2020年8月21日金曜日

8/19 明治安田生命J1リーグ第11節 VS. 川崎フロンターレ @ 等々力陸上競技場

スタジアム等々力陸上競技場主審岡部 拓人
入場者数4,794人副審五十嵐 泰之、木川田 博信
天候 / 気温 / 湿度晴 / 29.5℃ / 61%第4の審判員榎本 一慶
川崎フロンターレ川崎F
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 鬼木 達
 
  • 監督
  • ロティーナ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

川崎フロンターレ:鬼木達監督
セレッソ大阪:ロティーナ監督

<選手コメント>

川崎フロンターレ:小林悠、脇坂泰斗
セレッソ大阪:奥埜博亮、瀬古歩夢

1位対2位の対戦となった明治安田生命J1リーグ第11節、川崎フロンターレ対セレッソ大阪の一戦は5-2で川崎フロンターレの勝利。セレッソ大阪は約3年前の2017年9月3日に同じ等々力陸上競技場で行われた川崎戦以来となる5失点を喫することとなった。

■メンバー

川崎フロンターレの先発メンバーは、出場停止明けとなる大島、前節に負傷で途中交代となったジェジエウ、第8節以来音沙汰がなかった家長も復帰。CFには小林悠、左WGには旗手、左SBには登里が入り、車屋、三笘、レアンドロ・ダミアンはベンチスタートとなった。

一方のセレッソ大阪の先発メンバーは、前節交代時に足を痛めていた様子が見えた清武は軽傷だった様でそのまま左SHで起用されたが、デサバトがリーグ戦で今季初のベンチスタート。そのためCHには奥埜が入りFWには高木が起用された。
試合後のロティーナのコメントによるとデサバトはコンディション面で問題があった様子。しかしチームに帯同しベンチ入りもしていることを考えると当日や直前の決断という感じでの急遽の対応だったのだろう。

■試合をコントロールしていた立ち上がり

この試合は立ち上がりの15分、いや失点をする20分まではほぼ狙い通りで試合を進めることができていた。

川崎の前線3人のプレッシングに対するビルドアップではIHを動かしてSBを引き出し、その背後を狙うという形を狙っていた。
左サイドのポジショニングで優位性をつくる
その中でもセレッソの左サイド、川崎の右サイドでは右IHに入る脇坂を動かし、右SBの山根に対して丸橋と内側に入った清武で2対1の状況を作るったところから攻撃を仕掛けるという形が効果的。山根にインターセプトされてしまったが、開始3分の時点で狙っている形の片鱗は見えている。
先制点のビルドアップ
そして7分の先制ゴール。
セレッソがバックパスでGKにボールを戻したことで川崎がプレッシングをかけてきたが、キム・ジンヒョンは落ち着いて丸橋へ。
丸橋は遅れて飛び込んできた山根と入れ替わる。そこにちょうど左右入れ替わっていた大島が出てくるが大島も最初背中に清武を置いていたため遅れて出てきたので入れ替わる。すると清武が内側からSBの裏へ出て行く動きにジェジエウが対応したことでCBの間が大きく広がっている状態に。そこに丸橋からのスルーパスを受けたブルーノ・メンデスが落ち着いて左足でゴールに流し込んだ。
前線からの守備
また川崎がボール保持している時は敵陣からアプローチをかけに行っていた。
ルールとしては2トップのどちらかはアンカーの田中を見ること。ただし川崎のビルドアップがサイドにボールが出て、ここに奥埜が出てくることができる状態になればアンカーを見ている選手もボールにアプローチをかけに行く。
この形で高い位置からボールを取り返すことができていた。
もちろん川崎にボールを運ばれたり、そもそも前線からアプローチに出ることができない場合もあるが、その時には4-4のブロックを作ってスペースを埋めることで攻撃をスローダウンさせる。
9分に家長のフリックから脇坂が抜け出しヨニッチを外してシュートを放つ場面はあったが(シュートは枠外)、ヨニッチが外された後すぐに瀬古がカバーに出てきていたことからもわかる様に対応はできていた。

ということで冒頭に書いたとおり狙い通りの試合ができていたセレッソ。
セレッソのボール保持では、川崎はセレッソのSBとSHの関係、特に内側に入ってくるSHにかなり手を焼いていた。
それは清武だけれはなく坂元に対しても同様で、13分には丸橋から坂元へパスが入り慌てて田中が寄せるもそれを外して坂元はシュートを放っている。

試合での現象とは異なる話しになるが、ここからの試合の推移を考える上で最初にセレッソのサッカーについて少し書いておきたい。
この試合の中継で実況を担当した西岡さんが「セレッソはロースコアの試合をしようとしている」といった旨のコメントを何度もされていたが、おそらくセレッソはチームとして特にロースコアの試合がしたいと考えているわけでは無い。
また柏戦やルヴァンカップ浦和戦ではリトリートして守備をすることが多かったが、リトリートして守ることもできるというだけで特にリトリートして守備をしたい訳でもない。そしてビルドアップの形を持っているが、何が何でも自陣からボールをつなぎたい訳でもなく、セカンドボールを拾う選手が準備できていればロングボールも使う(この試合でも実際に使っていた)。遅功が多いので「カウンターを捨てている」みたいな言い方をされることもあるが、柏戦の3点目の様にカウンターもする。
なのでセレッソのサッカーにおいて、ロースコアやリトリートや自陣からつなぐパスなどの現象はその試合の中で選択した結果というだけであり、チームのコンセプトを実現するための手段の1つに過ぎない。「堅守」と言われることも多いが、特に守りを固めてみたいなことがやりたい訳でもないのだ。
守備的とも見える様な現象や結果が目につくのは「リスク」に対してより慎重だからだろう。

■2つのミス

こうしてほぼ狙い通りの試合を進めていたセレッソだったが21分に同点に追いつかれる。
ペナルティエリア左角付近からのFKを脇坂が直接決めた。
FKをとられた松田のハンドだが、ハンドとなる部位、肩と腕のラインが明確に決められた現在の競技規則ではおそらくボールが当たったのは肩となりハンドでは無い可能性が高い。しかし主審の目には腕でプレーした様に見えたのだろう。
ただ、それ以上にキム・ジンヒョンがFKへの対応をミスしてしまった。直接狙ってくるという想定を全くしていなかったのだろう。ニアを抜かれるのはGKの責任である。

そして41分、大島からペナルティエリア内右の背後に抜け出した山根に浮き玉のパスが出ると、山根はワンタッチで家長に戻す。そのボールに対して丸橋が足を振ってしまいその足が家長に当たってPK。それを家長が決めて42分に川崎が逆転に成功する。
セレッソは2つのミスで前半のうちに逆転にまで持っていかれてしまった。
4-2-3-1の様な立ち位置を取る川崎
この2つの失点の間、おそらく飲水タイムあけの24分ごろから川崎は4-3-3から脇坂がトップ下の4-2-3-1に布陣を変えている。
それまでのも流れの中では何度かあったが、この頃からはセレッソのビルドアップに対してもれなく脇坂が小林と前線で並んで4-4-2の形でプレッシングを仕掛ける様になった。
川崎の前線からのプレッシング
これによりセレッソのSBとはSHで対応するというのがはっきりし高い位置で張る網のバランスが良くなった。またGKやCBから1つ飛ばして内側に入るSHへのパスもCHが2枚いることで1人は出ていってもOKという形になった。
そのためセレッソは長めのボールを使うことが増え、バランスは崩れていないがボールを失う回数は増えた。
大島がビルドアップに絡むことが増える
そして川崎はビルドアップでもセレッソの網に引っかかる回数も減った。セレッソは2トップの1人がアンカーの田中を捕まえるという役割になっていたが、そこに大島も加わるのでサイドに追い込まれずに中でボールの逃しどころができたからだった。

そしてボールを運び押し込んだ状態を作った時にCHがブロックの外で2枚いるのでちょうどPK獲得シーンの様な逆サイドの奥へのパスも増えた。
ただ、セレッソにとってはそれでも中で正しいポジションをとっていれば跳ね返すことができるという計算になっている。
なので実際にこのPKをとられたシーン以外はCBと逆サイドのSBは正しいポジションを取りしっかり対応できている。
しかしこの場面では足を出す必要のない場面で思わず足を振ってしまいPKを与えてしまった。

このPK場面以前にも、というか開始早々5分の旗手から大外の家長へのパスという場面から丸橋はプレーの判断が悪く何度か危なっかしい対応になることがあり「疲れているのかも」と思わせる場面はあったのだが、それがここで出てしまった。

しかしこのキム・ジンヒョンと丸橋の2つのミスは川崎のボール保持での圧力があったことで起こったという側面は間違いなくあるだろう。
ボール保持に対して圧力を感じていなければ焦ることもないので当然ミスも起こりにくい。ここでいうミスとは柏戦の失点につながった技術的なミスではなく判断のミスのことである。

こうして前半は2-1で終了する。

■試合を決めた3失点目

2-1と川崎がリードして終わった前半だったが、セレッソにとっては非常に難しい状態だったと思う。
やりたいことは出来ており、コンセプトに則ったプレーはできている。そうであれば少なくとも同点、もしくはリードして後半に入らなければならないのに状況はビハインド。このまま進めば勝ち点は0。変えるのか、変えないのか。変えるならどう変えるのかが非常に難しい。

そして後半開始から川崎は変えてきた。変えたというよりもハーフタイムを使って整理した。ボール非保持時の布陣は完全に4-4-2。SHの立ち位置とプレスバック。そして2CHと内側に入ってくるSHとの関係を整理したことで、セレッソは後半開始からビルドアップにかなり苦しむことになった。

そして53分、川崎が追加点を奪う。
大島からの浮き球のパスを小林がヘディングで家長に落とし、そこに登里が入ってくる。登里には瀬古が対応するもこぼれ球を小林が決めた。
この場面は改めて見ると川崎が左サイドにボールを展開したあたりからヨニッチと瀬古の間隔が少し広がってしまっている。
このあたりは多分デサバトと奥埜の違いで、おそらくデサバトであればもう少し低い位置にいるので、キム・ジンヒョンから「ヨニ、バック!」という声がかかりそれに合わせてデサバトも下がってスペースを埋めるだろう。実際にこういうシーンは結構多い。しかしこの場面ではそれができなかった。
ただ、この場面でもそれを見逃さない小林と大島は本当にスゴいとしか言いようがない。出し手も受け手も同じスペースを共有していたということである。なのであのタイミングであの浮き球パスが出せたのだ。
最後の小林はオフサイドポジションくさかったが、最後ボールがこぼれたのは瀬古からの可能性があるし、あの状態であればもしラストタッチが登里であっても最後にプレーしたのは瀬古だと判断されても仕方がない。
このシーンはセレッソの守備での対応を川崎に上回られた形で、この状況のこの時間帯にこうして得点を奪える川崎は流石である。

そしてセレッソにとっては、いくら守備でしっかりと対応したとしても全て防ぐことは難しいというのは当然ながら想定していたはずだ。
ただ、できるだけ「やられにくい」様にそれぞれの対応を徹底していた。
そんな中でやられてしまったのが2つのミスで逆転された後というのはいかにも厳しい。
この失点で試合の大勢は決まってしまった。

■失点を重ねる

57分〜
57分、セレッソは清武、高木、ブルーノ・メンデスに代えて、柿谷、西川、鈴木を投入。
この投入直後の58分には丸橋のFKから瀬古が決め3-2と1点差に迫る。

このゴールがあったのでセレッソとしてはまだ可能性を残したことから、先程の3失点目で試合の大勢が決まったというのは違うと見えるかもしれないが、実際にはこの3失点目でプランを変えざるを得なくなったからこその3枚替えだったので、セレッソがこの試合に勝利するためにやろうとしていたこと、やりたかったことは3失点目で終わってしまっていた。勝負を諦めないために手を打ったがプランは崩れた。
なのでこの3-2と1点差に迫ってからはネガティブトランジションの部分で後手を踏み、カウンター気味に一気に川崎にボールを運ばれる場面が増えることとなる。
3失点目するまではこの状況は作らせたくなかったし、そうさせない様に試合を運んでいた。しかし3失点後はそうなったとしてもOK。リスクをかけてでもそれ以上に攻撃で何とかしようというフェーズに変わっていたのだ。
61分〜
ただこの状況は川崎にとって非常にありがたい状況(なのでここまでセレッソはそうしない様に戦っていた)。
これを見逃さず鬼木監督は61分に脇坂に代えて三笘を投入。三笘は左SHに入り旗手が右に。家長がトップ下に移動する。

リスクをかけたセレッソは前に圧力をかけることで攻め込む場面はつくるが、スペースがあるので川崎がボールを運ぶことができればチャンスになりやすい。
そこで輝いたのが交代で入った三笘。75分にゴールを奪うとさらに77分には三笘の突破からレアンドロ・ダミアンが決めて5-2。
三笘が強烈なのは今シーズンのここまでだけでなく、オリンピック代表でも見た。こういった展開のこの時間帯ではあの切れ味はなかなか止められない。
84分〜
少し前後するが、75分に川崎は旗手と小林に代えて守田とレアンドロ・ダミアンを投入。セレッソは80分に坂元に代えて片山、84分に奥埜に代えて庄司を投入。
90+1分〜
さらに川崎は90+1分に登里と家長に代えて車屋と宮代を投入するとそのまま試合終了。

飛び出したチョン・ソンリョンの頭上を抜く片山のシュートはワンバウンドでクロスバーを越えたり、前回川崎と対戦した時には瀬古と鈴木が得点を決めていたので鈴木のゴールにも期待したがゴールならず。5-2で川崎に完敗を喫した。

■その他

思い通りの試合ができていた前半に2つのミスで逆転まで持っていかれたのがかなり痛かった。
この展開であればリードした状態、事故的な部分があったとしても最低でも同点で後半に入ることができないとなかなか厳しい。
しかしその反面、その状況を見逃さずに後半の頭に3点目を奪った川崎は見事だったとしか言いようがない。
そこから先は川崎の層の厚さだろう。

ただ、セレッソにとってはミスを繰り返さない様に徹底はしないといけないが、前半の展開は良かったのであまり考え過ぎずに「こういうこともある」と割り切って次に進んでいくのが良いのではないかと思う。



2 件のコメント :

  1. 分析ありがとうございます。
    非常にショッキングな試合でしたが、Akiさんの分析を読み整理することができました。
    3-2からの状況でもう少し選手主導でも修正できなかったのだろうかと悔やんでおります。
    いずれにせよ連戦、心身ともに疲労が蓄積しミスが増えることで試合前のプランを維持することが難しくなる試合が増えるかもしれません。
    選手層の底上げに期待したいです。

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。
    3-2の状況では何も修正することはなかったと思いますよ。
    三笘にやられるまでは押し込んでましたし。
    結果的に5点とられましたが、何かが起こってもし3-3で終わったとしても、何だったら逆転に成功していたとしても、この試合はあの状況に持っていかれた時点で結果とは別にセレッソにとってはダメな試合だったと思います。

    試合前のプランが維持することが難しくなる試合が増えてしまうとかなり厳しいですね。
    ここで書きたかったプランとは「この試合をこう戦う」というよりももっと「チームのコンセプト」に近いものなんですよね。「ボールを持ちたかったけど持てない」といったものとは違っているので。
    ただ、選手層は今季は特に重要ですね。。

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