2021年4月14日 18時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
当初は6月19日(土)にヨドコウ桜スタジアムのこけら落としマッチとして大々的に行われるはずだった明治安田生命J1リーグ 第18節、セレッソ大阪対徳島ヴォルティスの一戦。
しかしコロナ禍でACLの日程が変更となったため4月14日へ前倒しとなり、会場もヤンマースタジアム長居に変更。さらにまん延防止等重点措置が適応されたことで観客上限5000人かつアウェイチームのサポーター席は無くなり、水曜日の試合にも関わらずキックオフ時間も18時に前倒し。全部コロナが悪い。
■2021年の徳島ヴォルティス
昨季はリーグ2位の67得点、リーグで2番目に少ない33失点でみごとにJ2優勝を達成しJ1昇格を決めた徳島ヴォルティス。リカルド・ロドリゲス体制4年目にしてついにJ1復帰に成功した。
2014年以来2度目のJ1となる今季は清武功暉らはチームを去ったが、主力クラスはほぼ全員チームに残り、さらに藤田譲瑠チマを東京Vから、宮代大聖を期限付きで川崎Fから獲得。さらに外国籍選手もクルゼイロから21歳のCBカカを、そしてアルゼンチン出身でイタリア国籍を持イタリアU-21代表経験もあるクリスティアン・バトッキオをフランス・リーグアンのスタッド ブレストから獲得した。
ただしこのチームを作り上げたリカルド・ロドリゲス監督は退任し浦和の監督に就任。
そしてレアル・マドリーのアカデミー監督の経験もあるダニエル・ポヤトス氏を監督に招聘するも、コロナ禍における入国制限で来日が大幅に遅れるという事態となったこともあり、開幕からの5試合を2連続引き分けのあと3連敗というかなり厳しいスタートとなってしまった。
しかし第6節の横浜FC戦で今季初勝利およびクラブ史上J1でのホーム初勝利をあげると、清水、仙台にも勝利しリーグ戦3連勝を達成。これで前回J1だった2014年の勝利数にならんだ。
そして前節の浦和戦でも敗れはしたものの互角以上の内容をみせている。
結果が出るようになったのは、チームも選手個々もJ1での戦い方に慣れてきたということなのだろう。このチームにはJ1で大きな実績のある選手はほぼいない。
昨季は3バックで戦うことも多かったが、今季のベースの布陣となっているのは4-2-3-1。ただしボール保持では3バックになることも多い。
この3バック化にもいくつかバリエーションがあり、今季よく見るのが右SBの岸本武流が前に出る右上がりの片上げ3バック。去年のセレッソの丸橋があがり松田が残る片上げ3バックの逆パターンだ。この形が今季多いのはJ1仕様ということでトランジション(攻守の切り替えを)考えてのことだろう。片上げ3バックは選手の移動距離が少ないので可変による時間が短く済む。
それ以外にもCHの1人が最終ラインに落ちて両SBがあがる形もある。
そして何よりこのチームで特徴的なのはトップ下に入ることが多い10番渡井理己の役割だろう。
渡井はビルドアップのときにCHのところまで降りてくることも多い。
トップ下の選手がビルドアップで降りてくることというのは、セレッソでも今季ビルドアップに苦労して清武が降りてくる回数が増えていることからもわかるようにあまりポジティブなイメージを持たれないことも多い。
前の選手が降りてくるということは当然ながら前線の選手が減るということでもあるので、そこでボールを持っても前への選択肢が減ってしまいがちだからだ。
しかし徳島では、渡井が降りてきた時にそういった印象を受けることは少ない。というのも渡井が降りてくる時、降りてこない時という条件がチームでしっかりと決まっているからだろう。
渡井が降りてくる時はチーム全体でポジションを取れている時。ポジショナルプレーの原則をもとに選手がポジションに入ることができれば、渡井はフリーマンとなり降りてくる。そしてターンして前を向くと全てのレーンに選手が配置できているので多くの選択肢をもつことが出来るという仕組みになっているのである。
この仕組みは非常に良くできており、徳島のビルドアップ及びボール保持が安定するのはこの仕組を持っているからだろう。
先日戦った鳥栖がビルドアップのときに左IHの仙頭が降りる形を持っているがそのイメージも近い。以前らいかーるとさんが鳥栖の仙頭落としの元ネタは昨季の徳島の渡井落としじゃないかとおっしゃられていたことがあるが、おそらくその通りだと思う。
また右片上げのビルドアップの場合、右サイドの大外レーンには右SBの岸本、左の大外レーンには左SHの藤原志龍となり(昨季のセレッソでいうと左の大外が丸橋、右の大外が坂元のイメージ)、そのそれぞれの内側、右のインサイドレーンには右SHに入ることが多い宮代大聖、左のインサイドレーンにはトップ下の渡井が入る形になる。
この時は3バック+2CHでビルドアップを行い、渡井がビルドアップの出口となることも多い。
そして徳島の選手ではチームの背骨である岩尾憲、セレッソ出身の岸本武流、サイズがありボールが収まるし得点力もあるし、守備もできるし周りも使える垣田裕暉など面白い選手が非常に多いのだが、その中でも今季特に面白い選手だと感じているのがCBの福岡将太。
身長は180cmなのでそれほどでも無いが身体能力が高いので空中戦に強く、またスピードもある。そしてなによりビルドアップが上手い。
左右両足で長短のパスを出せるのでキックも上手いのだが、それ以上にビルドアップが上手いのである。
以前も書いたことがあるかもしれないが、「キックが上手い=ビルドアップが上手い」ではない。ビルドアップが上手いというのはパスを届けた味方に時間とスペースも届けてあげることができるかどうか。この選手はそれができる。
具体的にはドリブルでボールを運ぶことができる。そしてパスを出すときに相手を引きつけることができる。福岡はこれが出来る。
なので徳島はビルドアップでスムーズにボールを運ぶことができるし、時には大分が得意とするような疑似カウンターの様な形もつくることが出来る。
ちなみにGKの上福元直人もビルドアップが上手い。
先にも書いたようにJ1で実績のある選手はほとんどおらず、監督がかわり、新監督もまだチームの指揮を取れていない(週末の次節鹿島戦から合流できるとの報道もある)。
なので今季は苦労するのではとの予想もあったが、前監督が4年をかけて落とし込んだポジショナルプレーの原理原則がチームに浸透しており、また監督が合流しても現在のベースを活かすことは変わらないだろうから、今季は注目すべき面白いチームだと思う。
■プレビュー
セレッソ大阪の予想スタメンだが、メンバー固定のチームなのでおそらく前節からはメンバーは変わらないだろう。
そして2試合外れていたクルピ監督がこの試合から復帰するとのことなので、前節、前々節で好プレーをみせた中島元彦や加藤陸次樹の活躍にも期待したい。
一方の徳島ヴォルティスの予想スタメンだが、前節セレッソが10日に試合を行ったのに対し、徳島は11日。そしてセレッソがホーム連戦なのに対し、徳島はアウェイ連戦。またさらに中2日で週末にはホームで鹿島戦もある。そう考えるとメンバーを入れ替えてくるという可能性もある。岸本、福岡、藤原などプレータイムの長い選手をどうしてくるか。また前節は前半のみのプレーとなった垣田のコンディションも気になるところ。
ただし前節は岩尾をベンチスタートにし、プレータイムを後半45分間だけに制限できたので、CHの岩尾はスタートから出てくるだろう。
試合のポイントとしては、徳島のビルドアップにセレッソがどう対峙するか。
個人的には鳥栖戦の様にしっかりとブロックを作る戦い方を選択しても良いと思うが、鳥栖は昨季の対戦があったが徳島はJ2だったのでやっていない。体感したものが無いだけに立ち上がりは難しい部分もあるかもしれない。
ただしきっちりとブロックを作ることができればそう簡単にはやられることはないだろう。
そしてもう1つは徳島のプレスとどう対峙するか。
徳島のプレッシングも強いが、SBを使って手数をかけずに前線にボールを送りたい。前線にボールを届けることができれば、チャンスをつくるだけのクオリティはある。
徳島のCHに誰が入るかにもよるが、もし藤田が入るならプレーエリア広くボールを取りに行く分、清武や大久保がボールを受けることができるスペースもある。
ちなみに徳島との対戦は過去16回あるが、敗れたのは2008年のアウェイゲーム1度だけ。
ホームでは7勝1分と圧倒しており、その引き分けも2007年に長居第2で戦った試合のみ。
そして全ホームゲームで得点している。
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