2020年8月18日火曜日

明治安田生命J1リーグ 第11節 vs.川崎フロンターレ プレビュー

2020年8月19日 19時00分:等々力陸上競技場

予想スタメン

明治安田生命J1リーグ 第11節最大のビッグカード。1位対2位の直接対決。川崎フロンターレ対セレッソ大阪の一戦が川崎フロンターレのホーム等々力陸上競技場で行われる。



■今季の川崎フロンターレ

9勝1分0敗。得点29、失点7。再開後9連勝というとんでもないペースで勝ち点を重ねている川崎F。
得点を記録している選手が11人。ここまで先発出場した選手は19人。層の厚さも含めちょっと手がつけられない状態になっている。(それでいてまださらに長期離脱中の中村憲剛もいるんだからハンパない。)

川崎Fといえばどうしても攻撃面に注目が集まるが、強さの要因となっているのは守備の部分だろう。昨季こそシーズン中盤以降に失点が増えてしまったが、優勝した一昨季はリーグ最少失点を記録しており、今季はそこにさらに上積みしてきた印象を受ける。

特徴的なのが前線からの守備。川崎Fといえばパスワークをイメージするかもしれないが、記録したゴールを見ると前線でボールを奪い返してのショートカウンターというパターンがかなり多い。この傾向は一昨季から表れ始めているので、もしかすると過去のプレビューでも触れたことがあるかもしれないが、今季はさらにそれが強烈になった印象だ。
実際にデータにも表れており、川崎Fはアタッキングサードでのボール奪回数がリーグトップ。なんと1試合平均で10回近くアタッキングサードでボールを奪い返している。
これは今季から取り入れた4-3-3の効果ともいえる部分で、川崎Fの4-3-3はボール非保持時に両WGが中盤に落ちる4-1-4-1や、そこからIHの1人が前にでて4-4-2になるという形はほとんど取らない。前線の3人が中央よりのポジションを取り相手にプレッシャーをかけ、そこに中盤の3人が連動してサポートに入る。この形でボールを奪い返すという場面がかなり多いのだ。

4-3-3はボール保持面にも効果が表れている。
WGは右に家長、左に長谷川というコンビが最も多く起用されているのだが、この2人は昨季までのSH時代に比べるとサイドにポジションを取っている時間が長くなっている。またCFのレアンドロ・ダミアンが下がってくることもあまり無くなった。
これは攻守のバランスを改善したいからだろう。

昨季までの川崎Fのボール保持は「流動性」が大きな売りだったので、家長は右SHにも関わらず左サイドまで進出してくることも多かった。もちろんそれにより左サイドに人数をかけることができ、得意とする細かいパスワークを発揮する場面もあったのだが、ボールサイドを閉められると窒息し、またボールを奪われたときに守備のバランスが崩れてしまっている場面も多く見られたのだ。サイドを固定することでこれが改善されたのだ。
しかしサイドを固定すると、大きな武器である細かいパスによるコンビネーションや流動性は失われやすくなる。
そこをカバーしているのが3人の中盤。彼らが流動的に動くことでそれまでのコンビネーションやパスワークによる強みを確保。バランスとコンビネーションを両立させることが出来ているのだ。

またもう1つ。川崎Fはパスワークが特徴的だが、GKからビルドアップで繋いでという形はあまりやらない。やらないというより、組織として仕込んでいる形があまり無いというのが正確な表現だろうか。
CBの谷口はパスも出せる。SBも上手い。GKのチョン・ソンリョンも加入当初に比べるとかなりキックの精度も高くなった。しかし例えばセレッソの様にポジショニングを決めて、ボールをどう動かすかといった形はあまり無い。もっと個人に依存している様に見えるのだ。
ただし、その個人は全員が上手い。アンカーに入る田中碧や守田はもちろん、さらにそこに大島や脇坂が絡んでくるので、時間とスペースがあれば彼らの能力で解決してしまうのだ。

そう考えると、ボール前進の仕組みを持つことで低い位置での守備を受け入れているセレッソと、ボール前進の仕組みを持たないことで高い位置からの守備をより強化している川崎Fはある種対象的な考え方でチームを組み立てていると言えるだろう。

■プレビュー

川崎フロンターレの予想スタメンだが、前節出場停止だった大島が復帰。また田中碧も前節は休ませているので先発メンバーに復帰してくるだろう。
長谷川が怪我で離脱し、家長も第8節まで全試合先発していたがそれ以降は音沙汰なし(公式リリースは無いが怪我をしている可能性が高い)というなっている両WGのポジションは、現在売出し中の三笘、宮代、旗手、そして小林のうち2人が先発することになるのだろうが、左旗手、右小林が有力か。

一方、セレッソ大阪の予想スタメンだが、ベースになるのは前節と同じ11人となるだろう。
気になるのが前節の交代時に太もも裏を押さえていた清武の状態。ロティーナ監督は「プレーできる状態」と語っているが、過密日程の今季は特に無理をさせたくないのでこの試合ではベンチスタートとなるか。
左SHといえば真っ先に名前があがるのは柿谷というところだが、ルヴァンカップの仙台戦では柿谷は右SH、片山が左SHでスタートした。となると片山の可能性も出てくる。しかし片山は前節今季初めてのベンチ外だっただけに…どうなるか。

試合のポイントは2つ。
1つ目は川崎Fの即時奪回をセレッソがどれだけ打ち破りボールを運ぶことができるか。
キープレイヤーは松田。ポジショニングで川崎の左WGにどれだけ選択肢を突きつけられるかだろう。ここで捕まってしまうとかなり難しくなる。
また相手の3センターの後ろにボールを落とすパスの精度も重要になる。おそらくセレッソはどこにボールを落とすかまでの準備をしているだろう。このパスが通ると相手の即時奪回を無効化できる。
ボールを前進させることができればチャンスは作れるはず。川崎Fの中盤は3枚で、比較的よく動くので押し込む状態を作ることができればCBの前にスペースが生まれるのではないだろうか。

2つ目のポイントは飛び込まないゾーンディフェンス。
川崎Fは今季両WGのポジションを固定化し…と書いたが、実は家長と長谷川がいないここ数試合は比較的昨季までの密集サッカーになりつつある。それであればセレッソは川崎Fを窒息させることができるはずだ。
また川崎Fの得点シーンを見ると、ほとんどのゴールが守備側が無理にチャレンジしたことで入れ替わられている。
セレッソの失点が少ないのは、ロティーナが「これを守れば失点は必ず減る。」と語っている3つの項目
・無理なチャレンジをするぐらいなら行かない
・ファールはしない
・スライディングは最後まで我慢する
を徹底しているから。
なのでシュートは打たれてもほとんどがDFの前からになり、後ろのキム・ジンヒョンがセーブできるのだ。かなりボールを持たれてしまった柏戦でもこれを徹底できたことで勝利することができた。この試合でも焦れずに徹底できれば失点を減らすことができるはずだ。

川崎Fとは直近6試合で5勝1分。単に「相性が良い相手」ともいえるが、全ての試合でほとんど同じ展開になっていることからもわかるように、単なる「相性」以上の部分がある。

今最も強いチームであることは間違いないが、チームとしてやりたいこと。やろうとしていること。ができれば勝てる相手である。

2 件のコメント :

  1. 川崎に苦手意識とかあるわけじゃないので、
    この試合もしっかり波の少ない試合をして勝ってほしいですね。
    そうなればだれもが「セレッソが一番内容のいいサッカーをしている」と思うでしょうし。

    あと余談ですけど、今年の川崎のニュース聞くたびに
    「山村はセレッソに戻ってくればいいのにな」って思うのは私だけじゃないと思ってます。

    返信削除
  2. 内容は結果に繋げるためにあるので、首位にならなければセレッソが一番内容のあるサッカーをしていると考える人はまずいないでしょう。
    それにセレッソの場合は得点が課題と言われていて、実際余り改善出来ているわけではないので、まずそこをどうにかしないとどの道一番にはならないですね。

    川崎のようにしっかり点が取れて、守備も固いサッカーが出来ないとリーグ優勝なんて夢のまた夢です。ロティーナ監督には更なる上積みを期待しています。

    返信削除

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