2021年9月24日金曜日

9/22 明治安田生命J1リーグ第32節 VS. サンフレッチェ広島 @ エディオンスタジアム広島


スタジアムエディオンスタジアム広島主審池内 明彦
入場者数3,905人副審西橋 勲、越智 新次
天候 / 気温 / 湿度晴 / 21.6℃ / 78%第4の審判員藤田 優
VAR家本 政明
AVAR武田 光晴

サンフレッチェ広島広島

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • 城福 浩
 
  • 監督
  • 小菊 昭雄

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き

(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催

<監督コメント>


<選手コメント>


ミッドウィークに行われた前倒し開催となる明治安田生命J1リーグ第32節。セレッソ大阪は敵地エディオンスタジアム広島でサンフレッチェ広島と対戦し0-1で勝利。公式戦の連敗を3で止めた。

■メンバー

サンフレッチェ広島のスターティングメンバーは前節から3人入れ替え。外れたのは青山敏弘、東俊希、柴崎晃誠で、茶島雄介、柏好文、浅野雄也が起用された。
中3日とは言え連戦で、しかも次節も中3日。3バックはなかなか代えられないが、ベテラン2人とここのところと、スタメンフル出場が続いていた東をベンチに回す選択をした。
そしてベンチには怪我で離脱していた森島司が復帰。8月27日の大分戦以来3週間半ぶりのベンチ入りとなる。

一方C大阪のスターティングメンバーは前節から5人入れ替え。外れたのは松田陸、丸橋祐介、藤田直之、山田寛人、西川潤で、松田陸、丸橋、藤田はベンチからも外れる完全休養。代わって進藤亮佑、小池裕太、原川力、坂元達裕、アダム・タガートが起用された。
前節ようやくベンチ入りとなった進藤は4月18日以来となる先発。そしてプロ入り初の右SBでの起用となる。

■広島の狙いと選手起用

試合としてはほとんどの時間帯でセレッソが優位に進めることになるが、キックオフ直後の時間帯はいくつか広島がチャンスを作っている。
広島が狙っていたのは浦和にもやられたDFラインの背後。
広島が3-4-2-1になってからは、シャドゥの1人には森島や森島負傷後は柴崎とボールを受けることができる選手を起用しており、シャドウのもう1人を仕掛けに特徴があるエゼキエウや飛び出しに特徴がある浅野が争う形になっていたが、もちろん連戦であるという部分もあるが、この試合でエゼキエウと浅野を同時起用したのは背後を狙うためだと思われる。

開始早々3分、4分、7分と広島は立て続けに背後を狙う形をみせ、最後の7分にはドウグラス・ヴィエイラがキム・ジンヒョンと1対1になる場面を作られている。

DFラインに横のスライドが加わった時にどうしてもリンクが切れてしまうようで、横にパスが出てボールが動いたタイミングでボールホルダーにアプローチがかかっていないと、ワンタッチで背後に出された時に簡単にCB間やCB-SB間を抜けられて背後を取られていることが多い。
7分の場面以降はそもそも広島がこういう形をほとんど作ることができなくなったので大きな問題にはならなかったが、浦和だけでなく浦項にも札幌にも狙われている箇所なのでおそらくここ今後も狙われる可能性が高い。ラインコントロールなのか、アプローチなのか、それともこういう形を作らせないようにするのか。どういう形であれ修正する必要があるだろう。

■広島のファーストディフェンス

ただ、こうして広島が背後を狙おうとしていた時間も含めてもペースを握っていたのはセレッソだった。
その要因となっていたのは広島の守備の1列目。前線の1トップ2シャドゥによる守備がほとんど機能していなかった。

4-4-2のセレッソに対して広島は5-2-3の陣形をとる。おそらく前線の3人で4バックを見ましょうということなのだろう。
しかしセレッソは左SBの小池がオートマチックに前に出る。それに対して右シャドゥの浅野がついていく。となると2CBと残りの前線2枚で2対2。セレッソが右SBの進藤にパスを出すとそこは完全に浮いている。イメージとしてはWBの藤井が前に出ればということなのかもしれないが、藤井は坂元とマッチアップしているいわゆるピン留め状態なので出ていくことはできない。

ならばとエゼキエウがスライドして進藤のところにアプローチに行くとセレッソは逆サイドにボールを動かしてまた同じような状況を作る。
ただ、柏がというかこちらのサイドの方がまだ前に出てWBがSBを捕まえに行こうとすることが多かった。

ただ、それならばと原川が瀬古と小池の間に入って前を向き、乾のフリックから小池が抜け出したのが21分のタガートのシュートの場面。
フィニッシュの場面こそ佐々木が身体を当てて粘りづよく対応することでタガートのシュートを枠に飛ばさせなかったが、セレッソは自陣から広島の選手に身体を当てられることなくゴール前までボールを届けることに成功している。
ただ広島のストロングポイントはこの3CBの対人の強さ。こうしてやられていても最終局面で身体をはって自由を与えないので失点数はリーグ6番目の成績を残すことができているのだろう。

■CH背後の使い方

そしてもう1つ、セレッソのボール保持で特徴的だったのはCHの後ろの使い方だった。
広島は基本的に人に向かって前へと守備をするチーム。なのでCHは相手のCHに食いつくし、WBも前へとアプローチに出る。
となるとどうしても守備陣系としては間延びしやすくなるのだが、あまりそれは気にしていない様子。5-4-1でリトリートする場合は別だが、それ以外に陣形をコンパクトにする何かがあるわけでもなく、そんなことは気にせずにCHはCHにどんどんアプローチをかける。CHにアプローチをかける方を優先しているとも言え、だからこそ3CBは対人に強い選手を揃えている。
なのでセレッソとしてはその強いCBに対抗するためにいかにCHの背後を使えるかがポイントとなるのだが、この使い方が面白かった。

セレッソが使ったのはサイドからのクサビのパス。最初に書いた様にビルドアップのところでセレッソが優位に立てていたので特に右サイドの進藤は比較的自由な状況だった。そしてこの進藤からFWに斜めのクサビを入れるのだが、興味深いのが必ず遠い方の選手に入れていること。通常斜めのクサビを入れるときは近い方の選手に入れることがほとんど。近いので入れやすいこともあるが、普通だとCHに引っ掛けられる可能性が高くなるからでもある。
しかし広島のCHはセレッソのCHに食いつくので、セレッソはCHが前に出ずに後ろに残っているとこのパスを入れるだけの角度を残すことができていた。
そして近い方のFWにクサビを入れると、マッチアップしている佐々木が問答無用でガツンと潰しに行くことができるのだが、遠い方の選手だとマッチアップしているのは野上で、野上が斜めに下がっていくFWに食いついてしまうと荒木と重なってしまうのでついていきにくい。なので野上は荒木にマークを受け渡す。
となると荒木が出てくるのだが、受け渡された分ここでFWには少しだけ時間の猶予ができる。
その猶予を使って受けたFWはワンタッチで荒木の背後にボールを流す、そして近い方のFWは荒木が前に出てきたことでできたギャップを狙って背後に飛び出す。これは一連の流れの速さとスムーズさから見てセレッソが明らかに準備してきた形だった。
これが9分のセレッソの決定機。手前が加藤、奥がタガートという関係で加藤が抜け出すことに成功。林の素晴らしい対応で防がれたが決定機を作っている。
27分には9分の場面とは加藤とタガートの立ち位置が逆なのだが、同じ様な形で背後を狙っている。

■5-4-1で守るしかない広島とセレッソの守備の修正

こうしていわば骨格を殴られる格好になっていた広島は前半途中からは5-2-3で前から守備をするのではなく5-4-1で守ることを余儀なくされる。
となるとセレッソは2CBで楽にボールが持てるようになり、初めて右SBに入った進藤もそこまでプレッシャーを受けることなくボールを持つことができるようになった。
進藤にとって大きかったのはこうしてあまりプレッシャーを受けなかったことと、前が坂元だったことだろう。
進藤は札幌で3バックの右をやっていたが、ミシャのやり方ではここの選手もどんどん攻撃に参加する。なので前に行くことに抵抗はない。
ただ、ミシャのやり方では「SB化して」とは書くものの3バックのサイドの選手はあくまで3人目の選手。前にはWGもいてシャドゥもいるので、普通のSBの様に幅をとるポジショニングなどといったことを考える必要はない。もちろん外にオーバーラップすることもあるが、それはそこが空いてるからで、役割としてはチャンスとなりそうなところに比較的自由に出ていくというものである。
この試合では先に書いたように比較的楽にボールを持てたし、さらに前では必要な時には坂元が幅をとるポジショニングをしてくれる。
なので進藤は札幌で3バックの右をやっていた時と同じ様に比較的自由に前に出ていくことができていた。
例えば後半開始早々の47分の場面では内側に入った坂元が倒されてファールを獲得するのだが、その直前に進藤はすごい勢いで上がってきてゴール前に行こうとしている。SBなら坂元が内側に入れば大外にいるべきでそこから幅をとる展開なども考えられるのだが、急に何故かゴール前に行くところなんかはまさにSBではなくミシャの3バックを経験した進藤って感じである。

また広島は5-4-1で守る様になったことでボール前進に苦労するようになる。
5-4-1の弱点としてよく言われるのがボールを運びにくくなること。どうしても前線で1トップが孤立するからだ。
なので広島はボールを奪い返してもセレッソのトランジションに圧倒され、そしてドウグラス・ヴィエイラは瀬古と西尾の2枚で対応されることでそこまでの時間が作れないという状況に陥っていた。それにはシャドゥにボールを受ける選手が入っていなかった影響もあったかもしれない。

そしてもう1つ。トランジション以外の局面ではセレッソの守り方も修正されていた。
浦和戦であれだけSHの裏CH脇を狙われたので当然だろう。

具体的に言えばSHのスタート位置が低くなった。もちろんプレッシングを仕掛けていてチャンスとあれば3バックに対する3人目として前に出ていくが基本は4-4-2でセット。広島の3バックに対しては原則2トップで対応。1人少ないけど2トップ頑張れである。
こうすることでもちろん広島もセーフティーにボールを持つだけならできる状態にはなるが、セレッソが簡単にスペースを使われてボールを運ばれるという場面が圧倒的に減った。
そしてここから先は4-4-2のブロックで対応。ブロックとプレスの関係を少しブロックよりにしたと言えるか。

ただ、実際にはこのブロックを作った時の両SBのポジショニングが結構怪しい場面が多くて、小池はポジショニングが定まらず、進藤は3バックの時の感覚なのか絞るところと出ていくところがはっきりしていない場面もあった。しかしそもそも広島が攻める機会もあまりなく、また相手を動かすようなボール保持もないので、セレッソがしっかり戻ってしまえば危ない場面につながることはなかった。

また広島は30分から35分の間に柏と藤井、WBの立ち位置を左右入れ替えている。
30分から35分と曖昧なのは、この時間帯はセレッソのセットプレーが続いて、なかなか広島がセットしてボールを持つ場面を作れていなかったから。そしてWBの左右を入れ替えた理由については、前に捕まえにいく守備の問題でなのか、奪ってから出ていく攻撃の問題でなのかはよくわからなかった。というのも入れ替えたところで状況があまり変わらなかったからである。

■待望の先制点

前半はセレッソが完全にペースを握っていたが、5-4-1で人数をかける広島の守備はなかなか崩しきれず。ただCKを含めたセットプレーを何本も獲得しているので、最悪セットプレーでなんとかできればという展開だった。

両チーム交代なしで入った後半。広島はシャドゥがSBを前で捕まえようと修正した感じ。ただうまくは行っていないので5-4-1でもOKという判断だったと思う。そしてボールを奪った瞬間は逆サイドのシャドゥが中央に早く入って1トップをサポートしようとしていた。

ただ、やはりセレッソのペースは変わらず。後半最初のゴールキックでキム・ジンヒョンから中盤のサイドにいる進藤にロングボールを当てるという形を見せるが、これは進藤がSBに入るときのメリットの1つだろう。昨季までなら片山がSBに入った時によくやっていた形で、SBにあのサイズの選手を置けると空中戦では圧倒できる。過去に当時浦和の橋岡が空中戦で勝ちまくっていた形でもある。

ここで進藤が勝てるので、そのバリエーションでキム・ジンヒョンから坂元の足元にゴールキックでパスをつけたのが54分。ここから1本のパスで乾が抜け出すも野上がなんとかブロック。そしてそのこぼれ球から小池がサイドをえぐっての折り返しを乾が狙うも今度は佐々木がブロック。しかしさらにこのこぼれ球からの展開で原川にボールが入った時に進藤がスルスルとゴール前に。広島は3バックが完全にボールサイドによって2トップをケアしていたので逆サイドでは柏が坂元と進藤に対して2対1の状態。しかも原川には全く寄せられておらずフリーで顔を上げているので柏は進藤を認識しながらもよりゴールに近い坂元の動き出しについていかざるを得ない。その結果、原川は外側の進藤を選択。そして原川からのボールを進藤が胸で坂元に落とすと坂元の反転は少しコントロールがブレるが、その隙をついて進藤が左足を振り抜きゴール。柏もGKの林もどうしようもなかった。
ということで55分にセレッソがついに先制に成功する。

■逃げ切りに成功


広島は失点直後の56分に3枚替え。ハイネル、藤井、エゼキエウに代えて青山敏弘、東俊希、柴崎晃誠を投入する。
このタイミングで3枚替えということは失点直後から準備はしていたのだろう。ハーフタイムに修正して後半入ってみたもののあまりうまく行ってなかったからだと思われる。
そしてセレッソも62分にタガートに代えて山田寛人を投入。タガートはゴールこそなかったがまずまずの出来だった。

広島はシャドゥにボールを受けられる柴崎が入ったことでボールを運ぶ回数は増えたが、そうなるとセレッソはブロックで対抗。広島はここまでうまくいっていなかったこと、そしてビハインドの状況であることの影響もあるのだろうが自らのやりたいことをゴールに向かってやるばっかりなのでセレッソの守備がそこまで困るような状況になることはなかった。
例えば昨季後半の広島の様にサイドからずらしていくような展開をされるとセレッソはSBのポジショニングが不安定なこともあって嫌だったと思うのだが、そういう余裕はなかったのだろう。
時々カウンターに出ることができていたのもセレッソが楽になっていた要因かもしれない。

71分に広島はドウグラス・ヴィエイラに代えてジュニール・サントスを投入。さらに76分には柏に代えて森島司を投入し茶島が右WB、柴崎がCHに移動。セレッソは81分に乾と加藤に代えて高木俊幸と大久保嘉人を投入。さらに90+4分には坂元に代えて西川潤を投入。

森島投入直前には荒木が足首を痛めた様で心配されたが、無事にプレーに復帰。
そしてセレッソは最後まで広島にペースを握らせない。前回の対戦でとんでもない馬力ある推進力を見せられたのでジュニール・サントスが狭いエリアで後ろ向きでポストプレーしているのが勿体無くて仕方ないのだが、広島としてはやはり前で収めてもらって後ろが流動的にというのが理想なのだろう。
そして87分には浅野がゴールネットを揺らす場面があるもオフサイド。小池のポジショニングが悪かったのでギリギリになったが、動き出すタイミングがかなり早かったので印象的には普通にオフサイドだった。
あとVARでOFRがなかったのはオフサイドはファクトチェックだから。出てるか出ていないかだけの問題なので映像が答え。主審がチェックする必要がないからである。

試合はそのまま終了。アウェイのセレッソが0−1で勝利となり、セレッソの連敗がストップした。

■その他

スコアは1点差だったが内容的には狙い通りの勝利だった。
できれば追加点が欲しかったが、後ろ3枚の強さで守れるのが広島の強さと言えるのかもしれない。

そして初めて右SBで起用された進藤だが、危なっかしいところはあったものの、右SBは松田陸のほかに選手がいないポジションなのでここを進藤ができると非常に大きい。守備時のポジショニングには早急に改善が必要だが、そこさえよくなれば、というかSBとしてのポジショニングを覚えれば、前に坂元が入った時にはSBとして起用できそうかなとも感じた。
坂元が前ならボール保持では左方上げになる時間帯も多いので、それであれば進藤の慣れ親しんだ3バックの右に近い感覚でプレーができる。

そして小菊監督になって久々の勝利となるが、小菊監督はゲームコントロールという言葉をよく使い、昨季までの慣れ親しんだロティーナのやり方に近い部分もあるが、やはりリスクに対してやコントロールするということ、そしてどこまで踏み込むかなどの感覚が違う部分も見えてきたと感じている。もちろん別の人間だし、考え方も違うので当然。今はまだ連戦中なので今後どうなるかわからないが、このあたりが小菊監督の色かな?とは感じている。



1 件のコメント :

  1. お疲れ様です。
    小菊さんのリスク管理についてはロティーナとの違いがああるとのことでした。
    私もその点は感じています。
    ロティーナであればセットディフェンスであれば、CF2人は直進されないようCHへのコースを切り外へ外へと回させる。ミドルサードまではコースを限定しながら相手のミスを誘って引っかけさせて取り返す機会を狙いディフェンシブサードでは中央を閉めてクロス上等で跳ね返す、基本的に立ち位置での優位性を常にとるイメージ。ネガトラ時の守備も同様だがカウンターなどの場合は持ち場に戻るまで時間がかかることもありコースを切りながらミドルサードまででブロックが追いついていなければファウルも厭わないといったイメージでした。以前仰っていたようにプレスに行っても取り切るというよりコースを切ったり時間をかけさせる要素が強い。
    小菊さんの場合は近いものはあるがよりプレスに行く、取り切ろうとするようなイメージがあるようにも思います。ヨニッチが居なくなって高さこそチアゴはそこまで変わらないものの、対人守備でどうしても食いついて入れ替わられる場面が多かったり、西尾は経験面や戦術的な意味でも去年トップを経験していなかったこと、ボランチのところと守備での立ち回りがまだ整備しきれていないこと、ハイラインの裏へ一本化入れられるのを警戒して、なかなか整備されない攻撃の戦術を前で取り切ることで局面の有利を作って補いたいと考えているなどいろんな意図や可能性はあるとは思うんですがまたどこかで触れていただければありがたいです。

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