2021年11月3日 14時00分:鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム
予想スタメン |
先週末の最高の舞台は悔しい結果に終わってしまったがサッカーは続く。ルヴァンカップ決勝戦から中3日となる11月3日水曜日に鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアムでセレッソ大阪は徳島ヴォルティスと対戦する。
■前回の対戦
前回の対戦は4月14日に行われた前倒し開催の第18節。本来ならこのカードがヨドコウ桜スタジアムのこけら落としマッチとなる予定だったが、ACLの日程変更により前倒し開催となり4月に開催。徳島が先制し一旦はセレッソが同点に追いつくも、試合終了間際に西尾のオウンゴールで失点。ホームでの対徳島戦初黒星を喫した。
前回対戦時のスターティングメンバー |
両チームのスターティングメンバーは上記。セレッソはクルピ監督が直近の試合まで新型コロナウイルス感染症の濃厚接触疑い者としてベンチから外れていたがこの試合から復帰。しかし外国籍選手はまだ隔離期間中だったことに合わせて、瀬古が欠場中、坂元と原川が怪我で離脱中ということでCBは進藤と西尾。右SHに西川、CHは奥埜と藤田のコンビになっている。徳島はダニエル・ポヤトス監督が合流前ということで甲本偉嗣ヘッドコーチが指揮をとった最後の試合。この試合は中2日での試合ということもあり鈴木徳真、渡井理己、垣田裕暉がベンチスタートとなり、岩尾憲、浜下瑛、河田篤秀が先発となっている。
最初にチャンスを作ったのはセレッソ。開始早々の3分にキム・ジンヒョンの空間に落とすパスで清武にボールを届けると、西尾、藤田とつなぎ一気にDFラインの背後に飛び出す豊川へ。豊川はGK上福元と1対1の状況を迎えるもシュートはポストにあたりゴールにはならなかった。
まだ試合の流れが決まる前に迎えたビッグチャンス。ここでもしセレッソが先制できていればまた違った試合展開になっていたのだろうがそうはならなかった。
セレッソが先制できなかったことで時間の経過とともに準備の差が出てくる。
セレッソにとってまず驚異になったのは徳島のプレッシング。
徳島の2トップがセレッソの選択肢を削るような形でボールをサイドに押し込んでいき、サポートに降りるCHもCHが前に出てきてケア。となるとセレッソは苦し紛れにSBやSHに出すしかなくここをSHやSBで潰しに来る。もしこの追い込みが上手く行かなければプレスはやめてブロックを下げるのだが、まんまとハメられたのが15分の宮代の先制点の場面。時間を削られて縦にけるしかなかった松田陸から西川へのパスをジエゴに奪い返され、ここからショートカウンター。内側の3つのレーンを浜下、河田、宮代で綺麗に分担し、最後は河田が下がって空いた中央レーンに宮代が入ってきて鮮やかに決められてしまった。
ここからは完全に徳島のターン。徳島の左SBのジエゴが最終ラインに残るビルドアップに対して4-4-2のセレッソは前から取りに行きたいのだが守備のスタート地点も定まらず。
徳島のボール保持に対して後手を踏む場面ばかりが続いていた。
しかしそんな中でも唐突にセレッソは同点ゴールを決める。
奪ったのは藤田のロングスローからこれを進藤が直接頭で合わせてゴール。34分にセレッソは力技で同点に追いつく。
こうしてセレッソが同点に追いついたとはいえ試合をコントロールしているのは徳島。なので試合展開は変わらない。クルピ監督は守備のスタート地点が定まらないことを受けて後半開始から大久保と西川に変えて加藤と中島を投入。さらには66分に清武に代えて夏に広島に復帰した松本泰志を左SHに入れるが、選手の問題ではないので状況は変わらない。セレッソとしてはこの時点で事前に準備していたゲームプランは完全に崩壊している。
そういった状況でセレッソができることは試合をオープンにすることぐらい。クルピ監督得意のちゃぶ台返しである。しかしこの試合の徳島はそれにもほとんど乗ってこなかった。
そんな展開の中で生まれたのが徳島の決勝点、岸本のクロスを西尾がクリアミスしゴールネットに吸い込まれるオウンゴールだった。
この場面だけを見ると完全に西尾のミスだがセレッソは試合を動かそうとリスクを負い、テンポをあげようとしていたのでCBにはかなりの負担がかかっており、それがミスに繋がった。
クルピ監督は試合後のフラッシュインタビューで「引き分けが妥当だった」と語っていたが、内容的には完敗だった。
■現在の徳島ヴォルティス
開幕直後の5試合は2分3敗と苦しいスタートだったが、その後前回対戦までの5試合を4勝1敗の好成績だった徳島ヴォルティス。10試合目のセレッソ戦を最後にダニエル・ポヤトス監督がチームに合流し甲本コーチから引き継ぐと、その後はなかなか勝てない、苦しいシーズンを迎えることになる。
ポヤトス監督もリモートでミーティングなどには参加していたそうだが、甲本コーチは前任のリカルド・ロドリゲス監督時代からのコーチ。なのでそれまでのやり方はリカルド・ロドリゲス監督4年間をかけて築いてきたチームの延長線上にあったが、ポヤトス監督になったことで当然ながら変わったから。言ってみればシーズン途中に監督が変わったような形になってしまった、ならざるを得なかったからである。
リカルド・ロドリゲス監督もポヤトス監督も同じスペイン人なので共通点もあるが、日本人監督が皆同じサッカーをしないように当然ながら違う点も数多くある。
リカルド・ロドリゲスはこれまで小さいクラブの監督やコーチを勤めてきたことに対してポヤトス監督は育成年代を中心に指導者を勤めてきた人物。これまでのキャリアを見ても全く異なる。
今回が初対戦となるポヤトス監督に対してリカルド・ロドリゲス監督はセレッソも今季これまで4度にわたって対戦し、さらに12月には5度目の対戦を控えているのでなんとなくイメージしやすいかと思うが、この2人を比較するとリカルド・ロドリゲスの方がかなり尖っている。トレーニングを見たわけでも無いし、チームを追いかけてきたわけでも無いが、リカルド・ロドリゲスのチームはおそらく約束事はかなり細かそうである。それに対してポヤトス監督はどちらかといえばオーソドックス。もちろんスペインの考え方がベースにはなっているがリカルド・ロドリゲスがやるような大胆な列移動やレーン移動は少なくなっている。
ポヤトス監督がチームを率いてからは厳しい期間も長かったが、第30節に残留争いの直接のライバルである仙台に劇的な形で勝利を奪うと、翌節の鳥栖戦では3-0と快勝。
その翌節にこちらも残留争いのライバル横浜FCに激しい点の取り合いの末に3-5で敗戦。続くライバル対決大分戦では1-1の引き分けに終わり、残留争いの直接のライバル対決3試合は1勝1分1敗という成績に終わり、まだもう1試合すぐ上の順位にいる湘南との試合を残しているものの、降格圏から抜け出せていないが、内容的には上向いているように感じている。
そのわかりやすい例が夏に加入したムシャガ・バケンガ。コンゴ民主共和国にルーツを持つノルウェー代表に選ばれた経験もあるFWだが、この選手は意外と器用というかプレーの幅が広くて前線中央で身体能力を活かすだけではなく、レーンを移動しても難なくプレー出来る。
バケンガが加入してから採用されているのがエースである垣田裕暉とバケンガの2トップ。徳島はボール保持で3-2-5の立ち位置を取ることが多いが、これまでは相手の守備陣形を動かすための有効な手段として持っている中央から垣田がサイドに流れるというパターンはあるものの、これを使うと起点は作れるもののゴール前で仕事ができる選手がいなくなる、しかし垣田がサイドに流れないと相手にセットされた時に崩す手立てがなくなるというジレンマをかかえていた。
しかし2トップを採用したことで垣田とバケンガ(もしくはG大阪から夏に加入した一美)を起用することができ、垣田がサイドに流れても中央で勝負できる選手がいる状態を作れるようになったのだ。
実際に2トップを採用する前は5試合連続無得点という厳しい試合が続いていたが、2トップになった川崎F戦以降は5試合連続得点中。それまでの総得点数で下から2番目3番目あたりで得点力に大きな課題を抱えていただけにこれは大きい。
■プレビュー
徳島ヴォルティスの予想スタメンだが、徳島にとってこの試合は中10日で迎えるので休養十分。最も得点の可能性を感じさせる垣田とバケンガの2トップが継続となるだろう。となると宮代は右、その後ろに古巣対戦となる岸本という並びになるだろう。
中盤に関しても岩尾の相方は藤田譲瑠チマで継続か。そしてGKには、勝てない時期は長谷川徹が起用されることもあったが上福元直人になるだろう。
セレッソ大阪の予想スタメンだが、こちらはルヴァンカップ決勝戦から中3日での試合となるが、あえてそこから代えないのではないかと予想している。
なので加藤と山田の2トップ。右に坂元、左に乾で清武はベンチスタートである。
もし代えるとすれば、奥埜が天皇杯準々決勝、ルヴァンカップ決勝と続けて先発しているので、奥埜に代わって藤田ということろかだろうか。
■1列目の守備強度を維持できるか
徳島の攻撃で一番やっかいなのは、先にも書いた垣田がサイドに流れるパターン。何が厄介かというと中央からSBの背後に飛び出すのでCBが引き出されるからである。
そこにはビルドアップでCHからシンプルにサイドのスペースにボールを入れてくることが多い。
セレッソは4-4-2なので徳島のビルドアップの形はおそらく左SB残しの3バックになるかと思われるが、ここをセレッソの守備の1列目、2トップがどれだけ正しいポジションをとれるかがポイントになるだろう。
そして徳島はこのサイドのスペースを作るためにSBを引き出すことをかなり丁寧に狙ってくるのでCHのポジショニングも含めその準備も必要だろう。
そしてもう1つ気をつけたいのは前回痛い目を見た徳島のプレッシングである。
やはり徳島は選択肢を削ってサイドに追い込んでくるプレスのかけ方は上手い。バケンガもトランジションも含め守備の意識は低くない。
キム・ジンヒョンのポイントに落とすパスはセレッソの大きな武器ではあるが、これだけでなくボールの動かし方、逃し方も重要になってくるだろう。
ただしプレスに行くということはCHの背後は狙い目。ここで起点をつくることができればかなり優位に立てる。
また徳島に対してはセットプレーも有効。上福元は足下の技術は高いがハイボールにはどうしても不安があるので、セットプレーはチャンスになりえる。
先週末は失意の敗戦に終わったわけだが、サッカーは続いていくので気を落としている暇は無い。
ここで勝ち切ることができればチームにとっても大きな一歩になるはず。このタイミングだからこそ勝ち点3を持って帰りたい。
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