2021年8月21日 19時00分:ヨドコウ桜スタジアム
予想スタメン |
ミッドウィークの天皇杯から中2日で迎える明治安田生命J1リーグ第25節、セレッソ大阪は本拠地ヨドコウ桜スタジアムで最下位と苦しむ横浜FCと対戦する。
■前回の対戦
前回の対戦は3月13日に行われた第4節。敵地ニッパツ三ツ沢球技場で行われ1-4でセレッソ大阪の勝利に終わっている。
横浜FCはこの時とは監督も違えばシステムも違う。さらに夏の移籍期間で選手の入れ替わりもあったので、今回は簡単にまとめておこう。
前回対戦時のスターティングメンバー |
両チームのスターティングメンバーは上記。タイトなスケジュールということもあり横浜FCはメンバーを入れ替えながら戦っているが、この試合ではクレーベが先発で渡邉千真と伊藤翔はベンチスタート。GKには南、CBには伊野波雅彦と袴田裕太郎。布陣は4-2-3-1だった。ちなみにこのスターティングメンバーで先週おこなわれた前節仙台戦でも先発していたのは5人である。
セレッソ大阪は大久保嘉人の開幕戦からの連続ゴールが前節ストップしたが。4戦4発と好調。CBには瀬古歩夢と西尾隆矢が入っている。
この試合の最大のポイントとなったのは雨。豪雨と強風によりキックオフ時間が2時間の遅延。試合開始時はピッチのところどころに水たまりが出来ている状態で、試合はいわゆる「田んぼサッカー」で始まった。
こうなると差が出てくるのは選手個々の技術。ここで上回るセレッソが試合を支配。前半25分に豊川のゴールでセレッソが先制する。
後半に入るとピッチコンディションが急激に回復。すると試合はトランジションが連続するオープンな試合になっていく。55分にクロスに対して人数をかける当時の横浜FCの特徴が出た形でジャーメイン良がゴールを決め横浜FCが同点に追いつくが、オープンな展開の殴り合いは今季のセレッソの得意分野。大久保、加藤、高木が得点を奪い終わってみれば1-4。セレッソ大阪が大勝した。
■現在の横浜FC
下平隆宏体制3年目のシーズンとして迎えた今季。昨季は降格なしのレギュレーションだったが見事に残留圏の15位でシーズンを終え、昨季の課題だった得点力を改善するため今季は渡邉千真、クレーベ、ジャーメイン良、伊藤翔と実績あるFWを大量獲得し、戦い方も調整したが結果的にはこれが大誤算。
開幕からとにかく失点がかさみ、第8節で広島に0-3の完敗を喫したところで下平監督は解任となった。
後任にはユースの監督だった早川知伸が就任したが、その後も成績は改善せず。東京オリンピック中断期間前最後の広島戦でようやく今季2勝目をあげたが、22試合を2勝5分15敗14得点51失点というかなり厳しい成績で東京オリンピックの中断期間を迎えることとなった。
このままでは厳しいということで夏の移籍期間で5人もの外国籍選手を獲得するという大補強を実施。ブラジルのセアラーからFWサウロ・ミネイロとフェリペ・ヴィゼウ。アトレチコ・ミネイロからDFガブリエウ。ドイツのザンクトパウリからドイツU-24代表として東京オリンピックにも参加していたGKスベンド・ブローダーセン。FC東京からアルトゥール・シルバが加入。
そして伊藤翔(松本山雅へ)、古宿理久(水戸へ)、田代真一(町田へ)、カルフィン・ヨン・ア・ピン(退団)、杉本竜士(東京Vへ)がチームを去るという大幅な選手の入れ替えをおこなった。
するとオリンピック中断あけの名古屋戦で勝利し、続く仙台戦でも引き分けるという形で大幅に成績が改善。中断前が清水に引き分け広島に勝利しているので、現在は直近4試合で2勝2分の4試合負けなし中。
これは今季の横浜FCにおいて最長の負けなし期間となっている。(それまでは第13節、14節の2試合、1勝1分が最長)
大きく改善されたのは守備面。なんと直近4試合で1失点のみで、現在3試合連続無失点中。
それまでの20試合で50失点、1試合平均2.5失点していたことを考えると劇的な改善である。
1試合平均2.5失点だと流石にどんなチームでも結果を残すことは難しい。今季の川崎Fの1試合平均得点でさえ2.3得点なのだ。ようやくリーグを戦える状態になってきたというところだろう。
失点が減った要因はいくつかあるが、その1つに新加入のGKスベンド・ブローダーセンにあることは間違いないだろう。
日本と世界トップとの間に最も差があるポジションはGKだと言われている。そのため最近ではヨーロッパからGKを獲得するチームも増えており、現在では仙台のヤクブ・スウォビィクや名古屋のミチェル・ランゲラク(国籍はオーストラリアだがヨーロッパでプレー)。そしてかつては磐田で活躍したカミンスキーらの活躍が印象的である。
そんなヨーロッパの中でもGK大国と呼ばれているのがドイツ。ドイツでU-20代表、そしてオリンピック代表と選出されてきている選手だということを考えると、その能力の高さはイメージしやすいのではないだろうか。
実際に加入後2試合でもビッグセーブを連発。というよりポジショニングがいいので安定感がある。
そして外国籍GKの場合どうしても問題になるのは言葉やコミュニケーション面だが、仙台のスウォビィクもそうであるように、試合を見ていると積極的に日本語でコミュニケーションをとろうとしている様子も伺える。
遠目からの風貌はそうは見えないところもあるが、まだ24歳なので伸びしろも感じさせる選手である。
そしてもう1つは戦い方。現在の横浜FCの布陣は3-4-2-1。ボール非保持時は前線3人でプレスに行く場面もあるが、ボールを運ばれると割り切って撤退し5-4-1のブロックを作る。
4バックだった前回対戦時には相手のクロスに対してCBが正しいポジションを取れないことが多くCB-CB間が広がる場面が多いと指摘したが、3バックにしてCBの数を増やすことでその問題点をカバー。3バックの中央には昨季は秋田で同じポジションだった韓浩康を起用し、その両脇には経験ある伊野波雅彦とアトレチコ・ミネイロ時代はキャプテンをやることもあったガブリエウを起用している。
一方の攻撃に関してはこの3-4-2-1でのミスマッチを使った形がメイン。
前々節に名古屋から2点を奪った形はいずれも、WBでSBを引き出しシャドゥがSBの裏を突いてCBを引き出すという形だった。
ボール保持についてはまだまだ未整備といった感じで、ボール運びもロングボールに頼る場面が多い。なのでそんなに沢山チャンスを作れるようなサッカーではないが、CFの渡邉千真や左利きのフェリペ・ヴィゼウにまず当てて、そこに松尾佑介、松浦拓弥の両シャドゥが絡んでいくという形である。
フェリペ・ヴィゼウ体格もあるが割とプレーエリアは広そうで、フェリペ・ヴィゼウは積極的に仕掛けようとするプレーも見せていた。
松尾、松浦については今更説明する必要は無いだろう。そしてサウロ・ミネイロはシャドゥで起用されていた
獲得した新外国籍選手5人のうちFC東京から加入したアルトゥール・シルバ以外の4人は既に横浜FCでデビューしている。
■予想スタメン
セレッソ大阪の予想スタメンだが、天皇杯に3バックで勝利したことでどうなるかは非常に難しいところ。天皇杯は坂元が欠場していたのでもし3バックを継続するなら3-4-1-2から加藤かタガートのFWをどちらか1枚削って3-4-2-1にせざるを得ない。
そう考えると、下位相手ということもありこの2トップを起用する4-4-2の方が可能性が高いか。
一方の横浜FCはおそらく前々節名古屋戦と同じスターティングメンバーを採用するのではないだろうか。前節は1トップにフェリペ・ヴィゼウを起用したが、おそらく思ったように前線から守備ができずに撤退する時間が長かった。名古屋戦では渡邉千真を起用しもう少し高い位置からの守備も行っていたので、外国籍FWにはもう少し時間をかけて当面は途中からという形にして、渡邉千真を頭からという形になるかと思われる。
■ミスマッチに注意しCBを動かせるか
セレッソが4バックで戦うなら最も注意しなければいけないのはミスマッチだろう。
特にチアゴはどうしても捕まえに行くのでそこにスペースが生まれやすい。ここをCHや瀬古、そして松田陸がどれだけカバーできるかがポイントになりそうだ。
もし3バックで戦うならこの面に関しては少しわかりやすくなる。
ただ、そうなると問題になるのはおそらく攻撃面。守備でのミスマッチがなくなる分、攻撃でもミスマッチはなくなるわけで、そうなるとどこで時間とスペースを作ることができるか。
ボールを保持する形を作ると相手は撤退してしまうので、それはより難しくなる。
単純なクロスではなかなか難しいので5-4-1の撤退守備だと相手のCBをどう動かすことができるかだろう。
一方でこの部分に関しては4バックの方がやりやすい。左SHの清武が中央に入って相手のCHの裏を取る動きでバイタルエリアを攻略するか、坂元と松田陸の右サイドで相手の左CBを動かしたい。
天皇杯で勝利したとはいえ、未だリーグ戦では11試合未勝利中。
今後のリーグ戦を考えるとこの試合の結果は大きな意味を持ちかねない。
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