2020年7月3日金曜日

明治安田生命J1リーグ 第2節 vs ガンバ大阪 プレビュー

2020年7月4日 18時00分:パナソニックスタジアム吹田

予想スタメン
2月22日の開幕戦の後、新型コロナウイルスの感染拡大により中断を余儀なくされていたJリーグ。今週末の7月4日、133日、19週、4ヶ月と12日ぶりにいよいよセレッソ大阪の試合が帰ってくる。
再開初戦となるのは敵地でのガンバ大阪戦。リモートマッチ(無観客試合)での開催となる。


■今季のガンバ大阪

宮本恒靖監督率い3年目となるガンバ大阪。
シーズン途中に就任した1年目の2018年こそ終盤に連勝を達成し一気に順位をあげたが、2年目の昨季は豊富なタレントを擁しながらも勝ったり負けたりを繰り返し、また引き分けも非常に多く7位。
3年目の今季はさらに昌子源や小野裕二などかなりの実績を持つ選手を加えており、宮本監督にとっては勝負の年といえるだろう。

GKに東口順昭。CBに三浦源太、キム・ヨングォン、昌子源。サイドに小野瀬康介、藤春廣輝。中盤には遠藤保仁、井手口陽介、倉田秋、矢島慎也。FWには宇佐美貴史、アデミウソン、パトリック、小野裕二。代表クラスの選手がこれでもかと揃っており、またさらに若手も出て来ていることを考えると、単純にメンバーだけ見ればJ1トップクラスの戦力だといえる。

宮本監督は、「相手を分析し、相手の戦い方に合わせたプランをぶつける」ことを好むタイプ。
これまでのガンバには「自分たちの戦い方で」というスタイルが多かったので小さくない変化だといえる。
そんな宮本監督の戦い方が見事にハマったのが開幕戦のマリノス戦。
もう4ヶ月も前の試合となるが、少し振り返ってみよう。

4-3-3(4-2-3-1)のマリノスに対して宮本監督がとった布陣は4-1-4-1。最終ラインには右からオ・ジェソク、三浦、キム・ヨングォン、藤春と並べ、アンカーポジションには遠藤。2列目には右から小野瀬、矢島、井手口、倉田と並び1トップには宇佐美。昨季は3-1-4-2を多用し、またアデミウソンもパトリックも渡邉千真もベンチに置いての宇佐美の1トップなのでメンバーだけ見ると布陣は予想しにくいものだった。
宮本監督が4-1-4-1で行ったのは前線からのプレッシング。基本的に敵陣でのプレー時間を増やそうとする傾向があるため、これまでも敵陣からのプレッシングを多用する傾向にはあったのだが、相手は自陣から丁寧にビルドアップを行うマリノスということもあり余計にそれを強めた格好だった。
プレッシングの中心となっているのは当然ながら前線の3人、FWの宇佐美と両サイドの小野瀬、倉田となるが、マリノスの2CBに対してガンバは1トップ。なのでCBにプレスをかける時はインサイドハーフの1枚が宇佐美と同じ高さまで出てきて4-4-2の様な形にもなる。
マリノスは左サイド(ガンバからみて右サイド)でビルドアップを行うことが多いため、右インサイドハーフの矢島が前に出てくる場面が多かった。
なので先制点はまさにこの形から。矢島が激しくアプローチをかけたところでボールを引っ掛け倉田がゴールに流し込んでいる。

そしてもう1つガンバが狙ったのはボールを奪った後に素早くCBの脇のスペースを狙うこと。マリノスの戦い方はボール保持でSBが内側に絞るため攻撃から守備へと切り替わった瞬間にはここに誰もいないことが多い。なのでセレッソも昨季はここを狙っていたが、ガンバも同じようにこのスペースを狙い2点目を奪っている。

最初に守備のポイントの1つとなった前線からのプレッシングについて書いたが、対マリノスということを考えるとプレッシングだけで90分間戦うのは精度的にも体力的にも難しい。ということでプレッシングをかいくぐられ自陣までボールを運ばれるとガンバはトランスフォーム。右SBのオ・ジェソクは内側に入り、右SHの小野瀬がその外側に落ちる。最終ラインを5枚にして5-4-1の布陣になり5つのレーン全てに人を置く人海戦術で守り切ろうという狙いを見せていた。
ガンバが早い時間帯に先制したこともあり試合を通じてのガンバのボール支配率はわずか34.4%とマリノスが圧倒的にボールを支配することになるのだが、このようにしっかりと準備した形で前半のうちに2点リードまで持って行くことに成功。もちろん昨季のセレッソホームでのダービーの様に準備したことがうまく行かないこともあるのだが、宮本監督は相手の戦い方を見てしっかり準備をするという部分では高いクオリティを発揮できる監督であるといえるだろう。

しかし後半は防戦一方となってしまっていた。最終的に2-1で逃げ切ることに成功するのだが、後半はいつ同点に追いつかれてもおかしくない展開。たらればの話しになるが、マリノスはミッドウィークにACLを戦っており連戦中。もしACLが無かったら少なくとも同点には追いついていたんじゃ無いかと思わせるぐらいの展開となっていた。(マリノスにとってはこれがACLを戦うという難しさになるのだが)

これは宮本監督の弱点が出たといえるだろう。
宮本監督は試合前の準備のクオリティは高いのだが、試合が始まってからの修正や対応はあまり上手くない。なので相手が対応して来た時やそもそも準備がハマらなかった時に跳ね返せないという展開が非常に多いのだ。
実際に昨季のデータにもこれは表れている。
以前調べたことがあるのだが、サッカーでは先制したチームの平均勝率は60%を超える。これはJリーグはもちろん世界中のほとんどのリーグでそうなっているのでサッカーの普遍的な部分なのだろう。言い換えるとそれぐらいサッカーにおいて先制点は重要なものなのだ。
しかし昨季のガンバは先制点を奪った試合は22試合もあったが、そこから勝利にまで持っていけたのはわずか11試合。勝率は平均を下回る50%に過ぎず、引き分けが6、逆転負けは5に上る。また逆転勝ちも1試合しかない。
例えば昨季のセレッソだと同じ22試合で先制しているがそのうち17試合で勝利しているので勝率は77.3%。引き分けが3つで逆転負けは2。ちなみに優勝するチームであれば先制した試合の勝率はゆうに80%を超えてくる。

冒頭に「昨季は勝ったり負けたりを繰り返し」「引き分けも多く」と書いたが、その要因はここにあるのではないだろうか。

■プレビュー

両チームの予想スターティングメンバーだが、どちらのチームも中断期間のトレーニングは全て非公開。テストマッチも全て非公開だったため全く情報が無い。
ガンバ大阪の方から考えると、まず最初のポイントは開幕戦の4-1-4-1〜5-4-1トランスフォームをこの試合でも使うのかどうかというところ。
オ・ジェソクに移籍の話しがあり、昌子に怪我で欠場の情報があることを考えると昨季の3-1-4-2に戻す可能性の方が高いかもしれない。
昌子の負傷については報道では「欠場となるかもしれない」程度の情報でしかなかったが、先日のリモートカンファレンスの際に三浦源太も言及していたのでおそらく足首の状態は本当に良くないのだろう。
また2トップとなった場合に宇佐美とコンビを組むのが誰になるか。パトリック、アデミウソン、渡邉千真と選択肢はたくさんある。プレッシングのことを考えると昨季のホームでの対戦時の様に渡邉千真が候補に上がってくるが、攻撃面を考えるとアデミウソンとなるか。

一方セレッソ大阪の先発メンバーだが、おそらくベースとなるのは開幕戦の11人。さらにそこに負傷で欠場した藤田が戻ってくる形になるのではないだろうか。
ただし少し気になるのがブルーノ・メンデス。つい先日のセレッソ大阪公式Twitterにはパンチパーマ風に散髪したブルーノ・メンデスの写真がアップされていたがそれまでは不自然なほどその姿を目にすることがなかった。
何もなければ良いのだが、もし目にしなかった期間に負傷していたり、例えば中断期間にブラジルに一時帰国しており渡航制限の影響でなかなか日本に戻って来れなかった、などの異変が起こっていたのならコンディション面に不安があるだろうから先発は難しくなってくるだろう。(アップされていた写真では元気そうだったので、杞憂に終わればいいのだが。)

試合のポイントとしてはまずガンバが何を仕掛けてくるか。
昨季の第8節大分戦で宮本監督は大分のプレッシング回避からの疑似カウンターを警戒しリトリートを選択するという過去がある。そしてリトリートは使い方によっては対セレッソでも有効になり得る可能性もある。しかしこの試合は再開初戦であり、さらにはダービーということを考えるとその決断は難しいか。
となるとセレッソはガンバの選手のプレッシングのルール、誰がどこまで出てくるかを見極めた上で枚数を調整しビルドアップでプレッシングを掻い潜りたい。
後、ガンバはどちらにしても自陣では5枚で守る形になるだろうからWBの裏を使ってCBをずらしスペースを作っていきたい。

そして最後にもう1つ。もしガンバの打つ手が想定以上のものだったとしても決して焦らないことだろう。
何といっても今季は交代枠が5つもある(回数はハーフタイムを除く3回まで)。90分でおよそ半分の選手を入れ替えることができるのだ。
ロティーナには試合途中での対応策の引き出しは豊富にあるだろうから、いくらでも修正することができるはずだ。
ガンバにはまさにダービー効果ともいえる、対セレッソ特有の強さがある。これまでも何度もこれで苦渋を舐めさせられた。
しかし現在のチーム力では間違いなくセレッソが上回っている。
昨季ホームのダービー同様にすっきりと勝ちきり、今季の目標に向かって勢いをつけていきたい。
この試合は勝ち点3を取れる試合だ。

3 件のコメント :

  1. いつも参考になります!
    この記事を読んだことで、明日の試合がますます面白くなってきそうです!

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  2. 再開緒戦勝利しましたね。

    観てて思ったのは、
    観客がいなくてテンションの上下が少ないリモートマッチという形式は、
    実はセレッソにとって有利に働くのじゃないかな、ってことでした。

    では、試合分析のほうも楽しみにしています。

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  3. お2人方ともコメント有難うございます。
    レビューもアップしましたので是非よろしくお願いします。

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