決められず。すると最後にパワープレーをしかけた神戸が前川のロングキックから最後はフェルマーレンが決めて同点に追いつくという形で試合終了。
セレッソにとってはもったいない試合となったが、試合後の会見でクルピ監督が少し感情的になっていたのも印象的な試合だった。
■現在のヴィッセル神戸
前回対戦時の翌節に浦和に敗れたものの、その次の柏戦以降は4勝1分と順調に勝ち点を積み重ねている神戸。現在の順位は川崎F、横浜FMに続く3位と好位置につけている。
現在の神戸だが、前回対戦時からいくつかの変化がみられる。
布陣が前回対戦時の中盤がフラットに並ぶ4-4-2から中盤がダイヤモンド型の4-4-2(4-3-1-2)に変わっている。アンカーの位置に入るのがサンペール、そしてトップ下がイニエスタ。左右には山口と郷家が起用されている。
これはおそらくイニエスタをチームに組み込むためだろう。
昨季のACLでの負傷により前回対戦時もまだ復帰段階途中にいたイニエスタだったが、前回対戦の翌節浦和戦から先発復帰。この時は4-2-3-1のトップ下で起用した。
しかしこれがなかなかハマりきらず、国際Aマッチウィーク中に行われたルヴァンカッププレーオフステージ浦和戦のセカンドレグから4-3-1-2に変更。以降はこの形をベースになった。
また選手起用でも、開幕から右SBに山川、左SBに酒井という組み合わせが続いていたが、右SBに酒井、左SBに初瀬という形に。また2トップで古橋とコンビを組む選手がドウグラスになった。
そして4-4-2の時は右SHがCHに入り左SHがシャドゥに出ていく3-4-2-1的な布陣への可変を行っていたが、4-3-1-2では左IHの山口が中盤に残り右IHの郷家が少し前、そしてトップ下のイニエスタが少し左に落ちる3-1-4-2的な布陣への可変になっている。
特徴的なのが、ボールを運ぶことに成功し押し込んだ際には、イニエスタが少し下がり気味のポジションを取り、郷家と山口の左右のIHがハーフスペースに飛び出していくこと。
イニエスタとサンペールのコンビで中盤をコントロールし、左右のSBで幅を作り2トップの脇のハーフスペースにIHが飛び出していくという構造になっている。
この布陣になって以降は井上潮音が出場機会を減らし、山口と郷家が固定されているのはこの動きからか。
またイニエスタに気を取られているとその後ろからサンペールからも一気にスルーパスが出てくるのも印象的。サンペールにとっても郷家と山口が両脇にいて前にはイニエスタがいる状況というのはやりやすいのではないかと思われる。
ただ、こうして可変システムをつかいながらもやはりビルドアップは個人に依存する部分が大きい。
ビルドアップでポジションを移動させるのだが、相手のやり方や立ち位置によってポジションが決まるというよりも、選手の感覚に頼っているのではないだろうか。
なので選手間の距離が詰まってしまっていたり、逆に広すぎてしまったりという状況が生まれることも多く、そこをかっさらわれてショートカウンターを受けることもある。
なので、リーグ戦直近5試合の成績は4勝1分と結果が出ているが危なっかしい試合も多く、盤石の試合というのはあまりない。(そんな中でも勝ち点を重ねることができているとも言えるが。)
守備では基本的には4-3で守る形になり、中盤3人の両サイドに山口と郷家がいる分前回対戦時に比べるとCBが引っ張り出されにくくなったが、それでも中盤3枚の両脇は空いてしまう。また前回対戦時の坂元の得点のようにDFラインがボールウォッチャーになってクロスの時にCB間やSB-CB間にスペースが生まれることも多い。
なので大量失点はしていないものの、直近5試合で無失点だったのは最下位の横浜FC戦のみ。他の4試合はいずれも1失点している。
■予想スタメン
セレッソ大阪の予想スタメンだが、瀬古が東京オリンピック代表で不在、アダム・タガートがおそらくプレーできないという状況なので、ACLグループステージ最終節の布陣をベースにCBにチアゴと西尾が入る形となりそう。清武がトップ下、左SHには為田が起用されるのではないだろうか。
一方のヴィッセル神戸の予想スタメンだが、前節にイニエスタ、菊池流帆、前川黛也の3人が負傷交代しているので彼らが間に合うかどうか。前節は7月3日なので2週間の時間はあるが、中3日で行われた7月7日の天皇杯でも徳島戦ということで主力組を並べながらも、誰もベンチにも入っていなかった。彼らが全員プレーできないとなると、イニエスタの入るトップ下には中坂勇哉、菊池の入るCBには山川哲史、前川の入るGKには飯倉大樹という天皇杯徳島戦と同じメンバーになるのではなりそうか。
ちなみにユーロに参加していたフェルマーレンだが、復帰はオリンピック中断明けになるのではないだろうか。
そして本日セルティックへの移籍が発表された古橋亨梧。どうやらこの試合が神戸でのラストマッチになるとのことなので、残念ながら(?)先発が濃厚だろう。
■サイドチェンジからのクロスで勝負
神戸は好調だがつけ入る隙が無いわけてはない。
中盤が3枚なのでやはり有効に使いたいのはサイドチェンジ。サイドチェンジから逆サイドで1対1を仕掛けられる状態を作って、坂元、為田で勝負し、ファーサイドの大久保が決めるという形が理想だろう。
またサイドで1対1を作ることができれば、ハーフスペースに清武や奥埜が飛び出していく形も作りやすい。そうなれば効いてくるのがカットイン。両サイドとも逆足かつ縦にも中にもいける選手なので選択肢は多い。
そしてこの状態を作るために重要になってくるのがビルドアップ。2トップ脇をビルドアップの出口にしてボールを運べばボールサイドのIHが出てくる。となれば3枚の中盤全体がスライドしてくるので必然的に逆サイドは空く。
セレッソにとっては久々のリーグ戦。そしてこの試合がセレッソ主催ゲームとしてのヨドコウ桜スタジアムのこけら落としマッチ。ACLで得たものを自信に変えるためにもぜひ勝ちたい試合である。
これがラストマッチになる古橋亨梧は2018年途中から神戸でプレーしているが、セレッソ戦で得点を奪ったのも、勝利したのも2019年第32節のノエビアスタジアム神戸で行われた試合の1度だけ。セレッソのホームゲームでは得点を決めたことも勝ったことも無い。
そのままの調子でグラスゴーでも頑張ってください。
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