2020年10月17日 15時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
連敗を止めた前節から中2日で迎える明治安田生命J1リーグ 第23節。セレッソ大阪は本拠地ヤンマースタジアム長居で横浜F・マリノスと対戦。この試合が土曜日唯一のJ1の試合となる。
■前回の対戦
前回の対戦は9/13に行われた第16節。日産スタジアムでの試合は横浜FMに先制を許すも、清武、高木のゴールで逆転勝利をあげた。
前回対戦時のスターティングメンバー |
この試合でのスターティングメンバーは上記。
セレッソはCHに木本、左SBに片山を起用。この試合の前まではデサバトが離脱していたが、直前の試合で途中交代で復帰。そしてこの試合で無事先発に復帰したが、代わりに藤田を休ませた。
一方の横浜FM。横浜FMといえば両WGが幅を取る3トップ。布陣としては4-3-3をベースとしていたが、今季は斜めの長いボールを多用されることでこの試合の前から3バックを採用。3-3-1-3の布陣をとっていた。しかし両WGが中へ中へと入ってきてしまいトップ下のマルコス・ジュニオールがプレーできるスペースを味方同士で消し合ってしまうことになっていた。
そういった状況で迎えたこの試合で今季初めて採用したのが3-4-2-1。WGを置かず、幅を取るのは両WB。そしてマルコス・ジュニオールをシャドゥで起用することでスペースを与ようとした。
この布陣は成功。セレッソは4-4-2のブロックでなんとか守っていたが、前半は左ハーフスペースでプレーするマルコス・ジュニオールにかなり手を焼いていた。
試合が動いたのは52分。ハーフスペースの入り口に入る渡辺皓太に木本が飛び出してアプローチをかけたところから横浜FMは逆サイドのマルコス・ジュニオール展開。マルコス・ジュニオールはオフサイドポジションにいたがフラッグは上がらず、そして飛び出してしまった木本はポジションに戻れず、マルコス・ジュニオールからのクロスをフリーのエリキに決められるという形だった。
これが今季のセレッソが初めてクロスから許した失点だった。
しかし後半は守備面を修正することで、ボールを運ぶ場面も増えていたセレッソ。
ボール保持で効果的だったのが清武と片山の関係性。ボール非保持では身体能力の高いパワフルなディフェンダーとして、ボール保持では身体能力の高いパワフルなアタッカーとして。その後丸橋からポジションを奪うことになる従来の枠に収まらないSB像がわかりやすく見えてきたのはこの試合だったと思う。
58分に清武が芸術的なゴールで同点に追いつくと、65分にボール保持でアタッカーとなった片山を伊藤が倒してしまい一発レッド。これで横浜FMは10人になる。
そして試合を決めたのは86分。坂元の必殺技から途中出場の高木が決めて逆転に成功。1-2でセレッソが勝ちきったという試合だった。
■現在の横浜F・マリノス
前回対戦時は敗れたとはいえ一定の手応えを感じる試合となった横浜FM。その後は3-4-2-1の布陣で4連勝を飾る。CBに離脱者が増えていたが、SBの松原やCHの喜田を3バックの一角で起用することで対応していた。
しかし9/30の鳥栖戦で、鳥栖のビルドアップにプレッシングがはまらず、さらに2CHの脇を使われ最終ラインの背後を狙う攻撃に苦戦。結果は1-1の引き分けだったが、ポステコグルー監督が「特に何かがあったわけではなく、何もなかったということです。90分間通してただ試合をした、それだけです。1-1に終わり、負けなくて良かった試合だと感じています。自分たちのサッカーが何1つありませんでした。」と振り返った試合となる。
この試合を経て横浜FMは布陣を4バックに戻すことになる。
現在の横浜FMの布陣は4-3-2-1。Jリーグ公式サイトやFootball LABで見るといわゆるクリスマスツリーと呼ばれる形となっている。
中盤が3枚、前線が3人なので以前の4-3-3じゃないのか?と思うかもしれないが、この2つのサイトでは明確に4-3-3ではなく4-3-2-1の並びで記されている。
こうなっているのは、前線3人がワイドに広がった両WG+CFという関係ではなく、1トップ2シャドゥの関係だから。3-4-2-1の時と同じ立ち位置だからである。
というよりもこの横浜FMの4-3-2-1はそれまでの3-4-2-1からの変形。はっきりとした4バックというわけでもなく、3バックの中央の選手にDFとしてではなくフォアリベロ的な役割を与え、状況に応じて3バックの中央とアンカー的なポジションとを行き来するようなやり方を取っている。イメージとしてはフィンク監督の時の神戸がサンペールを3バックの中央で起用していたものに近い。
なので、アンカーの選手はCBの間に入って5バックで守っている時もあれば、中盤に入り4-3で守っている時もある。
横浜FMがこの布陣を取っている理由は、チームの戦い方、そしてこれまでの流れを考えるとある程度理解できる。
横浜FMの前線3人のうちの2シャドゥは、基本的にサイドに戻ってこない。というか戻さない。前回対戦時もそうだったが、彼ら3人の役割は敵陣で中央を閉めてサイドに誘導してそこでボールを奪ってしまうこと。彼らを下げないためにも横浜FMは敵陣で徹底してプレッシングを仕掛ける。
しかしそこを外された時にピンチに陥ったのが先程の鳥栖戦。3-4-2-1では守備時に5-2-3でプレッシングをかけることになる。その時にこの中盤の2の脇を使われたのだ。
なのでその脇を少しでもカバーできるようにしたのが、アンカーを前に出して4-3にすること。
5-2よりも4-3の方がカバー出来るエリアが増える分守りやすい。
しかしそもそも5バック(3バック)を使うようになったのは、今季序盤に徹底して狙われた、早いタイミングでの逆サイドへの展開への対策。5にすることで逆サイドに振られても対応できるようにするためだった。
なのでその狙いは継続。ボールを引っ掛けられた瞬間などカウンターで逆サイドを狙われそうな場面ではアンカーはCBの間に入って5バックになっているのである。
この変則的な4-3-2-1にしてからの横浜FMは1勝1分1敗と明確に結果が出ているわけではないが、敗れた神戸戦も圧倒していたし、引き分けた前節G大阪戦も拮抗した試合だった。そして勝利した大分戦は圧勝だった。
しばらくはこの布陣を継続することになりそうだ。
■プレビュー
セレッソ大阪の予想スタメンだが、中2日の試合ではあるものの前節から大きな変更は無いだろう。あるとすればCBが木本から瀬古に入れ替わるぐらいか。とはいえ前節の入れ替えはしばらく失点が続いていたからという理由もあったと思われる。そう考えると前節は久々の無失点だっただけに木本が続けて先発する可能性もありそうだ。
一方の横浜F・マリノスの予想スタメンだが、こちらも中2日。とはいえ上位との対戦が続くこともあり大きな変更は無さそうか。入れ替わる可能性が高いのはアンカーのポジション。前節累積警告で休んだ喜田は戻ってくるだろう。
横浜FMはけが人が増えており、公式発表は無いものの守備の要であるチアゴ・マルティンスも10/4の神戸戦以降は出場していない。
もちろんここで戻ってくる可能性もあるが、欠場する可能性の方が高いだろう。
試合のポイントはいくつかあるが、まず1つめは横浜FMのボール保持に対する部分から。先にも書いたが布陣が3-4-2-1から4-3-2-1に変わったとはいえ、ほとんどのポジションの関係性は変わっていない。幅を取るのは以前WBだったSB。マルコス・ジュニオールはハーフスペースにいる。
なのでここをどう対応するか。前回対戦時も後半は上手く対応できていたので、それを繰り返すことができるかどうかだろう。
そして2つめが相手のプレッシングに対してのビルドアップ。
前節は湘南の戦い方を踏まえて4バックのままビルドアップを行っていたが、横浜FMは湘南とは異なり1トップ2シャドゥでサイドに誘導する形を取ってくる。
ビルドアップのキーマンである松田がいない中でどういった形を取るのか。中2日とはいえなんらかの準備はしていると思われるので、そのやり方には注目したい。
3つめは横浜FMが消したいCHの脇を攻略できるかどうか。
横浜FMのコンセプトではハイラインは必須。なのでそのハイラインの裏は絶対的な狙い目となる。しかしそのハイラインの裏を狙うにはその手前にポイントが必要。そこがCHの脇で横浜FMもここを消すためにアンカーを動かしている。
清武、坂元を使ってここを以下にして取るか。前日のリモート会見で西川のFW起用についても話題がでていたようだが、西川に限らず2トップの1人を使ってCH脇を狙うのも面白そうだ。
横浜FMは強敵だが、前節の勝利で自信を取り戻すことができれば十分勝ちきるだけの力はこのチームにある。
横浜FMとは2011年8月24日以降、9年以上負けていない。
負けなし記録を10年の大台に乗せるためにも、勝利したい試合である。
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