スタジアム | 駅前不動産スタジアム | 主審 | 池内 明彦 |
入場者数 | 3,413人 | 副審 | 西橋 勲、武田 光晴 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 25.9℃ / 86% | 第4の審判員 | 田島 宏則 |
メンバー
- 監督
- 金 明輝
- 監督
- ロティーナ
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催
<監督コメント>
サガン鳥栖:金明輝監督セレッソ大阪:ロティーナ監督
<選手コメント>
サガン鳥栖:石井快征、高橋秀人セレッソ大阪:坂元達裕、木本恭生
今季2度目となる3連戦の3試合目。明治安田生命J1リーグ第7節、サガン鳥栖対セレッソ大阪の一戦は先制を許すも坂元の移籍後初ゴールで追いつき1-1の引き分け。勝ち点1を分け合う結果となった。
■メンバー
サガン鳥栖の先発メンバーだが、前節の清水戦で初めて採用した4-4-2をこの試合でも継続。先発メンバーとしては3人が入れ替わる形となり、CHはパク・ジョンスに代わって高橋秀人、2トップが金森、林から豊田、石井。ただし石井は前節金森が10分で負傷交代になった際にも金森に代わって出場している。またベンチにはいつものメンバーに加え小林祐三、レンゾ・ロペスが入った。一方のセレッソ大阪の先発メンバーは、前節から2人入れ替え。代わったのは木本から瀬古ではなく、都倉、奥埜から豊川、柿谷に。ということで今季初めて柿谷と清武が同時にピッチに立つことになった。
メンバー表上では柿谷がFW登録になっていたが、実際の布陣は柿谷が左SHで清武がトップ下に入る4-2-3-1。この布陣はプレシーズンにも使っているので、柿谷と清武を併用する際にはこれがメインとなる形か。またボール非保持の際はトップ下の清武が前に出て4-4-2になるのでいつもの布陣とそこまで大きな違いはない。
そしてベンチには移籍後初のメンバー入りとなる小池が入っている。
■プレスは外せるも
試合の立ち上がりから鳥栖はCBには2トップ、SBにはSHをと枚数を合わせて積極的にハイプレスを仕掛けてきた。しかし今のセレッソはハイプレスで混乱してしまうことはほとんどない。この試合でもハイプレスに関してはCBが広がりキム・ジンヒョンを使いながらCHを下げずにプレスを回避して行く。鳥栖のCHがセレッソのCHを捕まえにくるとCH脇で清武と柿谷に時間とスペースが生まれるのでビルドアップの部分では1度キム・ジンヒョンのキックが高橋秀人に引っ掛かったぐらいで、確実に相手の2トップの背後までボールを運ぶことができていた。この簡単にCHを下げずにビルドアップができるようになったのは大きな成長だと思う。
ただしここから先には問題があった。
ハイプレスを仕掛けているので当然なのだが、鳥栖のDFラインがかなり高いことは十分事前に分かっていたことだろう。なので豊川にDFラインの背後を狙わせるのだが、ここでのボール保持、さらにセカンドボール回収隊のサポート、そしてパスミスが多くビルドアップから相手を押し込み相手陣内でボールを保持するところまでにはなかなか至らない。10分から見せたビルドアップからのボール前進、14分の豊川のシュートまでのポゼッションは何度もやり直しいい形でボールを運ぶことができていたが、1手目のビルドアップは上手くいっても押し込むまでの2手目3手目で簡単にボールを失うことが目立っていた。
■走られる
押し込む手前でボールを失ってしまうと相手に走られる場面を作られる。小屋松が松田の裏を狙っていたのを中心に石井も背後に。セレッソの右サイドがメインなのはヨニッチを引き出すためだ。
ここ最近話題になっている「セレッソの試合はスプリント数が少ない」というのはセレッソはもちろん相手のスプリント数も押し下げることが特徴的なのだが、2手目でボールを失うので相手に走られる。ということはセレッソが持っていきたいスローテンポの試合に持ち込めていないということである。
でこうして走られることで続出したのがセットプレー。鳥栖はセットプレーで執拗にファーサイドに高橋秀人を入らせてからの折り返しを狙ってきた。CKに関しては木本のポジションを調整し対応するが、22分の原川のFKでは高橋秀人の折り返しを原に合わせられるという決定的なピンチ。キム・ジンヒョンのセーブ、そしてこぼれ球を狙った豊田のシュートも松田がなんとかブロックしたが、失点してもおかしくない場面だった。
また少し話しが前後するが6分に石井にDFラインの背後を狙われた場面。ここは木本がギャップを作ってしまったのだが、オフサイドをかけるのかカバーするのかの意思統一ができていない場面だったので、少し嫌な形だった。
ただ、鳥栖はチームとしてボール保持に取り組んでいるが、ビルドアップの形はバリエーションがありボールを運ぼうという形は作るものの、ここからチャンスを作るという場面はほとんどなかった。
チャンスを作るのはショートカウンター。鳥栖はボールを持てるが、セレッソがきちんと4-4-2でセットするとブロックの外でボールを持つことしかできず、結局は無理目のパスを入れるか無理目のクロスを入れるしかないという状況が続く。
鳥栖が今季得点力に悩まされているのはこの辺りに原因があるのだろう。
飲水タイムの後からはセレッソも少しずつボールを運ぶ回数を増やし、柿谷がチャンスを迎える場面も作るようになるが、いつもよりもテンポが速い試合になっていた。
■いくつかの修正と失点
後半開始からセレッソは柿谷に代えて片山を投入する。柿谷は前半の終盤に足首を痛めていたこともあるが、それだけでなく戦術的な理由もあったとのこと。
その1つは「セレッソの左サイド、鳥栖の右サイドでは原川が中に入って森下が高い位置に出てくるから」という部分もあるだろう。ただ、試合の立ち上がりには柿谷は何度もインターセプトに成功していたように守備面でも効果的なプレーは見せていた。
なのでそれ以外の部分、足を痛めていたことも含めて総合的に考えての決断だったのだろう。
この交代を含めロティーナは試合後に「ハーフタイムでいくつかの修正を行った」と話している。
ハーフタイムで行ったといういくつかの修正はすぐに現れる。
後半開始すぐの松田からのスローインの場面。リターンを受けた松田は藤田にパスを通すが、藤田がボールを受けターンした瞬間に左SHの片山が鳥栖のSBとCBの間を一気に裏へと走る。
ここで片山に直接ボールを入れる訳ではないが、この動きによって鳥栖のDFラインを押し下げ丸橋は楽にボールを受けることができ、さらに片山が下がってきてボールを受け、清武へ。そして坂元が倒されファールをもらうという場面を作っている。
これまで柿谷も含めて左SHの選手は、ここの選手に間でボールを受けさせようとするのがチームのデザインで柿谷も清武もそのようなプレーをしてきたが、片山に代えることでその役割を変えるのだが、これについての詳しい話しはもう少し後で。
ということで後半の立ち上がりはいい形で入ることができたのだが、その直後の51分、石井にプロ初ゴールを決められ1-0と先制を許す。
その要因となったのは前から奪いに行ってひっくり返された形。片山が前に出て行った分丸橋が引っ張られ原川に裏をとられてしまった。
この場面でロティーナは2つジャッジについて言及している。1つは原川はオフサイドだったんじゃないかという点。
リプレイで見る限りここはオンサイドだろう。
そしてもう1つは豊田がヨニッチを潰した場面。ここは豊田は全く届きそうもないボールなのでファールでもおかしくないが、ヨニッチもジャンプしていたので競り合いのボディコンタクトと取られてしまったのだろう。
なのでアンラッキーな部分もあるが、走られる展開を作ってしまったことが悔やまれる。
■左右が入れ替わる
先制したことで鳥栖はプレスの位置を下げるのだが、金明輝監督も試合後のコメントで言っているようにこれは必然だっただろう。というか最初は少し変わらず行こうという姿勢を見せていたが行かなくて良いという指示を送ったように見えた。
プレスを90分間続けることはとても不可能だし、プレスでボールを引っ掛けることもほぼできていなかった。さらには、前半の終盤から、特に後半の立ち上がりはセレッソが確実にボールを運ぶようになっていたからである。
69分、まずは鳥栖が動き石井に代えて林を投入。同じスピードがあるタイプの選手を入れ替えた。
そして飲水タイムを挟んだ73分、セレッソは清武、豊川、丸橋に代えて、奥埜、鈴木、小池を投入。小池はこれがセレッソでのデビュー戦となる。
この交代はロティーナ体制になってから初めてのパターンの交代である。
というのもこれまで左SHがエースポジションで、清武、柿谷を起用。昨季であればこの2人を下げる時は田中亜土夢が入る。左SHにこの3人全員が起用されていない時はリードしている状況での試合を終わらせる時に限られていた。
柿谷が後半開始から下がっているのでこの試合では後半開始から左SHは既にエースポジションではなくなっていたが、トップ下の清武をバイタルエリアで浮かせようというのがあったのでまだそこまで大きな違いはなかった。しかしこの交代により相手のDFラインとMFラインの中で浮かせる選手が右SHの坂元になったのである。
もちろんこの形を取るにあたっては松田が高い位置に出て来れるようになって、その分坂元が中に入れるようになったこともあるだろう。しかし坂元への信頼度の高さも感じさせる交代である。
そして、この交代後まずは松田のクロスからチャンスを作るがシュートは打てず。
しかしその直後の75分、坂元が強烈な左足でのミドルシュートを突き刺し同点に追いつく。
この場面で木本から鈴木に入ったクサビのボール。そしてそれを納めた鈴木のポストプレー。もっといえばその前の奥埜の裏を狙う斜めへの動きも良かったのだが、ここで坂元が浮くのはセレッソがデザインしている形だ。
この形の左右反対にしたものは昨季から、清武、柿谷、そして田中亜土夢で何度も見たことあるはず。いつもの左SHを浮かせる形の正反対の形で右SHの坂元を浮かせたのである。
同点に追いつかれたことで再び動く鳥栖。
まずは79分原川と小屋松の両SHに代えて樋口とアン・ヨンウを投入。樋口はCHに入り松岡が右SHへ。アン・ヨンウはそのまま左SHに入る。
さらに86分、エドゥアルドと豊田に代えて梁勇基とレンゾ・ロペスを投入。高橋秀人がCBに下がり梁勇基はCHへ。
86分の交代の直前に右サイドで坂元がエドゥアルドを引き出し折り返し、そこに逆サイドのSB小池が飛び込んでくるというこれも左からの折り返しに松田が飛び込んでくるという感じでこれまで左右逆で見てきた形を作るも小池はシュートを打てず。
小池に対応したのは右SHに回った松岡で後ろから倒したように見えたがPKにはならなかった。
その後もセレッソは何度かチャンスを作るも決められず、
鳥栖もアディショナルタイムにCKから原がシュートを放つも松田が2度目のブロック(この2回目は後ろのキム・ジンヒョンも反応していたが)。
そのまま1-1の引き分けで試合終了となった。
■その他
最初の方にスプリントの話を書いたが、この試合では最終的に鳥栖がチーム平均とほぼ同じの171回を記録しているように、スローテンポの走らない、走らせないという自分たちのペースになかなか持っていくことができず厳しい展開となった。しかしそこからでも少しずつペースを作ることができ、さらに自分たちのペースを維持したまま同点に追いつくことができたのは収穫だろう。
そしてSHの関係を逆にして機能し、ゴールを奪ったというのも戦い方の幅が大きく広がる収穫だ。
もちろん逆転のチャンスはいくつもあったので逆転まで持っていきたいところではあったが。
セレッソの戦い方ではスクランブル状態をほぼ作らないのでストライカーにとっては難しい部分もあるだろうが、枠内シュート数ワースト2位という数字は少し寂しい。以前現神戸の藤本憲明が以前在籍した大分の戦い方、大分でのストライカーの仕事についてツイッターで発言していたことがあるがセレッソの戦い方も近い部分がある。
確かにボールに触る回数は少なくなる。深みと幅。幅はWBがいて、深みは1トップがとる。後ろからビルドアップ、サイドから崩す、やっぱりタッチする回数は減る。フィニッシュに集中して虎視眈々と我慢して待つ。俺も前半1回しか触ってない試合もあったなー。 https://t.co/cYutSeFMHT
— 藤本憲明 (@Noriaki_10) February 17, 2020
過密日程の今季は全てのストライカーにチャンスがあると思うので、こういった試合で勝ち点1を3にできるよう得点を量産できるストライカーが出て来て欲しい。
一方の鳥栖だが、これまで対戦してきたチームのサポーターも言っていたように対戦相手としてはかなり厄介で、まだ未勝利というのが信じられないほどだ。個人的にも何試合か見たが、どの試合でもこの試合同様に勝っていてもおかしくない試合が続いている。
それでも勝ちに結びつかないのは得点の部分。この試合では1点を奪ったが、チャンスっぽい形は作るもののなかなか得点に結びついていない。これだけのチームなのでおそらくこのままでもすぐにどこかで勝ち点3は取れると思うが、やりたい形と得点を奪えそうな形が一致していないのが悩ましい。「ボールを持って押し込むことでセットプレーをとる」「得点はセットプレーで奪う」と割り切るのも悪くはないが…
そのセットプレーも相手に「怖さ」を与えられていないように感じますけども…
返信削除相手から見てセットプレーの怖さがそれほどでもないので、
さらにディフェンスに強く出られてしまう、というのはないでしょうか。
気分的には片山のロングスローをそろそろ一度ぐらい得点に結びつけて欲しいところ。
一度成功すればもともとJ最高のロングスローなのでよりプレッシャー与えられるのでは。
余談ですけど、藤田のロングスローも彼が鳥栖にいたときは怖かったな、
とちょうど鳥栖が相手で思い出したところです。
あ、本文のセットプレーは鳥栖の話でしたか。
返信削除勘違いすみません。
ただ、今期のセレッソのセットプレーに不満があるのはホントです。
コメント有難うございます。
返信削除鳥栖はボール保持を高めようとしているけど、結局セットプレーが得点の可能性が一番高そうだ。という話しですね。
セレッソのセットプレーももちろんもう少し改善したほうが良いのは良いでしょうけどね。
チャンスはあるものの決まってないですし。
あと藤田のロングスローはおそらくよほどのことが無い限りセレッソではやらないと思いますよ。
今やロングスローを入れるよりもピッチの真ん中にいてほしいプレーヤーなので。