2021年8月11日水曜日

8/9 明治安田生命J1リーグ第23節 VS. ベガルタ仙台 @ ヨドコウ桜スタジアム


スタジアムヨドコウ桜スタジアム主審上田 益也
入場者数4,200人副審平間 亮、岩崎 創一
天候 / 気温 / 湿度曇 / 28.3℃ / 69%第4の審判員鈴木 規志
VAR山本 雄大
AVAR西山 貴生

セレッソ大阪C大阪

 

ベガルタ仙台仙台

 
  • 監督
  • レヴィー クルピ
 
  • 監督
  • 手倉森 誠

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:レヴィー・クルピ監督

ベガルタ仙台:手倉森誠監督


<選手コメント>

セレッソ大阪:奥埜博亮、瀬古歩夢

ベガルタ仙台:フォギーニョ、アピアタウィア久


東京オリンピックの中断期間あけ初戦となる明治安田生命J1リーグ第23節。セレッソ大阪が本拠地ヨドコウ桜スタジアムにベガルタ仙台を迎えての一戦は両者ともに決め手を欠き0-0の引き分け。これでリーグ戦5試合連続引き分けとなり、リーグ戦未勝利期間は遂に2桁となる10試合連続に伸びた。


■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーは2週間以上前のリーグ戦前節からは3人、ミッドウィークの天皇杯からは2人を入れ替え。

累積警告で出場停止の松田陸に代わって西尾隆也が起用され、西尾が入っていたポジションにはオリンピック代表から戻ったばかりの瀬古歩夢を起用。なので布陣は普段の4-4-2でCBの西尾が右SBに入った形となった。

また天皇杯ではベンチ外だった坂元達裕は無事先発復帰。そして天皇杯で負傷交代した清武弘嗣も先発。ただし先発出場も考えられた、喜田陽、加藤陸次樹、大久保嘉人はベンチ外。ここまでの流れからするとベンチ外は想定外なので彼らはコンディション面や他の何かに問題があったのだろう。

ということでFWには天皇杯でも先発したアダム・タガートがリーグ戦では前回仙台と対戦した5月30日の第17節以来2度目の先発。

そして負傷離脱しACLグループステージにも帯同していなかった豊川雄太もベンチに復帰、また天皇杯でセレッソデビューを果たした新井晴樹もJ1初のベンチ入りとなった。


一方のベガルタ仙台のスターティングメンバーは、8月3日に行われた延期分G大阪戦から3人を入れ替え。平岡康裕に代えてアピアタウィア久、上原力也に代えてフォギーニョ、氣田亮真に代えて加藤千尋が入った。

フォギーニョは前回対戦時に負傷し離脱していたがG大阪戦の終盤に途中出場で復帰していた。またアピアタウィア久は足下の技術では劣る部分はあるものの対人の強さと高さが特徴の選手。セレッソにはセットプレーでのチアゴの高さという武器があるのでそこを意識した起用なのだろう。


■ボールは持つものの

台風9号の影響で強風が吹く中で迎えたキックオフ。セレッソが風上を選択し立ち上がりに仙台のロングボールを瀬古が跳ね返したところから清武が抜け出すという風の影響を感じさせる形で始まった。

この試合の前半について「ここ数試合の課題となっていた試合の入りは改善された」という見方や、クルピ監督も「追い風の前半、良い形は何度かあった」と振り返っているが、「試合の入り」に関しては仙台の戦い方の選択による部分が大きく、また前半はボール保持率で57%と上回り、シュート数もセレッソが6本(仙台は2本)、クロスもセレッソが12本(仙台は8本)と多くの項目では上回っているものの、実際のところチャンスらしいチャンス、決定機はほぼ無かった。


セレッソはこの試合で出場停止の松田陸に代わり右SBには西尾隆矢を起用。ユース年代ではさまざまなポジションで起用されるのはよくあることで、その流れを踏まえてトップ昇格前に2種登録選手としてU23で出場していた時におそらく何試合かはやっていた記憶があるが、プロとしては初めての右SBだと思う。

最初のラッキーな形での裏抜けがあった後、セレッソがボールを持つ展開になっていくのだが、そのタイミングで最初に坂元が右のワイドに入り、西尾が最終ラインに残る方上げ3バックの形が見られた。


なのでもしかしたらボール非保持では4-4-2、ボール保持では左上げの3-4-2-1で戦おうとしているのか?と感じたが、どうやらこれは坂元が普段の松田陸が後ろにいる時同様に大外レーンに立っていたからだけの様。なので特にその立ち位置を取ることで何かがあるわけでもなかった。

なので時間の経過とともに西尾のポジショニングは普通の右SBの立ち位置になっていくのだが、これは冒頭にも書いた「仙台の戦い方の選択」による影響の1つだと考えられる。


仙台はこの試合で積極的に高い位置からボールを奪いに行く、プレッシングに行くというよりも前線のプレッシャーはほどほどにして後ろで構えるという選択をした。

その選択をした理由として、台風の影響による強風という面もあったとは思うが、試合を動かさない、試合を膠着させようという狙いがあったことは手倉森監督の「まずチームとしては厳しさを持った粘り強い守備から入ろう。そして一進一退に持ち込んで0-0の時間を長くして後半に勝負を懸けようという話しをしました」というコメントからもわかる。

直近2試合で2点ビハインドから3-3の引き分けに持ち込んでいるセレッソを見て、カオス状態になっての撃ち合いには持ち込まない、撃ち合いになりそうなカオス状態をできるだけ避けたいという狙いがあったのだろう。


ということで最終ラインのアプローチを最低限に抑えた仙台の前に西尾は最終ラインに残っていても特に仕事はない、というより準備されていない。なので徐々に普通の右SBの様な位置どりになっていったと思われる。


西尾が前に出る分坂元が内側に入るということは清武が浮く。そして仙台の2トップはCHをケアする。となるとセレッソは清武がCHの脇に降りてきてビルドアップの出口になるという形になっていくのだが、これは結果的には微妙だった。

こうして清武が浮くことでセレッソはボールを持てる、それが前半の57%というボール支配率につながっており、またそこからクロスを入れる形にまでは持って行くことができていたので、「前半の入りはよかった」「前半に何度か良い形があった」といった評価になっているのだが、実際のところ前半でチャンスと言えるのは丸橋の超ロングシュートとタガートのバックヘッドぐらい。なので決定機と呼べるものは無かったからである。

なぜチャンスを作りきれなかったか。その要因の1つはビルドアップに人数をかけすぎているからだと思っている。

特に瀬古がボールを持っている時に清武が降りる動きに対してそれは強く感じた。


瀬古がボールを持った時の清武が降りる動きというのはこちら。

先ほども紹介した清武がビルドアップの出口になる形である。


しかしこの場面、2トップがCHを見ているので実は清武が下がって来なくても瀬古はボールを持ち出すことができた。そして清武が下がらないことで仙台のCHがそちらに引っ張られれば瀬古は高木へのパスコースができる。また、もし2トップがスライドして来ればCHを経由することもできる。なので清武1人分をビルドアップで損をしているという状態に近い。

なのでせっかくサイドに展開しても、清武が下がってビルドアップの出口になっている分クロスに入ってくる人数は少ない。その場合奥埜が前に出ていったりもしていたのでもちろん他の要素もあるが、セレッソがボールを持っているもののチャンスを作りきれない一因はこういうところにある。

ただし誤解してほしくないのはこの場面での問題点は清武の判断にあるのではない。例えば前節鳥栖戦の後半はトップ下の清武がサポートにいくことで鳥栖の配置とアプローチに対して優位に立つことができた。しかしこの試合の仙台のやり方は違うので効果的では無かっただけである。なので問題点はこうした部分をチームとして整理し準備できていないことにある。


ということでセレッソがチャンスを作るのは、誰かがの個人技が爆発するか、誰かが無理をするか、もしくは相手のミスやアクシデント的にラッキーな状況が発生するかのどれか。それが「セレッソの三大得点パターンはセットプレー、スーパーゴール、相手のミス」と言ってしまう理由である。


■仙台の苦悩

ある程度守備に重心を置いて入る形をとった仙台だが、難しいのはなかなかカウンターでチャンスを作れないことではないだろうか。

ブロックを作って守っているのでボールを奪い返す位置が低くなるのだが、トランジションのところでアプローチを受けると逃がしどころを見つけられずロングボールを選択することが増える。しかしそのロングボールはほとんどチアゴと瀬古に跳ね返されていた。178cmという身長の割には空中戦にも強い西村だが、1人で勝負するのは流石にキツい。


そしてもう1つ、プレビューでも「仙台はボールを持つこともできる」と書いたが、そのボール保持も数的有利がベースになっているので結局人数が足りないということが起こりやすかった。

先ほどのセレッソの「清武が降りる」に近いのだが、顕著なのは最終ライン。2CBでセレッソの1トップ+トップ下の2人に対して対峙しているので数的同数ではある。

しかし2人のCBはこのセレッソの前線2枚がアプローチに来ていなくてもCHに下がってきて欲しがる場面が多かった。アプローチを受けていなくてもボールを持つために数的有利を作ろうとする、ボールより後ろの人数を増やそうとする場面が多かった。

となると必然的に前線の人数は減る。なのでどうしてもどこかで誰かが無理をしないといけない。

おそらくそのために両SHに関口と加藤千尋(もしくは氣田亮真)が起用されているんだと思うが、なかなか難しいというのが正直なところではないだろうか。


最近の試合で得点力不足に悩んでいるのはこのあたりが原因ではないかと感じた。

カウンターでもポジショニングで勝負する形でもどちらでもいいが、今よりも勝ち点をコンスタントに積み重ねるにはどちらかの武器は欲しいのではないかと感じた。


■直近2試合で爆発した得点力がなりを潜めたのは


後半開始からセレッソは高木俊幸に代えて新井晴樹を投入。JFLのティアモ枚方から加入した新井晴樹にとってこれがJ1初出場というかJリーグ初出場となった。

そしてセレッソはACLから帰国後のリーグ戦全試合でハーフタイムに左SHを交代させている。


しかし試合展開は変わらず。前半の高木のプレーが特に悪かったわけでもないので当然か。53分には清武のフリックから新井晴樹のシュート、56分にチアゴが強烈なFK、さらにこれで得たCKから再び新井晴樹がシュートとシュートはあるので可能性は0ではないが、決定機というものは全く作れないままだった。


リーグ戦直近2試合で続けて3点を奪っていたセレッソがこの試合では得点の匂いすらあまり感じられない試合になったのは試合展開と仙台の試合の進め方によるものだろう。

直近2試合で奪った6点中5点は2点ビハインドとなってからである。2点ビハインドとなったことで「ちゃぶ台をひっくり返し」試合をカオス状態に持ち込み、それに相手が乗ってきた。その結果撃ち合いの様な試合展開になり3点を奪って同点に追いついた。

勝ったわけではないので成功ではないが、特に仙台の様なチームにとってはセレッソのカオス状態での撃ち合う力は脅威なのだろう。

なので仙台は試合を動かさないようにした。こうなるとセレッソもカオス状態に持ち込む理由がない。セレッソのカオス状態は試合を有利に運ぶために意図的にやっているのではなく、後がなくなりちゃぶ台をひっくり返した先に発生しているものだからだ。


なのでこうした展開になるとどうしても試合は動かないままとなる。


■決め手に欠く両チーム


セレッソは66分に清武に代えて藤田を投入、同時に仙台も関口に代えてエマヌエル・オッティを投入する。

清武の交代はおそらく試合前から考えていたものだろう。無事先発したとはいえ天皇杯では負傷交代しているので、フル出場は考えていなかったはずである。


セレッソは70分にアダム・タガートに代えて豊川雄太を投入。そして仙台は76分にフォギーニョ、加藤千尋、赤﨑秀平に代えて上原力也、氣田亮真、フェリペ・カルドーソと3枚替えを行う。

おそらくこの3枚替えが仙台にとっては1点を取りに行くぞという合図だったのだろう。

ここからはそれまでよりもどんどん縦にボールをつけるようになる。

しかし、仙台がボールを持つ時間は長くなったものの、仙台がどんどんチャンスが生まれていたわけではない。


そんな中生まれたのが両チーム合わせて最もゴールに近づいた場面、左サイドの奥でロングボールを受けたオッティから上原がシュートを放ち、そのこぼれ球を西村がシュートするがポストに跳ね返りチアゴがクリア。

ここで決まっていれば仙台にとって狙い通りの試合になったのだろうがそうはいかなかった。


ただ、この場面は最初にオッティが左サイドの奥でボールを収めたときに、副審が追いついていなかったのでジャッジされなかったが、おそらくエンドラインを割っていたと思う。なのでもしゴールが決まっていたとしてもVARでチェックが入るのでどうなったかな?とは感じた。

VARがアウトオブバウンズのチェックもするのかどうかはわからないけど。


ということで0-0のまま試合終了。セレッソ大阪はこれでリーグ戦5試合連続引き分けで、10試合連続未勝利。ベガルタ仙台はリーグ戦7試合連続未勝利で、対セレッソ戦は9試合連続未勝利となった。


■その他

クルピ監督が「0-0で引き分けに終わったのは、内容から言えば妥当」と振り返っているが、まさに内容から言えば0-0が妥当な試合だったと思う。両チームともに決め手に欠いていたし、どちらかが有利に立っているということもほとんどない試合だった。

セレッソとしてもこういう展開になるとこうなるだろうなという試合だったと思う。

こういう試合で選手が評価されてしまうのは不憫に感じる部分もあるが。


今回の引き分けでの5試合連続引き分けはJ1タイ記録だそうで、クルピ監督は2011年と2013年にも同じように5試合連続引き分けを記録しているのだが、震災による中断明けの2試合目から5試合連続引き分けとなった2011年、2連勝から5試合連続引き分けとなりその後3連勝を記録した2013年に比べると、今回が内容では一番厳しい。若手の台頭とかいう問題ではないだろう。


8月は順位表でもボトムハーフに位置するチームとの対戦が続くので、なんとか個人技が爆発する試合を作って勝ち点3が欲しいところ。選手は大変だと思うけど。



4 件のコメント :

  1. クロスなんか守備練習?って位なんの工夫もないクロスしか出せないんで、得点のニオイも何もありませんでしたね・・・
    勝ち点1を積んでいるというよりは、勝ち点2を落とし続けている感じがつらいです

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  2. おつかれさまです。
    高さもなく繋いでも出口がない仙台。真瀬ですかね?個人技で2枚か3枚ぶち抜いてこられたシーン以外お互いそんなに決定期がなかったなという印象の試合でした。降格圏のチーム相手に。
    ポストに当たったシーンはおそらくゴールに至るまでの過程の検証でオフサイドはとられるでしょうから仮に入っていても無効だったかと思います。
    松田が高い位置でクロスをという形が無くなって大久保のクロスからのゴールが無くなったことも、右サイドライン側に張る坂元が幅寄せされてドリブルコースがなくなって得意の突破が無くなることももう見飽きましたがこのまま行きそうですね。
    西尾の右サイドバックも、急造なので仕方ないかもですが、立ち位置も松田陸と比べて中途半端で、クロスも質が低く何の脅威でもない、坂元の立ち位置も見れていないので坂元を活かすようなポジショニングもなく、彼はCBしかないなと改めて感じました。
    タガートは収まりはするがなかなか運べないのでボックスストライカーか、最終ラインで裏狙い、前に張る方が良さそう。豊川が戻ってきたので運ぼうとするなら豊川がまだ若干できるかな?という感じで観てました。ちなみに大久保はスタンドでずっとスマホいじってましたよ。息子さん夏休みで1人置いてくるのが心配だったのかなんかあったのかもですね。試合後もすぐに車で帰ってました。
    現状の継続でも上積みが無いことは明らかですし、このメンバー固定は若手有望株からしてもここにいても出られないって印象になるだろうから替えて欲しいですけどおそらくGMに手札がないのでしょうね。

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  3. 大久保のいるチームって必ずこうなる。どうなるかはかかないけど、こういうチーム状態になる。とはいえセレッソの3大得点パターンは彼がすべてもってるので、出し続けたらそのうちやりそう。でもチーム状態は。。

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  4. 昨日、マリノスと名古屋を見てましたが、マリノスはDFを拡げるポジショニングを取って、少し長い距離でパス交換をしますね。これはリスクですが、リスクを予めよく理解してるからこそケアも早いですね。実際名古屋はドツボでしたし。
    仙台のようなやり方は下位チームの方がむしろ上手いです。やることが明確な分、下手に乗ってこないから。
    ここで稼ぐしか本来ないのですが‥不安ですね。

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