スタジアム | ヨドコウ桜スタジアム | 主審 | 福島 孝一郎 |
入場者数 | 4,205人 | 副審 | 武田 光晴、日比野 真 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 30.7℃ / 60% | 第4の審判員 | 中井 敏博 |
VAR | 山本 雄大 | ||
AVAR | 川崎 秋仁 |
メンバー
C大阪
G大阪
- 監督
- 小菊 昭雄
- 監督
- 松波 正信
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催
<監督コメント>
<選手コメント>
リーグ戦から中3日で行われるYBCルヴァンカッププライムステージ準々決勝ファーストレグ、ガンバ大阪との大阪ダービー3連戦の2試合目は0-1で敗戦。日曜日のアウェイでのセカンドレグに1点ビハインドで臨むこととなった。
■YBCルヴァンカップ2021
YBCルヴァンカップとの名称でお馴染みの日本3大タイトルのうちの1つであるJリーグカップ。ヤマザキナビスコ社からヤマザキビスケット社への社名変更により2016年以降は大会名称が変更になったが同一企業のスポンサーによる世界最長のカップ戦としてギネス世界記録にも認定されている。
セレッソ大阪はAFCチャンピオンズリーグ参加によりプライムステージ(決勝トーナメント準々決勝以降)からの出場。準々決勝・準決勝はアウェイゴールが採用されたH&A方式で争われ、決勝は2021年10月30日に埼玉スタジアム2002で行われる。
アウェイゴールが採用されたH&A方式とは、勝敗は2試合合計の勝利数または通算スコア(アグリゲイトスコア)で決するも、2試合通算の得点が両チームで同じになった場合アウェイでのゴールの多い方が勝ち抜けとなるルールのこと。
例えばA対Bの対戦で、第1戦(ファーストレグ)がAのホーム、第2戦(セカンドレグ)がBのホームで試合が行われ、第1戦が0-0、第2戦が1-1となった場合、2引き分け、通算スコア(アグリゲイトスコア)は1-1の同点となるが、Aのアウェイゴールは1(第2戦での得点)、Bのアウェイゴールは0(第1戦で得点なし)となるため、次のステージに勝ち進むのはAとなる。
また2試合ともに1-1でアグリゲイトスコア2-2、アウェイゴールもともに1ずつで差がつかなかった場合は、第2戦終了後に前後半15分ずつの延長戦を行い(延長戦でのアウェイゴールルールはなし)、それでも決着がつかない場合はPK戦に持ち込まれる。
このアウェイゴール方式はそもそもアウェイチームにも積極的に攻めてほしいという趣旨ではじまったのだと思われるが、1点の重みがホームとアウェイでは異なるので、ホームゲームではいかに試合を殺してロースコアに持ち込むか、アウェイゲームではいかに試合を動かすかという形に変化してきている。
その影響もあってかUEFAでは2021-22シーズンからUEFA主催の大会ではアウェイゴール方式は廃止されることとなっている。
■メンバー
セレッソ大阪のスターティングメンバーは、同じカードだったリーグ戦前節から8人を入れ替え。残ったのはキム・ジンヒョン、西尾隆矢、原川力の3人で、主力を大幅に休ませるターンオーバーを採用した。
この3人以外のリーグ戦先発回数を見ると、最多はチアゴの12試合、続いて高木俊幸の3、松田力と中島元彦の1、鳥海晃司、小池裕太、喜田陽、山田寛人は0である。
布陣はJリーグ公式ではなぜか4-3-3で書かれているが普通に4-4-2だった。
一方でガンバ大阪のスターティングメンバーも、同じカードだったリーグ戦前節から8人を入れ替え。残ったのは東口順昭、昌子源、矢島慎也の3人のみだった。
ただしガンバは連戦中と負傷の影響で前節もメンバーを入れ替えていたので、代わって入った選手のリーグ戦先発回数を見ると、三浦弦太23、宇佐美貴史18、小野瀬康介17、黒川圭介15、井手口陽介14、パトリック12、菅沼駿哉9、小野裕二1となる。
また布陣は前節は4-4-2に変更してきたが、布陣はJリーグ公式では3-1-4-2になっているものの従来通りの3-4-2-1に戻していた。
■どこからボールを運ぶのか
メンバーのところにも書いたが、この日の布陣はセレッソが4-4-2、ガンバが3-4-2-1。これまでと異なるのはセレッソの右SBには西尾が入り喜田はCH、ガンバは矢島がCHに入り宇佐美が右シャドゥ、小野が左シャドゥというところか。
試合開始早々に両チーム共セットプレーでペナルティエリア内にボールを入れる場面を作るが、試合の立ち上がりはややガンバペースだったか。
そうなった要因はセレッソがビルドアップで少し手を焼いていたからだった。
セレッソのボール保持に対して5-2-3でセットするガンバ。セレッソとしては1トップに対して2CBなので数的有利になっているCBのところからCHにパスをつけたいのだが、ガンバもそこを十分警戒していて原川と喜田には井手口と矢島が常にケアしている。
なのでセレッソは徐々に喜田が最終ラインに降りて3バック化をするが、これだと単に後ろに人数が増えただけ。例えば右SBに出そうとしてもシャドゥの小野が対応しているし、逆サイドに大きく展開してもここには後ろからWBが出てくる。
その結果結局長いボールを蹴るしかなくなりそれをガンバが回収するという展開に。
そしてなんとか中盤につけようとSHに出しても、そこにはガンバが迎撃型で対応するのでボールを奪い返され、そしてボールを奪い返されると一気に逆サイドに展開してフォーメーションのミスマッチを活用する。
ガンバもチャンスを作っていたわけではないが、ガンバが前節とは違う布陣なのでそれに対してセレッソは思うようにボールを運べず、そして奪われて攻められるという展開だったので少し嫌な流れではあった。
■みなさんがボールを運べるまで12分かかりました
ガンバの5-2-3に対してようやくボールの運び方を見つけたのが画面表示の時計で12分になる少し前。
CBの間に降りた喜田がパトリックの脇からドリブルでボールを運ぶと、宇佐美もここに行っていいのかどうかがわからずプレッシャーがかからないのでガンバがずるずると下がるしかなくなる。
そしてフリーの喜田からDFラインの背後に走る松田力へのパス。このパスが出たのがちょうど画面の時計でちょうど12分。
そしてこれがあるとCBのパスも入るのでチアゴからのパスを松田力が落として中島、そして山田がシュートに持ち込む13分の場面が訪れる。
最終ラインのビルドアップからボールを運ぶというのは相手の出方を見て判断してという形になるのだが、立ち上がりの感じからすると12分はちょっと時間がかかりすぎかな?というところ。とはいえ解決策を見出しているのは良かったと思う。
■誰かがどこかで頑張らないといけないガンバのボール保持
一方ガンバのボール保持は、セレッソの4-4-2に対して3-4-2-1で立っているのだが、なかなか最終ラインの3だけでセレッソの2の後ろにボールを運べない。なので矢島が2トップの間に立ったり、最終ラインに降りたりするのだがそれでも4-4-2の中にはボールを入れられないのでサイドに展開。セレッソの守備は基本的に中を閉めているのでサイドではボールを前進できるがそこから先がない。
なのでサイドで個人がなんとかしなければいけない状態。WBやシャドゥが流れてボールを受けて個人での打開を狙うもなかなかうまくいかず。また例え目の前の1人をかわしても次に他の選手もいるのでそこで詰まってしまうという状態になっていた。
前節にも書いたが、セレッソはまず選手にとって馴染み深い形ということで昨季までのロティーナのコンセプトに近い守り方をしているので、積極的にボールにアタックに行くというわけではない分ガンバもある程度ボールを持てるのだがチャンスには程遠く、スカパーの表記では前半のシュート数は0本。最初のシュートに58分(井手口のシュート)までかかっている。
■アタッキングサードでどうするか
こうして15分以降は完全にセレッソがペースを握る展開となったが、それ故にセレッソの今の課題も感じるようになる。
前半で6本のシュート(内3本が枠内シュート)を放っていたセレッソだったが、チャンスだったのは21分の中島のシュートのようにカウンター気味になった場面ぐらい。あとはボールを運ぶことはできているもののアタッキングサードで攻めあぐねるという場面が多かった。
というのも、後ろから丁寧に繋いで行くということはどうしても攻撃に時間がかかる。となるとガンバの最終ライン、特に能力の高い3CBはゴール前に戻ることができている。そこをセレッソが動かすような形は作れていなかったからだ。
特にこのサッカーはできるだけ整理できた状態、秩序の中で試合を進めたい、それが守備の安定にもつながっている、という考え方なので、前線でごちゃごちゃっとしたカオス状態はあまり作らない。なので相手にとってもスクランブル状態になりにくい。
これはロティーナの初期にもよく見られた状態である。
ロティーナのチームではそれを打破するために、自分たちのストロングポイントはどこにあり、相手のどこにボールを届けて相手の誰を動かすかまで詰め、再現性の鬼みたいなチームに持っていったが、今のチームにそれはまだ見えない。
ロティーナのやり方をそのまま採用するのかどうかはわからないが、秩序を保ったまま試合を進めるにあたってアタッキングサードは前線のコンビネーションとアイデアに頼りますという形ではなかなか難しいだろう。
例えば期待の若手である中島にしてもボールを持った時には光る物を見せるし、走ることもできる選手ではあるが、この試合の段階では立ち位置で優位性を作ることができているわけでもなく、またチームとしても例えば中島の左右のキックを活かすにはどうするかという形は見えない。(もちろんそれは中島でなく別の選手の何かでもいい)
先にも書いたようにロティーナのやり方をそのままコピーしなくてもいいし、例えば鳥栖のように相手のブロックの中に入る人数を増やすというやり方でもいいし、それ以外の全く別のやり方でもいいが、アタッキングサードでどうするかがない限り、今のやり方だとなかなか得点が課題になりそうだなと感じさせた。
■試合を動かすのか動かさないのか
前半の終盤あたりから小野が1つ落ちて宇佐美とパトリックの2トップに中盤を矢島、井手口、小野の3CHの3-1-4-2になる時間が見られていたが、後半開始からははっきりと布陣を変更する。
しかし試合展開は変わらず。松波監督によるとCBにプレッシャーをかけられていなかったからとのことだが、セレッソは相手の動きを見てやっているのでそこまで大きな影響はない。
最初に動いたのはセレッソ、62分に中島と松田力に代えて坂元達裕と加藤陸次樹を投入する。その5分後の67にはガンバも小野瀬と宇佐美に代えて柳澤亘と山見大登選手を投入。
そしてセレッソは73分に高木と山田に代えて、為田大貴と大久保嘉人を投入。ガンバは78分に矢島、小野、パトリックに代えて山本悠樹、倉田秋、レアンドロ・ペレイラを投入する。
セレッソとしては優位に試合は進めることができているので、どこかで1点がほしいがなかなか届かないという状態なので選手を入れ替える。一方のガンバは何かを起こすしかないので78分の段階で交代枠を全て使い切る。
83分にセレッソは喜田に代えて藤田直之を投入。
セレッソがもし得点を狙いに行くなら西尾に代えて松田陸だったとは思うが、そうなると最終ラインの高さがなくなるので失点のリスクは増える。なので0-0でもOK、もしかしたらカウンターや個人でこじ開けるかもしれないという考え方であれば試合のオーガナイズをキープするための藤田というのは理解できる。
ただ、このあたりからセレッソはちょっとずつ怪しくなっていた。その1つが為田と小池の左サイドが秩序から逸脱する場面がちょくちょく見られたこと。為田にすればチャンスでもあるし、得点に繋げるには相手を混乱させたい。秩序の中でどれだけ踏み込めるかというのが選手のチャレンジでもある。72分の坂元が見せた突破なんかは個人でチャレンジしたケースの1つだろう。なのでわかるんだけど結果的にはそれが裏目に出ることになった。
三浦から井手口へのパスに対して小池が食いつくが奪えずボールは柳澤へ。小池はそこに2度追いするも間に合わずグラウンダーのクロスは山見選手へ。それを山見選手が鮮やかに決めてゴール。
ガンバはこの試合3本目のシュートで89分に先制する。
シュート自体が素晴らしいものだったのは間違いないが、小池が無駄に食いついたことでスペースを作って相手の攻撃のスピードを上げてしまう結果となった。
試合終盤で、小池も出場機会が多いわけでもなく90分間プレーする機会はほとんどないのかなりの疲労があっただろうし、仕方がないのかもしれないが、オーガナイズを崩してしまったことでチャンスを与え、それを決められたという形である。
ワンチャンスを決め切ったのは素晴らしいが、オーガナイズを崩していたのはこれが初めてではない。
アディショナルタイムの4分も含めセレッソは最後まで得点を狙うもそのまま試合終了。
ホームでのファーストレグは0-1で敗れる形となった。
■その他
結果自体は残念なものだったが、内容としては上々だったと思う。
課題も出てきたが、これまでがかなり苦しかったのでそもそも課題が出てきたこと自体がポジティブだとも言える。
そして勝ち抜くためにセカンドレグでは勝利はもちろん2得点以上が必要となった。
2点を取るためにどうするのか。おそらくこのセカンドレグから乾は起用できるので使うのかどうか、そして今回休ませた選手を戻すのかどうかも含めて注目したい。
0 件のコメント :
コメントを投稿