2021年8月27日金曜日

8/25 明治安田生命J1リーグ第26節 VS. 湘南ベルマーレ @ ヨドコウ桜スタジアム


スタジアムヨドコウ桜スタジアム主審荒木 友輔
入場者数4,508人副審八木 あかね、村井 良輔
天候 / 気温 / 湿度晴 / 30℃ / 73%第4の審判員岡 宏道
VAR松尾 一
AVAR大塚 晴弘

セレッソ大阪C大阪

 

湘南ベルマーレ湘南

 
  • 監督
  • レヴィー クルピ
 
  • 監督
  • 浮嶋 敏

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催

<監督コメント>

セレッソ大阪:レヴィー・クルピ監督

湘南ベルマーレ:浮島敏監督


<選手コメント>

セレッソ大阪:豊川雄太、中島元彦

湘南ベルマー:タリク、茨田陽生


明治安田生命J1リーグ第26節、本拠地ヨドコウ桜スタジアムでのセレッソ大阪対湘南ベルマーレの一戦は1-5で湘南ベルマーレに完敗。

J1リーグ戦での湘南戦敗戦は22年ぶり。そしてこの結果により翌8月26日にレヴィー・クルピ監督、マテルコーチの契約解除と、後任として小菊昭雄氏の監督就任が発表された。


■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーは前節から1人入れ替え。西尾隆矢が外れて豊川雄太が入った。これは前節の38分にあった選手交代のまま。ということで4-4-2に布陣を変えた前節38分以降のメンバーがそのままスターティングメンバーとなった。

豊川は5月15日の第14節神戸戦以来の先発となる。


一方、湘南ベルマーレのスターティングメンバーは前節から3人入れ替え。高橋諒、山田直輝、ウェリントンがはずれ、畑大雅、池田昌生、タリクが起用された。セレッソ大阪U-15出身で中島元彦と同期の池田は昨季までプレーしていた福島では何度もJ3でU-23チームと対戦しているが、トップチームとの対戦はこれが初めてとなる。

なので布陣は中断期間再開後の3-4-2-1ではなく、中断期間前の3-5-2。しかしこれまでの3-5-2とは異なるやり方だったので詳しくは下で。


■開始2分のエラー

試合開始2分に湘南が先制。「クロスを狙った古林のキックがボールの真芯を捉える形になりほとんど回転もなしにゴール方向に直接飛んできた」というエクスキューズはあるだろうが、キム・ジンヒョンの完全にヒューマンエラー。キャッチした後バランスを崩してしまいゴールラインを越えてしまった。

もしこの試合が拮抗したものであればこのエラーについてとか、ここからどうするかといった話しになるが、残念ながらこの試合はそうではなかった。


■湘南のセレッソ対策

この試合の湘南の布陣はオリンピック中断期間からのリーグ戦再開後3試合連続で使っていた3-4-2-1から、中断前の3-5-2に戻したという感じになっているが、実際には3-5-2に戻したということではなく3-4-2-1を対セレッソとして調整した結果が3-5-2の様な並びになったということではないかと感じている。

プレビューでも書いたが、実際に中断期間あけからの湘南は、再開初戦の鹿島戦こそよくわからない感じになってしまっていたが、続く名古屋戦、清水戦と相手の戦い方によって守備のファーストラインの立ち位置を変えている。


ということでこの試合。

セレッソは4-4-2、湘南は中断再開後の3-4-2-1としてスタート。


ここからセレッソはビルドアップの時に右サイドでは坂元を大外レーンに置いて松田陸は最終ラインに残るか低めの位置をとる。一方で左サイドでは丸橋が前に出ていって清武は内側に入る。ビルドアップの形が整備されているわけではないが、ACLのグループステージを経て最近ではボール保持のベーシックな形はこう並ぶ。

それに対して湘南はマッチアップを合わせるとどうなるか。前線の1トップ2シャドゥが左にずれ、右シャドゥとCFがCBとマッチアップし、左シャドゥは松田陸に合わせるために低めの位置に下がる。一方で丸橋に対しては前に縦に出てくるので右WBの古林が対応。そして右の大外に開く坂元に対しては左WBの畑が対応。

こうして前からプレッシャーをかけられるように合わせた結果が3-5-2の形になったということなのではないだろうか。

実際に中盤は3人が並ぶ3センターの様な形になっていたが、茨田と田中が藤田と奥埜とマッチアップしている場面が多く、3人でスライドするというよりも右サイド(セレッソにとっての左サイド)には誰も配置していない、左にずれた形で3人が並んでいることが多かった。


そしてセレッソはこの布陣にかなり手を焼いた。

後ろに残ることでボールの逃がしどころにもなり、ビルドアップの起点にもなっていた松田陸のところに常に池田がアプローチに行くことができる状態になっている。そして坂元のところにも常に畑が近くにいるので、例えばサイドチェンジからのでもあまり時間もスペースももらえない。そして時間が掛かれば池田が下がってきて2対1の状況も作られる。

となればCHの藤田や奥埜がCBの近くにまで降りていってという形を狙うが、この2人には茨田と田中がきっちり監視している。

セレッソのCHが最終ラインにまで下がってしまえば流石に離すが、中途半端な位置では人基準でついていくことができるようになっているのだ。


なのでセレッソは清武が下がってボールを受けるようになる。

しかしこれは前節や前々節にも書いたように、ここで清武が下がるとボールは持てる様になるが、相手の守備ブロック内の枚数が減るので攻め手はなくなる。単純にボールを持っているだけという状態である。セレッソにとっての左サイドの方が湘南の人数のかけ方が少ないので何度かは左サイドの奥にボールを運ぶ場面もあったが、そこからは5-3気味の守備ブロックに跳ね返され続けている。


また全く上手くいかないので前半の途中ぐらいからは豊川も下がってくる様になっていたが、そうなるとタガートはさらに孤立してしまっていた。


■湘南のカウンター


湘南は奪ってからも非常にシンプル。 2トップを両サイドに走らせる。メインなのはこれだけなのだが、これにも手を焼いた。

なぜこれに手を焼いたかというと奪われた時の形に原因がある。

セレッソは清武が下がることでボールを保持する時間は長くなっていたが、ボールの運び方としては全く効果的なく、前線にボールと共に時間とスペースを届けることはできていなかった。

となると、湘南のブロックに対してとにかく人数をかけて攻め込むしかない。となると 両SBは高い位置を取らざるを得ず、さらにCHも前がかりになる。つまり2CBで守っている状態になっていたからである。

しかもチアゴはスピード勝負は得意ではない。となると瀬古もスピードが無い訳ではないが、どうしてもそちらのカバーに気を取られる。

全体のバランスが崩れている中で、大橋とタリク、そして後ろから池田、さらには両WBとスピードと機動力のある選手が次々と出てくる。

ピッチ内の選手は何をどうすればいいのかわからない状態だったと思う。


そんな中で飲水タイムを迎えるが、前節に引き続き改善はなかった。


すると迎えた27分。ゴールキックからの競り合いで瀬古がファールを取られると、茨田が蹴ったFKにタリクが瀬古とチアゴの間で合わせてゴール。湘南が0-2とリードを広げる。

間に早いボールというのは対応がなかなか難しいところなのだが、瀬古とチアゴの間はセレッソにとってやられたくない場所である。

また、このFKのきっかけとなった瀬古のファールも、ヘディングの競り合いの中で瀬古が手を使ったとして取られたもの。

瀬古はこの手のファールが多いので、将来に向けて改善したいポイントである。


■明確になってしまったチーム状態

前節のレビューで「ギリギリのチーム状態だった」と書いたが、湘南のセレッソ対策の前に思うようにプレーができず、飲水タイムにも改善できない。そして2失点してしまったことでチームの現状がハッキリとしてしまった。

2失点をしたことでクルピ監督がテクニカルエリアから声を出す場面が増え、実際にピッチでは選手はなんとかしようともがいているのだが、誰もテクニカルエリアからの指示を聞いていないし、そちらをに目をやることも殆ど無い。

印象的なのはサイドにボールが渡るも後ろに戻すしかなかった時。クルピ監督は激しく前に出さなかった事に対して怒り混じりのアクションを取るが、選手はそれに対して特にアクションを起こす事も無かった。

もちろん選手にも前にボールを出したいという意思が無いわけではないだろう。しかし選手にしてみたら相手からのプレッシャーを受けている状態で時間も無ければスペースもない。さらに前線の人数もいないので選択肢もない。出さないのではなく出せないのだ。そんな状態でもこれまで何度か無理をしてボールを出すこともあったが、その結果が機能しない前半や終盤の失点。そして4ヶ月にもわたる未勝利期間。こうなっても仕方がない部分がある。


そして41分に湘南が3点目のゴール。

形としては松田陸の背後、チアゴの脇にFWを走らせたところから。そこでポイントを作って折り返したボールを大橋が落として放った茨田がシュートがゴールネットに突き刺さった。


この場面だけ見れば折り返しに対してボールと逆サイドのSH、清武が絞ることを完全にサボっている。なので茨田があれだけフリーでシュートを放つことができたのだが、もはやこの時点ではチームが崩壊してしまっていたので、ピッチ内ではそういう簡単な問題ではなかったのだろう。

前節もギリギリだったようにこういう状態になったのはこの試合が初めてではないし、こうなってしまいそうな兆しはACL明けの試合からどんどん大きくなっていた。

そしてついに、前節は少し濁すようにしか書けなかった「クルピ監督の選手に対する求心力が既に無くなってしまっていること」があらわになってしまった。


■そこまで崩れなかった後半とメンバー推移

このブログはマッチレビューという形式を中心にチームの戦い方をまとめているので、チーム状態がこうなってしまうとここから先はハッキリ言って書くことがない。

もはや指揮官の下でチームとしてまとまっているという状態ではなかったからだ。


しかしこういう状態になっていたにも関わらず後半のチームはそこまで大きく崩れなかった。

後半も失点を重ねた。51分に畑の突破から折り返しを粘った大橋に決められ4失点目を奪われたが、これはボールを失った時に下がって相手の攻撃を遅らせるというよりも、早くボールを奪い返して早く攻めるために前でボールを取りに行った結果。

66 分には池田のCKからニアで石原がすらして大岩が詰めて5失点目となったが、このCKを与えたもの前から取りに行った結果である。

ピッチの選手はこういう状態になりながらも、なんとか目の前の相手勝とうと、得点を奪おうと奮闘していたのだ。

なので藤田も奥埜も、そこまで行かなくてもいいだろうという場面でもベテランであるにも関わらず2度追い3度追いする場面も見られた。

そのやり方は去年までの結果を残していた時の形とはまるで違うにも関わらずである。

そして79分にCBの瀬古がワンツーでパス交換しながらペナルティエリア内に侵入すると山田に後ろから倒されPKを獲得。

これを清武が決めて81分にセレッソが1点を返した。


ただ、皮肉にもそれが逆にクルピ監督の求心力が無くなっていったのは、この試合やこの前の試合といったような直近では無いことも感じさせた。

普通試合中にチームが崩壊してしまうと後半はより厳しい内容になるものである。

2014年ブラジルW杯でのドイツに1−7で敗れたブラジル代表ですら、2020年UEFAネーションズリーグでスペインに0-6で敗れたドイツ代表ですらそうだった。

なので選手にとって求心力が低下していたのは、この試合はもちろん昨日今日の話しではなかったのかもしれない。


後半のメンバー推移としては


後半開始からセレッソがタガートに代えて加藤陸次樹を投入。湘南は古林と茨田に代えて岡本拓也と山田直輝を投入。


さらにセレッソは50分に豊川に代えて高木俊幸を投入氏、清武がトップ下の4-2-3-1に。さらに59分には藤田に代えて原川力を投入する。

湘南は62分にタリクに代えて石原直樹を投入する。


そして74分にセレッソは丸橋と坂元に代えて小池裕太と中島元彦を投入。同時に湘南も田中に代えて三幸秀稔を投入すると最後は89分に畑に代えて大野和成を投入して杉岡を左WBに移動。


スコアは1-5。湘南ベルマーレが1999年3月20日のファーストステージ第3節以来22年ぶりにJ1でセレッソ大阪に勝利した。


■その他

5失点や1-5という結果よりも内容、スタジアムで感じられた選手と監督の距離、監督の求心力がなくなっていること、があらわになったショッキングな試合だった。これはおそらくACL後の試合をスタジアムで見た人は薄々感じ始めていたものだったと思うが、それがこの試合でハッキリとしてしまった。

厳密に言えば内部のことは内部の人しかわからないので試合中や試合終了直後にはまだハッキリとはしていなかったが、試合後のクルピ監督の会見、コメント、そして試合翌日に退任が発表されたことから、やはりそういう状態だったのだろう。


ここ数試合はいつこうなってもおかしくない状態に見えていたので、できればこうなる前に決断を下したかったところだが、統括部長と監督の関係では難しかったのだろう。ここまでそうだったように、もしかすると最後まで乗り切れたかもしれないだろうし。

今は連戦中なのですぐに次の試合がやってくるが、クルピ監督の退任については別でまとめたいと思う。


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