2020年8月11日火曜日

8/9 明治安田生命J1リーグ第9節 VS. FC東京@ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審山本 雄大
入場者数4,840人副審野村 修、西村 幹也
天候 / 気温 / 湿度晴 / 30.9℃ / 58%第4の審判員村井 良輔
セレッソ大阪C大阪
 
FC東京FC東京
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 長谷川 健太

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:ロティーナ監督
FC東京:長谷川健太監督

<選手コメント>

セレッソ大阪:坂元達裕、都倉賢
FC東京:波多野豪、小川諒也

共に上位争いに絡んでくるだろう両チームが対戦する明治安田生命J1リーグ第9節最大の注目カード。ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪対FC東京の一戦は0-0の引き分け。スコアレスドローで勝ち点1ずつを分け合う結果となった。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーは予想通りの11人。2トップの一角にはブルーノ・メンデスが起用された。
またミッドウィークのルヴァンカップで木本が負傷したこともあり庄司が今季初のベンチ入り。さらに長期離脱していた高木、7節以降はベンチからも外れていた都倉が復帰し、柿谷、西川、豊川、鈴木はベンチ外。試合後のコメントによると西川、豊川は負傷を抱えているそうだ。

一方のFC東京の先発メンバーだが、前節の4-4-2から今節は4-3-3に変更。3トップは永井、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロの3人で、中盤はアルトゥール・シルバ、高萩、安部を起用してきた。
ただしそれ以上に驚いたのはGKが林ではなく波多野を起用してきたこと。
直近3試合で6失点しているということでGKを変える決断を下したものと思われる。ちなみに波多野はこれがJ1初出場。しかし昨季まではJ3のU-23に出場していたので、セレッソ大阪U-23とは過去4度の対戦がある。

■4-3-3を使ってきた東京

非保持時の東京
立ち上がりこそ少しプレッシングに行くそぶりを見せたFC東京だったが、すぐにミドルゾーンでブロックを作る形に。
両WGの永井とレアンドロを中盤に落とした4-1-4-1の形だった。
前節の布陣は4-4-2だったが、鳥栖にレアンドロの後ろを執拗に使われたこともあってレアンドロをしっかり落としていたのが印象的だった。
ということは前線はD・オリヴェイラ1枚。セレッソは右SBの松田も前に出して2CBでビルドアップを行う形を取っていた。
A・シルバが前に出る4-4-2も
ただし東京としても出来るだけ前線に制限はかけたい。ということでD・オリヴェイラと同じ高さにA・シルバを出して4-4-2の様な形になる姿も見せる。
藤田が最終ラインに落ちる3バック化
それに対してセレッソは藤田を最終ラインに落とした形を取る。このあたりのセレッソの対応は非常にスムーズだった。
永井のポジショニング
この試合では永井が57分に交代するまでほとんど攻撃面で持ち味を発揮することが出来なかったのだが、そうなったのはA・シルバが前に出て行く形をとっていたこととは無関係ではない。
A・シルバを前に出すということは永井は内側に絞らないといけなくなりどうしても守備の負担が増えるからだ。
東京はこの試合に向けての準備期間が1週間あったので、この試合にむけた対策はかなり練ってきたと思う。セレッソはサイドを起点にしてボールを運べるチームということを踏まえ、その結果ができれば今季の特徴である3本の槍を使いたいが、最悪の場合は永井かレアンドロかどちらに負担をかけるかまでも想定していたのかもしれない。

■左サイドから攻撃するセレッソ

永井の守備に関していうと、自分がボールを奪えると判断した時に見せる爆発的なスピードを活かして1人でボールを奪ってしまうプレーは非常に上手いのだが、例えば背中でパスコースを消したり相手を制限する様な守備、そしてそれを継続するといった守備は上手くない。というか永井自身が攻守に関わらず瞬発力に特化した選手である。なので毎試合65分とか70分に交代する。
ただ、レアンドロよりも守備意識は高く、チームの役割に対しても忠実にプレーする。なのでおそらく永井が右サイドで、右IHのA・シルバが前に出る形を取ったのだろう。
しかしセレッソはそれを踏まえて、東京の右サイド・セレッソの左サイドからの攻撃を多用した。
セレッソはビルドアップの起点が右にあることから普段は、特に前半はほとんどの試合で右サイドからの攻撃が多いのだがこの試合ではアタッキングサイドで43%を左サイドから記録していた。
永井は2人を見ることに
左サイドからの形でベースになっていたのは藤田が最終ラインに落ちてフリーにした瀬古が持ち出す形。永井は内側に清武、外側に丸橋という状態になる。
SBの裏を狙う清武
この状態だと優先順位が高いのはもちろん内側、なので永井は絞って内側を消しに行く。となるとセレッソは外側の丸橋を使ってボールを運ぶ。そこに対応するのは右SBの室屋。そこで清武が背後に走る。
前半から清武がSBとCBの間を背後に出て行くプレーを多用していたのはこのためである。ここで室屋の背後を取れなくても丸橋は余裕を持ってボールを運ぶことができる。
11分の決定機につながる場面
そしてもう1つが11分の決定機につながる場面。
ペナルティエリアすぐ外でのFKでショートパスを繋いだところからで、リプレイが流れていたので中継には映っていなかったが室屋が1つ飛ばして前にプレッシャーをかけてきたところを瀬古は簡単に外して藤田にパス。この瞬間藤田から室屋のいないスペースに飛び出した清武へロングパス。清武からのクロスを坂元がボレーで合わせるもシュートは波多野の正面。波多野に当たってゴールにはならなかった。
この場面は室屋がいなかったので東京のDFはスライドする。ということは大外は足りなくなる。そこに入ってきたので坂元はフリーだったのだ。最後まで動かなかった波多野のビッグセーブだったが、セレッソは決めておかなければいけない超決定機だった。

この場面でもそうだった様に左から作っていくので左から右にボールが出て来た時に東京は人数が足りなり、セレッソはチャンスを作ることができるというのが前半の流れ。松田のクロスも、藤田のミドルも左を起点にずらして右にボールを届けていったところからチャンスを作っていた。

ただセレッソにはもう一手あり、それは東京はカウンターを繰り出したいのでできるだけ全体を高い位置に置いておきたい。最初からブロックを下げたくない。という考えをついてロングカウンター。
38分にはキム・ジンヒョンのスローイングでボランチ裏にいる奥埜にボールを届け、セレッソの2トップと東京の2CBで2対2の状況を作ることに成功するも、ブルーノ・メンデスはあっさりボールロスト。
後半に登場する都倉も含め、どちらも怪我明けでコンディション面に問題を抱えている状態なので仕方ない部分もあるのだが、この試合ではブルーノ・メンデス&都倉と森重(または渡辺)のマッチアップで相手に質の部分で優位に立たれてしまっていることでセレッソとしては難しい試合になってしまった部分もあった。
2対2の状況であればフィニッシュまでの形には持ち込んで欲しいところだ。

■東京のカウンター

今季のボール保持率が45.6%の東京の最大の武器はカウンター。この試合でも狙っているのは当然それとなる。
ただ、永井は右サイドで守備に追われていたのでほとんどのカウンターはD・オリヴェイラと左サイドのレアンドロで行われていた。
東京の前半のアタッキングサイドは59%が左サイドとなっている。
しかし、セレッソの特に4人のDF、2人のCHの帰陣のスピード及びポジションの正確さはおそらくJリーグでトップ。なので前半FC東京は7本のシュートを放って入るものの、それほど危ない場面はなかった。
セレッソの2本に対して東京は7本なので、本数から見たら東京が良くてセレッソはダメじゃないかと思うかもしれないが、これは両チームのスタイルによる部分も大きい。
シュートを打つということは相手にボールを渡すということにもなるので、セレッソは可能性の低いシュートを打つならやり直すという方法を選ぶ。一方で東京はボール保持には興味がないのでボールを渡すことを厭わない。優先するのは常に一定の形で守備に戻れること。なのでボールを失う形が一定化できる様にシュートで終わりたいのだ。ゴールになる可能性が低くても同じ形で守備に入れるならOKなのである。

前半最後に東京も攻撃でもIHのポジションから飛び出す動きを見せていた安部が角度のないところからシュートを打つという場面は作ったが、前半としてはややセレッソというところ。
東京は我慢してカウンターを発動させる機会を待っている。セレッソはボールを保持しながら隙を狙っている。なのでどちらも我慢しながらとも言えるが、セレッソはこれが日常。FC東京にとっては思う様に走ることが出来ていないのでやや非日常という前半だった。

■どこまでテンポを上げるか

他のチームから見ると同じ様に見えるかもしれないが、後半はセレッソが少しテンポを上げる。
それによってFC東京もセレッソのゴール前までボールを運ぶ場面が生まれたが、DFラインとCHでしっかりと対応できるスピードなのでここぐらいがギリギリか。
57分〜
53分にセレッソはブルーノ・メンデスに代えて都倉を投入。続けて57分に東京が永井に代えて内田を投入。
永井の交代は普段よりも少し早いが、立ち上がりに1度あったぐらいで後半になっても永井が出て行く状況をなかなか作れないので2列目が本職の選手を投入したという格好か。

東京もセレッソが上げたテンポに乗ってさらにテンポを速くしようとしてくるが、その分スペースが生まれるのでセレッソに縦パスを差し込まれる場面も増える。なので守備の場面ではミドルゾーンというよりもしっかりとブロックを作って下げるという選択も増えていた。
ただしチャンスを作りきれないセレッソ。48分の坂元のシュート、53分の清武のシュートは共に波多野がセーブ。
50分にブルーノ・メンデスに対応した永井が足を滑らせた様な形になりPKになってもおかしくない場面もあったが、ノーファール。76分に坂元と松田で右サイドを完全に崩したがクロスは合わず、さらにこぼれ玉を狙った丸橋も右足でのシュートとなった。
82分〜
セレッソは78分に清武に代えて片山を投入。いつものルーティーンワーク。続いて東京は82分にA・シルバとD・オリヴェイラに代えて原とアダイウトンを投入。これはおそらく残り10分で勝負をかけるための策として準備していたものだろう。

ここから試合はさらにオープンに。89分にイバンが指笛を吹き流石にペースを上げすぎない様に指示を出したが、しばらくは続けさせていたのでセレッソもこの試合で勝ち点3が欲しいという思いが強かったのだろう。
86分〜
セレッソは86分に奥埜に代えて今季初出場となる高木を投入。東京も89分に安部に代えて三田を投入。
オープンになった展開から最後に東京がアダイウトンのクロスからレアンドロのヘディングシュートという決定機を作るもキム・ジンヒョンがビッグセーブ。
そのまま試合は終了となり0-0の引き分けに終わった。

■その他

試合をコントロールしチャンスも作っていた。東京にチャンスを作らせていなかった。ということから考えるとぜひ勝ち切りたい試合だった。
最後に危ない場面はあったものの、あれもそれまでに得点を奪えていなかったからこその場面である。
こういう試合を勝てる様になればチームはまた1つ先に進むことができるのだろう。
ただ、この試合でもブルーノ・メンデス、都倉、高木の3人でシュート0本。クロスも0本。ラストパスもブルーノ・メンデスの1本だけ。
これまでも何度か書いたがストライカーという部分では物足りないのが現状なので、現実的にはこうして勝ち点を1つずつでも重ねて行くということになるのだろう。
この3人に加え鈴木、豊川(怪我がある様だが)と枚数は揃っているので、誰か1人でも得点という部分で抜け出す選手が出て来て欲しいところではある。



4 件のコメント :

  1. 毎試合楽しみにレビュー拝見しております。
    とても勉強になっています。

    FWについてですが、この試合を見て本格的に補強に動き出す必要があると思いました。
    都倉はキャラクターと大怪我があるので批判しにくいですが、この人は何が出来るのだろう?と首を捻ってしまいます。札幌ではスーパーサブとして点を取っていたようですが、セレッソに来てからはまだ1点くらいしか取っていませんよね。自分の方がフィジカルで優れていれば多少時間を作ったり出来ますが、劣っていると何も出来ないのが、ほんとにベテランなの?って思ってしまいます。
    このままのメンバーでは優勝を狙うのは難しいですよね…かと言ってコロナで収入が減るので獲得資金は無いか…

    返信削除
  2. FWだって補強してうまくいく保証もないし、
    むしろ柿谷を前で使って奥埜と縦関係の2トップにする方がいいかと。
    少なくともそれでダメならサポとしてもあきらめがつきますね。

    どうせ補強してダメなら「柿谷を試すべき」ってなるでしょうし、
    その手間をかけるぐらいならまだU23のFWを試すほうがマシかと。

    豊川、高木は現状では左サイドのバックアップと割り切っていいのでは。

    返信削除
  3. ブログ楽しいです。
    都倉はすべて競り負けてたし、1つも収まらなかった。ここまでひどいFWは他のチームでもそう見ない。この試合ディエゴと都倉が交換できてたら勝ってたとも思う。
    ディエゴから数段落ちるけどメンデス以外選択肢はないと思う。

    返信削除
  4. 皆様コメントありがとうございます。
    ストライカーのポジションは開幕前から十分予想できた事だったのでおそらく動かないんでしょう。
    今後柿谷のトップ起用も増えそうですが、少しずつ勝ち点を重ねていくしかないんでしょう。

    返信削除

新着記事

人気の投稿

セレッソ大阪公式Twitter

楽天

楽天トラベル