2021年7月24日 19時00分:駅前不動産スタジアム
予想スタメン |
前節から中2日で迎える明治安田生命J1リーグ第22節、セレッソ大阪は敵地駅前不動産スタジアムでサガン鳥栖と対戦。
これがACLの日程変更分で最後の試合。そしてACL帰国後のバブル生活での最後の試合となる。
■前回の対戦
前回対戦はAマッチウィークあけの4月2日に行われた第7節。後半開始9秒に奥埜がミドルシュートを突き刺し1-0でセレッソ大阪の勝利に終わっている。
前回対戦時のスターティングメンバー |
両チームのスターティングメンバーだが、セレッソ大阪は坂元達裕、原川力が怪我で離脱したことで西川潤と藤田直之を起用。また高木俊幸も負傷離脱となったため山田寛人が今季初のベンチ入りとなっていた。一方のサガン鳥栖は負傷で欠場していた松岡大起が復帰。そして前線には直前のAマッチウィーク期間中に札幌から獲得した中野嘉大をいきなり先発で起用してきた。
試合は、最終ラインに落ちる人を代えて相手を引き出そうとする独特の可変システムをつかった鳥栖のボール保持に対し、セレッソは「ある程度、後ろの選手には持たせていい、という判断を選手たちでしていた」とのことで4-4-2のブロックを作って対応。
中を閉めてしまうことで鳥栖の前進をサイドからに限定する。
その結果ボール保持率やパス数では鳥栖が圧倒的に上回るもののチャンス自体はあまり作らせないことに成功していた。
一方の鳥栖のボール非保持は、高い位置からプレッシャーをかけにくるものの、実はそのアプローチはボールを奪い返すというよりもボール保持での可変から布陣を戻す時間を作っているというのが特徴的。これに対してセレッソはボールを運ぶ回数は少なかったものの、時折キム・ジンヒョンからアンカー脇の清武に直接つける形などで裏返すこともあった。
とはいえ全体的には落ち着いた試合。加入したばかりの中野嘉大もまだチーム内での役割が整理できていないのか、ほとんどボールに絡むことができていなかった。
後半から鳥栖は中野嘉大に代えて山下敬大を投入し林との2トップに。
しかし後半開始わずか9秒で瀬古が蹴ったロングボールを拾った奥埜がそのままミドルシュートを突き刺しセレッソが先制する。
これが鳥栖の今季初失点。なので当然ながらここから鳥栖は今季初めてビハインドの状況で試合を進めることとなるが、ここから鳥栖は苦しんだ。
鳥栖はトランジション時のプレッシングがあり、時折そこからショートカウンターを見せることもあるものの、先に書いたようにそのプレッシング自体は陣形を整える時間を作ることが目的。なので戦い方としてはトランジションに頼らない、どちらかといえば昨季までのセレッソのサッカーに近い部分がある。
しかしビハインドなので徐々に試合をオープンにしていくしかない。となると負担がかかるのがエドゥアルドとファン・ソッコの2CB。徐々にファールも増えていき77分にファン・ソッコが退場になる。
10人となった鳥栖はその後も何とか追いつこうと前がかりに攻めるが、セレッソがそのまま試合をクローズ。1-0でセレッソ大阪の勝利となった。
■現在のサガン鳥栖
現在のサガン鳥栖は10勝7分4敗の勝ち点37で4位。前回対戦でセレッソが初黒星をつけてから続く川崎F戦、1つ挟んでG大阪に敗れたもののその後持ち直しに成功。そして直近5試合では1敗3分の4試合勝ちなしからようやく前節名古屋に3-1で快勝と再び調子を取り戻しつつある。
前回対戦から4ヶ月近く経ったが基本的なコンセプトに大きな変化は無い。
3-1-4-2をベースに可変をして相手を動かしにかかる左サイドと、鋭い槍で迫る右サイド。
プレッシングがあるので誤解されがちだが、基本的にはトランジションに頼らないサッカーで、それを実現させる方法は異なるものの、コンセプトとしては昨季までのロティーナのサッカーに比較的近い。
そのため最もやってはいけないのは中途半端にプレッシングに行くこと。
昨季までのセレッソが中途半端に取りに来てくれる相手にはそれを利用して裏返していたように、鳥栖もアンカーだったりインサイドハーフだったりと最終ラインに下がる選手を入れ替えることで相手を引き出し、それでできたスペースを使って一気にボールを運び、フィニッシュまで持ち込んでくる。
一方で守備に関しては昨季までのセレッソとは違う点も多い。
その一つが前線から積極的にプレッシングに行くことだが、前回対戦時も書いたように実はこのプレッシングの目的は単にボールを奪いショートカウンターを狙うというだけではない。
狙っているのはボール保持で可変した布陣を元に戻す時間を作ること。
ミシャシステムに代表されるように、可変するということはトランジションでどうしても脆さを抱えるということでもあり、その可変が複雑であればあるほど必然的に生まれる隙も大きくなってしまう。なので相手にその隙を使わせないために、相手にその隙を使う時間を与えないために行っているのがプレッシング。FootballLABでチャンスビルディングポイントという独自の指標を出されているが、守備そのものの指標はリーグ8位だが、ボール奪取の指標はリーグ14位となっているのはそのため。プレッシングでボールを奪い返すことに成功してショートカウンターを繰り出すことができればもちろん最高だが、それ以上に相手の攻撃を遅らせたいがためにプレッシングを行っている。
このプレッシングで相手の攻撃を遅らせ5-3-2でセットすることができれば、そこからは迎撃型で対応。なのでプレッシングも含めてベースは人を捕まえる守備ということになる。
こうしてボール保持でトランジションの機会を減らし、プレッシングでトランジションの機会を減らした結果が現在リーグ最少失点数となっている。
前回対戦時から変化があった部分としては、選手が入れ替わったというところがある。
前回対戦時には加入直後ということで全くフィットしていなかった中野嘉大は左WBとして定着。ここはボール非保持こそ左WBだが保持では内側に入りアタッカーとしてプレするポジションである。その結果当初からこのポジションにはいっていた小屋松と合わせて複数の選択肢を持てるようになった。
またまだ17歳の2種登録選手である中野伸哉選手にたよりきりだった3バックの左には、ここにきて中野伸哉選手の2年先輩でもある鳥栖U-18出身の大畑歩夢が定着。17歳の選手に1年間頼るというのは流石に無理があったのでここにきて大畑が出てきたのは大きい。
この選手も本来左SBで突破からのクロスが持ち味なので、3バックの左から大外レーンにポジションチェンジしてのプレーで活きる選手である。
あと最近存在感を大きくしているのが酒井4兄弟の3男酒井宣福。林大地がオリンピック代表でチームを離れ、山下敬大が前節ベンチ外(移籍か?と一部では沸き立っていたがおそらく怪我)となった中、前々節には試合終了間際に同点ゴール。前節は逆転ゴールとFWで存在感を発揮している。
ただ、現在は練習中に金明輝監督に行き過ぎた行為があったとして監督資格停止処分中。
片渕浩一郎ヘッドコーチがチームを率いている。
■予想スタメン
サガン鳥栖の予想スタメンだが、こちらは前節が1週間前の7月17日ということで休養十分。
林がオリンピック代表で不在、山下がおそらく怪我、ファン・ソッコも怪我なので前節名古屋を3-1で下した試合と同じ11人。前線には小屋松と酒井が入ることになるだろう。
一方のセレッソ大阪の予想スタメンだが、豊川雄太、アダム・タガートも練習に復帰している様子が公式Twitterで出ていたが、こちらは前節後半の11人、高木俊幸が左SHに入る布陣を取ってくるのではないだろうか。
奥埜博亮をFWに置いて、原川力と共に古巣対戦となる藤田直之をCHに並べる布陣も面白いとは思うが、クルピ監督は評価しているらしい前節後半の流れを大切にする判断を下すように思う。
■行くのか行かないのか、どこまで踏み込むか
試合のポイントは鳥栖のボール保持に対してセレッソがどう振る舞うかだろう。
先にも書いたが、対鳥栖で最もやってはいけないのが中途半端にプレッシングに行くこと。
行くなら可変させる時間を与えないほど徹底的に行く。行かないなら前回対戦時同様に「後ろの選手には持たせていい」という判断をする。どちらかである。
また鳥栖はサイドからのクロスという形ではここまでわずか3点しか上げられておらず(セレッソは7点)、前回対戦時にもそうだったが、実はサイドからのクロスでチャンスを作るということもかなり少ない。
なので、前回対戦のように中を閉めてサイドに誘導するというのは対策としては十分成り立つ。
一方攻撃では狙いたいのはやはりトランジション。
この試合ではある程度早いタイミングで背後を狙うプレーを増やしてもいいと思う。
それをするにはまず鳥栖の一歩目のプレスを交わす必要があるが前線4人のプレッシングに対してGKやSBが逃しどころになって背後。
朴一圭の守備範囲は広くエドゥアルドも強い選手なので簡単ではないが、背後を狙って最終ラインにプレッシャーをかけ続け、負担を強いることができればほころびが出る可能性が高い。
あと避けたいのは先制されること。
昨季までのセレッソがそうだったように、こういったコンセプトのチームは先制するとめっぽう強い。ここ2試合は先制点を許すものの何とか同点に追いついているが、この試合は先制点を奪われるのが命取りになる。
この試合が終われば連戦も終了。そしてACL帰国後のバブル生活も終了する。
何とか最後に勝利して中断期間に入りたい。
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