セレッソ大阪:ケンペス(17') ブランキーニョ(67')
モンテディオ山形:なし
フォーメーション |
GK:21 キム ジンヒョン
DF:4 藤本康太 14 丸橋祐介 17 酒本憲幸 24 キム・ソンギ
MF:10 ブランキーニョ 13 柿谷曜一朗 18 横山知伸 25 黒木聖仁
FW:9 ケンペス 26 村田和哉
交代:キム ジンヒョン→松井 HT(46')黒木→舩津(58')柿谷→(吉野 58')村田→永井 (58')ブランキーニョ→井上(67')ケンペス→後藤(80')酒本→小暮※(90')
※セレッソ大阪U-18
■モンテディオ山形
GK:1 清水健太
DF:2 小林亮 5 前田和哉 3 石井秀典 13 石川竜也
MF:15 宮阪政樹 11 北村知隆 8 船山祐二 30 山﨑雅人
FW:18 萬代宏樹 9 中島裕希
交代:船山、北村、山﨑→伊東、秋葉、比嘉(60'すぎ)
U-23代表に選ばれた、扇原、山口、杉本、キム・ボギョンとケガの清武を欠いてはいるけど、監督が代わってはじめて見る試合。
試合展開というよりも新しいセレッソはどうなるのかを中心に書いていきます。
■マッチアップ
マッチアップ |
ぱっと見た感じこの中ではきっと村田のポジション・役割が一番気になる部分かと思うのでそこから。村田の役割は普通にFW。ケンペスを1トップ気味にして少し引いた位置という訳でもなく、ウイング気味に張らせるのではなく、完全に横並びの2トップ。
このセレッソの形は山形のフォーメーションに合わせてという事では無いと思うけど、一応山形の方も紹介しておくと、中盤をダイヤモンド型にした4-4-2でトップ下に山﨑が入りワンボランチの位置にはルーキーの宮阪が入っていた。
■ビルドアップ
2011シーズンのまとめでも書いた様に、ビルドアップの仕組みはセレッソの大きな特徴の1つであり、その仕組みはマルチネスに依る部分も大きかった。それが、監督が代わり、フォーメーションも変わり、さらにマルチネスがいなくなった事でどう変化したのか。
先ず、ビルドアップのスタート位置は昨シーズンまでほど低くはありません。
昨シーズンまではビルドアップを低い位置から始める事で相手DFとMFの間のスペースを広げるという効果も狙っていたけど、それは別の方法で行うようです。
■ビルドアップの仕組み1
ビルドアップ1 |
・両CBが開く
・両SBが同時に上がる
・CB間にボランチの1枚が下りてくる
・もう1枚のボランチは中央に出る
ところからはじまる。
ここでは下りてくるボランチを右側に入った横山、中央に出るボランチを左側に入った黒木としたが、黒木が下がり横山が前にでる場面もあったのでどちらか1方がという感じかもしれません。(ただ横山が下がる事の方が多かった。)
また図では最終ラインにまで入っているが山形は最終ラインに対してそれほどプレッシャーをかけて来なかったので、相手の状況によりそこまで下りない場合もあった。
要はこれによって相手2トップに対して3人という最終ラインで数的有利を作ってボールを落ち着けていた。
この時前線はどうなっているかというと、
最前線のFWは、
・FWの1枚(村田)は相手の背後のスペースを狙う。
・もう1枚(ケンペス)はポストができる位置に顔を出すか、村田が動いた後のスペースに入る。
なので最終ラインでボールを落ち着けている時にFWに出せる状況だと最終ラインから一気に裏やポストなどのパスを狙っている。
2列目に入る柿谷とブランキーニョは、
・SBの前のサイドのスペースに出る
・SBの横中央よりに少し下がってきて顔を出す
のどちらかにポジションを取る。
これは、相手の状況なのか前に出た方のボランチとの兼ね合いなのか、どういう使い分けなのかは残念ながら把握出来ていません。
この時はもちろん裏に抜ける村田やケンペスに1発で入れば最高なんだろうけど、まずは前に出たSBへパスを出すことを狙っている。なので、SBにパスが入るまで後ろの3人でボールを動かしていた。
この時点でのポイントはトップ下のポジションには基本的に誰も入らない事。
両SHは原則サイドに張っている状態だし、ケンペスもこの時点ではそれほど引いてこない。また中央にいるボランチもそれほど前には出て行かない。後ろでボールを回している時点ではあえてこの位置をあけている様に見えた。
途中でも書いたように山形がそれほど前からこなかったので、例えばここで相手が前から来た時にどうなるのかはわかりません。ただその分この日はジンヒョンをつかってやり直すという場面もほとんど無かったので3人+ジンヒョンという形になるのかなと。
■ビルドアップの仕組み2
ビルドアップ2 |
またその際には、
・逆サイドのSBは最終ラインに下がる
・降りていた方のボランチはSBのサポートに上がる
・ボールサイドの2列目は、縦に出たり中に近寄ったりする
ボールを運ぶのは原則SBになっている様で、ボランチや2列目はそのサポートをするという感じか。ここで前が詰まってボールを運べないともう一度後ろにボールを下げてビルドアップ1の形に戻る。
SBがボランチや2列目との関係でボールを運べると、ここではじめて予め開けていた中のスペースに2列目やケンペスが下がって入って来る。
きっと最初は中央を空けておく事ってのが約束事としてあって、それを意識しすぎていた事や、復帰の柿谷を含めて新しい選手が多かった事もあったからだと思うが、ここから中のスペースを使うという部分はミスも多かったりして現段階では上手くいっていなかった。
あと今回の図では丸橋にボールが渡った状況で書いたが、これは丸橋だけってわけではなく逆サイドの酒本でも同じような動きになっていた。
■ビルドアップのまとめ
4-4-2のボックスって事は当たり前だけどトップ下と呼ばれる場所に選手がいない。
考え方としては、予めここに選手がいればそれを防ぐ為の選手が必ずいる事になる。ってことはここのスペースは狭くなる。そしてここは相手にとって最も危険な場所なのでこの場所を消そうと躍起になる。
なので、ここにあえて空けておく。さらに村田が裏のスペースを狙う事で、最後の場面で使うために相手CBの前にできるだけスペースをつくりたいということなんだろう。
いないメンバーも多かった事や、ビルドアップの最初の段階でボランチが縦関係になった時に黒木があまり効果的なプレーを見せられなかった事(連携の問題が大きく黒木だけが原因ではない)も影響しているとは思うが、この新しいやり方はSBの役割がかなり重要になっていた。昨シーズンまでも「丸橋からシャドーへの斜めのパス」が攻撃のスイッチになっており重要な役割を担っていたんだけど、今年はさらに組み立ての関与も増え、またボールを運ぶ事も求められている。そして逆サイドにボールがある時は最終ラインに戻らなきゃいけない。
丸橋も酒本も元々前の選手で、彼らだからこなせるだろうという事なんだろうけど、この2人がもし欠けた時に同じ役割をこなせる選手はいるのか?とも感じました。
■守備
前からのプレッシング |
特に前はもうマッチアップが決められてるんじゃないかってぐらい前から抑えにかかる。
ボールを失えば切り替えを早くしてプレッシングと最終ラインをプッシュアップするというのが徹底されていた。(緩んで来るとベンチから声がかかっていた。)
山形は今シーズンボールを繋ぐサッカーを目指してる様で、GKが持った時は両SBが引いてボールを受けようとするんだけど、そこにも2トップが素早く必ずマークに行きボールを出させないぐらい徹底されていた。
このプレスをかいくぐられたり、またミスからボールを失いプレスに行けなかった場面で利いていたのが横山。
横山はビルドアップの場面でもリズムよくボールを受けて散らすというプレーも見せており、さらに守備でも真ん中でハードにがっちり体を張って守る事ができていた。また高さもあるので、前プレでGKが蹴ったボールをCBの前で弾き返す事ができるのがかなり効果的だった。
■試合内容
試合はケンペスとブランキーニョのゴールで2-0だったが、山形は萬代や中島が決定的なチャンスで外していたし、セレッソも上にも書いた折角空けていたバイタルを上手く使えていなかったのでチャンスの数自体は少なくまたミスも多かったので、普通に考えれば同点ぐらいの内容だった。
ちなみに1点目のケンペスのゴールはオーバーヘッドだったけど、村田のクロスが山形DFにあたったこぼれ球。
2点目のブランキーニョは左サイドからのFKで、中で合わせるボールがそのまま入ったというものでした。
■雑感
この日一番好印象だったのは横山。
上にも書いたようにビルドアップでも守備でもかなり利いており思ってたよりもずっといい選手でした。
その前の練習試合甲府戦では扇原・山口のU-23コンビがスタメンだったようですが、横山がこれだけできるなら普通にスタートでいいんじゃないかと。
ケンペスはまだちょっと重いのかなと感じる部分もありましたので正直まだわからないです。村田が裏やサイドに大きく動く分ポストも行っていましたが、真ん中でどっしりと陣取るガッツリとしたポストプレーヤーではなくきっとムービングタイプじゃないかと感じました。体の強さは十分ありそうでしたけどね。
ブランキーニョははじめての実戦って事でさらに連携不足を感じさせる場面も多かったけど、テクニックがあり幅広く動ける選手でした。ただこの試合の中では一番守備をサボっていましたが(笑)。
柿谷は、彼だけの問題ではないけど連携不足というか最後のバイタルを上手く使えていなかったのでそれほど効果的なプレーはありませんでした。が、やっぱりメチャクチャ上手いです。ボールタッチ、パス、フェイントどれを取ってもやっぱりあの柿谷でした(笑)。
ちなみに交代選手は全てそのままのポジションに入っています。
また、村田はウイングというより完全にFWとして起用されていました。
もちろんサイドに流れてプレーする場面もありますが、基本そのスピードは裏を狙う為に使われていました。
どこまで書いていいのか迷いましたが、書く事に問題は無いという事なので思い切って書く事にしました。どんな内容を書くかまでは理解されていないと思いますが・・・まあいくつかは書いていない部分もあります。
それに中心選手を何人も欠いている状態なので開幕の時にはまた少し変わっているでしょうしね。もし問題があるようなら消しますのでおっしゃってください。
あと山形も去年までの印象とはかなり変わっていたのでもう少し細かく書いてやりたい気持ちもありましたが、こっちはあまり書いてはいけない様なのでやめときました。
noncyanmanです。
返信削除今年も宜しくお願いします。
いつも楽しみに拝見しております。
いくつか質問があります。
お時間の空いている時に教えて下さい。
①村田について
:去年はSHのジョーカーでした。
清水戦のようにサイドに張ればよさは引き立ちますが、
ガス戦のように中だと、たくさんの選手に囲まれて、ボールロストか、裏へのタイミングも合わず孤立、他の選手との連携から崩すなどの引き出しが少ない。このような印象がありました。
2トップでどんな印象をもたれましたか?
あと、前プレの意識も強いみたいですが、村田自体の守備力はどうでしょうか?
仙台戦・清水戦ともに守備の軽さを感じたので。
②トップ下のスペースはどのように使えば良いでしょうか?
:トップ下のスペースが上手く使えていないとのことですが、その位置に誰かが飛び込むといいと思いますが、ボランチから飛び込んで、攻撃の人数がかけられると面白いと思います。そこで、ボギョン&横山でボランチを組んで、ボギョン攻撃面で前に出れば、守備力の高い、横山がカバーできればと思いますが、どうでしょうか?
長文失礼しました。
いつもありがとうございます。
返信削除①村田について
村田のFWは書かれている村田の問題点の解決策でもありました。
村田は基本裏狙いで動きがはっきりしてるんですよ。
裏なので当然囲まれる事も少ないですし、相手は捨てる訳にもいかずついていく。
けどホントは村田はデコイで本命はCBの前のバイタルを広げる事なんですね。
なので個人的には村田の良さが活きる役割だなーって思って見てました。
最も村田自身がさらに裏抜けのタイミングが良くなったりやシュートまでの形を作れる様になればもっと怖い形になると思いますが・・・
けどその反面、最初の頃報道があったキヨをFWで使うってのはちょっとよくわかんなくなりました。村田のやってた事をキヨにやらすってのはどうなんだ?って感じです。
守備は前プレが基本なので基本マンツー気味に潰しに行きます。で相手がCBやSBですからそんなに問題には感じませんでしたよ。
あと、2トップの理由はCB2枚にプレスをかけたいからってのもあるんじゃないかってのも感じました。
②トップ下のスペース
トップ下のスペースは多分両サイドの2列目に一番使わせたいんでしょう。
ボランチから飛び込んでも良いですが、先ずは2列目です。
途中でも書いていますが、トップ下に予め人がいればそこに相手も必ずいます。
けどそこにマークすべき人がいなければ相手も動かざるを得なくなる。
で、相手がいなくなったり、ポジショニングを間違えてくれたらそこは有効なスペースになって来るので両サイドから2列目の選手が入っていく。
考え方としてはバルサがCFをあえておかないというのに近いですね。
入るタイミングや、そこに出すタイミングが合っていなかったので使えていないという状況だったんですが、使いたいという意図は感じましたよ。
再びnonchyanmanです。
削除こんなにサッカーのことをお話できることが嬉しくて、ついついコメントしてしまいます。
最前線での清武の起用は私も反対です。
清武の良さは、①空いたスペースにボールを自ら運べること、ポジションを中→外。外→中と流動的に動いて、ゾーンディフェンスの受け渡しをかく乱できること、決定的なスルーパスを出せること、ミドルシュート、ボールが落ち着かない時にボランチまで下がってゲームを組み立てることだと思います。
これらは最前線に張ることよりも、OMFのポジションで可能なことだと思います。
確かに、②裏へも抜けることも上手いし、ペナ内での混戦をドリブルで抜き去る技術もあります(天皇杯清水戦)。
しかし、現状では①の方がチームに役に立つと思います。
あと、ひとつ質問です。
ビルドアップの1についてです。
開始は、両SBが上がる→CBを開く→ボランチの1枚が間に入る。このことで敵よりも数的優位を作って、その上で、SBのどちらかにボールを渡すということですが、山形のフォーメーションが442だったこともあり、セレッソの3人(24・18・4)対山形の2FWなので数的優位は理解できます。
ただ、ガス戦のように、相手が4231で、前プレが1+3でかけてきた場合、セレッソはGKを足しても4枚になって、プレスの網にかかる可能性があると思います。
相手が442で両SHも前からプレスしてくる場合も含めて。マフィア監督がやろうとしているという噂の形。
その場合は、セレッソの片方のSBは上がらずにボール回しをすることで数的優位を作るのか、とりあえず相手ボールになること覚悟で、バックラインから前線にロングボールを送るのかどちらになると思いますか?
シーズンが始まっていないので、妄想上の話ですが、現段階で解決策が思いつかないので、ご意見いただきたいです。
お返事遅くなりすいません
削除僕もサッカーの話しは楽しいので大歓迎です
清武の件はおっしゃる通りですね。
もしかしたら新しい何かがあるのかも知れませんけど、村田がやってたそのままでは良さを消してしまう部分もあるかと。
もちろんそれなりに出来るとは思いますけどね。
あとビルドアップについてですが
4-2-3-1でも4-4-2(4-2-4?)でも同じですよ。
後ろで数的有利を作るという事は、最初に後ろで誰か1人フリーを作るという事です。
それが出来れば誰かを捨ててプレスに来てもその捨てた選手が空くし、最悪後ろのGKを入れたら必ず数的有利になるのでプレスを回避できるよね、ってのが流れです。
当たり前ですがサッカーは11人対11人で敵にも味方にもGKが1人ずついるのでGKをパス回しに含めると必ず数的有利になりますから。
今回やろうとしている4-4-2で2CBが開いてSBを前へ押し出しボランチがCBの間に落ちるというのは最終ラインでのフリーの選手の作り方としてはスタンダードな方法です。
この方法のポイントは人が動く事でそれぞれのポジションの人が入れ替わっているという事です。
前プレをする時はマンツーでマッチアップ相手を捕まえます。
なので4-2-3-1でも4-4-2でも攻めてるときのSHのマッチアップ相手はSB、2トップもしくは1トップとトップ下の相手はCBである事がほとんどです。
なのでそれを動かす、マッチアップ相手のSBが上がる事によってSHが下がる、2CBが広がる(SBのポジションに移動する)事によって相手の2トップも広げる。
そこにボランチが下りて来るって事で、下りて来る場所には最終ラインを捕まえるべきFWとSHをそこにいないから最初のボランチはフリーになりやすいんです。
まあ最終的には相手が捨てる場所とこっちのパスの技術の問題になってきますが、もし次にだれかを下げるとしたらもう1枚のボランチになるんじゃないですかね。さっきの流れの延長でSBよりもボランチが下がる方がフリーになりやすいですから。
まあここからは後ろに人数かけるリスクとどか蹴りとのバランスの問題ですね。
バルサのバルデスみたいにハーフウェイ辺りにいるSBの足下にGKからぴたっと出せれば凄く楽になりますけど(笑)。
お返事ありがとうございました。
削除nonchyanmanです。
いつも回答で目からうろこが剥がれ落ちています。
感謝です。
数年前まで、私はトラキチで野球ばかりしか見なくて、たまに見る代表戦で、GKもCBも「ぼかーん!」蹴ったらええねん。危ないから。
なんて安直に考えていましたが、後方のボール回しって本当に大事ですよね。
あとボールを受けるためのボランチのポジショニング。
これは、アキさんのブログで去年再三説明があり理解できて来ました。
ありがとうございます。
このことは、先日のU23のシリア戦なんて特にそう感じました。
で、改めて、うちのジンヒョンは権田より丁寧につなげる。
村山君より貴のほうが、CBが出しやすいような場所に下りてくる。
前後左右にパスを散らす。これも断然上のレベルだな~と感じました。
ただ、うちのCBはそんなにボール回しの技術に長けているとは思えないので、隣の今○さんの良さを、昨日の試合で改めて脅威を感じました。
遠藤と今○さんがポンポンパス回し…嫌やわ~
こちらこそありがとうございます。
削除野球は最低でも両チーム27回の攻撃のチャンスは保証されてますけど、サッカーはその数から変える事もできるので、早く前にボールを送る事、攻める事が良い事だと言い切れないんです。
蹴ってしまうと相手にボールを渡す確率がかなり高くなってしまいますからね。
攻守は繋がってるんで当たり前の事なんですけど、忘れてしまいがちな事ですね。