2021年4月4日日曜日

4/2 明治安田生命J1リーグ第7節 VS. サガン鳥栖 @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審今村 義朗
入場者数7,014人副審岡野 宇広、川崎 秋仁
天候 / 気温 / 湿度曇 / 18.8℃ / 42%第4の審判員三上 正一郎
VAR松尾 一
AVAR西橋 勲

セレッソ大阪C大阪

 

サガン鳥栖鳥栖

 
  • 監督
  • レヴィー クルピ
 
  • 監督
  • 金 明輝

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「10000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>


<選手コメント>


国際Aマッチウィーク明けの開催となる明治安田生命J1リーグ第7節。フライデーナイトJリーグとして行われた、ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪対サガン鳥栖の一戦は1-0でセレッソ大阪が勝利。今季ここまで無敗・無失点だった鳥栖にセレッソ大阪が初失点・初黒星をつけた。

■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーは前節から2人入れ替え。負傷離脱した坂元達裕、原川力に代えて西川潤と藤田直之を起用。右SHに選ばれたのは西川潤だった。
さらに高木俊幸も負傷離脱したのでベンチメンバーも大きく入れ替わっていおり、松本泰志、松田力、山田寛人がベンチ入りとなった。

一方サガン鳥栖のスターティングメンバーは前節から3人入れ替え。外れたのは島川俊郎、山下敬大、本田風智で、アンカーには柏戦で負傷交代した松岡大起が復帰し、2トップは林大地と中野嘉大を起用。中野嘉大は先日までの国際Aマッチウィーク中の3月24日に札幌から期限付きでの加入が発表されたばかりで、加入後即先発となった。

■鳥栖のボール保持の仕組み

開始早々の4分に西川のFKから豊川がニアでスラしたところに大久保が飛び込むという形でネットを揺らすが、大久保はオフサイドポジションということでノーゴール。いきなりセレッソが鳥栖ゴールに迫るところから試合は始まるが、前半は鳥栖がボールを保持する時間が長い展開になった。
ただこうなるのもある意味当然。プレビューでも少し触れたが鳥栖にはボールを保持する形がチームに落とし込まれているからである。

鳥栖の布陣でベースとなっているのは3-1-4-2。なので最初の立ち位置としてはこうなる。

しかしボールを保持するとポジションを動かす。3バックの左に入る中野伸哉選手は大外のレーンに移動してWB的なポジションを取り、WBの小屋松は内側に。そして左IHにいた仙頭は降りてくる。
よく見られたのはこの形。ここから開いたCBの間に松岡が落ちる形や、落ちずに朴一圭が出てきて松岡と仙頭がCHで並ぶ形、さらには仙頭は松岡を越えて3バックの左に落ちてくることもある。
このように鳥栖は左サイドがかなり動くのだが、このポジションチェンジがかなりスムーズ。相手の状態を見ながらよどみなく動き、これだけ複雑に動いているにも関わらず動いた先の場所で重なってしまうこともなく、またしっかりとその役割をこなすことができる。

この仕組みをもう少し踏み込むと、いわゆるビルドアップ隊とされるのが、GKの朴一圭と、ファン・ソッコとエドゥアルドの3バックの右2人、そしてアンカーの松岡と、左IHの仙頭。そしてその中でもビルドアップの出口となるのが松岡と仙頭の2人。この2人がいかに相手守備のファーストラインをところでボールを持たせるかを追求した先の形なのだろう。
これだけポジションを変え、さらに立ち位置のバリエーションもあるので相手側が中途半端に捕まえにいくと簡単に守備のファーストラインを越えることができる。これが今季の鳥栖が好調であることの要因の1つだろう。

■鳥栖の可変に対するセレッソの守備

こうした多彩なビルドアップの形を持つ鳥栖に対してセレッソが選択したのは4-4-2でセットする守備。
試合後のコメントで奥埜が「チームとして、前からボールを取りに行って、奪い切ってショートカウンターをすることが一番ですけど、今日は相手が後ろに人数をかけてボールを握ってきたので、試合中にみんなで声をかけ合って、「ある程度、後ろの選手には持たせていい」という判断を選手たちでしていたので、そこが良かったと思います」と語っているが、これが出来るのが昨季までやってきたことが生きている部分と言えるだろう。
昨季の遺産がそれほど多く残っているわけでもないし、試合に向けてチーム全体で落とし込む作業ができているわけでもないのでチームとして常にいい形を作れるわけではないが、追い方や捨て方、そして戻り方など選手個々に残っている部分はあるので、こういう判断もできる。

4-4-2でセットすることのメリットは鳥栖がどういう可変をしようがとりあえずはあまり関係ないということ。
守備の最初の基準が人ではなくボールなので4-4-2でセットしてスペースを消す。なので最初に落ちるのが松岡だろうが仙頭だろうがあまり関係なくなるのだ。

ただし、先程紹介した奥埜のコメントにも「チームとして、前からボールを取りに行って、奪い切ってショートカウンターをすることが一番」とあったように、チームとしては出来るだけ前からボールを取りに行きたいという考えはあったのだろう。

もちろん一旦は4-4-2でセットしてからだが、3バックの両サイドの選手にボールが入ったところでSHがそこにアプローチをかけに行く場面も前半の特に飲水タイムまではよく見られた。
ただしこれがある程度上手くいっていたのはセレッソの左サイド(鳥栖の右サイド)だけ。セレッソの右サイド(鳥栖の左サイド)では簡単にボールを運ばれるという場面も目立っていた。
この相手の3バックのサイドの選手にSHが出ていく形は昨季から清武が抜群に上手かったことからもわかるように、そうなっていたのは単に個人の差という部分もあるが、それ以上に鳥栖の仕組みが左右で異なるという部分が大きいだろう。
セレッソの左サイド(鳥栖の右サイド)は特にポジションが動かないので左SHの清武が出たタイミングで後ろの左SB丸橋も飯野を捕まえにいくことができる。
しかしセレッソの右サイド(鳥栖の左サイド)では右SHの西川が前に出たタイミングで右SBの松田陸が左の大外に出てきた中野伸哉選手を捕まえに行こうとしても、松田陸のところにはもともと左のワイドにいた小屋松が外から内へと入ってくる。なのでこれで出て行ってしまうとよりゴールに近い位置にいる小屋松を開けてしまうことになるからである。
となると西川がエドゥアルドにアプローチをかけたとしても大外にいる中野伸哉選手はフリー。そこに易々とボールを出されてしまうのだ。
その結果、鳥栖がボールを保持する時間が長くなることに繋がった。

しかし前半のボール保持率セレッソ43%・鳥栖57%、パス数セレッソ235本・鳥栖308本に対してシュート数はセレッソ6本・鳥栖3本だったことからもわかるように、鳥栖はボールを持っているもののチャンスが作れていたわけではなかった。
その理由としては鳥栖の攻撃が外側からがほとんどだったから。左サイドの大外からボールを持って運ぶ、もしくは右サイドにサイドチェンジして縦という形がメイン。中にはほとんどボールを入れさせていなかった。そしてクロスの対応はポジショニングも含めて昨季まででしっかりと仕込まれているので、単純なクロスではそう簡単にチャンスは作らせない。
鳥栖にしてもセレッソがブロックを作ってくることはある程度予想されたこと、だからこその中野嘉大の起用だったのだろう。
中野嘉大が起用されたポジションは林と並んだ2トップというよりも、少し林よりも低いシャドゥ的なポジション。おそらくライン間でボールを受けてほしいというのが狙いだったと思う。中野嘉大はサイドアタッカーの印象が強いが札幌時代はシャドゥで起用されることもあった。
しかし結果としてはこれは上手くいかなかった。中野嘉大はほとんどボールに絡めなかった。

また、西川が出て行った時に内側に小屋松、外側に中野伸哉選手という難しい2択を迫られていた松田陸が決して優先順位を間違えなかったのも、鳥栖にフィニッシュの形を作らせなかった要因の1つだろう。
西川が出て行ったタイミングで何度も外の中野伸哉選手にボールを出されたが、松田陸は最初から外に引っ張られることなく内側のポジションを取り続け、ボールが出てから外にアプローチに出るという形を崩さなかった。

■鳥栖のボール非保持

鳥栖のボール非保持は2段構えになっている。
1つ目はボールを失った瞬間、攻撃から守備への切り替えのところで行われるプレッシング。2トップ+樋口、小屋松の前線にいる4人を中心にボールホルダーに対してプレッシングを仕掛ける。
ここでプレッシングを仕掛けるのは、ボールを持ちたいチームなので「ボールを素早く奪い返したい」という狙いもあるが、それ以上にボール保持で特に左サイドがポジションを入れ替えるので元のポジションに戻るための時間を作る必要があるからだろう。
このタイミングで高い位置でボールを奪い返すことができれば最高だが、最も重要なのは相手の攻撃を遅らせることである。

相手の攻撃を遅らせ移動していた選手達が元のポジションに戻ることができれば5-3-2でセット。ここからは迎撃型での対応となる。
2トップはセレッソのCHを背中で消しながらIHはまずは2トップ脇をケア。SBにボールが出ればIHが出ていくという形なので5-3-2というよりも2トップと2人のIHで中を閉めるので5-1-4的なニュアンスも強い。
そして守備の1列目を越えられた時、いわゆるアンカー脇にボールを入れられた時は、5人並んでいる最終ラインから前に食いつく形で潰しに行く。そのため最終ラインは高めに設定されている。
これができるのも長いボールはエドゥアルドとファン・ソッコで跳ね返すことができること、そしてGKには朴一圭がいるのでその後ろのスペースもケアできるからである。

鳥栖としては概ねこの形で上手く守れていた。
しかしセレッソも11分の場面を筆頭に、キム・ジンヒョンからアンカー脇の清武らに直接ボールを入れ一気に裏返す場面を作っていたことで、ボール保持率ではかなり差をつけられながらも、シュート数は大きく上回る7本を記録することができていた。
こうして裏返される場面を作られるのは鳥栖の最終ラインにとっては結構なストレスだったと思う。

■電光石火の先制点


後半開始から鳥栖は中野嘉大に代えて山下敬大を投入。先にも書いたが中野嘉大はあまりボールに絡めていなかったのでしょうがないところ。そして同じように間で受けるプレーを求めて本田風智を投入するという選択肢もあっただろうが、選んだのは山下。これは中に刺すのは難しいがサイドからは前進できている、クロスは入れることができる、ということで前で勝負できる山下ということだったということか。

しかし後半開始早々の46分、画面表示では45:09だったので後半キックオフからわずか9秒後に奥埜がミドルシュートを突き刺しセレッソが先制する。
形としてはキックオフで戻したボールを瀬古が敵陣深くに長いボールを蹴り込み、そのセカンドボールを拾ったところから。
試合後に奥埜が「セカンドボールを拾うことを意識していた」と言っているが、これは特別なことというわけでもない。しかしそれを見事に拾って、さらにワンタッチで松岡を外してゴール方向にボールを持ち出せたことで一気にゴールへの視界が広がった。
先にも書いたが、鳥栖としてはどうしてもIHが前へのベクトルを持ってプレーしているのでアンカーの脇は空くがそこは最終ラインから迎撃して潰しに行く、そのために最終ラインは高めに設定する、という仕組みになっているのだが、ロングボールなのでどうしても最終ラインを下げざるを得ず、そんな中でセカンドボールを拾われ、さらにワンタッチでアンカーを外されたので最終ラインから前に潰しに行く時間も無かったというところだろう。
鳥栖はこれで今季初失点。ここからは今季初めてビハインドの中で試合を戦うこととなった。

■今季初めてのビハインドとなった鳥栖

セレッソの先制ゴールの後、鳥栖は縦への意識を強め直後の47分に樋口が左足で放ったミドルシュートは枠を捕らえなかったが惜しい形ではあった。
ただ、縦への意識を強めるということは攻撃は速くなる。そして速く運んだボールは速く帰ってくるというのがサッカーでの常。
ということで試合は徐々にオープンになっていく。
しかしオープンな状況になると困るのは鳥栖。先にも書いてきたが、鳥栖は形を変えボールを保持する、相手の攻撃を遅らせるためにプレッシングを行なう。考え方のスタート地点が違うので構造や対応方法は異なるが、ロティーナのチームと同様にできるだけトランジションの機会を減らしたいチームだからである。
そんな中で試合がオープンになると負担がかかるのはエドゥアルドとファン・ソッコのCBコンビ。オープンになるとこの2人が晒されてしまうことになる。後半は試合が荒れ気味になっていったのは彼ら2人にかなりストレスがかかっていたからだろう。

そして始まりは前半の飲水タイム以降、そしてセレッソが先制するとさらに、セレッソは鳥栖の3バックのサイドの選手にSHがアプローチに出て行く回数を減らす。ここが序盤に書いた奥埜のコメント「試合中にみんなで声をかけ合って、「ある程度、後ろの選手には持たせていい」という判断を選手たちでしていた」というのを象徴する場面だろう。
「落とせ」とか「行かなくていい」という藤田の声がよく聞こえていた。
前半の序盤も守れていたがギャップをわざわざ作る必要はないという判断である。ではこの3バックの両サイドにどう対応するのかといえば、2トップが頑張ってスライドする。
これはキツいのだが、2トップはかなり頑張っていた。またこの両サイドに入ることが多いファン・ソッコとエドゥアルドは、精度の高い長いボールは蹴ってくるが、ドリブルで持ち出してくるというプレーはほとんどしない。これが2トップで頑張ってスライドする形でも何とか対応できていた要因の1つだろう。
この2人がボールを持ち出すドリブル自体ができないのか、それともトランジションのことを考えてやらないのかはわからないが、前節の湘南の田中聡のようにドリブルで運んでくるとなるとスライドではどうしても間に合わない場面が出てくるので難しくなる。しかしこの試合では、それが無かった分セレッソは2トップのスライドで対応することができていた。

鳥栖は63分に小屋松に代えて本田風智を投入。ポジションとしてはWBだがここはボール保持では中に入ってくるポジション。
間で受けることが上手い本田にその役割をということなのだろう。今季はここまで途中出場が多いが出場すれば効果的なプレーを見せている。

そして直後の64分にCKからエドゥアルドが頭で合わせるもクロスバー。縦への意識を強めるもゴールは遠い。

69分に鳥栖は怪我明けの松岡に代えて島川俊郎を投入。セレッソは76分に大久保に代えて山田寛人を投入。山田は左SHに入り清武がトップ下となる4-2-3-1に変える。山田はスピードがあるのでちょうど高木俊幸の役割というところだろう。

すると77分、ファン・ソッコが2枚目のイエローカードで退場となる。カードの種類としてはC2、ラフプレーである。
このタックル自体は足も上がっていなかったのでそこまで危険なプレーでは無かったが、55分に大久保のファールを受けたことにイラつき蹴り返したことで最初のイエローカードを受けてから、59分に豊川の足を蹴ってしまったり、74分にも豊川との競り合いの中で手を使ってファールをしていたので、何度も注意を受けていた。そんな中で起こったプレーだったので、ラフプレーでのカードということになったのだろう。また後半は試合の展開が速くなりファン・ソッコとエドゥアルドにかなりストレスが溜まっていたこともこれだけファールを重ねてしまった要因の1つだろう。
ちなみにレッドカードはVARの対象となるが、イエローカードはVARの対象とはならない。この場面はレッドカードだが2枚目のイエローカードなのでVARの対象にはならない。

この退場を受けて鳥栖は80分に林に代えて田代雅也を投入しCBのポジションを埋める。

ここから鳥栖がかなり前線に圧力をかけるが、90+1分に清武に代えて加藤陸次樹、90+3分に豊川に代えて松田力を投入し時間を使いながら試合をクローズ。

試合の締め方というよりも、押し込んでくる相手に対して守るという選択は悪くないが、普通に攻めてボールを失うのはどうなんだ?という印象を受けたが、そのまま1-0で守り切り試合終了。セレッソ大阪がホームで4連勝となる勝利を挙げ、鳥栖は今季初黒星を喫した。

■その他

坂元、原川、高木という中心選手を3人も欠く中で心配された試合だったが、無事に勝ちきり勝利を飾った。
後半開始早々のゴールが時間帯的にも試合展開的にも結果に大きく影響しただろうが、いい勝ち方だったと思う。
今季のチームは流れも何もない中で突然ゴールを奪えるのだが、それはチャレンジしているからとも言える。もちろんチャレンジすることによってリスクは生まれるし、そのデメリットが出ることもあるのだが、この試合では藤田を中心にそのリスクを上手く消せていたのではないだろうか。

そしてこの試合で今季初先発、さらに初のフル出場となった西川だが、これまでよりも自分の強みを発揮できていたと思う。
西川は端正なルックスに似合わず身体をぶつけるのがそんなに嫌ではないという選手なので、人に対してアタックしてくる鳥栖に対してはより効果的だった。ただ、その分疲労も大きいので最後はかなりヘロヘロになってしまっていたが(笑)。
右SHだとライバルは坂元となるわけで坂元の壁はかなり高いが、戻ってくるまでにはまだ少し時間がかかりそうなので、その間にどれだけアピールできるかといったところだろう。

そして、鳥栖。
今のJ1で最も面白い戦い方をするチームの1つだと思う。
ただ当然弱点もあって、その弱点をカバーしようとしているが、ビハインドになった時に前がかりになりたいが、オープンになってしまうとデメリットも色々出てくるというのが難しいところ。この部分はロティーナのチームのようにいかに我慢してやり続けるかといったところなのかもしれない。だが、それにしては可変で動きすぎるのはリスクが大きいかなという気もする。


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