2020年7月26日 19時00分:駅前不動産スタジアム
予想スタメン |
前節の激闘から中3日で迎える明治安田生命J1リーグ 第7節。セレッソ大阪は敵地駅前不動産スタジアムでサガン鳥栖との対戦。この試合がリーグ戦再開にあたって東西に分けられた西ブロック内での最後の対戦となる。
■サガン鳥栖
今季開幕前には経営問題での報道もあったサガン鳥栖。フェルナンド・トーレスが引退し、さらには小野裕二(ガンバ大阪へ)福田晃斗(湘南へ)クエンカ(仙台へ)三丸、高橋祐治(共に柏へ)、さらには期限付きで金崎(名古屋へ)と多くの主力がチームを去った。
新戦力としては、京都から小屋松、2018年に京都でプレーしていたパワー系FWのレンゾ・ロペス、仙台から梁勇基、松本からエドゥアルド(セレッソサポーターにとっては忘れられない存在である元川崎Fのエドゥアルド)、神戸から宮、徳島から内田を獲得。彼らに加え、大卒の林大地(大阪体育大学)、森下龍矢(明治)、そして下部組織から上がってきた本田風智は既にチームの主力となっている。
布陣としては最近流行している4-3-3がベース。
4バックは、森下、宮、エドゥアルド、内田という新加入でスタート。CBが2人とも左利きという珍しい構成だったが、宮が負傷離脱。その後CBには原輝綺が入っている。
原輝綺はSBとしてのイメージが強いが元々はスピードを活かしたディフェンス力に定評がある守備のユーティリティプレーヤーだったのでCBもそつなくこなしている。
中盤3枚は松岡がアンカーでその前に原川、本田というかなり若い構成でスタート。
序盤は本田がとてもルーキーとは思えないプレーを見せていたが、連戦による疲労もあるのかここのところは少し大人しめ。梁勇基も出番を増やしている。
3トップは左の小屋松はほぼ固定。右は悪魔の左足のチアゴ・アウベスが出場していたが前節は出場停止となり、昨季も右サイドでプレーしていたアン・ヨンウを起用。
CFもレンゾ・ロペス、豊田と選手を入れ替えながらの起用となっている。
チームの問題点はあきらかに得点力不足。前節の原川のゴールがシーズン初ゴールでここまでの6試合でその1点しか奪っていない。
前線が入れ替わり気味なのもその関係だろう。前節の清水戦ではそれまでの4-3-3から4-4-2に変え林と金森のスピードある2トップで清水のバックラインの裏を突こう。そして清水の守備はサイドが手薄になりやすいので、小屋松と原川のSHが内側に入り、その外側をSBが出ていく形を作ろうとしてきた。
しかし金森が開始わずか10分で負傷交代。その後もスピードある石井を起用し戦い方は変えなかったが1-1の引き分け。今季初勝利とはならなかった。
得点はわずか1ながら3分3敗で勝ち点3を獲得することができているのは失点がわずか5に抑えることができているから。これはリーグ最少の失点4で並ぶセレッソ、名古屋につぎ、川崎F、広島と並ぶ失点の少なさとなっている。
実際の試合を見ても、4-3-3の場合原川が1つ前にでて4-4-2になることが多いのだが、4-4のラインは整理されており、サイドでボールを持たれても安易にSBが前にでてSBの背後を使われることも少ない。SBが外に引っ張り出された時にCHがSBとCBの間を埋める動きもキチンと行っている。
また4-4-2で戦った前節は別だが、それまでの4-3-3の場合特に左の小屋松がサイドに開いたポジションを取るので左SBの内田は内側で起点となるプレーを行うことも多く、それがボール保持だけでなく被カウンターという部分でも効果的になっている。
一方でボール保持の部分では、昨季も鳥栖と対戦した時はリーグ戦の2試合、天皇杯と3試合全て既に金明輝監督だったのでイメージできる部分もあるかと思うが、キチンとボールを保持しビルドアップして前線にボールを届けようとしてくる。
特に印象的だったのが3回目に戦った天皇杯ラウンド16での対戦で、この試合ではメンバー表上ではパク・ジョンスがCBに入る4-4-2だったが、実際に蓋をあけるとパク・ジョンスはCHでCBには高橋秀人が入る4-4-2。しかしボール保持ではパク・ジョンスは2CBの左に落ちて高橋祐治、高橋秀人、パク・ジョンスの3バックになるというフェイク付きの可変布陣。
ここからポジションのズレを使ってボールを運ぼうとしてきた。
敗戦となったこの試合で、敗戦の大きな要因はミスからの失点だったとも言えるが、金明輝監督の引き出しの多さが印象的な試合だった。
なので今季の鳥栖も、ビルドアップという面では整備されている。いくつかバリエーションがあるが、アンカーが落ちてくる形だけでなく、CBが開きその中央にGKが入る形。詰まれば原川が落ちてくる。
ただ、これはビルドアップを整備しボールを保持しようとするサッカーにありがちな現象なのだが、ビルドアップで手数をかける分相手陣内に入った時に結局選択肢が無理目なパスや、大外からのクロスという形で終わってしまうことも目立つ。
なのでもう少しというところまでは行くのだが、結局シュートの場面までスペースと時間を送ることができていないことも多い。
その結果がシュート数ワースト2位というだけでなく、30m侵入回数ワースト2位、ペナルティエリア侵入回数ワースト2位という数字につながっているのだろう。
30m侵入回数が最も少ないのはFC東京、ペナルティエリア侵入回数が最も少ないのは大分なのだが、この2チームはチームの戦い方、スタイルにそれが由来している。
しかし鳥栖の場合は一発のカウンターで一気に前線に運ぶわけでも、相手を引き出してスペースを作って疑似カウンターを行うわけでもないので、この2チームとは少し意味合いが異なっていると言えるだろう。
■プレビュー
サガン鳥栖の先発メンバーだが、前節は4-4-2を使ったもののおそらくこれは対清水としてのスペシャルプラン。この試合では再び4-3-3に戻す可能性が高い。ここまでの起用法をみても4バックはいつもどおり。中盤は前節はベンチスタートだった梁勇基が入り原川と松岡。前線は金森が負傷してしまったのでアン・ヨンウ、豊田、小屋松となるのではないだろうか。
一方のセレッソ大阪の先発メンバーだが、こちらはどこまで変えるのかが見もの。
CBは瀬古が入り、さすがに3連戦は厳しいと思うので左SHは柿谷になるだろうが、2トップの人選はどうするか。前節HTで交代した都倉には違和感があったとのコメントをロティーナも出しているので、豊川の移籍後初スタメンの可能性も十分ある。
他のポジションについてもアウェイということを考えると入れ替えるには絶好のタイミングだがどうするか。
試合のポイントはいつもどおりペースを落とし、自分たちのスローペースに持ち込むことがまず第一。おそらく鳥栖は立ち上がりにプレッシングをしかけてくる。そこを上手く外しリズムを掴みたい。
そして鳥栖の守備を見る限りこの組織を崩すのはそう簡単ではない。しかしセレッソにはチャンスを作るだけの完成度はある。前節は無得点に終わったが、ブロックの横から侵入する形は何度か作れると思うのでそのチャンスを得点に結びつけたい。
昨季の対戦は1勝2敗(リーグ戦1勝1敗、天皇杯1敗)。リーグ戦ではアウェイで勝利するもホームで敗れるという結果に終わったが、ホームでの試合はPKを2つも見逃されたものなので相性が悪いわけではない。
上を狙うには是非勝ち点3が欲しい試合である。
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