セレッソ大阪 | 2 | 1 | 前半 | 0 | 0 | 柏レイソル |
1 | 後半 | 0 | ||||
延長前半 | ||||||
延長後半 | ||||||
PK戦 |
スターティングメンバー |
セレッソ大阪 | 柏レイソル | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
選手名 | 番号 | 位置 | シュート | シュート | 位置 | 番号 | 選手名 |
キム ジンヒョン | 21 | GK | 0 | 0 | GK | 21 | 菅野 孝憲 |
染谷 悠太 | 3 | DF | 0 | 0 | DF | 4 | 鈴木 大輔 |
丸橋 祐介 | 14 | DF | 0 | 0 | DF | 3 | 近藤 直也 |
酒本 憲幸 | 17 | DF | 0 | 1 | DF | 24 | エドゥアルド |
山下 達也 | 23 | DF | 1 | 0 | DF | 22 | 橋本 和 |
扇原 貴宏 | 2 | MF | 1 | 1 | MF | 26 | 太田 徹郎 |
楠神 順平 | 11 | MF | 1 | 1 | MF | 20 | 茨田 陽生 |
南野 拓実 | 13 | MF | 3 | 2 | MF | 7 | 大谷 秀和 |
キム ソンジュン | 25 | MF | 0 | 0 | MF | 13 | 高山 薫 |
永井 龍 | 9 | FW | 2 | 1 | FW | 11 | レアンドロ |
杉本 健勇 | 20 | FW | 3 | 4 | FW | 9 | 工藤 壮人 |
武田 博行 | 1 | GK | GK | 1 | 桐畑 和繁 | ||
新井場 徹 | 7 | DF | 0 | DF | 2 | 藤田 優人 | |
小谷 祐喜 | 19 | DF | 0 | DF | 5 | 増嶋 竜也 | |
平野 甲斐 | 18 | MF | 0 | 1 | MF | 18 | ドゥドゥ |
岡田 武瑠 | 24 | MF | MF | 25 | 小林 祐介 | ||
秋山 大地 | 26 | MF | 0 | MF | 28 | 栗澤 僚一 | |
フォルラン | 10 | FW | 0 | FW | 19 | 木村 裕 |
11 | シュート | 11 |
---|---|---|
11 | GK | 6 |
7 | CK | 2 |
10 | 直接FK | 20 |
2 | 間接FK | 2 |
1 | オフサイド | 1 |
0 | PK | 0 |
セレッソ大阪 | 柏レイソル | |
---|---|---|
杉本(44') 永井(63') | 得点 | |
杉本→フォルラン(82') キム ソンジュン→秋山(85') 楠神→平野(90') | 交代 | 近藤→増嶋(HT46') レアンドロ→ドゥドゥ(HT46') 橋本→藤田(68') |
楠神(45') 扇原(90'+1) | 警告 | 高山(43') |
退場 |
2度目の監督交代後初のリーグ戦となるホームヤンマースタジアム長居での柏レイソル戦。
ペッツアイオリ前監督の下ナビスコカップ2ndレグで勝利、そして次の天皇杯磐田戦でも勝利と久々に公式戦2連勝の中迎えた一戦で、リーグ戦11試合勝利なしの厳しい状態を脱したいところ。
セレッソのメンバーは天皇杯磐田戦から小谷を染谷に代えてきたのみでフォルラン・平野はベンチスタート。天皇杯では接触プレーによりハーフタイムで交代となったキムソンジュンも戻ってきており、中2日での過密日程の中ですが、天皇杯で勝った勢いをそのまま活かそうという狙いでしょう。
一方の柏は天皇杯で既に敗退しているので日曜日のナビスコカップ以来中5日での試合となり、スターティングメンバーはナビスコカップ準々決勝2試合、22節の甲府戦と全く同じになっています。
■柏のロングボール攻撃
ロングボールを使う柏 |
1トップ2シャドーに入るレアンドロ・工藤・高山の3人を前線を前線に残してロングボールを蹴り3人でセカンドボールを拾いそこに太田と橋本のWBが上がってきてサイドから、そしてセレッソのDFにはね返されても3人残している事でそこからスグに守備にかかる事ができるという形で序盤は何度かチャンスを作っていました。
ロングボールで得る事ができる効果はいくつかあります。
まず1つは前線のプレスをかわす事。相手が寄せてくる前に蹴ってしまうと当然前線のプレスにあう事もありません。そしてまたこれでプレスが空転させる事ができると、効果の薄いプレーを続けるって事はそうとうな精神力が必要になるので、徐々に行けなくなってしまうという流れになっていきがちです。
そしてもう1つは相手を間延びさせる事。
長いボールを蹴ると当然ながら最終ラインが下がる事になります。
となると当然前線の選手から最終ラインの距離が長くなるので各ライン間の距離が広くなる。各ライン間の距離が広がると守備組織の強度が低くなるという事は勝てなかった時期に散々見てきたセレッソサポーターなら知っているはずです。
セレッソもロングボールを使う |
CB2枚と扇原を加えた真ん中3人とSBから最終ラインの両サイドをめがけて長いボールを入れていきます。
同じ様に長いボールを蹴ってきた両チームでしたがその結果として現れた現象は少し異なりました。
■プレッシングとゾーンディフェンス
セレッソがやろうとしている高い位置からのプレッシング。これとゾーンディフェンスは無関係ではありません。
もちろんマンツーマンでも人に引っぱられるなんちゃってゾーンでもプレッシングをかける事はできますし2度追い、3度追いをして、いわゆるカミカゼプレスでもプレッシングといえばプレッシングです。
ただ、それだと長い時間を続けるのは不可能ですので、プレッシングを長い時間続けるには効率的にスペースを埋める事ができるゾーンディフェンスの方が相性が良いのは間違いありません。
ゾーンディフェンスのルールとして、敵のボールホルダーに味方のプレッシャーがかかっており前方にパスが出せない時にはラインを高く保って陣形をコンパクトに保ち間隔を狭めるというのがあるからです。これはプレッシングが機能している形そのままですね。
その一方で、プレッシャーがかかっていない時には、敵FWの「裏」を狙う動きを先取りしてリトリートして、最も危険な裏のスペースへのパスを消す事も必要です。これはプレッシングに行けない時の事ですね。
これを具体的に言えば先日の磐田戦の時にも書いた、
・最前線でボールを失った時は、サイドチェンジまたはGKへバックパスをされるまではプレッシング。サイドチェンジまたはGKへバックパスをされた時は戻って4-4-2のブロック。
・中盤でボールを失った時は、サイドチェンジで外されるまでまたは相手の動きによって最終ラインが下げられて(奥行きを作られて)陣形が間延びしそうになるまではプレッシング。サイドチェンジまたは間延びしそうになれば4-4-2のブロック。
という事になります。
サイドチェンジされるとプレッシャーがかからないから一旦下がって陣形を整え、そこからまたボールホルダーにプレッシングをかけるという事ですね。
余談ですが、ペッツアイオリが最初4-3-3で前線をサイドに開かせていたのはこのサイドチェンジが出来やすくなるからです。そして守備の時に4-4-2になっていたのはゾーンでプレッシングをかけやすくなるから、リトリートしてゾーンを作り直した時に4-1-4-1になっていたのは、ここではまだ出てきていませんが、ゾーンディフェンスに置いて4-4の間を使われる事が最終ラインの裏を使われる事の次にイヤな事なのでその間のスペースをケアする為の選手を置きたかったからです。
猛烈な熱さとチーム全体が自信を無くしていた事もあってなかなかそのメリットをチームが理解出来ず結果に繋がりませんでしたが、こうやって考えるとペッツアイオリが取り入れようとしていた事がどういう事なのかがわかるかと思います。
■セレッソがペースを握るまで
前置きがかなり長くなってしまいましたが、実際の試合に戻ります。
セレッソのプレッシング |
ただ柏は3バックなので2トップではどうしても1枚余ってしまう。
そこに3人目としてプレッシングをかけるのはサイドハーフに入った南野か楠神で、SHが出て行けばSBが前にでるという連動をみせます。
この時の形としてはキッチリゾーンディフェンスのルールに沿ったポジショニングになっていないといけません。
サイドを代えられたときの対応 |
またこの3人目のSHは常に行く訳ではありません。
SHが出て行く前からサイドチェンジのボールが入った時の様に柏の最終ラインやWBの選手が前向きにボールをもって顔を上げておりいつでもロングボールを蹴れる状態だったり、柏のボランチがフリーになっていて人数が余っていれば、出て行ってはいけません。
序盤、例えば11分頃の楠神が鈴木に寄せてそこから太田、レアンドロと繋いで工藤に抜け出されたシーン(最終的には工藤と高山のコンビネーションが合わずに酒本がなんなくボールを奪う事ができた)などはこの楠神が行ってはいけない所で3人目として行ってしまいそこからピンチになってしまった場面なのですが、時間の経過と共に徐々にその回数は少なくなっていきました。
4-4の守備組織 |
そうなると4-4のラインの前にスペースができて柏がボールを持つ事ができるのですが、2トップもSHがついてこないと最終ラインを追いかけるのをスグに止めてその空いたスペースを埋める動きに変更、既に自分の後ろにボールが入っていればプレスバックの動きに変えていました。
スペースを空けてしまう |
しかし柏はそのスペースを埋めるよりも前線の3人はカウンター要因として前に残す事を優先させました。
ただその結果、もっとも危険なボールの出所である扇原の所にボランチが寄せると、大きく開いた最終ラインとボランチの間に楠神が入ってボールを受ける、そこにプレッシャーがかけられないとWBはどうしても下がらざるをえず、セレッソのSBが高い位置で自由になる。
途中で中盤に戻してもそこからもう1度前に出れるだけの走力がある高山は戻る事もありましたが、少なくとも2枚は前線に貼付けたまま、後ろを5-2もしくは5-3の形にして守る事を選び、その前線を活かしてカウンターでなんとかという事だったんでしょうけど、柏にとって結局この前に残したのは結果的には損得勘定でマイナスになってしまいました。
セレッソの守備で、時間の経過と共に3人目のミスが無くなっていったと書きましたが、その要因は楠神と南野の判断の精度が上がったからという事だけでは無く、どちらかといえば3人目が出て行ってもミスにならない場面が増えたから。要するにプレッシングがハマる機会が増えたからでした。そうなったのはセレッソのSBが最初から高い位置にいるので連動しやすくなったからなんですよね。
ただこれは結果論で、セレッソは守備では狙っていたものに近い形になる時間は増えていましたが攻撃ではアタッキングサードの精度が低かった。ショートカウンターの形から南野がチャンスを作ったりしていましたが、杉本がよくやるスルーして壁パスをもらおうとする動きでは全くまわりが反応していなかったりなど中途半端なボールロストも多くありました。
また柏もセレッソのプレスをぼかそうと25分頃から大谷が最終ラインに下りる4-1-5の形も見せ始めていました。なのでもし柏が前に3人残した形で裏のスペースを使って先制していたら全く違った形になっていたんでしょうけど。
しかし、試合を動かしたのはセレッソ。
44分に酒本のFKを杉本が頭で合わせて先制します。
この杉本が合わせた場所。このシーンまでに2回FKがありましたが全て同じ場所を狙っていました。その2回は大熊監督就任以降キッカーを務めている扇原でしたが、全て菅野が出にくいスピードがあるボールで、ニアに大谷がいてその次に3人並んでいる所の後ろでエドゥアルドの前を狙っており、扇原のキックはCKでもちょっと当たってる感じがなかったので酒本に変わっても同じ所でした。
■次のゴールを決めたのは
後半開始〜 |
レアンドロは前半ラストプレーでシュートを打った時にモモ裏を押さえていたので少し心配ですね。
近藤の交代は戦術的な理由との事なので、セレッソの前線からのプレッシングにはめられていた事が原因なのでしょう。
ビルドアップの修正 |
しかし63分。キッチリと守備組織ができていた時にアタッキングサードに入ろうかという所で扇原がしっかりとした対応でボール奪取。
カウンター気味にそのまま運んで杉本に出すと杉本はそこで基点となり外側を上がってくる丸橋にスルーパス。丸橋から楠神に短く折り返すとそのボールを永井に出して反転シュート。シュートは鈴木の足にあたったものの浮き上がった球は菅野を越えてそのまま決まりセレッソが2-0とリードを広げました。
このゴールは大きかった。扇原のボールカットから杉本、丸橋、楠神と全て柏の守備が遅れていました。
68分〜 |
橋本は今節の出場も危ぶまれていたのでその影響もあるかもしれません。
この辺りの時間帯からのセレッソは、前でプレッシャーがかかってるときは良いけど3人目がなかなかいけなくなっておりあきらかに間延びが始まっていました。
しかし2点目が大きかったのがズルズル下がってしまう事は無く目の前の相手にはまだしっかり当たりに行けているという状態。
なのでそこでボールを奪えればカウンターを仕掛ける事もできていましたし、ファーストディフェンダーさえ上手く行けば守備組織も作れていました。
ただ、結構ギリギリのところもあるのでフレッシュな選手をいれたいんだけど誰と誰を交代させるのかがちょっと難しい。そんな状況だったと思います。
82分〜 |
永井と中盤はまだ頑張れていたので杉本、その杉本に代えていれる事でフォルランに基点になってもらおうという狙いだったんでしょう。まあ高さを考えないならそれしかないぐらいの選択肢だったと思います。
85分〜 |
SHの運動量も目に見えて落ち3人目が全くいけないからボールを動かされるとブロックを落とすしかないという状況にせざるをえなくなっていたので、秋山をいれ真ん中からいけなくなったSHの代わりに前に出るという役割を担っていました。
90分〜 |
後半は何度か危ない場面を作られ、試合終了間際にも工藤がゴール前でフリーでシュートを打つ等失点してもおかしく無い場面もありましたがとにかく2-0でセレッソが勝利しました。
■その他
リーグ戦11試合ぶり、ホームではなんと3/15の3節清水戦以来の勝利となりました。
長かったですね(笑)。
実はこれまでも2点差以上で敗れたのは8節のFC東京戦だけで、後は全て1点差。完全にやられた試合はほぼ無かったんですが、勝利するまでにこれだけの時間がかかってしまいました。
この試合でもこれまでの様に間延びしてしまう時間帯があったのに、そこで踏ん張れたのは、ナビスコ2ndレグと天皇杯の2連勝、そして2点目が本当に大きかったと思います。
ただ、そういう意味でも課題があるのはアタッキングサードでの精度。大熊監督も試合後に言っていた部分ですね。
この試合では1点目、2点目ともにチームにとって勢いがつく時間帯で取れましたが、前半から勿体ない場面が多かっただけでなく、ここで中途半端な形でボールを失う場面もかなり多くありましたから。
永井・杉本・南野・楠神の運動量はこの試合のベストパフォーマンスでもありましたが、一方では自分達のミスで走らないといけない場面も増やしていた所もありましたからね。
守備組織の部分でも課題はまだありますが、2-0で勝った試合なのに「アタッキングエリアでの質を上げなければ」と言っていたのはそういう事だと思います。
あと、思い出しましたが、開幕時点では4バックだった柏がそもそも3バックになったのはビルドアップが上手くいかなかったからでしたね、確か。上手くいかないからミスマッチによるシステムのずれを使って解決しようという狙いだったと思います。
そういう考えるとプレッシングを機能させてビルドアップを混乱させるという大熊監督の狙いは理にかなったものでした。
しかし、すっかり4-4-2のチームになりましたね(笑)。
何時も楽しく読ませてもらってます。大熊監督はペッツァイオリ監督がやろうとしてたサッカーをしてると言う認識で良いんでしょうか?それにしても選手起用が上手いの一言です。前監督の時はあまり機能しなかったキム・ソンジュンも機能してるし、フォルランはもう少し早めに投入しても良かったですか?
返信削除コメントありがとうございます。
削除今見せている大熊監督のサッカー=ペッツアイオリのサッカーってわけではないと思いますよ。
あくまでベーシックな部分が共通しているというだけですので。
サッカーはバランスですからね。
フォルランについては、それこそ微妙なバランスで拮抗しているって感じで交代が難しい展開でしたからね。
あの時間帯になったのもしかたないかなとは思います。
いつも興味深い分析ありがとうございます。
返信削除大熊監督になってからの試合をペッツァイオリさんが見たら
「なぜ僕のときにはこんな風に動いてくれなかったんだ・・・」と落ち込んじゃうんじゃないかと思うほど、
みんな落ち着いたプレーができるようになって驚いています。
ペッツァイオリさんはそんなにおかしな事を求めていたようには見えなかったのに、
選手との間にはかなりの齟齬があったようで、
コミュニケーションの点で大きな問題を抱えていたのではないかと感じています。
セレッソはちょっとチームとして「監督を選びすぎる」というか、
「セレッソ方言(のようなもの)を解さない監督を受け付けない」という間口の狭さがあるのではないか、
だとしたら、来年からまた監督探しに困るのではないか、と心配です。
もちろん今は、大熊監督の元で残留を成し遂げられるのか、が一番の心配事ですけれど。
いつも楽しく読ませてもらっています。
返信削除私が監督交代して感じたのは、選手に迷いがなくなって思いっきりが良くなったこと。
とくに柏戦の杉本健勇は一番変わったように思います。運動量が上がり、ほぼトップで張っている
だけだった前監督とは見違える動きを見せてくれました。
結局はペッツァイオリ監督の采配が悪かったのでしょうか?
監督が代わって、セレッソはどう変わったのか、なぜ勝てるようになったのか
分析していただけると嬉しいです。