2021年9月28日火曜日

9/26 明治安田生命J1リーグ第30節 VS. 鹿島アントラーズ @ ヨドコウ桜スタジアム


スタジアムヨドコウ桜スタジアム主審山本 雄大
入場者数4,912人副審聳城 巧、村井 良輔
天候 / 気温 / 湿度雨のち曇 / 23.8℃ / 64%第4の審判員馬場 規
VAR笠原 寛貴
AVAR大坪 博和

セレッソ大阪C大阪

 

鹿島アントラーズ鹿島

 
  • 監督
  • 小菊 昭雄
 
  • 監督
  • 相馬 直樹

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:小菊昭雄監督

鹿島アントラーズ:相馬直樹監督


<選手コメント>

セレッソ大阪:原川力、坂元達裕

鹿島アントラーズ:上田綺世、松村優太


ミッドウィークの試合から中3日で迎える明治安田生命J1リーグ第30節、前節連敗を止めたセレッソ大阪が本拠地ヨドコウ桜スタジアムに鹿島アントラーズを迎えての一戦は、原川のゴールで先制に成功するも1-2で敗戦。リーグで2番目に多い4度目の逆転負けとなった。


■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーは、リーグ戦前節から3人を入れ替え。外れたのは進藤亮佑、小池裕太の両SBとアダム・タガートで、前節完全休養となった松田陸、丸橋祐介と、大久保嘉人が起用された。大久保は7月24日の第22節鳥栖戦以来のスターティングメンバー入りとなる。

ベンチでは山田寛人と高木俊幸が外れ、入ったのは中島元彦と松田力。過密日程と5人交代制というレギュレーションの中で小菊監督は試合途中でアタッカー4人を入れ替えるという形をとっているので、スターティングメンバーだけでなくベンチメンバーもローテーションさせながらというやり方になっている。


一方の鹿島アントラーズのスターティングメンバーは、リーグ戦前節から4人を入れ替え。外れたのは広瀬陸斗、和泉竜司、荒木遼太郎、上田綺世で、ベンチ外が続いていた常本佳吾が復帰し、松村優太、土居聖真、アルトゥール・カイキが起用された。

松村は6月23日の第19節、アルトゥール・カイキは8月25日の第26節以来のスターティングメンバーとなる。

また鹿島は今回の試合で外れた4人全員がベンチ入り。その分CBがベンチ入りしていないが、犬飼が怪我で離脱していることと、常本は明治大学時代に1学年上に現在FC東京でプレーする中村帆高が1学年上にいたので右SBだけでなく3バックの中央としてもプレーしていた経験があるので最悪CBに何かあれば常本をCBで起用するということなのだろう。

ちなみに常本は先に書いた様に明治大学出身の大卒ルーキーだが、小学校から高校までは横浜FMの下部組織でプレー。ジュニアユースでは同学年の西川潤の兄と一緒にプレーしていたので、試合後には西川と談笑する姿も見られた。


■球際をめぐる考え方の違い

試合のレビューに入る前に両チームの考え方の違いについて触れておこうと思う。

鹿島の守備は人への意識が強いという特徴があるが、それを機能させるために鹿島では基本的に球際の強さがない選手は試合に出られないようになっている。これは上手いとか下手とか以前の問題で、球際の強さがないと守備のやり方自体が成立しないからだ。

一方セレッソはロティーナでポジショナルプレーを経験している。小菊監督もコーチとしてチームにいたのでもちろんその影響も受けている。そしてポジショナルプレーで表現されるものの1つに立ち位置とボールの動かし方で相手の守備の基準点をボカすという形がある。

ここのところ人への意識の強いチームとの対戦が多いので何度か書いているが、それがうまく実践できているかどうかの判断基準は相手に身体を当てられずにボールを運ぶことができているかどうか。

なのでこの試合だと鹿島が球際の強さを発揮できる場面が多いと鹿島ペース、球際の強さを発揮できていない場面の方が多いとセレッソペース。もちろんこれだけではないが、大まかにはこれで判断できる。


■セレッソの狙い

ここからは実際のレビュー。

セレッソは試合開始直後にゴールキックとペナルティエリア近くでの間接FKを獲得したが、そのどちらもキム・ジンヒョンはロングキックを選択した。クルピ時代も含めてこれまでのほとんどの試合でゴールキックではショートパスを選択することが多かったので少し珍しいスタートだった。

この選択をしたのは、鹿島が前線からのプレッシング、そして人に対して強く当たる守備をベースとしているからだろう。

これに対してセレッソはまず相手の勢いを弱めるためリスクの少ないロングボールという選択をしたのだと思われる。


そして5分にようやく自陣からつなぐ形を見せるがその形も普段とは少し異なっていたので対鹿島用に準備してきた形だと思われる。


セレッソは普段であれば松田陸を最終ラインに残す方上げ3バックをよくやる。

しかし鹿島は人を基準にして人に対して強くアプローチをかけてくる。なのでこれだと松田陸のところで詰められる可能性が高いと踏んだのだろう。この試合では最初から2CBが開いてその間に原川が降りてくるという形の3バック化を行なっていた。


その原川の動きに対して鹿島はCHの三竿が前に出てきて捕まえにくる。

そこか西尾を経由して1人になった鹿島のCH脇に立つ奥埜がスルーして大久保にクサビのパス。それを加藤に落とすという形を見せたのが7分。ここから加藤が鹿島のプレスバックにあうも原川に落として前線に抜け出す大久保へパス。大久保はオフサイド(オフサイドディレイ)となった場面なのだが、これはセレッソが準備してきた形でもあるのだろう。


ここまでで見られたいくつかのセレッソの狙いは、先に書いたCHが降りること+ビルドアップで松田陸をあまり使わないこと。これはセレッソのビルドアップにおいて松田陸が重要な役割を担っていることは当然鹿島も知っているし警戒もしている。なので松田陸のところには当然強くくるだろうことを踏まえてのものだと思われる。

そして前線では2トップが縦関係になること。これは前節の広島戦でもパターンは違ったがやっていた形。清武がいれば清武が中に入ってくるという動きがあるが今はいないからなのか、それとも小菊監督の考え方として2トップを縦関係にした方がバリエーションが増えると考えているのかはわからないが、前節に引き続き2トップを縦関係にするという形が見られた。

そして最後に狙うファーストチョイスはDFラインの背後であること。

これは鹿島が前向きに強く守備をしようとするチームなのでそれをひっくり返す意味でもDFラインの背後をまず狙う。そしてこれで背後を狙っていけばCBは前にばかり守備をすることは難しくなるが、CHは前向きに守備をしたいのでCBとCHの間を開かせることができる。そこで縦関係にした2トップを使って前向きにボールをもつ形を作ろうという狙いだったのだろう。

ただ、もちろんこれが全てうまくいくわけではなく、鹿島の前向きの守備に捕まって球際の強さを見せられる場面もあった。

しかし9分には2CBと2CHのビルドアップから丸橋を経由して縦関係になった2トップに斜めのクサビから加藤の落としを大久保が受けてFKを獲得するという場面も作っているので、試合展開としては一進一退とも言える状態だった。


鹿島も悪くはない。ただこのハマっていない状態をあまり作られるのも困る。ということで20分にCHではなく右SHのアラーノが前に出る形を見せる。

しかしこれに対してセレッソはすぐさま西尾の右に奥埜が降りる形を見せる。

この奥埜の動きはかなりスムーズだったのでこれも鹿島が右SHを前に出すということを読んで準備してきた形なのだろう。これはザーゴ監督の時だったが実際にやられたこともあるし、最近でも鹿島は右SHを前に出して枚数を合わせにかかることも多い。


ここで前半の飲水タイム。

ここまでセレッソのことばかり書いたが、もちろんセレッソが圧倒していたわけではない。

立ち位置とボールの循環がうまくいかなければ身体をぶつけられて鹿島が球際の強さを発揮。ボールを奪って攻め込んでくる。

ただ、セレッソもボール保持でそれほどバランスを崩しているわけではないので守れる。この段階での鹿島のボール保持攻撃はそれほど怖さを感じるものではなかった。

ただ1つ気になったのは10分に松田陸が松村に入れ替わられた場面。この時の対応がというよりも松田陸がどうしても前にでるので戻るのに時間がかかること。ただ、この場面以外はは奥埜がCBの右に降りることも視野に入れている分カバーできているので計算はあっているということだったのかもしれない。

奥埜がCBの右に降りる様になってからは坂元が大外に立てば松田陸は内側に入っていくことになるが、それでもこの段階では大きく崩れることはなかった。


ということでやはり試合は一進一退の五分と五分。敵陣で取ってそのまま攻めたい鹿島と、自陣で相手の守備の基準点をぼかして一気に前線まで攻略したいセレッソという関係なのでプレーエリアとしてはどうしてもセレッソ陣内が増えていたが、そこはセレッソがボカすことができる場面も作れているなら気にしなくてもいい。


■徐々に鹿島の球際の強さが目立つ展開に

飲水タイム以降鹿島は守備を変える。


それまでSHやCHなど3人目を用意していた鹿島だっったが、この飲水タイム以降はCHもSHも元の位置に戻した。

セレッソはCBとCHの2-2の関係から原川、奥埜と下げて探りを入れるが鹿島はそれまでの様にがっつり食いついてこない。

ということでセレッソは丸橋が少し下がってきてボールを受けそこからロングボールでDFラインの背後を狙う様になる。


しかしこれがうまくいかなかった。ロングボールなので成功率は当然低いのだが、セカンドボールがなかなか拾えない。そもそも最初からロングボールのセカンドボール回収役になっていたのは縦関係になっている2トップだけ。両SHはサイドに立たせており、ビルドアップでCHをCBの近くでプレーさせているのでセカンドボールに間に合わないのだ。その結果鹿島のCBとCHが球際の強さを発揮できる場面が増えていく。

ここからしばらくは完全に鹿島ペースになっていた。

そしてセレッソは左サイドを起点にしているので鹿島の攻撃は右サイドからが増える。そしてそこからピトゥカのサイドチェンジにオーバーラップした安西がワンタッチで折り返し土居が飛び込んだのは32分。これはなんとか防いだが決定機だった。


前半はそのまま0-0で折り返したが、セレッソとしては丸橋から縦に乾につけて乾が個人技でかわすか、ロングボールのセカンドボールがたまたまセレッソのCHが回収できるかのどちらかでしか攻め手が無い状態だった。


■オープンになる後半

両チーム交代なしで迎えた後半。前半の飲水タイム以降は厳しい展開になっていたセレッソは少し前に踏み込む決断をする。

CHとFWの距離が離れ過ぎていてロングボールのセカンドボールが拾えていなかったので前に行くしかなかったのだろう。

ただこれにより試合はオープンに。ボールが行ったり来たりという展開が増え始める。


すると56分に鹿島は3枚替えを決断。ファン・アラーノ、土居、アルトゥール・カイキに代えて和泉竜司、荒木遼太郎、上田綺世を投入する。

相馬監督とすればこの3人の投入は元々のプランにあったはずである。

ただハーフタイムではなくこの後半開始10分というタイミングを選んだのは鹿島の時間になってきたから。鹿島の時間とはオープンな展開。行ったり来たりの展開こそが球際の強さを発揮できるからである。


しかしここでセレッソが先制に成功する。

沖のロングキックを西尾が跳ね返すとそのボールが加藤の足下に。そこにピトゥカがプレスバックをかけるがそこにサポートに入ったのは原川。FWのところに原川がサポートに入れる時点で前半とはかなり違うことがわかる。

このボールを原川が持ち出し乾に届けると、乾が実に乾らしいタイミングのスルーパスで原川に。これを原川が上手く流し込みゴール。

セレッソが58分に先制に成功する。乾のこういうパスから香川やカイオが決めるのはよく見た。

それまで劣勢だったセレッソだったが、踏み込んだことで乾の個人技が爆発する状態を作ることに成功したとも言える。


先制後の63分にセレッソも3枚替え。大久保、加藤、乾に代えて西川潤、アダム・タガート、中島元彦を投入する。

西川とタガートの2人は得点前から準備していた。FW同士の入れ替えなので得点してもそのままGOである。中島に関しては準備はしていなかったが乾の負傷を受けてのもの。試合後も歩いていたがモモ裏を抑えているのでちょっと時間がかかるかもしれない。抑えていたところはほぼ尻だが、ハムストリングスとはあのあたりから太ももの裏にかけての筋肉のことである。


するとその直後の66分に鹿島が同点ゴール。

ゴールキックを跳ね返されての展開で三竿のサイドチェンジを和泉がコントロールして折り返したところに上田が飛び込みゴールを決める。

奥埜が寄せきれなかったとも言えるが、オープンになり行ったりきたりの展開になったことで逆サイドは正しいポジションを取れていなかった。


鹿島は76分に松村に代えて遠藤康を投入。遠藤が右SHに入り、和泉が左SHに。


もはや完全にオープンで球際で争う試合に。

80分に松田陸のパスから西川が抜け出すも沖がセーブ、さらに中島が詰めるも決められなかった。


すると81分に瀬古が上田を倒してしまいPK。靴紐に引っかかったそうなのでアンラッキーとも言えるがファールはファールである。

これを上田が決めて82分に鹿島が逆転に成功する。


84分に鹿島はピトゥカに代えてレオ・シルバを投入する盤石の交代。セレッソは85分に奥埜に代えて松田力を投入し原川の1CH西川をトップ下気味に置くビハインドの定番パターンに。


今の鹿島は最後まで割とオープンに付き合ってくれるので89分にはCKから西川が押し込む場面を作るもオフサイド。

結局最後までセレッソが攻め立てるもゴールは割れず1-2のまま試合終了。

セレッソ大阪は今季4度目の逆転負けを喫した。


■その他

決勝点は上田の靴ひもに瀬古の足が引っかかってのPKというアンラッキーなものだったが、後半は鹿島の土俵にのる形を選択したので、残念ではあるが妥当な結果とも言えるかもしれない。

試合をコントロールすることを目標とはしている様だが、上手くいかないときにどうするか。

これは連戦云々の話しではなくチームとしての考え方の話しである。

もう打つ手がなかったのかもしれないし、言い方を変えれば臨機応変とも言えるので、その決断が悪いわけではない。ただ、やはりそうするのかという印象である。このチームなら最終的にはそうするだろうなとも思っていたが。


前回も書いたように小菊監督には小菊監督の理想があるわけで、こういう試合になったときにオープンにすることを選択するならもう少し別の戦い方も必要なのかもしれない。


とはいえこれでようやく連戦も終了。

1週間に2試合ペースの日程ではコンディション維持も準備することも難しかったと思うので、ようやくここからが色々と出来る部分となるだろう。

乾の怪我は心配だが、まずはシーズンを折り返しのACL前に書いた目標を達成できるチームへと進んでいってほしい。


1 件のコメント :

  1. いつも勉強になるブログありがとうございます
    一点だけ、ここ最近松井謙弥選手が松井謙也になってます
    細かくてすみません

    返信削除

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