2020年10月16日金曜日

10/14 明治安田生命J1リーグ第22節 VS. 湘南ベルマーレ @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審池内 明彦
入場者数5,526人副審西橋 勲、岡野 宇広
天候 / 気温 / 湿度曇 / 20.3℃ / 64%第4の審判員上村 篤史

セレッソ大阪C大阪

 

湘南ベルマーレ湘南

 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 浮嶋 敏

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き(入場可能数の「50%以下」又は
入場可能数が「20
000 人以上のスタジアムは30%程度からの段階的な緩和」)での試合開催
※入場可能数や適用時期は主管クラブが決定



<監督コメント>


<選手コメント>


3週間ぶりのミッドウィークの試合となる明治安田生命J1リーグ第22節。セレッソ大阪が本拠地ヤンマースタジアム長居に湘南ベルマーレを迎えての一戦は、アディショナルタイムのヨニッチのゴールで1-0で勝利。J1ホーム通算150勝目で今季2度目の連敗をストップさせた。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーは、前節から3人入れ替え。負傷離脱となった松田陸、瀬古、柿谷が外れ、丸橋、木本、奥埜が先発。右SBには片山が入った。
木本がCBでリーグ戦で先発するのは7/26の第7節以来。その後8/5のルヴァンカップ浦和戦で前半早々に負傷し、復帰後は全てCHでの出場となっている。
そして前日の報道で出ていた通りベンチには豊川が復帰。柿谷はベンチ外となった。

一方の湘南ベルマーレの先発メンバーは、前節から4人入れ替え。舘、齋藤、三幸、松田天馬が外れ、坂、茨田、鈴木、石原が起用された。
またメンバー以上に大きく変わっていたのはそれぞれのポジションで、前節は左WBだった石原広教は右に入り、坂、大野との3バック。ここ3試合連続で3バックの左で先発していた田中くんは左IHで起用された。
初対戦となる田中くんは湘南ベルマーレU-18に所属する2種登録選手。、プレースタイル的には元々CHっぽいなと思っていたのだがやはり本職はCH。西川潤が出場し活躍した2019年U-17W杯のメンバーにも選出されており、オランダに3-0で快勝したグループステージ初戦は藤田譲瑠チマ(東京V)とのCHコンビで、3戦目のセネガル戦では当時神戸U-18に所属していた山内翔(筑波大学)とのCHコンビで2試合に先発していた選手である。

■セレッソのボール保持

ビルドアップのキーマンでセレッソの中で最も代えが効かない選手の1人である松田陸が負傷離脱後最初の試合。
予想通り右SBで起用されたのは片山だったが、この2人はプレースタイルが違うのでどの様な形で戦うのかがこの試合の注目ポイントの1つだった。

そこでセレッソがとったのは4バックのままの形でビルドアップを行うこと。3-1-4-2の湘南はボール非保持は5-3-2の形になる。それに対して片山も丸橋も最初から前に出る様なことはあまりなく、また藤田やデサバトが最終ラインに落ちる動きも少ない。もちろん片山が中央に入ってCH化することも無く、この最終ラインでパスをつなぐ場面が多かった。
このボール保持に対して湘南は、CBには2トップが、SBにはIHが出て行ってアプローチをかける形を取る。CBは同数マッチアップになっているので詰まる可能性もあるが、そうなればGKを使うという形になっていた。

SBにはIHが出て行くことになっていた湘南の守備。横幅を3人で守っているので、横にボールを動かされ続けるとどうしてもスライドが間に合わない場面も出てくる。そうなれば湘南は5バックからWBがアプローチをかけに前に出てくるのだが、セレッソが狙っていたのはまさにここ。
WBが出てくればWBの背後、もしくは最終ラインの背後に長いボールを入れ2トップを走らせていた。
5人揃っている状態で単純に長いボールを入れたところでなかなか難しい。
なのでWBを引き出してスペースを作って、そこに走らせることで最終ラインにギャップを作って、というのがセレッソの狙いだったのだろう。
WBを引き出してというのが狙いなので清武、坂元の両SHの最初の立ち位置は内側となり、彼らも裏を狙うという場面もあった。

相手のWBを引き出せず、セレッソのSBが前に出た時に狙っていたのは相手5-3-2の5と3の間に斜めのグラウンダーのパスを入れる形。
湘南のCHは基本的に前がかりなので5と3の間にスペースが生まれやすい。9分に丸橋のパスから最後に片山のクロスに持って行った場面や、15分の清武のパスからブルーノ・メンデスがDFラインの背後に抜け出しかけた場面もきっかけとなったのは片山の斜めのパスだったように、SBから斜めのパスが入る形も何度か見られた。

この2つの形を中心に攻撃していこうとしていたセレッソだったが実際にチャンスにまで至ったのはわずか。湘南の5枚と3枚は粘り強くよく動くのでいい形でフィニッシュまで持ち込むことはなかなかできず、35分の丸橋のCKにブルーノ・メンデスが合わせた場面の様に可能性があったのはセットプレーだった。
この試合の戦い方が先なのか、右SBに松田陸がいないことが先なのかはわからないが、この戦い方では坂元のスタートポジションはどうしても中になる。となるとアイソレーションから坂元にドリブルを仕掛けさせるという場面は作りにくい。アイソレーションから坂元のドリブルは人数をかけて守る相手に対しては有効な手段の1つであるだけに、攻撃が停滞してしまうという場面も多かった。
もちろんそんなことは織り込み済みなんだとは思うが。

■湘南のボール保持

湘南の一番の狙いは高い位置でボールを奪ってのショートカウンター。数度はボールを奪う場面もあったがセレッソの守備は陣形を整えるのが早いので攻め切れ無い。そしてセレッソはボール非保持で陣形を整えることを優先しているので、ある程度は湘南もボールを保持できる時間は作ることができる。実際に前半のボール保持率はセレッソが53%、湘南が47%となっていた。

湘南のボール保持攻撃で見られたのは最終ラインから長いボールでサイドを走らせる形。セレッソのブロックは内側を閉めるので外は開いている。なのでそこを使おう、外側からクロスを入れようという狙いである。
しかしセレッソはクロスの対応は強い。中を閉める守備は精度の高いクロス対応とセットでないと成立しないので当然である。
特に湘南の攻撃は最終ラインからサイドに入れてそこから攻めるという単純なものがほとんど。またサイドチェンジからという形もあるが結局セレッソのCBを動かすことはできていないので同じ。
浮島監督はクロスの精度や、できるだけ内側からクロスを入れたいという旨のコメントを残しているが、セレッソからすればこういった、外が空いているので外からクロス、逆サイドが空いているのでサイドチェンジでクロス、といった戦い方をしてくれる相手は非常に助かるという典型的なパターンだったと思う。
そもそも湘南は最終ラインに3人、そしてその前にアンカーという3-1の状態で始まっているにもかかわらず、ビルドアップで2トップの奥にボールを届けられないのはかなり厳しい。最終ラインから結局サイドに蹴るといった形になってもセレッソのブロックは何も動かされていないのでスライドで対応できるし、そこからのサイドチェンジも当然対応できる。
その結果より厳しいコース、より難しいタイミングでパスを狙わないといけなくなり、ミスパスも増える。
カウンターを狙うだけでなくある程度ボールを持てたこの試合でパス成功率が80%以下だったのは、選手の技術の問題というよりも仕組みの問題だと思う。

ということで前半は0-0で折り返し。
どちらも得点の匂いのない前半だった。

■後半の変化

後半立ち上がりにファール気味でボールを奪われたところから岡本にシュートを打たれるというこの試合唯一のピンチはあったがキム・ジンヒョンがセーブ、ことなきを得る。
後半も両チームの基本的な設計は変わらなかったが、セレッソに変化が3つ。

1つは坂元も背後を狙う頻度が増えたこと。前半もメンデスを中心に背後を狙っていたが湘南も運動量は豊富なのでそこで詰まってしまうことも多かった。なので背後を狙う人数を増やすことと、個人で勝負できる坂元もそこへということなのだろう。この試合の戦い方ではアイソレーションからのドリブルというパターンが作りにくいので、新たな個人技を活かす形である。

そしてもう1つはゴールキックでキム・ジンヒョンから清武へのパス。
湘南の中盤3枚が前への意識が高く、前線はDFラインの背後を狙う。なので5と3の間が空きやすい状態になっているのだが、ハーフタイムでそのあたりの指示があったのだろう。55分には清武のドリブルからチャンスを作っている。

最後の1つがCKのキッカー。前半は右から清武、左から丸橋とアウトスイングのボールを入れていたが、後半は右から丸橋、左から清武とインスイングのボールに変わっていた。

■圧力をかけた末に

67分〜

63分セレッソはブルーノ・メンデスに代えて豊川を投入。9/27の第19節仙台戦以来の出場となる。この試合のセレッソは背後を狙っているのでファーストチョイスが豊川という選択だったのだろう。
そして67分に湘南はタリク、茨田、田中くんに代えて松田天馬、齋藤、中川を投入。IHに強度と運動量が必要となる戦い方をしているので、ここを入れ替えたいというのは理解できる。
ちなみに松田天馬は164cm、齊藤未月は 166cm、中川寛斗は155cm。交代の準備でピッチサイドに並んだ時に3人共が小さかった。
73分〜

さらにセレッソは73分に奥埜に代えて西川を投入。西川を起点にして攻撃をスピードアップさせようとする。
ただ、74分の場面はシュートまで持って行きたかった。
80分〜

そして80分には坂元に代えて高木を投入。高木は左SHに入り清武が右に回る。
清武が右に回ったのは後ろが片山ということがあったのだろう。高木と片山では出て行く場所が重なってしまう。そして清武が前に入ることで片山も前に出て行くことができるようになるとの狙いだったと思われる。
ただ右に入ってからの清武はクロスを入れる回数ばかりが増えていたのでまるでドイツ時代の様だった。

こうして立て続けに前線の選手を投入して圧力をかけるセレッソ。圧力をかけたことでCKは増えていた。
そして5本目のCKから再びキッカーをアウトスイングに変更。
そして6本目のCKを丸橋がアウトスイングのボールを入れるとヨニッチがヘディングで合わせてゴール。90+2分にセレッソがついに先制する。

その後高木が内側に仕掛けたことでボールを失い湘南に一度ボールを運ばれFKも与えてしまうが、これを守り切り試合終了。
これで連敗を脱出し、J1ホーム通算150勝を達成した。

■その他

スプリント数や、SBのヒートマップなどを見ても分かる様にいつもとは少し違う戦い方をしたセレッソ。戦い方としては昨季の松本戦に近かった。
この戦い方の変化は対湘南のためなのか、松田陸がいないからなのか。まあどちらの要素もあったかとは思う。

そんな試合で負ける要素はほとんど無かったが、引き分けに終わる可能性はあっただけに勝利を掴むことができて本当によかった。
次は中2日で横浜FMとの対戦。準備期間は短く難しい相手との対戦となるが、どの様な戦い方をするのかに注目したい。

あとSPORTERIAでデータを使ってブログを書いている人は、他の試合のヒートマップなどと比較して記事を書けるんじゃ無いかと思います(笑)。





2 件のコメント :

  1. 分析、ありがとうございます。akiさんの分析にもありましたが。豊川など明らかに背後を狙いたい交代人員が投入されましたが。この試合で背後を狙った回数が少なかったように思えます。特に終盤はセレッソは424陣形で4人が裏抜けを狙い、前線からも声(低さからして清武)が出てるにも関わらず、裏にボールが出ませんでした。

    これは湘南の守り方に理由があったのか。あるいは、慎重になりすぎたが故にロングボールを恐れたのか。あるいは技術的な問題か。それとも複合的な要因か。いずれだと思われますか?

    私は勝ち負けより、チーム内で攻め方がバラバラになってたことの方が危惧してます。尹さんの時も、ビハインド時に前に張る前線と、ボールを失いたくない最終ラインで、チームの狙いがバラバラになってるのを目にしたので。

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    1. コメントありがとうございます。
      個人的には背後を狙った回数がそんなに少なかった印象はないんですよね。
      あと背後を狙うのはボールが出たかどうかではなく、狙ったかどうかです。
      要は一発で裏だけじゃなくて奥行きを作りたいわけですから。
      そうですか、バラバラになっている様に感じましたか。

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