スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 福島 孝一郎 |
入場者数 | 2,847人 | 副審 | 武部 陽介、日比野 真 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.7℃ / 56% | 第4の審判員 | 越智 新次 |
メンバー
- 監督
- ロティーナ
- 監督
- 大槻 毅
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催
<監督コメント>
セレッソ大阪:ロティーナ監督浦和レッズ:大槻毅監督
<選手コメント>
セレッソ大阪:豊川雄太、レアンドロ・デサバト浦和レッズ:武藤雄樹、武田英寿
2月16日以来およそ6ヶ月ぶりとなるYBCルヴァンカップBグループ第2節。セレッソ大阪が本拠地ヤンマースタジアム長居に浦和レッズを迎えての一戦は1-0でセレッソ大阪の勝利。Bグループ首位となり、グループ突破の動向は来週のアウェイ仙台戦に持ち込まれることとなった。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーはリーグ戦前節から5人入れ替え。外れたのは松田、ヨニッチ、藤田、清武、奥埜で、片山、木本、ルーカス・ミネイロ、柿谷、ブルーノ・メンデスが起用されている。その中でも片山、ルーカス・ミネイロは今季初先発。またベンチには西川潤が入った。
一方の浦和レッズの先発メンバーだが、こちらは8人を入れ替え。西川周作、橋岡、トーマス・デン、槙野、山中、青木、汰木、杉本が外れ、福島、岩武、マウリシオ、岩波、宇賀神、長澤、柴戸、武藤が起用された。
今回の先発メンバーの中で2月16日のルヴァンカップ初戦にも先発していたのは岩波、柴戸、関根、レオナルドの4人。福島、岩武の2人は今季初出場で、宇賀神は今季初先発となる。
■木本の負傷
5分〜 |
木本が痛んだのはおそらく開始50秒ぐらいにあった最初のビルドアップの場面。レオナルドのプレッシャーを受ける中でのプレーで少し無理して左足を伸ばした時に左のもも裏の筋肉を伸ばしてしまったか肉離れが起こってしまったのでは無いかと思われる。
■前半の試合展開
前半は0-0で終わるのだがセレッソとしては前半のシュートが0本だったように上手くいっている試合ではなかった。上手くいっていない要素としては、ビルドアップからの形で中盤で引っ掛けられてしまうことが多かったこと。そして浦和のボール保持に対して中盤があまり中を閉められていなかったこと。そしてセカンドボールを拾えなかったこと。の3つがあった。
ただこの3つは全て繋がっていて、中盤で引っ掛けられるからきっちり守備組織がセットできず、中にくさびを打たれるからセカンドボールのポジションが取れないという流れである。
またボール保持の時のポジショニングについてもCH2枚の関係もよくなく、15分に左サイドに人数をかけて押し込み鈴木のクロスからブルーノ・メンデスが飛び込むも最終的にはスローインに逃げられた場面(再開後は片山のこの試合最初のロングスローになった場面)では、ボールが外に出たタイミングでロティーナとイバンが、ルーカス・ミネイロ、デサバト、瀬古と続けて呼び指示を送っていた。
内容としてはおそらく左サイドで人数をかけていた時のポジショニングのことで、正しいポジショニングをとることでボールを動かすこと、そしてボールを失ってもカウンターを受けないような対応ができるようなポジショニングをとること。だったと思われる。
ということで浦和がセレッソ陣内でボールを保持する時間が多いという展開になっていたのだが、失点の可能性があった危ない場面というのは8分の柴戸のパスからレオナルドが抜け出した場面ぐらいだった。
この場面はラインが揃っておらず、ヨニッチがオフサイドを取りにいったのだが、さらに後ろの片山も残っていたのでオフサイドを取れず、完全にGKと1対1の場面を作られてしまっている。
これ以外の場面については、浦和としては一旦中にクサビを打ってからサイドに展開してクロスという形を多用していたが、これだとセレッソのCB2枚は動かされないので正しいポジションで対応することができるし、CB前をCHが埋めるという約束事は徹底されている。
なので浦和のシュートは前半4本のみだったし、そのシュートもセレッソのCBやCHが前に立っている状態で放ったミドルシュートばかり。
8分以外の場面で「決定機を作られた」というものはなかった。
セレッソとしては中にクサビを打たれてサイドに展開からのクロスを入れられるという形なので、ゴール前で跳ね返すばかり。セレッソがボールを持ちだそうとしても浦和は押し込むことができている分成長著しい柴戸がしっかりと対応できるという状態が続いているため先にも書いたようにセレッソとしては上手くいっていないのだが、カウンターさえ受けなければ守り切れるだろうという印象はあった。
なので、ボール保持時の被カウンター対応としてのポジショニングをロティーナとイバンはうるさくいっていたのだと思う。
■松田陸不在のビルドアップ
ここまで上手くいっているわけではなかったことについて書いたが、ここではこの試合で初めてトライしたことに注目したい。今季ここまでの公式戦フルタイム出場を果たしていたのが、松田陸、ヨニッチ、デサバトの3人。デサバトはこの試合でもフル出場し、ヨニッチもベンチスタートながら5分で出場となった一方、松田はベンチ外となったので完全休養。この試合は今季初めて松田陸がいない状況での試合となった。
このチームにおける松田はCHと並びビルドアップのキーマン。松田が最終ラインに残るのか前に出るのかでビルドアップ時の形が変わり、ビルドアップの出口にも、出口にボールを届ける役割のどちらをも担う最重要選手の1人である。(だからこそここまでフルタイム出場を続けていたのだが)
しかしこの試合で右SBに入ったのは片山。ということでビルドアップのところで松田の役割をそのまま片山が担うのかどうかというところが個人的には注目ポイントの1つだったのだが、この試合で見せたのは別のやり方だった。
ゴールキックの時の立ち位置 |
セレッソはゴールキックの時にキム・ジンヒョンは中央にボールをセットして両CBはペナルティエリアの脇にポジションをとるのが通常の形となっているが、この試合ではそれに加えてペナルティエリア内・キム・ジンヒョンのすぐ右側にデサバトを立たせた。
これまでの試合でもペナルティエリア内のPKマーク付近に藤田を立たせていたことはあったがすぐ横は初めてである。
ヨニッチへ |
この時の片山のポジションはヨニッチの前。つまり松田が最終ラインの右に残る時の位置でプレーしていたのはヨニッチ。松田が行なっているプレーをそのまま片山にやらせるのではなく、ヨニッチが行なっていた。というよりも開始早々に負傷してしまったが、そもそもは木本にやらせようとしていたのである。
サポートのポジショニング |
なのでデサバトはヨニッチにボールを届けるとそのまま普段の横からサポートに入るポジションに移動。
しかしそうなると、もしヨニッチが詰められてしまうと後ろからサポートするボールの逃げ場となる人がいなくなる(普段の松田にボールが入った時に斜め後ろに入るヨニッチの役割)。
なのでヨニッチにボールが届くとキム・ジンヒョンが一気にヨニッチの斜め後ろのポジションに移動。
これでもしヨニッチがだしどころを見つけられず相手のアプローチを受けたとしてもキム・ジンヒョンに戻して逆サイドに展開するなり、思いっきり蹴ってクリアするなりができるようになっていた。
先に書いたようにビルドアップからの展開の部分ではボールを失ってしまうことが多く決して上手くいっているとは言えない試合だったが、ビルドアップそのものについては新しい形を使った非常に面白いものだったと思う。
■第3Q
後半開始〜 |
おそらくこれは最初から考えていたプラン通りの交代だろう。
後半立ち上がりに瀬古のロングキックを奪われて押し込められピンチを迎えるが、その後のゴールキックから西川潤がシュートまで持ち込む場面を作る。
これはまさにビルドアップ松田不在バージョンからの形で、通常の松田がいる時の形よりもSB(片山)とSH(西川潤)が1つずつ前に出ていることによって生まれたものだった。
しかし、試合展開としては前半と変わらず。
57分に浦和は武藤に代えて杉本を投入するが、浦和にとってはサイドからクロスは入れることができるのでということなのだろう。
一方のセレッソも62分にルーカス・ミネイロに代わって奥埜、69分に柿谷に代わって清武を投入するが、ビルドアップのところでルーカス・ミネイロにミスが目立ちボールを奪われる回数も多いので瀬古が無理に蹴ってボールを失うという場面が続出しており、さらに柿谷もビルドアップのサポートをするためか下がってボールを受けようとすることも多かったので妥当な交代だった。
69分〜 |
ただ、公式戦としては久々だったことも影響しているのかもしれないが、ボール非保持の場面で少し動くのが早く2度ほど内側にボールを通されていたので、CHで起用するということであれば早くそのあたりの感覚も取り戻して欲しいところだ。
浦和にとっては押し込んでゴール前にボールを入れるもののやはりそこまで決定的なチャンスにはなっていないという状態が続いている。
ボックス内でのシュートも何本かあるのでチャンスが無いというわけでは無いが、シュートのほぼ全てが目の前にセレッソのDFがいる状態で打っており、あまりDFを動かしてどうこうという形はやってこない。大槻監督が試合後のコメントで「最後のところをこじ開けて」と言ってるので「シュートを打てば何かが起こる」では無いが、DFを動かしてという形を取らなくてもずっとパンチを繰り出していたらスクランブルが生まれて何かが起こるという感じなのかもしれないけど。
柿谷から清武への交代のタイミングで飲水タイム。いわば第3Qが終了する。
■第4Q
飲水タイム明けからセレッソはビルドアップからの流れが徐々にスムーズになっていく。ビルドアップの形を変えたわけでもなく松田不在バージョンを続けていたが、奥埜がCHでボールに絡めるようになり、その分左SH(清武)も浦和のボランチ脇や後ろでボールを受けるようになったことで幅を使ってボールを動かすことができるようになったからだった。
西川潤は最初にシュートまで持って行った後あまりいい位置でプレーできていなかった。しかしチームが幅を使って右から左へと幅を使ってボールを動かすことができるようになったことで、ボールこそこなかったが左の大外にいる丸橋から中央にパスが入った後の展開で西川潤のところまでボールが届けばビッグチャンスになりそうというポジショニングが取れるようになっていた。
昨季の清武、柿谷、田中亜土夢がそうだったように、そして鳥栖戦での坂元がそうだったように反対サイドからボールつながってきた時のSHは浮きやすい設計になっている。
76分〜 |
試合が動いたのは82分。ペナルティエリアすぐ外でボールを奪ったデサバトがエヴェルトンをなぎ倒しながらハーフウェイラインまで一気にドリブルで運ぶと内側に入る清武へパス。清武から西川潤につながり、西川潤がドリブルで仕掛けながら出したパスを豊川がワンタッチでキチッと右足の前にボールをコントロールすると右足を振り抜きゴール。
豊川の移籍後初ゴールでセレッソが先制する。浦和は前半から何度もゴール前にボールを運ぶことが出来ていたが、ゴールを奪ったのはセレッソだった。
まずデサバトのボールを運ぶドリブルは本当に見事だった。そして清武から西川潤に。
西川潤も上手いなと思わせたのがドリブルの途中で一旦自分の利き足である左足の前にボールを持って行ったこと。これでドリブルから自分でシュートもあるぞという状況を作ったので豊川に時間とスペースが生まれた。
豊川は試合後のコメントでも語っているがワンタッチで「打てるところにボールを置くこと」が出来たのが全てだろう。
これは以前セレッソ大阪公式戦TwitterにUPされた柿谷が豊川に教えていた動画そのまま。ボールをトラップするというのはボールを止めるのではなく自分が次にプレーしやすい場所にボールを置くことであるという柿谷の教えを実践してみせた。
ワンタッチで右足でシュートを打てる場所にボールを置くことが出来たので福島のポジション修正が間に合わずニアサイドを抜くシュートが打てたのだ。もうワンタッチかかっていたらあのコースはGKが消していたはず。GKにとってニアを抜かれるというのは致命的なのだ。
85分〜 |
しかしここからはボールを保持しながらセレッソが試合をコントロール。
西川潤のシュートがクロスバーを叩くというチャンスもあり、そのまま試合終了。1-0でセレッソ大阪が勝利した。
■その他
立ち上がりに木本の怪我もあり、ボールを運ぶことに苦労した厳しいゲームだったが無事勝利することが出来た。試合後にtwitterで「サッカーとは90分が終わった時に1点でも多く点を取っていたチームが勝ちというスポーツなのです。」と呟いたが、まさにそんな試合だった。
浦和は8分のレオナルドが抜け出した場面こそ決定機だったが、それ以降のシュートはDFの前からシュートを打つ形ばかり。これを何度も繰り返して「こじ開ける」というのが浦和の戦い方なのだろう。しかしセレッソはこの試合以外でもそれとは全く違う考え方。ボールを持って相手に得意なプレーをさせないように試合をコントロールしながら相手を動かして隙を作って90分間の中でリードを作っていこうとする。
そういう考え方なので、この試合ではボールを保持するという部分では上手くいかなかったが、90分の中でリードを作るという戦い方が出来たんだと思う。上手く伝わるかどうかわからないが、90分間というのはサッカーにおいて普遍的な部分である。
これで来週のアウェイ仙台戦で引き分け以上の結果を残せばグループステージ突破が決定する。
過密日程なので難しい部分もあるが、チーム力を底上げするためには違った選手を起用できるカップ戦の存在は非常に大きい。
無事グループステージ突破し2度目の制覇に向けて期待したい。
最後に木本について。
これを書いている時点ではまだ負傷の詳細はわからないが、今季の過密日程を考えるとCBは木本も瀬古もレギュラーで、さらに木本はCHのバックアップも兼ねているという重要な選手なので軽傷であることを祈りたい。
あと関係ない話ですが、いつかのユベントスでもそうだった様に黒地に赤文字はホントに見分けにくいのでやめて欲しいです。
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