スタジアム | パロマ瑞穂スタジアム | 主審 | 家本 政明 |
入場者数 | 7,861人 | 副審 | 唐紙 学志、浜本 祐介 |
天候 / 気温 / 湿度 | 雨のち曇 / 19.9℃ / 80% | 第4の審判員 | 数原 武志 |
メンバー
名古屋
C大阪
- 監督
- マッシモ フィッカデンティ
- 監督
- ロティーナ
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き(入場可能数の「50%以下」又は
入場可能数が「20
000 人以上のスタジアムは30%程度からの段階的な緩和」)での試合開催
※入場可能数や適用時期は主管クラブが決定
<監督コメント>
<選手コメント>
前節の苦い敗戦を経て迎えた明治安田生命J1リーグ第21節、セレッソ大阪は敵地パロマ瑞穂スタジアムで名古屋グランパスと対戦。拮抗した試合となったがアディショナルタイムにエラーから失点を喫し1-0で敗戦。今シーズン2度目の連敗となった。
■メンバー
名古屋グランパスの先発メンバーは前節と全く同じ11人。ベンチメンバーも前節と同じ7人。勝ったチームは変えないということなのだろう。成瀬、シミッチ、シャビエル、阿部らはベンチスタートとなる。
一方のセレッソ大阪の先発メンバーは前節から1人入れ替え。奥埜が外れ柿谷がFWで起用された。
柿谷はこれまで前線の選手としては奥埜、清武、坂元につぐ17試合に出場しているが、先発は5試合目。またFWとしての先発は9/5の第14節浦和戦以来2度目で、清武と同時に先発するのは3試合目となる。
またベンチには丸橋が3試合ぶりに復帰。さらに西川、高木、鈴木がベンチ入りし、藤尾はベンチから外れた。
■柿谷を起用したセレッソ
DAZNの中継では今日の名古屋は「4-4-2か4-2-3-1かどちらかなのか」という不毛な会話が行われていた試合の立ち上がりは名古屋がセレッソ陣内にボールを運ぶ場面が続いたが5分を過ぎた頃からセレッソがビルドアップからボールを運ぶ場面が増え始める。
そして両サイドで幅を取るのは右が坂元で、左は片山。そして柿谷と清武がハーフスペースに入りシャドゥ的な立ち位置になる。
こういった3-4-2-1的な立ち位置は普段から見せることはあるが、この試合ではよりはっきりしていた様に見えた。
この立ち位置だと柿谷や清武は間ではSBが見るのかCBが見るのか、下がってきてもSHなのかCHなのかという形で相手に選択肢を突きつけることができる。その結果、下がってきてビルドアップの出口になり、間で受けて前に運ぶという形でアタッキングサードまで侵入することができていた。
清武が降りてきてビルドアップの出口になり片山へ。そして片山からCBの後ろから縦に抜け出す柿谷へのスルーパス。ランゲラクのスーパーセーブでゴールネットを揺らすことはできなかったが、4-4-2でセットする守備に対して3-4-2-1が中央を崩す時によく見られるパターンである。
前半終了時点では53%に落ち着いたが、給水タイムまでは60%を超えるボール保持率を記録していた様に、間でプレーできる選手が左右両方にいるこのボール保持の形はかなり効果的だった。
この試合の名古屋は川崎Fや鹿島がやってきた様な片方のSHを前に出す形でアプローチにくる様なことはなかったが、おそらくこれはその2試合でビルドアップの時に清武が相手の右CHに捕まえられていることが多かったことを受けてのトライだったと思う。
そしてこれまで、プレシーズンや第7節の鳥栖戦で清武をトップ下に置いた4-2-3-1を試したこと、ルヴァンの仙台戦で柿谷を右SHで起用したこと、第14節の浦和戦で前半のみのプレーだったが柿谷がFWで先発したことを経てようやく形になってきたかなと思わせるものだった。
前半終了時点でのシュート数は名古屋の3本に対してセレッソは1本のみ(柿谷のシュートのみ)となっていたが、ここはそんなに気にする必要は無い。名古屋とセレッソとはシュートに対する考え方が違っている。
名古屋にとってはシュートで終わることに意味がある。なぜならシュートで終わればカウンターを受けないから。そして相手のボールで始まればまたそこから奪うことで最も得点チャンスにつながりやすいカウンターを狙えるから。基本的なチームのコンセプトは非保持型だからである。
しかしセレッソはボール非保持での守備ブロックの精度と同じぐらいボール保持も重要視している。セレッソにとって重要なのは試合をコントロールすること。避けたいのはトランジションゲームになること。得点の可能性の低い一か八かのシュートはトランジションの原因となりかねないボールを失う可能性の高いプレーとも考えられるからである。なので可能性の低いシュートしか選択肢がなければやり直す方を選択する。名古屋は簡単に隙を見せないチームなのでシュートを打てたのは1本だけだったが隙を探る状態は作れていたので、セレッソとしてはまずまずなのだ。
名古屋の前半はなった3本のシュートを振り返ると、稲垣のミドル、金崎のヘディング、相馬のミドルの3本。金崎のヘディングに関してはゴールを狙うための形を作って放ったシュートだった。しかし相馬の稲垣のシュートに関してはいずれも前にセレッソのDFが立っている状況でのシュートでセレッソにすれば打たせたシュート。この試合に限らずセレッソの対戦相手はブロックの中に入れないので最終的にこういうシュートを打つというのはよく見る光景である。
また金崎のシュートにしても、松田が対応しているので金崎はあれ以上のシュートを打つことはできない状況で、おそらくもう1度同じシュートが放たれたとしてもキム・ジンヒョンはセーブできていた。なのでチャンスではあったが、決定機とまではいえないものだった。
この名古屋のシュートを前半3本に抑え込んだ要因となったセレッソの守備に関しても触れておこう。
まず名古屋が最も狙っているSHを走らせるカウンターだが、これに関してはまずボール保持の3-4-2-1の形で押し込むことができていたのでSHのスタートポジションを下げることができていたのが1つ。そしてボール保持でバランスをとっているのでそもそも相手を後ろから追いかけるという状況が少なく、スピードダウンさせることができていた。
そんな中での名古屋のボール保持攻撃だが、前節の結果もあって普段よりもセレッソは少し慎重だったという点は確かにあったので名古屋がボールを運ぶ場面は多かったが、それに対するセレッソのブロックの精度も高かった。
特に印象的だったのが2トップのプレー。セレッソのブロックは中を閉めるので名古屋のボール保持は外回りになるのだが、サイドにボールが入った時に名古屋はボールサイドのCHが必ずサポートに行く。そこに対してセレッソは2トップの1人が下がって必ずケア。そしてもう1枚のCHはもう1人のFWが対応。これにより名古屋はサイドを変える時にほとんどのケースで最終ラインにまでボールを戻すことになっていた。
そうなれば逆サイドにボールが渡ったとしてもまた同じ状況が訪れる。なので名古屋は強引にクロスを入れるか無理目のミドルシュートしか選択肢が無かった。
クロスに対しては今季オフサイドを見逃されたのと個人的なエラーが重なったことでやられた1失点のみ。
誰がどこをケアするのがが徹底されているので簡単に失点することはない。
ということで、前半のスコアは0-0ではあったがセレッソにとっては良い内容で試合を進めることができていたと言える。
■ボールを運べなくなる
おそらくハーフタイムに指示があったのだろう。後半に入ると名古屋は高い位置から守備を見せるようになる。
そして58分に相馬と前田に代えて阿部とシャビエルを投入。これはセレッソがスペースを埋める守備をするので名古屋がカウンターを仕掛けることは難しいがボールは持てるということで、スペースで仕事をする選手よりもボール保持で仕事をする選手を投入してきたということだろう。
するとボール非保持で中盤のサポートに入っていた柿谷のポジションが少し下がってしまうようになる。
守備という面だけで考えれば、この名古屋の交代や立ち位置の変化に対してセレッソは守備ブロックを作ることで問題なく対応できていたのだが、ボールを奪った後の部分でボールを運べなく、というよりもボールを運びにくくなっていった。
そもそも1人でボールを収めることはなかなか出来ないブルーノ・メンデスが孤立し、ボールを運ぶには柿谷か清武が(もしくは坂元が)個人でドライブしていくしかないような状況になったのだ。
奥埜は柿谷に比べると間で受けて仕事をするという部分では劣るが、豊富な運動量でブルーノ・メンデスのサポートという部分では勝る。柿谷のここまでのプレーは全く悪くは無かったが、メンデスから鈴木の交代か柿谷から奥埜への交代かのどちらを選ぶかということを考えると、奥埜という決断になるのは十分理解できる。
守備自体は安定していたので、この展開でもリードしているのであれば受け入れることはできたとは思う。しかしスコアは0-0、押し込まれる時間が続くことはエラーに繋がりかねないのでやはり避けたい。
実際にこの交代直前の阿部のシュートは名古屋のビッグチャンスだった。
78分の清武のFKから片山が合わせた形はトレーニングで準備していたのだろうが惜しくもうまくヒットせず。こういうので取れれば楽だったのだが。
そしてその直後、79分にセレッソがボールを運んだ場面があるのだが(最後奥埜からのパスが高木のハンドを取られた場面)、ここではキム・ジンヒョンからの縦パスをブルーノ・メンデスが収めることができたのがきっかけ。これがある程度でも計算できればいいのだが、なかなかそうはいかないので難しいところ。
しかしそれでもチャンスは作れずこのままスコアレスドローに終わるかと思われた90+1分。
相手のボールを下がってカットした高木がブルーノ・メンデスに出すとそこで出しどころが無かったためドリブルで突破することを選択。
しかしこれをオ・ジェソクに止められショートカウンター。シャビエルの折り返しを受けたマテウスが決めゴール。土壇場で名古屋が先制する。
この場面は、その前のプレーで高木が中央に出て行ったのでメンデスが守備意識の高さを見せて右SHに入っていたのだが、そもそもボールを奪われた後に名古屋の攻撃はスローダウンさせることに成功していたので十分ポジションを戻せる時間はあった。というか高木は一旦右SHのポジションに戻っている。
しかし高木の外にはブルーノ・メンデスもいた。オ・ジェソクがいたのでそこに引っ張られる形で右のさらに外にいた。(この時点でポジショニングとしては結構怪しい。)
そしてその後なぜかブルーノ・メンデスはずっと右サイドの大外を守っている。別にいる必要のない場所である。
名古屋のHPにある試合後のコメントでは、オ・ジェソクが「メンデスにボールが出た時にメンデスの前に他の選手が誰もいないことを確認していたのでプレッシャーをかけた」ということを語っているのだが、下がる必要のない選手が下がっているので当然前には選択肢はない。
そしてその状態であれば、本職の選手ならクリアを選択したのだろうが、メンデスはFW。剥がすことができればチャンスになるのでそちらを選んでしまった。
メンデスにすれば、少しでもチームを助けようと守備に戻り、そしてチャンスを作ろうと選択したプレーだったのだが、残念ながらその選択2つが裏目に出てしまったという場面である。
試合はそのまま終了。1-0で名古屋グランパスが勝利。セレッソ大阪は今季2度目の連敗となった。
■その他
川崎F戦の直後ということで勝ち点が欲しい試合だったのだが、最後の最後でもったいない試合となってしまった。
いつもより少し慎重に入り、前半は上手く試合を進めることができていたのだが。。。
ただ、こういうことは起こり得るし、こういう試合で勝ち点を落とすこともある。
相手がいる以上全て自分たちの思い通りにはならないものなので、こういう試合はできていた部分に目を向け切り替えるのがいいんじゃないかと思う。負けたことを引きずり自信を失ってはいけない。
押し込まれたとしても相変わらず守備は安定していたし、前半の新たなチャレンジはポジティブなものだった。
徹底的にやられたという試合ではないので、必要以上に落ち込まず、ここまでをベースにここからさらに上積みを見せていけばいいんじゃないかと思う。
いつも楽しく読ませていただいております。なかなかしんどい試合が続いていますが正直この試合も途中出場の選手の差が出てしまったと感じてしまいます。Akiさんなら今のセレッソにどんな補強が必要だと感じられていますか?
返信削除コメントありがとうございます。
削除補強はやっぱりまずストライカーですね。できればレバンドフスキとかハリー・ケインとかがいいかな(笑)
まあ冗談はさておき、確かに選手の数は多いけど選手層は厚くないですからね。
ただこれはすぐに解決できる問題でも無いんですよね。。