2021年9月26日 15時00分:ヨドコウ桜スタジアム
予想スタメン |
ミッドウィークに行われた前倒し開催の第32節から中3日で迎える明治安田生命J1リーグ第30節。セレッソ大阪は本拠地ヨドコウ桜スタジアムで鹿島アントラーズと対戦する。
■前回の対戦
前回の対戦は5月26日に行われた第16節、敵地県立カシマサッカースタジアムで行われ1-0で鹿島に敗れている。
両チームのスターティングメンバーは上記。
4月にザーゴが解任となり相馬直樹監督体制となっている鹿島は、この時期に連続して使っていた小泉慶トップ下システム。開幕から全試合失点していたザーゴ体制が終わり相馬監督はまず守備の強化から手をつけざるを得なかったからという部分もあるのだろう。
ちなみにこの小泉トップ下システムをリーグ戦で採用したのは5月のわずか3試合のみ。3試合目となった川崎Fに1-2で敗れHTで小泉は交代となるのだが、その前2試合の名古屋、セレッソには勝利しているので一定の結果を残している。
しかし川崎F戦以降は出場機会を激減させ夏の移籍期間で鳥栖に移籍となった。
一方のセレッソは図では4-2-3-1になっているが、実質的には加藤と奥埜が2トップに入る4-4-2。奥埜は直近の広島戦で試合途中から今季初めてFWに入り、この試合では今季初のFWでのスタートとなった。
今季ここまでのレビューやプレビューでこの鹿島戦は何度も触れてきた試合。クルピ体制にとってこの試合は大きな分岐点の1つだった。
最終的にクルピ監督は選手に対する求心力を失い退任を選択することになるが、そのきっかけがこの鹿島戦の前半と後半。決定的となったのはACLグループステージ後だが、戦い方を定められない状態が目に見えて現れ始めたのはこの試合からだった。(詳しくはクルピ退任の記事で)
試合は立ち上がりから鹿島がボール保持をする展開。そうなるのも必然でセレッソは4-4-2の守備ブロックを優先させる戦い方を選択していたからである。
この試合の前までで4試合勝利なし(2分2敗)ただし5試合目の勝利した浦和戦でも浦和に試合を支配されていた。ボールは鹿島に渡してしまってもOK。相手にボールを持たせ、こちらはブロックを優先させることでまずは試合を安定させようという考え方である。昨季までは堅守を誇っていたチームに失点が続き、4月以降勝てなくなったチーム状態を考えるとよくわかる。
そしてこのセレッソの戦い方には一定の成果があった。セレッソの4-4-2ブロックに対して鹿島はボールを保持するもののチャンスらしいチャンスは作れていなかった。
相馬監督就任後は直後の6試合で5勝1分と結果を残し、さらにはその6試合で15得点と爆発的な得点力を見せていたが、鹿島がゴールを量産していた形は前にスペースがある状態での攻撃やセットプレー。よく言われる3人目の動きだったり、例えばブロックを動かすボール保持は殆どない。なのでこうしてセレッソがブロックを作ると鹿島にはほとんど攻め手は無かったのである。
こうして守備を安定させたセレッソがボール保持で狙ったのは清武のキープ力を活かすこと。
ボールを奪い返すと狙うのは清武にボールを届けること。そしてそこに原川や丸橋がサポートに行く。
原川や丸橋のサポートが間に合うまで清武がボールをキープできればそこから攻撃開始。具体的には食いついてきたところの背後を狙う。
奪って一気に攻めるという形を選択しなかったのは試合をオープンにしないためだろう。オープンになれば鹿島がプレーできるスペースができる。これは鹿島にとってもありがたい形であると同時に、セレッソもここまで試合がオープンになった終盤に失点を重ねてきたからでもある。
こういった形で進んだ前半は結局0-0で折り返すことになるが、セレッソにとっては悪くない前半だった。0-0だが狙い通りに試合を進めていたのはセレッソに見えたからだ。セレッソにとってはこのままでOK。終盤まで0-0なら最後に勝負をかけるというのがゲームプランに見えた。
しかしクルピ監督は、思いの外早いタイミングである後半開始から選手を入れ替え戦い方の変更を決断。試合を動かす、オープンな展開へと舵を切る。おそらくクルピ監督にとっては選手がピッチで見せていた前半は望まない戦い方だったのだろう。しかしこれが裏目に出る。
失点をしたのは72分。丸橋に代わって入った新井直人のパスがミスとなり土居にボールを奪われると最後は荒木がゴールに流し込み鹿島が先制に成功する。そしてこの1点が決勝点。
失点場面の直接的な原因はミスだが、ここに結びついた原因は後半から試合をオープンな展開に持っていったことにあった。
■現在の鹿島アントラーズ
ACL圏内まで勝ち点4差で上位を伺おうという鹿島だが、今月に入ってからはルヴァンカップ2試合で名古屋に連敗し、リーグ戦に戻るも福岡戦でも0-3で敗戦。続くG大阪戦でようやく連敗をストップさせたが、前節の川崎F戦では残り10分を切ってからの2失点で逆転負けというショッキングな敗戦を喫している。
特に今月に入ってから苦しんでいるのは得点面。
守備にというか戦い方に課題を抱えているG大阪にこそ後半一気に3点を奪うことができたが、ルヴァンカップの名古屋戦2試合、福岡戦では無得点。川崎F戦でも1点。川崎F戦ではチャンスもあっただけに余計に悔やまれる逆転負けだった。
ただ、相手を見るとなぜそうなっているのかがわかる。こうなる要素は以前からあったからだ。
前回対戦時もそうだったように鹿島の攻撃はカウンターなどスペースがある状況ではかなりの強さを発揮するものの、よく言われる3人目の動きだったり、例えばブロックを動かすボール保持はやっぱりほとんど無いので、名古屋や福岡の様にしっかりとブロックで構えられるとどうしても攻めあぐねることが多い。
ただ逆に言えば横浜FMには連勝しているようにスペースがある試合にはめっぽう強い。人への意識が強い守備をベースにしたショート・ロングを織り交ぜたカウンターはかなりの脅威となっており、相手が前に出てきたところを裏返してカウンターで指すというのが必勝パターン。
なので勝つ試合は複数得点を奪うという展開になることも多い。
相手に脅威を与えるカウンターで主役になっているのがCHに定着したディエゴ・ピトゥカ。
前回対戦時を含め最初のうちは左足のキックは強烈で、ミドルシュートと長短正確なキックをベースにしたパスに特徴のある選手かと思っていたが、この選手が最も輝くのは前にスペースがある状態でカウンター気味にボールを運ぶこと。鹿島のカウンターでは彼が運んでフィニッシュに持ち込むという形が大きな武器になっている。
守備に関しては、原点回帰ともいえる人への意識が強い守り方がベース。
しかし、人への意識は強いもののいわゆるマンツーマンという訳ではなく、1人が相手に激しく行って誰かがカバーするという昔からあるベーシックな守り方。よく言われるのが1人余るというやつである。
とはいえ、その守備の基準となっているのはあくまで人。なのでその基準点をずらされてしまうとどうしても守備がぼやけるし、スペースの管理をやっているわけでもないのでスペースを使われてしまうこともある。
あと少し気になるのが終盤にオープンになる試合が多いこと。
鹿島といえば「したたかに勝ち切る」チームで、一旦リードすると相手と残り時間を見ながら時計をうまく進めるというイメージがあり、それが「鹿島らしさ」だと感じる人が多いと思うが、このチームはどうもそういう要素が薄い。
武器がカウンターで、その起点になるのがCHのピトゥカだと言う部分があるのかもしれないが、先制した後も追加点を狙ってCHが出ていくのでどうしてもオープンになりやすいのだろう。これがうまくハマれば2点、3点と追加点を奪って勝ち切るということになるのだろうが、追加点を奪えないと、試合終盤でもバタバタした展開になることも多い。
■予想スタメン
両チーム共にミッドウィークに前倒しの第32節を戦っているので中3日で迎えるこの試合。
セレッソ大阪の予想スタメンだが、前節休ませた松田陸、丸橋祐介、藤田直之は戻すだろう。
ただ、CBに関しては入れ替えるのが難しい。上田と荒木に対してチアゴはちょっとリスクがあるので、西尾と瀬古が引き続きプレーすることになりそうか。
13連戦の13試合目。厳しいがこの試合が終わればようやく1週間の間隔が空く。
一方鹿島アントラーズの予想スタメンだが、前節は川崎F戦ということもあってか全く選手を入れ替えなかった。今節は中3日とはいえ連戦となるため何人かの選手の入れ替えは必要となるだろう。
しかし何人かの選手に怪我も出ている。代表的なのは犬飼智也で筋肉系のトラブルで離脱中。さらにブエノも怪我をしたことでCBは関川郁万と町田浩樹が継続して出場する可能性が高い。
さらに今季途中から不動の右SBとなるも前節、前々節とメンバー外だった常本佳吾もどうやら負傷をしていた様子。24日付けで地元紙のツイッターが「合流した」とツイートしていたが、この試合に間に合うかどうかは不透明。さらにCHはもちろん右SBも出来る永木亮太もリリースは無いが欠場が続いている。
となると4バックは左SBが安西幸輝から永戸勝也に代わるぐらいか。
中盤に関しては、今のピトゥカは代えられないと思うので、三竿健斗からレオ・シルバといったところか。
また前線に関しても、前節終盤に投入されたエヴェラウドの状態をみると荒木遼太郎と上田綺世の2人は代えられないだろう。
■急がずに試合をコントロール
鹿島に対しては過去2年間を含めた直近5試合で0勝1分4敗と圧倒的に負け越しているのだが、試合内容としては五分以上。勝利するチャンスは十分ある試合を続けている。
なので特別なことは必要無い。
鹿島の土俵はオープンな展開。小菊監督になってロティーナ時代と比べると少し踏み込む要素も増えているが、この試合はできるだけ試合をオープンにさせずにじっくり戦えば十分勝機はある。
実際に前回の対戦でもセレッソの4-4-2のブロックに対して鹿島は最後まで有効な攻撃は出来ていない。
セレッソに必要なのはボール保持で相手の基準をぼかす立ち位置をとり、サイドを動かしながらボールを運ぶこと。
食いついてくるということは裏返すことが出来るということでもある。
セレッソはピッチの105m×65mを攻守にフルに使いながら急がずに試合をコントロールしたい。
乾にとってはJリーグで最後に得点を決めた相手が鹿島。小菊監督の右腕を務める羽田憲司コーチにとっては古巣対戦。
ちなみに鹿島は旧キンチョウスタジアム、ヨドコウ桜スタジアムでは勝ったことが無い。(2013年のナビスコカップ(当時)1試合だけだけど)
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