スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 今村 義朗 |
入場者数 | 副審 | 武部 陽介、浜本 祐介 | |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 25℃ / 84% | 第4の審判員 | 村井 良輔 |
メンバー
- 監督
- ロティーナ
- 監督
- ピーター クラモフスキー
新型コロナウイルス感染予防対策のため、無観客での試合開催(リモートマッチ)
<監督コメント>
セレッソ大阪:ロティーナ監督清水エスパルス:ピーター・クラモフスキー監督
<選手コメント>
セレッソ大阪:奥埜博亮、片山瑛一清水エスパルス:西澤健太
前節から中3日で迎える明治安田生命J1リーグ第3節、セレッソ大阪対清水エスパルスの一戦は2-0でセレッソ大阪が勝利。本拠地ヤンマースタジアム長居で行われた初めてのリモートマッチ(無観客試合)で勝利したセレッソ大阪は、これでリーグ唯一の開幕3連勝を達成しリーグテーブルのトップに躍り出た。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは前節から2人入れ替え。CBの木本に代えて瀬古、左SHの清武に代わって柿谷が起用された。今季は過密日程となることからいきなり大幅なターンオーバーをするのではないかという向きもあった様だが、この試合はカップ戦ではなくリーグ戦。しかもまだ2試合目ということを考えるとチームをガラッと変える様な大幅なターンオーバーは流石にリスクが高すぎる。
J1全チームの前節からの入れ替え人数を見ると、入れ替えなしが3チーム(横浜FC、札幌、川崎F)、1人入れ替えが2チーム(神戸、広島)、2人入れ替えがセレッソも含め3チーム(C大阪、鹿島、FC東京)、3人入れ替えが4(鳥栖、浦和、名古屋、大分)、4人入れ替えが1(G大阪)、5人入れ替えが4(清水、柏、横浜FM、湘南)、7人入れ替えが1(仙台)となっていたので、2人入れ替えというのは多くも少なくも無い。
またおそらくセレッソも、もう何人かは変える可能性もあったとは思うが、そうしなかったのは現時点で選手のコンディションは比較的良いということなのだろう。
もちろん今後多くの選手に大きな披露が蓄積する様な状況となればガラッと選手を入れ替えることもあり得るとは思うが、しばらくはこうやって少しづつ選手を入れ替えていく形になるのだろう。
一方の清水エスパルスの先発メンバーは、先ほども紹介した様に5人入れ替え。入れ替わったのはDFとFW。DFでは、CBの立田に代わりファン・ソッコと左SBの奥井に代わり六平。FWは3トップが総入れ替えとなり前節の右から金子、後藤、カルリーニョス・ジュニオのセットから、ジュニオール・ドゥトラ、ティーラシン、西澤のセットへと代わっている。
■高い位置から守備をしたい清水
3トップを総入れ替えして来た清水。攻守において高い位置でプレーしようとしているのでフレッシュな選手を起用したかったのだろう。ちなみにこの試合でも3トップを全員交代で入れ替えているが、前節も3トップを全員交代させていた(前節CFで先発した後藤はフル出場しているが、鈴木がティーラシンと交代した際にティーラシンがCFに入り後藤はトップ下へと移動している)。ということから考えるとやはりクラモフスキー監督には前線の3人に高い位置からプレッシングに行って欲しいという狙いがあるのだろう。
この試合の立ち上がりは、清水は高い位置から守備を始めてきた。
清水の守備 |
清水がこういった形を見せると、セレッソの2CBに対して2トップが対峙している形になっているのでCHの藤田が降りて3バック化。となると清水はこの3人目をどうするか?と問題が出てくるが、その場合3人目に対してはの4-4-2では一旦2列目に落ちていたボールサイドのWGが前に出てきて人数を合わせてくる。
こうして清水がプレッシャーをかけ、さらにそれに対するセレッソもリスクをかけない様にクリアで対応する場面が多かったので、セカンドボールを多く拾っていたのは清水。立ち上がりの10分ぐらいまでは清水がセレッソ陣内でボールを持っている時間が多かった。
■セレッソが押し込む展開に
9分に松田と坂元でプレッシングを外し右サイドを坂元がドリブルで一気に運んだところから試合の様相は一気に変わる。坂元のドリブルからの展開は松田のクロスを中央で奥埜が合わせきれず清水のゴールキックになるのだが、このゴールキックから清水がビルドアップを始めようとするところに対してセレッソもプレッシングを慣行。ここからセレッソが一気に清水を押し込む展開へと持っていった。
セレッソのプレッシング |
そしてここからさらにセレッソが清水を押し込むことまで出来ていたのはボール保持の差だろう。
試合序盤の清水がボールを持っている時間は、清水がボールを持っているものの、セレッソのブロックの中にはボールを入れられず結局外からクロスまたはは無理したミドルシュートばかり。
しかしセレッソのボール保持では無理せずサイドを変えじっくり時間を使いながらも最終的にはフィニッシュまで、もしくはその直前まで持ち込むことが出来ていた。だからこそセレッソが清水を完全に押し込み、試合をコントロールするところまで持ち込むことが出来ていた。
セレッソはこの前半にいくつかフィニッシュまで持ち込んだ場面には共通点があった。それはマイナスのグラウンダーで折り返したもの。都倉の2度のチャンスも奥野も柿谷も坂元も藤田もこの形でフィニッシュまで持っていっている。セレッソは清水のここが開くということを知っていたのだろう。
CBの前を空ける手順 |
CBの前にスペースができる清水 |
ということは本来DFラインの前を埋めるべきCHの2人がいるのはSBの場所に1人とCBの場所に1人。
清水のSBを引き出してSBの裏にCHを引き出すことが出来れば清水のDFラインの前は空いてしまうのである。
(ちなみにセレッソであれば、最初にSBが出て行くことからほとんどないが、もし出て行ったとしても必ずCHの1人はCBの前にいる様な約束事がある。)
この形でビッグチャンスを作りながらも得点を決められなかったのは反省材料の1つだが、清水を押し込み、試合のテンポを落とし反撃の形をロングカウンターのみにさせたことはプラン通りと言えるだろう。
清水がこの試合のテンポを落とした展開を受け入れたのか、それともそうせざるを得なかったのかは分からないが、セレッソから見るとショートカウンターを受けない、ボールが行ったり来たりしない、試合のテンポを落とした展開は狙い通りである。なのでまたこの試合でも前半を無失点で終了している。
■リズムを失った後半立ち上がり
後半開始〜 |
しかしこの後半はセレッソが立ち上がりからペースを失うことになる。
前半から少し気になっていたのだが、ボールを持ち、失ってもセカンドボールを回収できるという押し込んだ展開となり、セレッソは狙い通りにフィニッシュまで持ち込めていた。なので選手の中に「もっと行ける!」という気持ちが芽生えたのかもしれない。時間の経過と共に「攻めた」というか一発狙いのボールを失いかねないリスキーなプレーが増え始めていた。
サッカーは90分間の中で相手よりも1点多く奪えば勝ちというスポーツ。ボールを持っていれば失点する心配もなく、どこかで1点を奪えばいい。なのでもしボールを保持できているなら詰まればやり直せばいいし、崩れるまで繰り返せばいい。
これがセレッソのサッカーの原則的な部分なのだが、前半は思い通りにもう少しでゴールというところまで近づくことが出来るので、もう少し、もう少しとある意味欲が出たのだろう。
ということで起こったのが行ったり来たりの展開。セレッソはボックスの幅だけでプレーする様になり、相手に引っ掛けられる場面も増える。つまりカウンターも増える。セレッソはカウンター対応の守備もトレーニングしているため決定的なピンチにまで持ち込まれることはなかったが、セレッソのゴール前にボールが来る回数は増える。となると清水の前残りしている3トップがゴールに向かってプレーする場面も増えてしまう。清水がマリノスと同じ路線を狙うなら、この行ったり来たりでテンポの速い展開こそがやりたい展開だろう。
■ペースを取り戻したセレッソ
おそらくベンチから指示があったのだろう。59分にブルーノ・メンデスが落としたボールを藤田がミドルシュートを放ったプレーからようやくセレッソがペースを取り戻す。セレッソのビルドアップ |
こうし相手をズラしていくところから始まっているので、清水の対応は全て後手後手。そしてもしここでボールを奪われても清水は速く攻められない。よく言われる言葉だが「ボールを前に急いで運べば運ぶほど、速く戻ってくる」のだ。
セレッソは守備が堅いことから安易に「堅守速攻」という言われ方をすることもあるが実際は全く違う。もしその言い方をするならサッカージャーナリストの北條さんが何かで書かれていた「堅守遅功」が正しいし、それをやろうとしている。
ということでこの時間から「堅守遅功」を取り戻したセレッソは再び試合を支配はじめた。
この後の、柿谷、奥埜、坂元、が迎えたチャンスは前半のもの同様に決めたい場面だった。
■オートマチックの右と自由度の高い左
68分〜 |
立田の投入は押し込まれ始めた中でヴァウドが既にイエローカードを受けていたこともあるのだろうが、個人的には逆に押し込まれ始めた中で怪我とかではなくCBを交代させたことには少し驚いた。
柿谷と坂元という攻撃の核となる両SHを交代させたセレッソだが、この交代後も掴んだペースは離さなかった。このあたりはチームとしてペースを共有できている証拠でもある。
そしてさらに言えば、交代前の柿谷より交代後の清武の方がフリーでボールを受ける回数が増えていた。清水は清武を捕まえられない場面が多かった。これは左サイドの柿谷と清武というよりも右サイドの坂元と片山のキャラクターの違いが大きいのではないかと思う。
片山には坂元のような突破力や推進力は無い。しかし確実にチームのコンセプト、ルールに沿ってプレーできる。その結果が清武をフリーにすることに繋がったのだろう。再開前の記事で書いた「オートマチックの右サイドと自由度の高い左サイド」である。
そしてようやく試合が動いたのは71分。
セレッソの1点目 |
丸橋がドリブルでボールを運ぶと清水の選手全員がボールウォッチャーになってしまい、丸橋からのスルーパスを受けた奥埜がゴールに流し込んだ。
金井がボールを取りに行った時に入れ替わってしまっていたので竹内は右SBのスペースを埋める、そして岡崎も間に合っていない。なので丸橋に対して立田が出て行くことになり、それに合わせてファン・ソッコも中央に絞る。しかし六平は外に出ている松田が気になっていたのか絞っておらず、ファン・ソッコと六平の間にいた奥埜は誰も見ていない状態になっていた。
少し話しがそれるが、この1点目の後に鄭大世がオーバーヘッドでシュートを放つ場面があるのだが、この時鄭大世にはヨニッチだけではなく片山も寄せている。この場面、実はその前にデサバトが痛めて中盤でうずくまっており途中でプレーに参加できなくなっていた。
そんな中で清水が右サイドに展開、そして金井からクロスはDFラインの前のスペースに入ってくるのだが、ここを右SHの片山が絞って埋めていた。なので鄭大世と片山が交錯したのだ。セレッソが前半から同じ場所で何度もシュートを打っていたことと比べると、両チームの守備の精度の差がよくわかる。
ここから一度76分にビルドアップミスから西澤にシュートを打たれるという嫌な形はあったが、基本的にはセレッソが試合をコントロール。
83分〜 |
するとこの交代直後の85分。キム・ジンヒョンのロングキックをブルーノ・メンデスがヘディングで落とすと清武が拾いターンで2人を置き去りに。フリーで前を向いた清武に対し清水のDFラインは再びボールウォッチャーになってしまい、その瞬間豊川へスルーパス。
豊川はコントロールをミスしてしまったが、そのこぼれ球を拾った片山がゴールネットを揺らした。片山はこれがJ1初ゴールとなる。
90+3分〜 |
試合はそのまま終了。ルーカス・ミネイロの投入もおそらく守備固めというよりJリーグに慣れさせるという目的で、それができる展開に持ち込むことができた充実した勝利だった。
■その他
後半の立ち上がりなど反省すべき点もあったが、全体的にはチーム力、チームの完成度の高さを感じさせる素晴らしい勝利だった。これで2013年以来となる開幕3連勝。リーグテーブルのトップに立った。
次節からは5000人までとなるがようやく我々もスタジアムに行くことができるようになるので、我々の目の前で是非このまま開幕戦からの連勝を伸ばして欲しい。今季のチームにはその力が十分ある。
リモートマッチでゲームコントロールはしやすそう、
返信削除というのはありますがそれでも安心して見られる試合でしたね。
J1初ゴールの片山、落ち着きもあったしコンディションもよさそうでした。
プレビュー→分析と短いサイクルで大変でしょうが頑張ってください。
お疲れ様です。
返信削除片山のJ1初ゴールもうれしいのですが、開幕3連勝、今年の公式戦全勝も素晴らしい。
それも変な勢いではなく安定した戦いで。
話は変わるのですが、今リモートマッチで試合中の選手やスタッフの声が良く聞こえてますが、Akiさん的にピッチサイドからの指示と選手の動きの変化とか見えて面白いとかあるんでしょうか?