2021年4月17日土曜日

明治安田生命J1リーグ 第10節 vs. 浦和レッズ プレビュー

2021年4月18日 15時00分:ヤンマースタジアム長居 

予想スタメン

ACL日程変更の影響を受けて通常通りのスケジュールで開催されることとなった明治安田生命J1リーグ第10節。セレッソ大阪は本拠地ヤンマースタジアム長居に浦和レッズを迎えての一戦となる。

 

■2021年の浦和レッズ

国内最大規模のクラブでありながらも、なかなか上手くいっていなかったここ数年。昨季はクラブの強化体制が一新され3年計画を発表、2022年にリーグ優勝を目指すというコンセプトを打ち立てたものの、大槻毅監督のもとで戦った3年計画の初年度は13勝7分14敗でボトムハーフとなる10位でシーズンを終えた。

 

この結果を受けクラブは大胆な変化を選択する。

手始めに監督には徳島ヴォルティスをJ2優勝・J1昇格へと導いたリカルド・ロドリゲスを招聘。

そして、マルティノス(仙台へ移籍)、エヴェルトン(FCポルトに復帰)、岩武克弥(横浜FCへ移籍)、鈴木大輔(千葉へ移籍)、長澤和輝(名古屋へ移籍)、青木拓矢(FC東京へ移籍)と主力級を含めた試合に絡んでいた選手を数多く放出し、金子大毅(湘南)、小泉佳穂(琉球)、西大伍(神戸)、明本考浩(栃木)、田中達也(大分)らを迎え入れた。

獲得した選手数もそれほど多くなく、また西や金子、田中もJ1でも知られたタレントではあるが、小泉や明本の様なまだJ1ではあまり知られていない選手も含まれているので、例年に比べるとおとなしめの補強になっていると見る向きもあった。


そしてさらに、今年に入ってから橋岡大樹がシント・トロイデンに期限付き移籍。さらに開幕直前には昨季のチーム内得点王であるレオナルドが山東魯能泰山へ移籍とチーム編成が終わってからの移籍も発生。

またキャンプ中には2010年の加入以降11年に渡ってチームを引っ張ってきた柏木陽介が規律違反を犯し退団が決定(後に岐阜に移籍)するという波乱のスタートとなってしまった。


開幕後は、第3節の横浜FC戦で初勝利をあげたものの、3月末のAマッチウィークまで(第6節まで)で勝利できたのはこの試合のみ。1勝2分3敗という結果だけでなく、得点を奪ったのも開幕戦と勝った第3節の2試合のみ。相手は鳥栖、横浜FM、川崎Fと強豪ばかりだが、敗れた3試合は0-2、0-3、0-5と複数失点を重ねるという難しい試合になっていた。


しかし国際Aマッチウィーク明けの第7節で鹿島に勝利すると、そこから清水、徳島にも勝利し3連勝。ここに来てようやく結果が出始めている。


結果が出るようになったのは、チームが定まってきたからだろう。

この3試合の布陣は全て4-1-4-1。そしてこの3試合でスターティングメンバーが変わったのは1人のみだった。

メンバーは、GKに西川周作。最終ラインは右から西大伍、岩波拓也、槙野智章、山中亮輔。

アンカーは柴戸海が2試合続けて先発していたが、前節初めて伊藤敦樹に入れ替え。2列目は右から関根貴大、武田英寿、小泉佳穂、明本考浩。そして1トップには武藤雄樹が起用されている。


リカルド・ロドリゲス監督のサッカーの特徴としては「ピッチ内に秩序を作ろうとする」という部分だと思っている。

リスクに対する考え方や捉え方が違うので実際にピッチで表現されるものについては異なる部分もあるが、「秩序を作る」という考え方自体はロティーナ監督とも共通している。


おそらく2月・3月に浦和が苦しんでいたのはここ。昨季までは「秩序」の真反対にある「混沌」を作ることが特に攻撃面での狙いだったのではないだろうか。「混沌」を作ることで相手を混乱させ、それがチャンスにつながるという考え方で、浦和に限らずJリーグにはこういったアプローチを取るチームは多い。

それが今季からは「秩序」に取り組みはじめたのだが、昨季までとのギャップが大きすぎて混乱していたのだろう。「秩序」というよりも「安全策」に近くなっていた。秩序を作る代表的な手法である後方からのビルドアップでは、後ろに人数をかけ過ぎたり、相手ブロックの外でボールを回すばかりになってしまっていたのだ。

秩序を作るのは人数をかけることではなく、バランス良くポジションを取ることなのだが、そこがなかなか理解できない、理解できたとしてもなかなか実践できなかったのだと思われる。

こうなるとボールは運べず、チャンスも作れず、もちろん得点も奪えない。

そしてなにより消極的に見えてしまう。

これはセレッソもロティーナが就任した1年目の序盤はそうだったのでよく分かる。(きっと今の清水もそういう状態なのだろう)


しかしそれが4-1-4-1になって改善された。


それまでは4-2-3-1。中盤のセンターは、2CH+トップ下に小泉という組み合わせが多く、ビルドアップの時に小泉は徳島戦のプレビューで紹介した渡井理己の様な降りてくる役割を担っていた。しかし徳島では渡井が下がってくる動きとその他の選手の動きが連動していたのに対し、浦和では小泉の動きと周りの動きの関係性が薄かった。となると単純に後ろに人数を増やしただけになり、SHのポジショニングも定まらないので、前線で杉本健勇が孤立。これではゴールは遠い。


4-1-4-1であれば、ビルドアップでは2CB+1Cの3人がベース。小泉が下がってくるのは基本的にアンカーが最終ラインに下がった時。困っても西と山中の両SBが中盤センターのサポートに入ることも出来る。

また、小泉が下がったことで空いた場所には1トップの武藤が下がってくる。そして武藤が下がっていなくなった前線には左サイドにいる明本が出ていく。左サイドの大外には左SBの山中が出ていく。

そもそも4-1-4-1は、1トップと2列目の4人の前線5人はレーンが重ならない様に配置されているのでいわゆる5レーンを埋めやすい形になっている。その配置がベースになっているので、ビルドアップで選手を移動させた場合でも正しいポジションを取りやすくなったのだろう。


ポジショニングと役割が安定すれば、選手も実力を発揮しやすくなるのは必然である。


最後に新しい選手を中心に何人かの選手の特徴も紹介しておこう。

柴戸海は昨季までの印象ではハンタータイプのCHでボール奪取力と運動量に特徴があったが、今の4-1-4-1ではアンカーとして落ち着いたプレーを披露。こんなこともできるのかと少し驚いている。

小泉佳穂はセレッソサポーターの間でも坂元達裕の必殺技の師匠(元ネタ)として有名かもしれない。FC東京U-15むさしから前橋育英の中学・高校年代を坂元と共にプレーしていた。テクニックはずば抜けていて、元々右利きだがもはや左右両利き。何節だったか忘れたが、琉球でプレーしていた昨季、左足で「必殺技」を繰り出しているのを見たことがある。ライン間で受けるのが上手いので琉球ではトップ下でプレーしていたが、前橋育英ではCHだったのでプレス耐性もありビルドアップの出口としても優秀。なのでCHに落ちてプレーできる。

明本考浩はフィジカルが強くトランジションの鬼。ベースとなるポジションは異なるが、片山瑛一にイメージが近い万能型。片山の181cmに対して明本は170cmと身長は高くないものの、キックの精度やパスという部分では片山よりも上回るのではないだろうか。

あと、西大伍はもはや説明不要。そしてもう1人昨季の加入選手で、昨季のルヴァンカップセレッソ戦での途中出場がプロデビュー戦だった青森山田出身の武田英寿が4-1-4-1になってポジションを掴んでいたが、前節開始早々に負傷交代。かなりひねっていたので復帰までしばらく時間がかかりそうだ。


■プレビュー

セレッソ大阪の予想スタメンは、前節から中3日、そして前節は完敗という中で迎える試合となるが、前日会見でクルピ監督はメンバーを固定して戦いたいとのコメントを出しているので、今節もメンバーは継続となりそう。

負けた試合の後は代えたくなるものだが、前節に関して言えば選手の問題でも無かったので継続という判断もうなずける。


一方、浦和レッズの予想スタメンだが、ミッドウィークに行われたリーグ戦はACLによる前倒し開催分だったので浦和は試合が無かった。ということはこの試合は休養たっぷりの中6日。定まってきたメンバーに大きな変化はないだろう。

ただし先にも書いたように武田が負傷離脱。ということでIHには前節はアンカーでプレーしていた伊藤が入るのではないかと思われる。


試合のポイントとしては、攻守において浦和の秩序をセレッソがどれだけ崩すことができるかだろう。

もちろんチームが異なるので戦い方は違うが、リカルド・ロドリゲスが作ったチームということを考えると前節の徳島とベースになる考えは同じ。前節は崩せなかった相手の秩序をこの試合では崩したい。


現段階の浦和はまだビルドアップのバリエーションはそれほど多くないので、前節よりも高い位置からのアプローチは仕掛けやすいはずだ。

ただし、捕まえきれない場合には一旦きちっと下がってブロックを作る決断も重要。そうなったとしても慌てずじれずにチャンスを伺う。奪えば背後を狙う。

そして先制点を奪いたい。浦和は今季先制点を奪われた試合は全敗している。


ちなみに丸橋祐介と松田力がJ1で最も得点を奪っている相手は浦和レッズである。


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