2021年4月12日月曜日

4/10 明治安田生命J1リーグ第9節 VS. アビスパ福岡 @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審笠原 寛貴
入場者数4,607人副審木川田 博信、勝又 弘樹
天候 / 気温 / 湿度晴 / 16.7℃ / 28%第4の審判員岡 宏道
VAR池内 明彦
AVAR川崎 秋仁

セレッソ大阪C大阪

 

アビスパ福岡福岡

 
  • コーチ
  • 小菊 昭雄
 
  • 監督
  • 長谷部 茂利

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>


<選手コメント>


久々のホームでのデーゲームとなった明治安田生命J1リーグ第9節、セレッソ大阪が本拠地ヤンマースタジアム長居にアビスパ福岡を迎えての一戦は、アビスパ福岡に退場者が出るも2-2の引き分け。今季のホームでの連勝記録も4でストップした。

■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーは、前節から2人入れ替え。新型コロナウイルス感染症濃厚接触疑い者として前節はベンチ外となった大久保嘉人、丸橋祐介が復帰し、松田力、新井直人はベンチスタート。またさらにもう1人の濃厚接触疑い者だった松井謙也もベンチに復帰。そのため前節はベンチ入りしていた、U-18の春名竜聖選手、小池裕太、山田寛人はベンチ外となった。

一方のアビスパ福岡のスターティングメンバーは、前節から8人入れ替え。こちらは中2日のアウェー連戦ということで大幅にメンバーを入れ替え、とはいえターンオーバーをしながらの戦い方で前節も主力の何人かを落としたとも受け止められる編成だったので、その選手らのほとんどが復帰したという形である。
外れたのは最終ラインの湯沢聖人、カルロス・グティエレス、宮大樹、輪湖直樹の4人とCHカウエ、左SH石津大介、2トップの渡大生、ファンマ・デルガド。代わって最終ラインには、エミル・サロモンソン、奈良竜樹、ドウグラス・グローリ、志知孝明、CHには田邉草民、左SHには北島祐二、2トップはブルーノ・メンデスと金森健志が入った。
ブルーノ・メンデスは第4節徳島戦のアップ中に負傷して以降離脱していたが、古巣戦となるこの試合で復帰してきた。

■志知の退場まで

試合の立ち上がりはミドルゾーンでブロックを作る福岡に対してセレッソがボールを持つ展開。
福岡のボール非保持はトランジション時やボールホルダーの体勢が不完全なときは最初から人を捕まえるプレッシングに行くが、それ以外は一旦ミドルゾーンでブロックを作る。そしてボールを運ばれるとブロックを下げリトリートするという三段構成になっている。
最初からブロックを下げずに、まずミドルゾーンでブロックを作るのは、ボールを相手ゴールのより近くで奪い返したいから。
そしてボールを奪い返すとすぐに縦パス。ちなみに福岡はパスの方向比率では、前方パス比率がリーグで最も高いチームである。

そんなブロックに対してセレッソが狙っていたプレーの1つはライン間へのパス。開始早々の2分には引っ掛けられたが、奥埜から大久保への縦パスが入っている。
そして4分には西川から間に立つ大久保への縦パスをきっかけに、最後はハーフスペースを西川がとってまた抜きから放ったシュートのこぼれ球を豊川がゴールに流し込むが、判定は西川のところがオフサイドだったということになりノーゴール。得点は認められなかった。

そしてもう1つはDFラインの背後。間と背後を使ってチャンスを作っていこうということだったのだろう。

ただしチャレンジのパスを入れる分ボールを失う回数も増える。
となると福岡はボールを奪えば前に早くパスを入れてくるので展開が早くなる。なのでこの試合は立ち上がりから少しバタバタした試合になっていた。とはいえ、理由は異なるものの、両チームにとってボールが行ったり来たりするバタバタした展開は許容範囲内なんだと思う。

しかしそんなバタバタした展開の中でアクシデントが発生。ボールを奪った奥埜に対して志知が危険なタックルを仕掛けたプレーにVARが入り、オンフィールドレビューの結果S1(著しく不正なプレー)で志知に対してレッドカードが出された。
志知のプレーは、近距離から足を上げて足の裏を見せて奥埜の左足にタックルに行っているのでレッドは妥当なところ。そもそも最初にこのプレーを流したことに少し驚くぐらいのファールだった。
志知にしてもボールを奪い返そうとしてのプレーであり、故意に奥埜の足にスパイクを入れてやろうと思ってタックルを仕掛けた訳ではないだろう。しかし、あの状況でしかも足裏を見せてタックルにいけば危険なプレーになってしまうということは十分予想できたはず。そういった場合ではいくらボールを奪い返したかったとしてもタックルに行ってはならない。
競技規則の第12条、「退場となる反則」の項目にも「相手競技者の安全を脅かすタックルまたは挑むこと、または過剰な力や粗暴な行為を加えた場合、著しく不正なプレーを犯したことで罰せられなければならない。」「いかなる競技者もボールに挑むときに、過剰な力や相手競技者の安全を脅かす方法で、相手競技者に対し片足もしくは両足を使って前、横、あるいは後ろから突進した場合、著しく不正なプレーを犯したことになる。」と記載されている。

時間帯や誰と誰が絡もうとしたプレーだったかは忘れてしまったが、大雨の中で行われたアウェイの横浜FC戦の前半にハーフウェイライン付近でセレッソの選手がコントロールしようとしたボールに対して、横浜FCの選手が離れた場所からアプローチをかけタックルを仕掛けることができる可能性があった場面で、つい先日解任されてしまった下平隆宏元監督が自チームの選手に対して「行くな、止まれ」と指示を出す大きな声がDAZNの中継で拾われていたが、意図しているのはそういうことである。

この退場を受け、一旦はCHの田邉を左SBに落とし、左SHの北島がCHへ、そして2トップの1人だった金森が左SHへ移動。

そして17分には北島に代えて湯澤聖人を投入し左SBに。田邉は元のCH。金森はそのまま左SHの4-4-1の布陣となる。

■ブロックを下げる福岡

立ち上がりはプレッシング・ミドルゾーンでのブロック・リトリートしたブロックと状況によって使い分けていた福岡だったが、退場者を出したことで4-4-1のリトリートしたブロックで戦うことを選択。まずはブロックを下げてスペースを消して守るという判断である。
また飲水タイムの際には長谷部監督から「しっかり守って攻撃はブルーノとSHの2人でカウンターにチャレンジしよう」という指示が出されており、「しかし全部が全部行かない。無理なときはやめて下がろう」ということも付け加えられていた。

福岡のリトリートしたブロックは、4人のDFラインはほぼペナルティエリアの幅を守るという形。徹底的に中を閉めて両サイドはSHがカバーをすることがほとんどだった。

この福岡のブロックに対して、セレッソはボールを運ぶことはできるのだがチャンスはなかなか作れなくなり、前半はそのまま0-0で折り返す。
序盤から狙っていた背後は完全に引いてしまうのでスペースはほとんどなく、またそうなるとブロックが広がらないので間のスペースもほとんど生まれない。リトリートする分押し込めるし、跳ね返されてもセカンドボールは拾えるのだが、シュートするためのスペースはほぼ与えてもらえなかった。
ならばサイドチェンジを使って動かそうとするが、今季のセレッソは選手個人の技術に依存している部分が大きい。
ということは、例えば川崎FのようなIHとSBが2段構えでハーフスペースを攻略しようとする形もないし、横浜FMのようなSBとWGの立ち位置が連動していてそこにトップ下の選手も絡んでハーフスペースを攻略しようとする形もない。
なので個人の技術や判断で時折チャンスのきっかけになりそうな形は作るものの全てが単発に終わっていた。
もちろん全否定というわけではないが、今のチームはどちらかといえばいわゆるポジショナルプレーの考え方に対して「制限をしている」という傾向の捉え方なので、個人技やアイデアが爆発することに期待してチャレンジを続けていくしかないといったところだろう。

そんな中でハーフタイムに与えられた指示というかアイデアはミドルシュート。もちろんミドルシュートが決まれば最高。福岡はブロックを落としているので普段よりもプレッシャーはかかりにくい。さらにブロックを落としているということは、間のスペースを作りたいとしても奥にはブロックを広げにくいということ。となると手前に広げるしかなく、その手法としてはミドルシュートを狙うことが相手を引き出す=ブロックを広げることのきっかけにもなるよということなのだろう。
後半に入ると押し込んだ時に大久保が下がってきてミドルを狙いたいというポジションを取ることが増えていた。

そして62分に西川に代えて中島元彦を投入。そのまま右SHに入る。中島はミドルシュートが大きな武器の選手である。

■2点ずつ

66分に福岡がついにカウンターを発動。藤田と奥埜が横並びになったところでボールを失ったことで、右SHの吉岡が起点となり、1トップのブルーノ・メンデスがスペースに走り、折り返しに左SHの金森が飛び込んでくるも直前で何とか戻った奥埜がCKに逃げた。
福岡の狙う両SHと1トップの3人でカウンターという形である。ブルーノ・メンデスはスペースに向かってプレーする時のスピード、推進力が強烈なのはセレッソでプレーした2年間でもおなじみである。
しかしこれで得たCKからこぼれ球を吉岡が見事な左足のシュートが突き刺さりゴール。67分になんと福岡が先制する。
吉岡は今季長崎から加入した左利きのアタッカーで、長崎総科大付属が小嶺総監督を招き初めて選手権に出場した時の中心選手。ともに高さはないが機動力とテクニックがある2学年下の安藤翼(現相模原で安藤瑞季の兄)との2トップは当時旋風を巻き起こした。
福岡は今季の得点の半分がセットプレーから(PK、FK直接を含む)記録している。

しかしその直後の69分。今度は中島が左足を一閃。後半に入ってから狙っていたミドルシュートを突き刺した。
中島は右利きだがもはや両利きと言ってもいいぐらい左足でも強烈なシュートを放つ。力の乗せ方が上手いのだろう。

73分、セレッソは大久保と豊川に代えて松田力と加藤陸次樹を投入。同時に福岡も金森とブルーノ・メンデスに代えて石津大介とファンマ・デルガドを投入する。
スコアが動いたのでどちらも前線の選手を投入してチャンスをものにしようということだろう。

すると76分、GKのビルドアップからボールを運ぶと丸橋のクロスに加藤がDFラインの背後のニアで合わせてゴール。
何度もねらっていた形でゴールを奪う。
これまでラインを落として背後のスペースを消し続けていた福岡だったが、先制し、ミドルで同点に追いつかれた影響もあったのか、セレッソがついに奈良の背後を取った。

ビハインドとなった福岡はなんとか同点に追いつこうと少し前がかりになるが、となるとセレッソも攻めるスペースができる。
78分には奥埜がクロスバー直撃の強烈なミドルシュートを放つ場面を作るなど、追加点を狙うセレッソが空いているスペースを縦に早く突くという場面が見られ始める。

81分に福岡は田邉と吉岡に代えてカウエと渡大生を投入。
最初に入った湯澤もそうだが、ファンマ、石津、渡、カウエとフィジカルで無理が効く選手を増やしなんとかチャンスを作ろうとする。

するとカウエがボールを奪い返したところから石津がボールを運んでサロモンソンに展開。サロモンソンからのクロスをファンマが頭で合わせてゴール。88分に福岡が同点に追いついた。
2-1にリードしてからもセレッソは試合をコントロールするわけではなく、出てくる福岡のスペースを逆に使って追加点を狙っていたので、こういう展開も十分に起こり得る。

ここからアディショナルタイムの8分間を含め10分はセレッソが攻め続けるもゴールは割れず。そのまま2-2で試合終了。相手は前半に退場者を出し多くの時間を数的有利で戦ったが、悔しい引き分けに終わった。

■その他

戦力的にも試合展開的にも勝ち点3を取りたい試合だったのだが、引き分けに終わり勝ち点1。勝ちきれない、悔しい試合となった。ただ、今季の戦い方はこういったことも起こり得る。なので切り替えて次に向かっていくしかないだろう。
こういった展開は「相手に退場者が出た事で試合がより難しくなった」と言われることも多く、もちろんこの試合もそう言える試合だろう。ただし、そもそもが影響を受けやすい戦い方なんだからしょうがない部分もある。

試合後にTwitterでもつぶやいた「毎回抽選みたいなサッカーなので勝つことも、負けることも、引き分けることもある」との内容をもう少し掘り下げると、昨季までの2年間は不確定要素をできるだけ排除することを考え、その結果試合をコントロールすることをベースにしたサッカーだった。
しかし今季は、不確定要素を受け入れる。受け入れるというか当然サッカーにはあるものだと捉える。そのためできるだけ抽選の回数を増やそうとする。例えばサイコロで6を出せば得点が入るならば、サイコロを振る回数を増やそうとするサッカーである。
となるとなかなか6が出ない試合も当然ある。もちろん6が連続で出ることもある。またさらに言えば、例え相手が2回しかサイコロを振らなかったとしても、2回とも6が出る可能性も当然ある。
この試合での福岡は、退場者が出たことで以降はセレッソにあまりサイコロを振らせないような戦い方にし、そこから先の形も徹底することで数少ないチャンスを狙った。
それが結果に結びついたというところだろう。

4 件のコメント :

  1. クルピ監督は、ゲームモデルとプレー原則は提示するけど、それらをトレーニングで選手に落とし込むことはせずに、ゲーム練習と本番の試合の中で選手が自分達で見つけなさいという監督なんでしょうか?
    それだと選手の負担があまりにも大きいような気がします。
    とはいえ今年はできるだけ抽選に当たって残留出来るよう目の前の試合を応援します。


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    1. コメントありがとうございます。
      トレーニングはほぼゲーム形式なので、ゲームモデルとプレー原則は提示して落とし込むというよりも、その中で作っていくという感じですね。

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  2. 戦術も戦い方も、基本的に賛同いたしますし、勉強にもさせてもらってますが、
    横浜M戦→87分失点負け
    本節→88分失点引き分け
    徳島戦→90分OG負け

    不確定要素だけで語れない部分、クルピセレッソもこれから成長の余地が大いにあると感じます。
    勝ち方、クローズの仕方というのは戦術というより、サッカーというスポーツのコツみたいな部分かと思うので…上手くて強いチームになって行って欲しいなと思います。
    必要なのは勝ち癖なんですかねえ。

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    1. コメントありがとうございます。
      少しいただいたコメントとは話しがずれますが、これまで漠然と「サッカーというスポーツのコツ」というもので語られてきたものを体系化したのが「ポジショナルプレー」という考え方だったりします。

      試合終盤に失点することが続いているので「コツ」でもう少し我慢できないのか?という趣旨だと思いますが、試合終盤の得点も多いので失点も多いんだと思いますよ。

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