2021年11月29日月曜日

11/27 明治安田生命J1リーグ第37節 VS. 名古屋グランパス @ ヨドコウ桜スタジアム


スタジアムヨドコウ桜スタジアム主審松尾 一
入場者数10,313人副審中野 卓、勝又 弘樹
天候 / 気温 / 湿度晴 / 13.4℃ / 40%第4の審判員鈴木 規志
VAR吉田 哲朗
AVAR唐紙 学志

セレッソ大阪C大阪

 

名古屋グランパス名古屋

 
  • 監督
  • 小菊 昭雄
 
  • 監督
  • マッシモ フィッカデンティ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「収容率「50%以下」)での試合開催
※「ワクチン・検査パッケージに関する技術実証」対象試合のため、

入場人数の制限を緩和しての開催


<監督コメント>


<選手コメント>


明治安田生命J1リーグ2021もホーム最終戦となった第37節、セレッソ大阪が本拠地ヨドコウ桜スタジアムに名古屋グランパスを迎えての一戦は先制を許すも2-1で逆転勝ち。いくつもの問題と向き合うこととなったシーズンだったが何とか最後のホームゲームでは有終の美を飾ることができた。

■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーは、前節から2人入れ替え。加藤陸次樹と原川力が外れ大久保嘉人と藤田直之が入った。
大久保は引退発表後最後のホームゲームで第30節の鹿島戦以来およそ2ヶ月ぶりの先発となる。
ベンチには先発を外れた加藤が入った他、為田大貴、中島元彦、豊川雄太が入っており、前節からは西川潤、高木俊幸が外れることとなっている。
ちなみにおよそ1ヶ月前に行われたルヴァンカップ決勝から見ると3人入れ替え。加藤、原川の他、手術によりチームを離れた乾貴士が外れ清武弘嗣という形になっている。

名古屋グランパスのスターティングメンバーは、前節と全く同じ11人。前節ベンチ外となったマテウスは復帰したもののベンチスタートとなり、その分前節のベンチからは金崎夢生が外れることとなった。
こちらも1ヶ月前のルヴァンカップ決勝から見ると、入れ替えは1人のみ。マテウスに代わってルヴァンカップ決勝ではベンチスタートだったシュヴィルツォクがトップに入り、トップでの出場だった前田直輝が右SHという形になった。

■名古屋に守備の基準点を作らせないセレッソ

今季4度目の対戦となるこのカード。さすがに天皇杯準々決勝からルヴァンカップ決勝までの中2日という日程に比べると、ルヴァンカップ決勝から今回の対戦までは時間が空いているがそれでも約1ヶ月。この短期間で大きくチームが変わるようなことはないので、天皇杯で敗れたセレッソに対して名古屋がルヴァンで対策を打ったという構図と同様に、ルヴァンで敗れた名古屋に対してセレッソがどういう対策をとるかがこの試合のポイントだった。

試合の立ち上がりはそのルヴァン決勝よりも守備のスタートを変えてきた名古屋に対してセレッソはビルドアップのミスから2度ほどボールを失うが、徐々にセレッソも今回の名古屋のやり方を理解するようになる。

名古屋の守備のスタート位置が変わっていたのはスタートからほぼ4-4-1-1の様な形で守備をしていたから。
天皇杯では柿谷とシュヴィルツォクが前線で並ぶ4-4-2にしてCHでCHを捕まえようとしたが、その結果CHの背後を何度も使われることになった。なのでルヴァンでは2トップを柿谷と前田にしてCBにはほぼプレッシャーをかけずに2トップはCHへのパスコースを消す意識を強めることでできるだけセレッソには外回りでボールを持たせ、CHは前に出ていかずにスペースを埋めることに専念した。
そして今回はスタートからシュヴィルツォクを起用したのでルヴァンでの前田の様な守備は期待できない。ということで、シュヴィルツォクにはある程度守備の負担は減らすが、その変わりに4-4-1-1にすることで1-1の後ろにいる柿谷がセレッソのCHをまず捕まえに行く形にする。
こうすればセレッソがCBから簡単にCHにボールを入れることもできないし、CHでCHを捕まえに行くこともあまりしなくても良い(背後を使われる心配もない)。そしてCBからCBにパスが出れば通常通りSHでアプローチにも行くことができる。
名古屋の守備はプレスバックもポジションに戻ることも熱心に行うが、ベースになっているのはかつてのセレッソの様な典型的なゾーンディフェンスではなく対面の人を捕まえる意識の強いやり方なので、マッチアップをはっきりさせることで整理してきたのだろう。

この名古屋のやり方を受けてセレッソは6分にまず藤田が動く。藤田がCBの間に降りる動きを見せた。こうなると柿谷はCHが基準になっているので1つ前に出てくる。となると名古屋としては4-4-1-1の形ではなくなるのだがセレッソのCHも1枚減るのでCHの位置で2対1。1人がCHに対応したとしてももう1人は浮いてるので例え清武や坂元が背後に入ってきたとしても対応できるからOKという計算だったと思う。
しかしこの試合では清武はCHの背後に立つのではなくCHの前まで降りてきた。これはルヴァン決勝に向けた名古屋の修正で天皇杯の時の様にCHの背後でボールを受ける場面をなかなか作ることができなかったからだろう。CHの背後をとるのではなくまずはCHを動かすために前に降りてくる様に変えていた。
そしてここで清武が瀬古からの縦パスを受けるとワンタッチで奥埜に、そして奥埜は後ろから出てきた西尾へ。
その後西尾は大久保へのスルーパスを狙うもボールが長すぎゴールラインを割ってしまったが、セレッソにとってはビルドアップとしては成功。名古屋にとってはうまく制限をかけることができなかった。

このCHの前まで降りていく清武をどう捕まえるのかがハッキリしなかったのが続く8分の場面。

坂元から藤田にボールを戻すと柿谷が藤田にアプローチをかけるがここでワンタッチで再び降りてきた清武へ。この時宮原が前田に「清武に行け」という指示を出しているが、距離も遠かったので寄せきれず清武が前を向く。となると外には丸橋もいるので下がってポジションを取り直すことになり、清武には木本と稲垣のCHで対応。しかしここでも寄せることができず、清武から一気に大久保へのスルーパス。
大久保のシュートは左に外れたが決定機だった。
セレッソも小菊監督就任直後には何度もやられたが、ここでフリーで前向きにボールを持たせて仕舞えば当然精度の高いスルーパスが出てくる。しかもボールを持っているのが清武なら尚更である。

この後もFKから丸橋のシュート、さらにプレスから大久保、清武とセレッソがペナルティエリア内でチャンスを迎え、12分には名古屋も相馬が一気にドリブルで運ぶ場面もあったが、この流れが決定的になったのが13分のセレッソのビルドアップ。

ここでは奥埜がCBの間に降りたところから、瀬古と清武のパス交換の間に坂元が右サイドの大外にポジションをとるとそれを見た松田陸が内に入ってCHに。
松田陸に対してはマッチアップしているのは相馬なので相馬が絞って対応しようとするが、相馬にはここまで絞って大丈夫なのかという問題が出てくる。相馬は絞れば絞るほど右の大外にいる坂元へのパスコースは空くし、ボールが入った後のサポートも遅れる。
それを見た松田陸がCHとSHの背後に入っていくとそこに奥埜からパス、そして前を向いた松田陸から大久保に渡り大久保がシュートを放った。

現在のセレッソはボールを運んだ後に手探り状態になることが多かったのだが、この試合ではスムーズとまでは言えないものの比較的マシだったのはチームの全員が大久保にゴールを取らせたい、フィニッシュは大久保でという思いがあったからだろう。
ということでここからも何度も名古屋ゴールに迫るセレッソ。ランゲラックがスーパーセーブを連発したことで得点を奪えなかったが、前半の半分にして得点が入っていてもおかしくない展開が続いていた。
そこで名古屋は、飲水タイムの後からハマらない4-4-1-1をやめて柿谷をシュヴィルツォクと同じ高さに出す4-4-2で、天皇杯で対戦した時までの形に変えるが、こうなるとCHの背後を使われ29分には奥埜からのパスで山田がランゲラックと1対1の形を作り、直後のCKで瀬古。さらに33分には大久保、34分にはCKから西尾と立て続けにチャンスを作る。

これを受けた名古屋は、この34分のCK直後にフィッカデンティ監督が指で3の合図を出して柿谷が中盤に落ちる4-3-3に布陣を変更。
CH周りをどうしても使われるので、前線の人数は減ってしまうが、セレッソのCHに対してIHでマッチアップを合わせながらもCHの背後に人をおける中盤センターの枚数を3枚にした4-3-3にする。

しかしそうなると今度は木本の脇、いわゆるアンカー脇をセレッソが使い始める。
これまで2人だった中盤センターが3人になるので実際にはこのアンカー脇という場所は存在しないはずなのだが、前線の枚数が1人になったことでボールホルダーにプレッシャーをかけにくくなり、その分セレッソのCHに対してIHが前に出ていく機会が増えるのでどうしても中盤にギャップができやすくなる。ここで受けれるのが、清武、坂元だけでなく山田。山田はサイズがあるので勘違いされがちだが、実際には降りてきて間で受けたり、スピードを活かして背後に飛び出すのが上手い選手である。ただこのプレースタイルならもう少しボールコントロール、特にファーストタッチのコントロールを丁寧にしたいところ。あとはルヴァンカップではすでに記録したがリーグ戦では未だ今季ノーゴールのシュートの部分も改善したい。

■名古屋のボール保持

ここまでは名古屋の非保持、セレッソのボール保持に焦点を当てて書いてきたが、名古屋のボール保持にも触れておこう。
名古屋もボール保持では何度か相馬がスピードと突破力を活かして何度かシュートまで持ち込む場面を作っていたが、どうしても単発になっていた。
というのも名古屋の特徴の1つであるロングボールをセレッソの守備によってあまりうまく使うことができていなかったからだ。
名古屋のロングボールと言ってもCFに直接当てるようなボールはあまりない。これはシュヴィルツォクが身長はある程度あるもののそんなにロングボールのターゲットとなるような選手ではないから。なのでゴールキックでのターゲットはシュヴィルツォクではなくCHから前に出た木本で、シュヴィルツォクはその奥に立っていた。
なので名古屋の使うロングボールはオープンサイドを使おうというもの。
セレッソを片側に寄せてから逆サイドに長いボールを当て、そこから相手の人数が揃う前にSHのスピードと突破力を活かそうというものである。
しかし名古屋はこれがうまくいかなかった。名古屋はセレッソの陣形を片側に寄せるためにサイドのSBなどに一旦ボールを出すものの、そこからCBに戻したところでセレッソが一気にプレスをかけてくる。
となると長いボールを蹴る時間もスペースもなかなか作れない。
前半の早い段階からセレッソはプレスをかけてボールを回収する場面が目立っていた。

名古屋は4-3-3になってからはアンカーの木本がドリブルで持ち出そうとするプレーも見られたが、それもなかなかうまくいかなかった。

前半0-0は、スコアだけ見ればロースコアの戦いを得意とする名古屋にとって悪くない様にも思えるが、試合後のコメントでフィッカデンティ監督が「前半、0-0という形で終わったというのが「助かったな」としか言えないぐらい」と振り返った様に名古屋にとってはかなり難しい前半。セレッソにとってはランゲラックの壁に跳ね返されたが少なくとも1点、2点、3点と決まっていてもおかしくない前半だった。ランゲラックはキックとかビルドアップの部分では物足りなさを感じることもあるが、ゴールマウスでの安定感やシュートストップはずば抜けてすごい。

■名古屋が先制


後半開始から名古屋は2枚替え、前田と木本に代えてマテウスと長澤和輝を投入。そしてさらに55分にはシュヴィルツォクと相馬に代えて山﨑凌吾と齋藤学を投入する。また布陣もスタートの4-2-3-1に戻した。

ハーフタイムの名古屋の修正としては、守備のスタートは柿谷を1つ前に出した4-4-2でボールを運ばれると柿谷も中盤に戻す形。
名古屋は引くのではなく前への意識を持ちながらミドルゾーンのブロックを維持。そしてボール保持ではロングボールで速い攻めをするのではなく、稲垣をCBの間に降ろしある程度ボールを持つ時間も作ろうというものだった。
なのでボールを受けられる長澤、そしてレーンを移動し間でもプレーできる齋藤という選択だったのだろう。
またシュヴィルツォクに関してはカウンター気味にサイドで一気にボールを運ぶ回数が減る分どうしても最前線は身体をはった泥臭い仕事が増えるので、得点力という部分では劣るがそれを忠実にこなせ、また守備でも頑張れる山﨑という判断だったのだろう。

この交代によって名古屋の攻守が劇的に改善されたというわけではなくセレッソが攻め込む時間の方が長かったが、徐々にブロックの中にはあまりボールを入れられなくなり試合は膠着状態に。セレッソは前半の様にブロックの中から順にスペースを作れないので一発で前線を狙うボールも増えていた。

そんな展開の中で先制点を奪ったのは名古屋。
FKからサイドに展開したボールが中に入ってからのセカンドボールで中谷のコントロールが少し乱れると、それを拾った柿谷がボールを自ら浮かせてオーバーヘッドでシュート。これがゴールネットに吸い込まれ67分に名古屋が先制に成功する。
シュートとしては思い切って狙った一か八かみたいなシュートだが、こういう思い切った決断ができるのが我々もよく知る柿谷曜一朗。
10年以上前に当時のセレッソの指揮官だったクルピ監督が「シンジ(香川真司)とヨウイチロウ(柿谷曜一朗)は非常に対照的なところがあり、シンジの場合はプロフェッショナルとして責任感が強いが故にミスを遅れてしまうところがある。逆にヨウイチロウは責任感がないが、ゆえに時として非常に勇気のあるプレーができる」と評したことがあるが、まさにそのイメージ。もちろん柿谷も当時から比べると責任感も増し、特に名古屋に移籍してからはセレッソ時代に周りに求められ自分もそうなろうとした「セレッソの8番」を下ろすことができたことで、すっかりチームのためにプレーする選手になったが、この場面でこういう選択ができるのが柿谷である。

■セレッソが逆転に成功


この失点を受けてセレッソは68分に山田に代えて加藤陸次樹を投入。大久保はまだピッチに残す。

先制した名古屋はここでも引くのではなくプレスの意識を残しながらミドルゾーンでのブロックを継続。しかしこの試合のセレッソは前半から何度もボールを運んでいたことで、この名古屋のプレスを全く苦にしておらず、また加藤が投入されたことで高い位置を維持しようとする名古屋のDFラインの背後を狙うプレーを増やし始める。

ということで、セレッソが名古屋のラインの背後をついてサイドのスペースに飛び出した大久保に長いボールを入れ、そこからの折り返しを加藤が狙うという場面を作ると、藤田がクロスバー直撃のFK。そして右サイドからのクロスに坂元が飛び込む場面、そして松田陸がGKとDFラインの間に速いクロスを送る場面と立て続けに名古屋ゴールに迫る形を作る。
おそらくこの試合で最も大久保へのパスを意識していたのは松田陸だったと思う。

そして80分に決めたセレッソの同点ゴールはFKから。大きなサイドチェンジのパスでDFラインの背後へ飛び出す丸橋をマンツー気味に捕まえるマテウスが倒してしまいFKを獲得すると、このFKからのこぼれ球を藤田がダイレクトで左足ボレー。これがランゲラックの牙城を崩しゴールネットに吸い込まれた。
この藤田のボレーシュートも柿谷同様に思い切って狙ったというタイプのもの。ただ、ここまでセレッソが何度も押し込みセットプレーが続いていたことで藤田は思い切って決断することができた。

ここまでの展開としては名古屋も引いた方が良いのかそれともこのままミドルゾーンを維持したほうが良いのかを少し悩んでいたのではないかと思う。それほどセレッソが背後を狙ってゴールに近づく場面が多かった。ただここまでの展開を考えると引いても守り切れるかどうかは微妙。そして引いてしまうとカウンターも出せない。そんなところだったのではないかと思う。
ただ、もう後5分0-1のまま試合が進めば名古屋もさすがに引く選択をしたと思う。

追いつかれた名古屋は83分に柿谷に代えて森下龍矢を投入。齋藤がトップ下に移動する。そしてセレッソは85分に大久保に代えて豊川雄太を投入。セレッソの交代の方が少し後なのは1-1になった後の名古屋の出方を見たんだと思う。
そして名古屋の決断はミドルゾーンの継続。名古屋としては3位以内のためには勝たなきゃいけないのでそうなるのだろう。そしてセレッソはミドルゾーンなら背後を狙える豊川ということだろう。

そしてDFラインの背後を狙ったボールからCKを獲得すると、清武のキックを西尾が頭で合わせてゴール。88分にセレッソが逆転に成功する。
これまでインスイングのボールを続けていたが、ここでアウトスイングのボールに変えたことでゾーンで守る名古屋が対応しきれなかったし、後半だけでセレッソは7本のCKを蹴ったように名古屋はあまりにもCKを与えすぎた。

そしてセレッソは90+1分に坂元に代えて松田力を投入。

最後名古屋はキム・ミンテを前線に上げてパワープレーを狙うも効果的なチャンスを作るまでには至らず。
2-1のまま試合終了。小菊監督就任後初めての逆転勝利、名古屋にとっては今季2度目の逆転負けとなった。

■その他

無事勝利をあげることとなったが、いかにも4回目の対戦だなという試合だったと思う。
ルヴァンカップ決勝では名古屋が3度目の対戦ということを活かした勝ち方をしたが、この試合では逆の展開になった。
1ヶ月空いたとはいえこのレベルの対戦になると短期間の試合で連勝するというのはかなり難しい。
先制すると圧倒的に強い名古屋は、先制はしたもののそれ以外の部分ではあまりにも苦しかった。

これで今季のホームでの試合は終了。
昨季に比べるとまだマシにはなったがそれでもコロナ禍でこれまでの様にはいかない中でのシーズン。そしてクラブ自らの判断で難しい戦いを続けることになってしまった厳しいシーズンだったが、何とかJ1残留という最低限の目標を達成し、ホーム最終戦を終えることができた。
試合運営に携わっていた皆さんありがとうございました。そしてセレッソガールとして活動されていた皆さんもお疲れ様でした。

残りリーグ戦1試合と天皇杯。小菊監督も試合後に語ったが大久保嘉人のためにも有終の美を飾れるように、残り「3試合」を3連勝で終えましょう。


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