2021年5月14日金曜日

明治安田生命J1リーグ 第14節 vs. ヴィッセル神戸 プレビュー

 2021年5月15日 16時00分:ノエビアスタジアム神戸 

予想スタメン

明治安田生命J1リーグ 第14節、セレッソ大阪は敵地ノエビアスタジアム神戸でヴィッセル神戸と対戦。ヴィッセル神戸の本拠地兵庫県も緊急事態宣言の延長となり、今節からは入場者数を制限する形で試合を開催。時間も当初は19時キックオフ予定となっていたが、16時に繰り上げられた。

■2021年のヴィッセル神戸

昨季途中にトルステン・フィンク氏が退任し、クラブのOBである三浦淳寛氏が監督に就任したヴィッセル神戸。(以前は三浦淳宏だったが引退後に登録名を改名したらしい)

初挑戦のACLでは三浦監督のもとでグループリーグを突破。決勝トーナメントでは上海上港と水原三星を下したが、準決勝で蔚山現代FCに延長戦の末敗れ、ベスト4で敗退した。とはいえクラブにとっては大きな一歩となるシーズンだったと言えるだろう。


今季を迎えるにあたって、クラブ史上初の2種登録選手でありエースナンバー13番を背負っていた小川慶治朗(横浜FCへ)、西大伍(浦和へ)、渡辺博文(山口へ)らが移籍。またダンクレーは契約満了で退団(のちにセレッソ大阪に加入)となった。

一方で、井上潮音(東京Vから)、櫻内渚(磐田から)を獲得。また期限付き移籍でチームを離れていた増山朝陽(福岡から)、小林友希(横浜FCから)を戻し、ケニア代表のアユブ・マシカ(レディング)、U-20ブラジル代表のリンコン(フラメンゴ)の外国籍選手も獲得した。

そして今季の成績は6勝5分2敗の5位。清水、湘南、鹿島相手に3試合連続引き分けと勝てていない試合も多いので良いとも言えないが、まずまずの成績。ガンバが苦しみ、セレッソが勝ち点を伸ばしきれない中で、関西のチームとしては最上位につけている。引き分けだったが、川崎Fの勝ち点を今季最初に削ったのも神戸だった。


セレッソは昨季フィンク監督時に2度(セレッソの1勝1分)戦っているので、今回が三浦監督のチームとは初対戦。ということで現在のチームを少し掘り下げてみよう。


フィンク監督時代の神戸はいい意味でJリーグのチームらしくない、ヨーロッパの雰囲気を感じさせるチームだった。

特に昨季の最初の対戦、ヤンマースタジアム長居での試合は最終スコアは0-0だったが、最後までオープンにせずに緻密に駆け引きを繰り広げるという緊張感あふれる90分だった。

しかし今のチームは当時とはかなり違う。残っている選手は多いので共通点が無いことも無いが、チームとしての部分は大きく変わっているのでもはや別のチームといっても良いだろう。

監督が変わればチームが大きく変わることは我々もよく知っている。


布陣は4-4-2。

GKはACLで活躍した前川黛也が完全にポジションを掴んだ。

DFラインは右から山川哲史、菊池流帆、トーマス・フェルマーレン(小林友希)、酒井高徳。

フェルマーレンは一時負傷で離脱し、その間は小林がプレーしていたが5月に入って復帰。左CBには左利きの選手を必ず起用している。

CHは山口蛍とセルジ・サンペール。郷家友太や安井拓也がプレーすることもあるが、この2人がほぼ固定されている。

SHは開幕当初右に古橋亨梧、左に井上潮音という形が多かったが、ここにきて中坂勇哉が出場機会を掴んでおり、増山朝陽は途中出場でプレータイムを伸ばしている。

FWは開幕当初はドウグラスを軸に、郷家や藤本憲明がプレーしていたが、ドウグラスが負傷で離脱以降は古橋がFWにまわり、郷家や佐々木大樹とプレーするようになっている。


そしてつい先日契約延長を発表したイニエスタは、昨季のACLでの負傷により長期離脱していたがようやく復帰。途中出場で徐々に出場時間を伸ばしはじめている。また、アユブ・マシカ、リンコンの新外国籍選手もようやくチームに合流し、こちらも途中出場でプレータイムを重ねはじめた。


実際の戦い方だが、ボール支配率がリーグで6番目に高い53.5%、パス数もリーグ5位の555.7本/試合からもわかるように、ボールを持ってサッカーをしたいと考えている。

がしかし、ビルドアップに関してはフィンク時代の様な立ち位置やポジショニングにこだわったものではなく、「チームとして」というよりもかなり「選手に依存」している。


GKの前川黛也は広島でプレーした実父前川和也とは異なり正確なキックを持っている現代的なGK。特にキム・ジンヒョンもよくやる1列前に出たSBに浮き球で正確なパスを出せる技術がある。そしてビルドアップに加わることに抵抗も無い。

しかしこうしてボールを運びたいんだなと感じさせるルートは見えず、個人のアイデア勝負といった感じ。

一応2CBにCHから山口、もしくは右SBの山川が加わる形でビルドアップを行おうとするが、清水戦ではそこを狙われ何度もボールを奪われ大量失点していてもおかしくなかったし、前節も横浜FMの速いプレッシングの前にかなり苦しんでいた。


そして山口が下がることが多いため、CHは縦関係になることが多い。

その分CHのサポートをさせたいのか片方のSHは内側に入ってくることが多い。しかしこの内側に入ってくるSHはエースポジションだったロティーナの時のセレッソの左SHの様にアタッキングサードでのキーマンというよりもCHとしてビルドアップの出口になろうとすることが多い。なのでSHに井上潮音が起用されているのだろう。

しかし、このSHがCH化する動きは効果的とは言えず中央に密集することで渋滞が起こることも多く、ブロックを作る相手には攻めあぐねることも多い。

もしかするとイニエスタの完全復帰で解決できるという考えなのかもしれないが。


中央で攻めあぐねると、次に狙うルートはサイドからということになるが、ここも比較的シンプルで、SHにボールが収まった時にSBがオーバーラップしてという形がほとんど。広げて、間を突いてなどといった形はほとんど見られず。また現状ではSHに特段突破力のある選手もいないというのが現状。このあたりは西がいなくなったことも大きいのだろう。山川は元々がCBで高さも対人の強さもあるという選手なので、西とはかなりタイプが異なる。


こう書くと攻撃面は今ひとつ決め手に欠きそうだが、そんな中でも神戸の最大の脅威は古橋の存在だろう。特にシーズン序盤のSHからFWにポジションを移して以降は裏抜けに専念出来るようになったからか、背後への飛び出してかなりチャンスを作っている。

前節のサンペールから古橋へのスルーパスは得点につながっていてもおかしくなかったし、途中出場のイニエスタからのスルーパスは最高に美しかった。


ただ、やはり全体的にみれば組織としてのアンバランス感がある。

それがボール支配率6位ながら、攻撃回数4位(トランジションが多い=ボールを失う回数も多い)にもかかわらず、30m侵入回数14位というアンバランスなスタッツになっているのだろう。

※ボール支配率が高く1回の攻撃に時間と手数をかけるチームは30mライン侵入回数が少なくなるものだが(1回の攻撃にかかる時間が長いと30mラインに侵入してからの時間も長くなるので、回数自体は減ることが多い)、神戸の場合は攻撃回数も多い。ということは単純に1回の攻撃あたりの30mライン侵入回数が少ないということ。なのでボールを保持しているが、上手くボールを運ぶことができていないことも多いということになる。


そしてボール非保持はプレッシング傾向が強い。

2トップが2CBにプレスをかけに行き、CHはCHを捕まえ、SBも平気で前に捕まえに来る。人を基準に前に前にの意識が非常に高い。古橋を中心に前線は献身的にプレーできるし、中盤には山口がいる。そのあたりの特性を活かしたといったところだろう。

しかし、そうなると組織としてのバランスが崩れてしまうことも起こり得る。その結果、逆サイドに広大なスペースを与えてしまいサイドチェンジ一発で崩されることもある。


最後にイニエスタ、そして新外国籍選手のマシカ、リンコンだが、イニエスタは前々節に復帰し15分、30分とプレー時間を伸ばしていっているというところ。ただそれでもピッチに立てばめちゃくちゃ上手い。

マシカはスピードと突破力はスゴそう。ただし第11節で一度先発しているものの45分で交代となり、以降は途中出場が続いているようにチームにはまだフィットしているとはいえない状況。なので途中出場という起用方法がもう少し続きそう。

リンコンは、ボールに触りたい選手なんだなということはわかったが、まだ良くわからない。

20歳で初の海外でのプレー。そして昨年は問題行動も指摘され、フラメンゴでもあまりプレーできていなかったのでこちらももう少し時間がかかるかといったところか。


■予想スタメン

ヴィッセル神戸の予想スタメンだが、ドウグラスが離脱中、イニエスタもまだ90分プレーできる状態ではないだろうし、リンコンもマシカもまだとなると前節までのメンバーがベースとなるだろう。

ただし前節は0-2で敗戦しているので入れ替えるとすれば前線。2トップの一角に郷家を入れる形となるか。

このメンバーで前半からハイプレスをしかけ、途中からイニエスタを始めとする外国籍選手を投入するという流れになるのではないだろうか。


一方のセレッソ大阪の予想スタメンだが、こちらは大久保嘉人に加え、中島元彦、山田寛人も怪我で離脱。何か変化に手をつけてもおかしくないタイミングではあるが、そのための選択肢はそれほど多くない。

なので予想スタメンとしては前節の中島負傷交代後のメンバーとした。

あとは加藤睦次樹を前線に入れるという手もあるが、できれば清武を中央で使いたいと考えているのではないかと思う。


■ギャップを使って時間とスペースを届けろ

前節の試合後のコメントで左SHに入った高木俊幸は「自分たちの長所であるサイドの仕掛け、自分やタツ(坂元 達裕)のところで差を作れなかった」と振り返り、レビューでも2列目の3人が完全に捕まる形となったと振り返った。

これは彼らが悪いというよりも、彼らにボールを届ける時に時間とスペースを届けることができなかったから。つまりビルドアップの問題である。

ただこのビルドアップの問題はこのチームが抱える恒久的な問題。そもそも仕込まれていないのだからおそらく簡単に改善されることは無いだろう。

しかし神戸は人に食いついてくる。人に食いついてくるということはスペースやギャップが生まれやすいということなのでそれを逆に使いたい。

特に狙いめなのは逆サイドへのサイドチェンジと食いついてきたSBの背後。そしてSBの背後を取られるとCBがかなり出てくるので、大外へのクロスという形も狙い目だろう。

相手のプレッシングをいなすことができれば自然とスペースと時間が生まれるはず。そのためにも両SHの大外でのプレーがポイントとなる。

また最終ラインも高めなのでその背後も狙っていきたい。


一方ボール非保持については、プレッシングをしかけるという方法もあるが、セレッソの戦い方を考えると、ミドルゾーンでブロックを組むほうがよさそうだ。

中央を封鎖することで神戸のビルドアップを手詰まりにし、なんどもやり直しをさせたい。

そしてサイドに出たところではめに行く。シンプルなクロスであれば神戸の前線には高さが無いのでチアゴとダンクレーのコンビで問題なく対応できるはずだ。

ただし注意したいのはラインブレイカー古橋亨梧。直接マッチアップする機会が多いだろうダンクレーは昨季までのチームメイトなので彼をよくしっているはず。

そのダンクレーを中心に慎重に対応したい。


ちなみに高木俊幸はヴィッセル神戸からこれまで4得点を記録。

これは現在ヴィッセル神戸に所属し今季プレーした選手全員の対セレッソ大阪戦での通算ゴール数と同じ。(田中順也2得点、古橋亨梧1得点、櫻内渚1得点)

そして瀬古歩夢は自身がプレーしたヴィッセル神戸戦で一度も負けたことがなく、一方で前川黛也は自身がプレーしたセレッソ大阪戦で勝ったことが無い


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