2021年4月10日 15時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
当初は日程が未定となっていた明治安田生命J1リーグ 9節のセレッソ大阪対アビスパ福岡の一戦。ACLが日程延期となったことで他のカードと同じ週末にヤンマースタジアム長居で開催されることとなった。
■2021年のアビスパ福岡
5年周期説を証明するかの様に昨季のJ2を2位で終えJ1昇格に成功した福岡。
42試合で29失点という見事な堅守ぶりを発揮しての昇格達成だった。
しかし昨季は期限付き加入でプレーしていた選手も多かったため、必然的に選手の入れ替わりは発生。
チーム内得点王だった遠野大弥(川崎F)、守備の要の上島拓巳(柏)、サイドで攻守に貢献した増山朝陽(神戸)、福満隆貴(C大阪に復帰後千葉に移籍)、豊富な運動量で中盤をカバーした松本泰志(広島に復帰後C大阪に期限付き移籍)がそれぞれ古巣に戻ることとなった。
そしてさらに、最少失点のまさに立役者だったGKセランテスとは契約延長せず。昨季のプレーを見る限りクラブにとっても苦渋の決断だったかと思うが、編成面を考えるとそうせざるを得なかったのだろう。
今季の加入選手としては、完全移籍で、宮大樹(鳥栖)、志知孝明(横浜FC)、渡大生(大分)、杉本太郎(松本)と 開幕直前に加入した金森健志(鳥栖)。期限付き移籍で永石拓海(C大阪)、奈良竜樹(鹿島)。そして外国籍選手はC大阪でプレーしていたブルーノ・メンデス、中国でプレーしていたカメルーン代表キャップを持つジョン・マリを期限付き移籍で、さらにかつて大宮や新潟でプレーしていたカウエ、オランダのローダJCから左利きの右サイドアタッカーで元U-19ベルギー代表だったジョルディ・クルークスを完全移籍で獲得している。
昨季からプレーするエミル・サロモンソン、カルロス・グティエレス、ファンマ・デルガド、ドウグラス・グローリの4人と合わせなんと8人もの外国籍選手が在籍することとなった。
この辺りがセランテスと契約延長できなかった理由の1つなのだろう。予算面やチームの立場を考えるとどうしても有力な日本人選手の獲得が難しい。となると外国籍選手を多めに獲得しなければならず、そんな中で試合に出場できる外国籍選手の枠は5人。その枠をGKで常に1人埋めるのは難しいという判断だったと思われる。
しかし新型コロナウィルスの入国制限の影響で、現時点でプレーできている外国籍選手は昨季からプレーしていた、エミル・サロモンソン、カルロス・グティエレス、ドウグラス・グローリ、ファンマ・デルガドと、ブルーノ・メンデスとカウエの2人を加えた6人となっている。
布陣は長谷部茂利監督が躍進をみせた2019年の水戸時代を含め、かつてからベースにしている4-4-2。ただし3バックの相手に対してはリトリートした場合には5-4-1にしたり、徳島戦では途中から4-3-3に変えたりと柔軟性もある。
戦い方は、ボール支配率42.8%、1試合平均パス数366.1本の両方がリーグ最少であることからもわかるようにカウンタースタイル。いわゆる堅守速攻である。
チームとしてビルドアップでボールを運ぶという形はあまり見られず、基本的には前からボールを取りに行きたいチーム。なので前線から2トップやSHは献身的にプレッシングを行う。
しかし堅守速攻スタイルのチームなのでプレッシングから狙っているのはショートカウンター。同じプレッシングでも川崎Fや横浜FMの様なボールを持ちたいからやっているという形ではない。
となると、プレッシングを90分間続けることは不可能。なのでリトリートしてブロックを作るという選択もする。よく言われる「前から行く時と後ろで守る時を使い分ける」というスタイルである。その中心になっているのが、水戸時代から長谷部監督と共にプレーしているCH前寛之になる。
ただし、ビルドアップの形は無いのでリトリートするとどうしても前線は孤立気味になる。そのため前線にはファンマや時にはDF登録の三國ケネディエブスを起用するなど屈強なターゲットマンを配置。また、CBには左利きでキックの精度の高い宮が主力として起用されているが、彼はいわゆるビルドアップを行っているのではなく、ターゲットマンに正確なボールを蹴るという役割を担っている。(高さもあるのでリトリートした時の空中戦にも強いという理由もあるが。)
そして堅守速攻型のチームなので攻撃はダイレクト志向。ボール保持ではSHが幅を作るというよりも直線的に中に入ってくる。そんなSHの役割はセカンドボール回収隊。奪ったボールを素早く前線につけるのでSHが中に絞ることでよりサポートの距離を近く、より素早くサポートできるようにしているのである。そのセカンドボールから一気にゴールを狙うというのが福岡の攻撃のファーストチョイスとなっている。
ファーストチョイスということはセカンドチョイスもある。
ファーストチョイスで一気にフィニッシュまで持っていくことができなかったとしても、ここでボールが収まると、両サイドのスベースにエミル・サロモンソンや志知の両SBが大外を駆け上がり大外レーンからクロスが入る。これがセカンドチョイスとなる。
そしてこのクロスのターゲットとなるのは4人。最初の段階で2トップに加え両SHが中に入ってくるので人数を揃えられるのだ。
このSBからのクロスはチームの大きな武器となっており、エミル・サロモンソンは広島では使い方が定まらなかったが、スウェーデン代表キャップを持つことからもわかるように右SBとしての能力は非常に高い。アップダウンを繰り返すことができてクロスの質・精度ともに非常に高い、実に北欧的なSB。
そして志知も昨季は右SBにも入るなど横浜FCでは厳しい時期もあったが、もともと水戸時代に長谷部監督の下でブレイクした選手。長谷部監督が求める左SB像そのものである。
またこういった構造になっていることから、サイドに展開した時にSBのサポートをするのはSHではなくCHだというのも、特徴的な部分だろう。
2位での昇格チームということで、前評判的には降格候補の筆頭だったかと思うが、今季既に鹿島戦、徳島戦と2勝を挙げており、勝ち点9の11位とまずまずの順位。
清水戦、鳥栖戦、G大阪戦と引き分けも3つ記録しているように、久々のJ1ながら簡単に負けるチームにはなっていない。
■プレビュー
セレッソ大阪の予想スタメンだが、前節は新型コロナウイルス感染症の陽性診断を受けた選手1人、そして濃厚接触疑い者3人の計4人が欠場となったが、保健所の基準による濃厚接触者は0だったということで3人は戻ってくる可能性が高い。
ただ、誰が戻ってくるのかは不透明なので一応前節同様の11人を予想スタメンとした。
一方、アビスパ福岡の予想スタメンだが、こちらも4月5日に選手2人が新型コロナウイルス感染症の陽性診断を受けたことを発表。しかしこちらは、1人は別メニュートレーニング中の選手、もう1人も4月3日の試合に出場していない選手の様なのでそこまで大きな影響はなさそうだ。
ただし福岡は前節が水曜日なので中2日。なのである程度選手を入れ替えてくることが予想され、前節はベンチスタートとなった、エミル・サロモンソン、志知の両SBが復帰する可能性が高いだろう。
試合のポイントとしては、セレッソもカウンター型に寄りつつあるがボールを持つことを嫌がるチームではないので、セレッソがボールを保持する時間が長くなるだろう。
となると福岡のプレッシングをどう外すことができるかが重要になる。
また先程、福岡は「前から行く時と後ろで守る時を使い分ける」ということを書いたが、使い分けるということはそこにギャップが生まれる可能性がある。
なので、狙いたいのは特に前半に福岡がボールを取りに来たところ。ここで裏返すことができれば迷いが生じるのでチャンスが広がる。もしそこで先制できれば試合は一気に楽になるので、最初のチャンスを特に大切にしたい。
もしここで決められないなら、次に狙いたいのはクロスを跳ね返した後。これも先に書いたように福岡はSBのサポートにCHが出ていく。となると、このクロスを跳ね返すことができれば目の前にはCHは1人しかいない。そこで打開できればチャンスは広がるだろう。
ただしこのSBのクロスは低くて早い非常に質の高いボールを入れてくる。そして中にも人数をかけることができる設計になっているので、いつも以上にクロスに対するポジショニングには徹底したい。
ちなみにセレッソ大阪はアビスパ福岡にリーグ戦で20勝4分8敗と大きく勝ち越しているが、レヴィー・クルピが監督の時期に絞ると10勝2分1敗。そしてホームでは5勝1分。最後の対戦は2011年の最終節7-1で勝利した試合である。
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