スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 山本 雄大 |
入場者数 | 3,921人 | 副審 | 越智 新次、中野 卓 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 30.6℃ / 57% | 第4の審判員 | 谷本 涼 |
メンバー
- 監督
- ロティーナ
- 監督
- 木山 隆之
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催
<監督コメント>
セレッソ大阪:ロティーナ監督ベガルタ仙台:木山隆之監督
<選手コメント>
セレッソ大阪:清武弘嗣、坂元達裕ベガルタ仙台:真瀬拓海、蜂須賀孝治
真夏の7連戦の最終戦となる明治安田生命J1リーグ第12節。ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪対ベガルタ仙台の一戦は2-1でセレッソ大阪の勝利。前節の大敗を払拭する勝利を見せた。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは予想通りの11人。前節出場を回避したデサバトが復帰し、奥埜はFWへ。またベンチには木本が戻っている。胃腸に問題を抱えているというコメントも出ていた西川はベンチから外れたが、片山、木本に合わせて小池もベンチ入りしているのは前節ミスの多かった丸橋のコンディション面を考慮してのものだろう。
一方のベガルタ仙台の先発メンバーも予想通りの11人。こちらはミッドウィークの鳥栖戦が延期となったので休養十分。ベンチにはルヴァンカップで対戦した時に先発したメンバーの他、8/1の横浜FM戦以来のベンチ入りとなるアレクサンドレ・ゲデスが入った。
■仙台のプレッシングとセレッソのビルドアップ
この試合の立ち上がりは両チームが共に前線からのプレッシングを仕掛けてきた。ただしより激しかったのは仙台。4-2-3-1の仙台はボール非保持の時にトップ下の関口が1トップの長沢と同じ高さに出てきて4-4-2 になる。
スタート時点でのセレッソのビルドアップ |
2トップのプレッシングに対して3枚で対応するというのはスタンダードなやり方である。
しかしここで仙台は3バックに対する3枚目としてSHが参加して人数を合わせるプレッシングを仕掛けてきた。
セレッソと戦うのは2度目、仙台はこの試合にむけて1週間の準備期間もあったのでしっかりと準備してきたのだろう。
セレッソはこのプレッシングで直接ボールを失ってショートカウンターで直ちに大ピンチという場面までは少なかったが、ボールを運ぶことには苦労していた。
ビルドアップの立ち位置を変える |
立ち位置としてはCBとCHの2-2で、松田は右サイドのワイドで幅を取る位置を取り、坂元は中に入る。
最初からCHがCBの間に落ちるのではなく、まず2-2で立って状況を見て藤田、デサバトのどちらかがCBの間に入って行く形になった。
相手の位置を見て決めるので仙台の3人目に的を絞らせない。
そしてセレッソは前線が同数であれば一気にブルーノ・メンデスを走らせるロングボールも多用した。
ルヴァンカップでの対戦でもこれを多用し、3点目となるゴールはこの形で奪っていたが、これは仙台の守備のやり方によるものだろう。
仙台はボール非保持でプレスとブロックを使い分けブロックは中を閉める形を取るが、同じ中を閉めるブロックを作るセレッソとは異なりそのベースになっているのは1対1のデュエルである。なので守備スタッツの中でタックル数が増える。
しかしこのデュエルで負けるとピンチになる。なのでセレッソは仙台戦では前線を走らせる長いボールを使う場面が増えるのだろう。
セレッソはビルドアップを改善したことで16分にオフサイドにはなったものの松田からのロングパスで清武へボールを届け、ワンタッチでブルーノ・メンデスが抜け出そうかという場面を作る。
すると19分に右サイドからボールを運んで押し込むと左右にボールを動かしながら、最後は坂元が右サイドから出したマイナスの折り返しを受けた清武が決めてゴール。セレッソが先制する。
先制点のシーンでの仙台のCH |
セレッソが右サイドでボールを運んで左に展開した時、右SBの裏を奥埜が狙ったことでCHの右に入る浜崎は右SB的なポジションへと出た。
そして今度は左サイドへサイドチェンジし、左SBの裏に出て行った坂元に対応したのは左CHの椎橋。
この時点でCBの前を守る選手がいなくなった。なので坂元からのマイナスの折り返しに対して対応する選手がいなかったのだ。
仙台は、関口も下がっていたが両SHと右SBの柳も含め、CHが出て行った後のスペースを誰も埋めることができていなかった。
■セレッソのプレッシングとそこから
セレッソのプレッシング |
基本的には2トップの1人がCB、1人がCH(主に椎橋)を見てという形になっているがもう1人のCBに対してSHがアプローチをかける場面もあった。仙台のビルドアップが立ち位置とかを使ってずらすというやり方をあまり取らないので思い切ってアプローチをかけに行ける場面が多かったのだろう。実際にこのプレッシングでボールを奪ったり、そこから出たボールを回収することもできていた。
そして仙台はビルドアップに苦しむとトップ下の関口が降りてきてビルドアップを助ける場面も多い。これはビルドアップでボールを奪われないという面では有効なのだが、セレッソ側から見ても相手の前線での選択肢が1つ消えるのでありがたい部分もある。
こうしてセレッソも仙台も同じ様にプレッシングを仕掛けていたのだが、両チームで最も違っていたのはプレッシングをやめるときの判断とそこから先の対応だろう。
セレッソは前からアプローチをかけるが、それをやめてブロックを作る時には全員が共通認識を持ってスパッとやめる。
そして直ちにブロックを作ってスペースを埋める。
セレッソの守備でももちろんボールを奪い返すことが目的なのだが、直ちに全員がボールを奪い返すためにプレーするわけではない。優先するのは相手のプレー・選択肢を制限すること。ボールを奪い返すのは相手のプレー・選択肢を制限した結果であるという考え方でプレーをしている。
なので仙台もボールを持つ場面はあるのだがチャンスらしいチャンスは作れない。
サイドにスペースがあるのでそこから、そして逆サイドが空いているのでサイドチェンジでといった形でボールを運ぶが、実は誘導されているので最終的には詰まってしまう。
これはこの試合に限らずこれまでの試合でもそうで、前節の2失点目はサイドチェンジから川崎がPKを獲得したがこれはミスによるもの。サイドからボールを運ばれたとしてもセレッソの選手は立つべきポジションが明確に決まっているのでそれを徹底する。
以前にも触れたことがあるが、セレッソにとって上手くいっている、上手くいっていないの判断の分かれ目となるのは「全員がやるべきことが決まっている状況かどうか」。もちろんボールを持っている状況であればそれに越したことはないが、ボールを持っているかどうかが最も重要な要素ではない。
試合をコントロールしていたセレッソは34分に坂元、41分に奥埜がチャンスを迎えるがゴールは奪えず。
そんな中、前半アディショナルタイムにCKを与えると続けて2本目のCKでファーサイドで蜂須賀にヘディングで合わされ失点。1-1の同点に追い付かれてしまう。
ファーサイドを担当しているのは丸橋なのだが、丸橋の上から決められてしまった。
しかしこの失点はボールと入り方がドンピシャで合ってしまったのでゾーンで守っているとどうしようもない形だった。
これをいうと「じゃあマンツーマンにした方が良いのではないか?」といった意見が出てくることもあるが、マンツーマンになると別の問題が出てくるのでどっちにしても完璧な守り方なんて無いということを先に言っておく。
■オープンになりかけるも
後半立ち上がりにデサバトのパスを受けたキム・ジンヒョンがコントロールミスし西村に決定機を与えるもキャッチし難を逃れる。こうして始まった後半だったが試合は少しづつオープンになりかけていた。
FWを走らせるロングボールは前半から狙っていたが、そこでブルーノ・メンデスが何度もパスミスをしてしまったりして行ったり来たりの展開が増え、そこに連戦で蓄積された疲労も加わりついてプレスバックやポジションに戻るスピードが格段に落ちてきたからだった。
セレッソにとってはこれが進んでしまうのが最悪の形。
というのもオープンになると全員のやるべきことが決まらないからである。
そんな中でも53分の関口がドリブルで運んで西村にボールを届けた場面はかなり危ない場面だった。
しかし西村がボールを受けてからの判断が悪く、関口がせっかく届けてくれた時間とスペースをふいにしてしまう。
そう言った状況を受けてセレッソは交代の準備。片山と鈴木がピッチサイドに立つと、プレーが切れる前にさらに柿谷も追加。3枚替えを用意する。
そんな状況の中で生まれたのがセレッソの2点目のゴール。
ビルドアップから丸橋にボールを届けると、丸橋はCHの背後にいる清武へパスをつける。
そこに大外から入ってきたのが坂元。清武のスルーパスを受けた坂元が左足で流し込んだ。
オープンな状況になってスペースが出来るのは当然ながらセレッソだけでは無い。丸橋にボールが入った瞬間に仙台のCHはセレッソのCHを捕まえるために前に出ており、さらに逆サイドの大外に立っていた坂元は誰も見ていない状態。蜂須賀が慌てて戻るが間に合わずCBに飛び込ませないタイミングで坂元はシュートを放った。
■フェーズを管理する
61分〜 |
小池もいる中で片山という選択になったのは前半最後の失点シーンがあったからだろう。CKの時に丸橋は一番外側のゾーンを担当している。
76分〜 |
そしてセレッソも76分にブルーノ・メンデスに代えて高木を投入する。
2-1の状況になって以降、試合をコントロールしていたのは完全にセレッソだった。仙台は一度ビルドアップのミスから長沢がシュートを放っているが、チャンスらしいチャンスはほとんど作れなくなっていた。
一方でセレッソは片山が期待されたフィジカルで仙台の土俵であるデュエルでも上回り、さらにチーム全体で試合をコントロールするという部分でも上回った。
そして何よりこの試合では柿谷が出色の出来だった。71分のデサバトのシュートまでのプレー、78分のドライブ、試合終了間際のプレーなど圧倒的ですらあった。
柿谷については今季これまでに何度か「下がりすぎる」と書いたこともあるが、ここ最近のプレーは左SHに入っても丸橋を前に出すというチームプレーを意識しているのか下がってきてボールを受けてといったプレーも多かったのだが、このチームは組織で成り立っているので実際にはそんなプレーは必要がない。重要なのはそれぞれがそれぞれの立ち位置を守ってそこで最大限の能力を発揮すること。そういう設計でチームが組み立てられているからだ。
しかしこの試合では全くそんな素振りは見せなかった。これだけのプレーができるのなら今後はもっと長い時間プレーすることになるだろう。
最後は相手のラフプレーに対して珍しく激昂する場面もあったが、ああいうサッカーをプレーしようとしない、相手を怪我させる可能性が高いにもかかわらずそれを全く考慮しないプレーは許せないのだろう。
柿谷はピッチ上で相手に怒っている姿を見ることなどほとんどない。(過去に記憶にある中では2013年の多分大宮戦で後ろからスライディングに来られた時の一度だけかな?)
90+2分〜 |
試合はそのまま終了。セレッソ大阪が2-1で勝利した。
■その他
失点をしたしスコアこそ1点差だったが、「危なげなく」と言っても良い勝利だった。前節大敗を喫しただけにこの試合は勝ち点3が必ず欲しい試合だった。
真夏の7連戦を終え、7勝3分2敗。12試合で勝ち点24。悪くない結果である。
このままコンスタントに勝ち点を積み重ねていきたいところだ。
これでシーズンの1/3が終わったが、ここまでの戦いぶりで感じたこのチームの良いところは、「フェーズを管理しようとしていて、それができる様になっているところ」ではないかと思っている。
相手CK時の守備ですが、昨シーズンはファーを執拗に狙われたからか
返信削除シーズン後半はCB一枚(主に木本)がファーに立って守備してたと思うんですけど
今シーズンはそれなんでやめたんですかね
それ続けてれば今節の失点はなかったかもしれないとちょっと思ったんで
自分の認識違いだったらすみません
コメントありがとうございます。
削除昨季は鹿島戦で町田に折り返しをやられてから木本が大外を見る様にしましたね。
ただ、ここまでそんなにやられているわけでもないし、ここを入れ替えても選手の身長が伸びるわけではないので、特に気にしなくてもいいと思いますよ。いいボールを入れられてきれいに合うとどうしても難しいです。
今回も楽しく拝読致しました。
返信削除試合内容とは関係ないのですが、柿谷選手は2018年の磐田戦でも山田大記選手に後ろからチャージされたことに怒って相手を突き飛ばしたことがあります。
その時は「同じマネジメント会社所属なのに…」と驚きました。
いずれにしろフェアプレー賞を2度も受賞した選手が激昂するのは珍しいと思います。
コメントありがとうございます。
削除そういえば磐田戦でもありましたっけ。
どちらにせよ珍しいですね。
ともあれ、川崎戦でのショック引きずってないようでそれはよかったと思います。
返信削除「小池をベンチに入れたのは丸橋のコンディション面を考慮」
「CKからの失点シーンで丸橋の上からヘッドされた」
この2つは一見無関係のようではありますが、
もしかするとより良いコンディションであればあそこまで綺麗にやられなかったのでは?
もしくは、今後丸橋のところを(より走らされる形で)
狙われるのではという不安点はありますね。
コメントありがとうございます。
削除もちろんコンディション面はありますが、それ以上にあの場面はいいボールとピッタリあったということに過ぎないと思いますよ。
1試合の中で走らされたところでそんなに大差ないかと。
プレスされることによるエラーが多すぎます。上位にはショートカウンターでやられる印象。ジンヒョンのミスも3試合連続であって、この試合のも決定的エラーです。ただ大体相手に助けられてます。最近エラー多くて心配です。
返信削除攻撃もほぼ坂元絡まないと得点ない印象です。
今の順位が不思議なくらいですが、さすが組織、さすがロティーナなのかなと思ってます。
コメントありがとうございます。
削除エラーは過密日程の影響が大きいでしょうね。
前に書いたこともありますが、疲れた時に起こるのは「走れない」などのわかりやすいものだけではなくエラーですし。ただ、疲れているのはこちらだけでは無いので、どっちもエラーが起こり得るということですね。(その分大味な試合になってしまうことも多いのですが…)
あと、攻撃で坂元(清武)が絡まないとというのはある意味当然です。
あのポジションの選手に求められているのはそこですし、彼らを活かすためにどうするかというところも考えられてますしね。