2021年5月2日 15時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
明治安田生命J1リーグ 第12節は今季の大阪ダービー第1ラウンド。セレッソ大阪の本拠地ヤンマースタジアム長居でのガンバ大阪との一戦は、大阪府下は4月25日に3回目の緊急事態宣言が発出されたため無観客試合として開催される。
■2021年のガンバ大阪
昨季は序盤苦しんだものの、中盤以降に盛り返し6連勝を含む12戦負けなしを記録するなど大躍進をみせ最終的には2位でフィニッシュ。これは長谷川健太体制2シーズン目の2014年にJ1昇格後即優勝して以来の好成績で、もちろん宮本恒靖監督にとっては自身最高位。中位が続いていたチームにとっても2016年以来のACL出場権を獲得した。
ただ、この結果は素晴らしいものだったが、内容的には宮本監督自身もあまり満足できていなかったのではないだろうか。
これまで宮本監督は、敵陣でボールを保持することををベースに対戦相手によって戦い方を調整するという形が多く、昨季スタート時点ではその1つが前線からのプレッシングを強化することだった。しかしこれが上手くいかなかったことで、最終的には相手にボールを渡してしまい個人能力の高い選手でブロックを作って守り、個のパワーでどこかで1点を奪って逃げ切るというスタイルになったからである。
2位という結果を残したことから考えてもこのスタイルは成功していたとも言えるが、46得点42失点で2位のチームとしては歴代最少だった得失点差4という数字からもわかるように、例えばもう一度このスタイルでシーズンを戦った時におなじだけの成績を残すことができるかといえば難しい。
そこで今季はボールを保持に焦点をあてて戦おうということになったと考えられる。
それを受けて獲得したのが、FCソウルからチュ・セジョン、昨季は広島でプレーしていたレアンドロ・ペレイラ、鳥栖からチアゴ・アウベス、フルミネンセからウェリントン・シウバの外国籍選手4名。さらに横浜FCから一美和成が復帰させ前線を大幅補強に成功。
渡邉千真はチームを去ったが、その他移籍したのはU23がなくなったことによる若手選手がほとんど。主力選手はほぼ全員が残留した。
4名獲得した外国籍選手の1人チュ・セジョンはかねてからガンバがオファーを出し続けていたボランチの位置から長短のパスを繰り出す「ゲームメイカー」的な選手。プレースタイルからしても遠藤保仁の後継者となり得る存在なのでガンバが欲しがっていたのがよく分かる。
昨季終盤に好プレーをみせていた山本悠樹とともに遠藤保仁の後継者としてボール保持の核として考えての補強だろう。
こうして迎えた今シーズンだったが、いきなりアクシデントが襲う。
アウェイでの開幕戦神戸に敗れた後、クラブ内に新型コロナウィルスのクラスターが発生。
4月3日の第7節までの6試合(前倒し開催分の第11節を含む)が延期となり1ヶ月以上試合ができない状態となってしまった。
そして復帰してからも結果は出ず。
ここまで7試合を戦って1勝3分3敗という成績はもちろん、なんと得点が鳥栖戦で宇佐美貴史が記録した1点のみ。失点を4のみに抑えることには成功しているので1勝3分という成績は残っているが、得点が1点のみというのはいかにも厳しい。
そうなってしまったのは、もちろん新型コロナウィルスクラスター発生の影響が大きいだろう。試合はおろかトレーニングもできない期間が長くあったからだ。
とはいえ、試合に復帰して既に約1ヶ月・6試合が経過。その期間にあまり上積みが見られていないという側面もある。
試合内容を見ると、今季取り組んでいるボール保持に関しては、ボール支配率が昨季の48.1%から52.9%と大きく上昇、それに伴い1試合平均パス数503.4本から544.0本と増えているので、一定の成果が出ているように見えなくも無い。
しかし実際には、ボールを持つ時間、パス数は増えているもののボールを前線に運ぶことができておらず、ただただ後ろでボールを動かすだけ。なのでじれた宇佐美が下がってくる。その結果前線でパトリックやレアンドロ・ペレイラが孤立し、局面打開のために長いボールを蹴ってもセカンドボールの競り合いで後手に回るという悪循環が続いている。
7試合で1得点という1試合平均の得点数0.14点はダントツでリーグワースト(ワースト2位の横浜FCが11試合7得点で1試合平均0.64点)だが、そもそもシュート数も1試合平均9.3本でリーグ17位。枠内シュート数に至っては1試合平均わずか1.7本でこれもリーグワースト。
そもそもいい形でシュートまで持っていくことができていないのが現状である。
ガンバのサッカーはチュ・セジョンや山本悠樹らの遠藤保仁の後継者、つまり「ゲームメイカー」を必要としているように、11人全員の意思を揃えてプレーするというよりも、個々のプレーをどう組み合わせるかをピッチ内にいる「ゲームメイカー」が調整するという傾向が強いが、試合を重ねていくことで彼らの調整力がアップしていくことに期待しているというところだろうか。
現状最も相手ゴールに迫ることができているのは前線でボールを奪い返すことができた場合。なのでもしこのまま上手くいかなければ、昨季の様に運べないなら相手にボールを渡してしまおうという決断を下すことになるのかも知れない。
■予想スタメン
セレッソ大阪にとってはこの試合は2週間ぶりの試合となる。
予想スタメンはこの期間に離脱している選手がどれだけ戻ってくることができるか、そしてようやく合流した今季の新加入外国籍選手がどれだけコンディションをあげることができているかというところで前節から変化することになるだろう。
戻ってくる、加わってくる可能性があるのは、坂元達裕、タガート、チアゴの3人。
西川潤、豊川雄太、進藤亮佑に代わって彼ら3人が入ってくる可能性がある。
一方のガンバ大阪は4月22日以来、中9日での試合となる。
こちらも注目は先週にチームに合流したウェリントン・シウバの状態か。前節は名古屋に完敗を喫し、この試合で浮上のきっかけを掴みたい。さらに大阪ダービー。いきなりのメンバー入りも十分考えられる。
それに伴い前節は小野瀬康介を先発起用した右SBもどうなるかというところ。
前節は体調不良だったらしい高尾瑠も戻ってくる可能性もあるし、前節終盤の福田湧矢を右SBで起用して黒川圭介を左SBで起用するという形もある。
福田湧矢にとってはクルピ監督は自身を抜擢してくれた恩師でもあるので、どこのポジションであれこの試合にかける意気込みは強いだろう。
■ボランチ勝負
直近2年間の大阪ダービーは2勝1分1敗とセレッソがリード。
ポジショナルプレーの考え方をベースに11人の意思を揃えてサッカーを行うセレッソと、個々のプレーを組み合わせ選手間で調整しようとするガンバ、言い換えれば盤面でサッカーをするセレッソと局面でサッカーをするガンバという構図となり、セレッソはぶつかる部分をずらすことで優位にたっていた。
しかしセレッソが今季から局面のサッカーに戻したことで、正面衝突のガチンコ勝負。昨季までとはまた違った様相になるだろう。
試合をわけるポイントは両チームのCH。セレッソの藤田直之(原川力)と奥埜博亮、ガンバのチュ・セジョン(山本悠樹)と井手口陽介。どちらの2CHがどれだけチームを整えられるかで、どちらが主導権を握るかになってくるのではないだろうか。
セレッソには大久保、清武、豊川、タガート、坂元。ガンバには宇佐美、パトリック、レアンドロ・ペレイラ、チアゴ・アウベス、ウェリントン・シウバ。両チームに注目すべきアタッカーがいるが、彼らを活かすのはお互いの2CH。速く攻める場面、急ぎすぎない場面を使い分け、押し込まれすぎない、前がかりになりすぎない。そのバランスを整えることができた方が一気に勝利に近づくだろう。
セレッソは大久保が、ガンバは宇佐美があまり下がってこなくても良いようにプレーできるかどうかになる。
なので逆に言えば、ボール非保持では相手のCHにどれだけプレッシャーをかけられるか。
ここにプレッシャーがかかれば、大久保や宇佐美は下がってボールを受けに来るようになる。これが1つの目安になるだろう。
東口順昭、三浦弦太、昌子源の最後の3人はそのまま日本代表の試合で並んでいてもおかしくないほどのクオリティを持った選手だが、CHのところでペースを握ることができれば、サイドで優位性が作れるはず。そうなればゴールを陥れる可能性はぐんとあがる。
ちなみに対ガンバ大阪の歴代通算得点ランキング(ガンバ大阪から得点を奪った選手のランキング)は
1位:武田修宏19点、2位:三浦知良16点、3位:大久保嘉人15点。
そして大久保嘉人が最もゴールを奪っている相手はガンバ大阪である。
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