2021年5月26日 19時00分:県立カシマサッカースタジアム
予想スタメン |
セレッソ大阪は前節から中2日で迎える明治安田生命J1リーグ 第16節。敵地県立カシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズと対戦する。
■2021年の鹿島アントラーズ
ザーゴ監督の2シーズン目として迎えた今季の鹿島アントラーズ。
昨季の大型補強の影響もあり新人選手以外の補強はディエゴ・ピトゥカとアルトゥール・カイキの新外国籍選手のみという状態で、しかも2人ともが新型コロナウィルス感染症の感染拡大により入国できないというスタートとなった。
そんな今季の鹿島は開幕戦で清水に敗れると第9節までで2勝2分4敗と低迷。
ザーゴ体制2季目ということで躍進が期待されたが、第9節終了後の4月14日に解任が発表された。
セレッソの昨季の対戦成績は1分1敗。勝てなかった訳だが、ザーゴの目指している方向は結局よくわからなかった。
そもそも就任のきっかけとしては、Jリーグでもポジショナルサッカーの考え方を導入するクラブが増えたことで、がマンツーマン気味ともいえる人への意識の強い鹿島の伝統の戦い方にクラブとして限界を感じていたから。
ボール保持ではポジショナルプレーの考え方を導入し、ボール非保持では高い位置からプレッシングをしかけるいわゆるストーミングをしかけるチームを作るという触れ込みだったが、開幕から連敗が続き、ACLでもプレーオフで敗退。そうした結果を経たことで従来の鹿島のスタイルとの融合を図ったのかもしれないが、結局は何をやろうとしているのかがハッキリせず、最終的には個の力に頼る部分だけが目立つチームになっていた。
後任の監督に就任したのはOBでもある相馬直樹氏。
相馬監督就任以降の公式戦10試合は6勝4分の負けなしと一気にチーム状況が上向きになった。
相馬監督就任後の鹿島で大きく変わったのは人への意識が強くなったことだろう。そう、以前の鹿島のやり方に戻った。いや、もしかすると以前以上かも知れない。
ボール非保持では徹底的に前線からのプレッシング。4バックに対しては前線2人とSH2人の4人でアプローチに行く。とにかく相手のビルドアップに対して数的同数を作って呼吸をさせず、苦し紛れのボールはCHで回収。ロングボールに対しては最終ラインで跳ね返すという形になっている。
このやり方で印象的だったのが5月12日に行われた第21節前倒し分の名古屋戦。
水曜日に行われたこの試合は、名古屋にとっては土曜に行われたセレッソ戦から中3日で迎えた試合。つまり川崎Fとの2連戦に連敗した後、セレッソに1-0で勝利した次の試合で、鹿島にとっては日曜日のFC東京戦から中2日での試合。
この試合で鹿島は、今やチームの中心ともいえる存在になった荒木遼太郎を休ませ、ザーゴ体制では右SBで起用されていた、そして鹿島加入前の柏や新潟ではボールハンターとしてCHとしてもプレーしていた小泉慶をトップ下で起用。
1トップに入った土居聖真と共にスイッチとして前線からCBに対して徹底的にプレッシングに走らせたのである。
それにより名古屋はほとんどボールを運ぶことができず。苦し紛れの縦パスはCHの永木亮太やSBで回収。山﨑凌吾へのロングボールは犬飼智也と町田浩樹の2CBが跳ね返す。ということで名古屋は頼みのSHにオープンな形でボールを届けることが全くできず、ボール保持もままならない。名古屋は全く何もできずシュートを0本に押さえたと話題になった。
しかし、先に書いた様にそもそも鹿島が従来のスタイルからの脱却を目指しザーゴを招聘した理由は、人への意識を強めた守備では対応できない試合が増えてきたからである。
それが現れたのが前節の鳥栖戦。
プレッシングで人を捕まえに行く鹿島に対して鳥栖は可変でビルドアップを行うことで鹿島のプレッシングを無効化。特に困ったのは鳥栖が主に形を変える左サイドを対応しないといけない右SHの松村優太で、当初は仙頭啓矢を捕まえようとしていたようだが、先頭は中央に入りさらには最終ラインにまで落ちてしまうため対応できず。そんな中で中野伸哉は左サイドで高い位置を取り、中野嘉大は左サイドから中に入っていく。その結果誰を捕まえて良いのかわからず迷子になってしまっていた。
人を捕まえる守備を行う上で、迷子になる、誰を捕まえて良いのかわからない、誰も捕まえることができていない状況というのはチームにとって致命的。松村が捕まえるべきだった誰かがどこかでフリーになっているということであるからである。
この試合はスコア上は鹿島が前半に先制し、鳥栖が後半一気に逆転したとなっているが、実際の試合は鹿島のプレッシングが最初から最後まで機能せず、終始鳥栖ペースで進んだ試合だった。
■予想スタメン
鹿島アントラーズの予想スタメンだが、鹿島は前節を土曜日に戦っているのでこの試合は中3日。セレッソに比べると1日のアドバンテージがある。しかし次節の相手が川崎F。となるとどうしてもそちらの照準をあわせざるを得ないため、ルヴァンカップを戦っているメンバーなどを中心としたミッドウィークに試合に出ている選手が中心になるか。
となると名古屋戦で使った小泉、展開力のある新外国籍選手ディエゴ・ピトゥカの先発起用もありそうだ。
1トップに関してはエヴェラウドと上田綺世が負傷離脱後継続してトップに入っている土居聖真と予想したが、怪我から復帰後は途中出場が続いていている上田が入ってくる可能性もある。
一方のセレッソ大阪の予想スタメンだが、こちらは前節が日曜日だったので中2日となるが、クルピ監督にとってはあまり関係ない。ただ、ここのところ続いている不甲斐ない戦いを受け前節試合終了後の会見でメンバーの入れ替えを示唆。オーストラリア代表にも選出されたアダム・タガートが負傷離脱から復帰しているようなのでこの試合での先発起用の可能性もありそうだ。そして前節途中出場で復帰した原川力も先発復帰が濃厚だと考える。
また前節前半終了間際に負傷しそのままハーフタイムで負傷交代したチアゴの状態は不透明。
痛めていたのが腰だったので、今節は瀬古とダンクレーというCBコンビになるのではないだろうか。またベンチには負傷離脱していた大久保嘉人が復帰するのではないかとの情報もある。
■対プレッシング
鹿島の強烈なプレッシングに対抗できるかどうかが最大のポイントなるだろう。
プレッシングを回避する方法としては、鳥栖がみせた様なポジションチェンジと立ち位置で守備の基準点を動かしてしまうやり方があるが、今季のセレッソにはこの形があるわけではない。
なのでGKの一山越えるパスを交えながらCHと清武でプレスの逆を取る形を作れるかどうかというところだろう。
ただ、もしこれができなかったとしても、鹿島にボールを渡しブロックを作ってカウンターを狙うという形をとってもいいかも知れない。
ここ4試合失点が続いているが複数失点を喫したのは前節の広島戦のみ。しかもいずれの試合にしても失点したのは守備を崩されてというよりも試合運びのまずさや、試合の流れの中でスキを突かれたものなので、ブロックの堅さは維持できている。
理想通りの展開にならないなら、割り切ってこういった戦い方を選択するのも一つの手だろう。
近年の対戦成績では圧倒的に負け越している鹿島だが、苦しい戦いになっているのは先制点を奪われているから。
昨季の最終節はACL出場権のために引き分け以上の結果が必要な試合だったが、先制したことで終盤に追いつかれたものの最低限の結果は残すことができた。
勝ち点を持って変えるには先制点が必須である。
クルピ監督はセレッソ大阪の監督としてはホームゲームこそ1勝3敗と負け越しているが、鹿島でのアウェイゲームでは通算2勝2敗と五分の成績。アウェイゲームのほうが勝率が良い。
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