2021年5月29日土曜日

明治安田生命J1リーグ 第17節 vs. ベガルタ仙台 プレビュー

2021年5月30日 15時00分: ユアテックスタジアム仙台

予想スタメン

今節を最後に中断期間に入る明治安田生命J1リーグ 第17節。セレッソ大阪は敵地ユアテックスタジアム仙台でベガルタ仙台と対戦する。


■2021年のベガルタ仙台

昨季は木山隆之氏を監督に招聘するもホームで1勝もできず17位。降格チームなしという特別ルールに救われJ1残留となったが、経営問題が表面化するだけでなく所属選手の不祥事も起こるというかなり悩ましいシーズンだった。

迎えた今季は2013年まで仙台を率いていた手倉森誠氏を再招聘。もちろんそれぞれ事情は異なるが、セレッソとともに8シーズン前の監督を再び就任させるという決断を下した。


開幕前の移籍市場では経営問題を抱えているため選手を大幅に入れ替え。

チームを離れたのはジャーメイン良(横浜FC)、浜崎拓磨(松本)、長沢駿(大分)、飯尾竜太朗(秋田)、パラ(ボタフォゴ)、兵藤慎剛(未定)ら11人。さらに期限付き移籍でプレーしていたアレクサンドレ・ゲデス(ヴィトーリア)、柳貴博(FC東京)、山田寛人(C大阪)は各チームに復帰したことで14人もの選手がチームを離れた。


そして獲得したのは10人。外国籍選手はフェリペ・カルドーゾ、フォギーニョ、エマヌエル・オッティ、ストイシッチという4人に加え、浦和からマルティノスを獲得。また長身FW枠として横浜FCから皆川佑介、名古屋からは風間監督時代に重用された秋山陽介とJ1で実績のある選手と、昨季は長崎で手倉森監督の下でプレーした氣田亮真、FC岐阜から長倉颯、そして期限付きで磐田から上原力也が加入した。

また大卒選手も流経大からアピアタウィア久と加藤千尋、阪南大から真瀬拓海、仙台大学から井岡海都を獲得。その中でもアピアタウィア久と真瀬拓海は昨季も特別指定選手としてかなりの試合数に出場しているのでもはや新人というよりも即戦力という感じである。


このメンバーで開幕を迎えた今季は、開幕から10試合勝利なし。第2節から5連敗とかなり苦しいスタートとなった。

特に3月の代表ウィークに入るまでは、メンバーも守り方も定まらず、ボールを奪いに行っても奪うことができず、ブロックを下げたとしても守りきれないというかなり厳しい状態。5試合で16失点というとんでもない状態で、勝敗以前に勝負に持ち込めていないという苦しい状態だった。

それが代表ウィークあけからメンバーも定まり始め徐々に試合が安定する。ここからも5試合は2分3敗と勝利はなかったが少しづつ可能性を感じる戦いになっていき、5月1日の第12節柏戦でようやく今季初勝利。さらにこの試合は一昨年の11月30日の大分戦以来となる1年5ヶ月ぶりのホームでの勝利だった。

この後は5月12日に行われた前倒しの第20節川崎F戦で2-2の引き分けに持ち込むことに成功。

これで大きな自信を得たのか、大分、名古屋とのリーグ戦直近2試合に連勝中。さらに大分戦の前にあったミッドウィークのルヴァンカップ広島戦でも3-0で快勝しており、現在公式戦3連勝中となっている。


結果が出るようになってきた要因の1つは、引いて守れる様になったことだろう。

4-4のブロックで中央を閉める形で相手の攻撃を跳ね返すことができるようになったので、これを戦い方のベースにすることができた。

4-4のブロックは外を捨てて完全に中を固める。サイドからの侵入はある程度許容する、サイドの深い場所まで入ってこられるとSBが出て対応しブロック全体がスライドするという形である。

2CBが人を見るのか場所を見るのかが曖昧になることがあるので、必要以上に動いたり、動かなかったりして時折SBーCB間やCB間が空いてしまったり、クロスに対してニアを全くケアできていない状態になったりすることもあるが、マルティノスも含めSHも献身的に守備をするし、CHのカバーの意識も高いので、このやり方で守備が安定した。


一方のボール保持についてはロングボールが中心。皆川やフェリペ・カルドーソというターゲットに当ててそのセカンドボールをSHがサポートに入るという形がメインである。

ただ、引いて守るということは、当然ながらボールを奪い返す位置も低くなる。例えば昨季までのセレッソもコンセプトとしては同じ様に引いて守るという手段を取っていたが、昨季までのセレッソにはそれを可能にするだけのポジショナルプレーの考え方をベースにしたボール保持があった。しかし現在の仙台にはそれはない。なので結構ボール保持に関しては苦しい部分もある。

ゴールキックの時にSHを内側に入れてセカンドボール回収隊にしたりと工夫している様子は伺えるが、90分の中で複数得点を奪ってという計算はなかなか難しいのではないだろうか。

川崎F戦では得点を奪い合って2-2の同点に追いつくという試合展開だったが、川崎Fの試合運びのあやというかそういう部分に救われたともいえる。


ただ、上手く前線に収まればアタッカーには面白い選手はいる。つかみどこころの無いマルティノスはもちろんだが、氣田のドリブルは変幻自在だし、加藤千尋は豊富な運動量がありながらも両足で蹴れるし何より得点力がある。この2人はいろいろな意味で今季の結果次第では来年は別のチームにいるかもしれないと思わせるプレーヤーである。


■予想スタメン

ベガルタ仙台の予想スタメンだが、前節から中3日という連戦で最終ラインにどの選手を起用するかが難しいところ。というのも前々節の大分戦では試合終盤に平岡康裕が負傷し、前節名古屋戦でも試合終盤に吉野恭平が脳震盪の疑いで交代した。この2人はどちらも安定してきた守備陣の中心選手としてプレーしていただけに出場できないとなると厳しい。

この2人が出場できないとなると、CBは前節の吉野交代後にプレーしたアピアタウィア久と久々の先発出場となるシマオ・マテのコンビになるだろう。

前線に関しては皆川が前節先発しているので、ここを継続するかどうかというところ。代えるとすれば前々節の西村拓真、赤崎秀平の2トップもあるが、この2人は機動力はあるものの起点という部分では不安があるので、古巣対戦となる関口訓充をトップ下に入れ、関口の運動量と推進力で前線をカバーするという可能性もある。


一方、セレッソ大阪の予想スタメンだが、連敗中、5試合勝利無しという厳しい状況ながらも守備面では試合終盤の失点問題を抱えているものの大きく崩される場面は無い。

また前節に途中出場した新井直人のミスパスから失点したことを考えると、最終ラインは前節同様のメンバーとなるだろう。

テコ入れしたいのは前線。清武弘嗣、坂元達裕の両SHは固定としても、原川の戻ってきたCHとFWをどうするか。前節は奥埜博亮をFWで起用したがおそらくクルピ監督は前節の前半を不満に感じていると思うので、CHに奥埜と原川、FWに大久保嘉人とアダム・タガートという形でスタートするのではないだろうか。


■サイドチェンジから勝負

試合展開としてはセレッソがボールを保持する展開になる可能性が高い。

仙台の戦い方、セレッソの課題を考えると仙台にボールをもたせるというのも手段の1つだとは思うが、「らしくない」のでそうはしないだろう。

となると効果的に使いたいのはサイドチェンジ。

ボール保持は清武、原川がいる左サイドを起点にする形になるだろう。となるとここを真瀬、マルティノス、フォギーニョが窒息させにくる。

そこで逆サイドに持っていくことができるかどうか。サイドチェンジできれば坂元、松田でサイドを崩しシマオ・マテを動かして2トップがフィニッシュまで持ち込む場面、後ろから奥埜が飛び込む場面も生まれるだろう。


一方で注意したいのはカウンター。

瀬古とダンクレーのCBは1対1ではそう簡単にやられないが、後ろから人が出てくる展開になると流石に厳しい。そのためCHやSBのボール保持時のポジショニングには十分注意したい。


ちなみに、かつては難しい戦いが多く、なかなか勝てなかったベガルタ仙台だが、2018年以降は公式戦7試合連続負けなしで3連勝中。この間も無得点は1試合のみで以外はすべて複数得点の14得点と相性が良い。

なので奥埜博亮は出場した古巣仙台戦で4勝1分と無敗。ただ、まだゴールは無いのでそろそろゴールが欲しい。




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