2021年9月22日 19時00分:エディオンスタジアム広島
予想スタメン |
13連戦の12試合目として行われる明治安田生命J1リーグ第32節。セレッソ大阪は敵地エディオンスタジアム広島でサンフレッチェ広島と対戦。第32節は本来10月16、17日に行われるカードだが、ACLの準々決勝以降の日程の関係上、ラウンド16に進出した3チームは前倒しでミッドウィークの9月22日に対戦する。
■前回の対戦
前回の対戦は5月23日に行われた第15節、今季ヤンマースタジアム長居で行われる最後の試合だったが、大阪では3回目の緊急事態宣言が5月末まで延長されており無観客試合として開催された。
前回対戦時のスターティングメンバー |
両チームのスターティングメンバーは上記。
セレッソの布陣は4-2-3-1。直近の神戸戦では加藤と豊川の2トップによる4-4-2でスタートしたが、後半途中から高木を投入し4-2-3-1に変えた後にゴールを奪っているので、そこからの継続という形。そして左SBには新井直人が起用されている。
一方の広島の布陣は3-4-2-1。今季は開幕から4バックを採用し序盤は引き分けが多かったものの開幕から8試合負けなしと結果を残していたが4月に入るとピタッと勝てなくなった。
その結果この試合から昨季までの3-4-2-1に戻すという決断を下している。
序盤の試合展開はどちらもピリッとしない内容だった。
広島はシャドゥの選手が外に開いてビルドアップの出口となりWBを高い位置に出していたが、そこから先が無い。今季加入のジュニオール・サントスもまだあまりチームにフィットしていないのか孤立気味となっていた。
一方のセレッソは右利きの新井直人が左SBに入ったことで、左の大外レーンに高木、内側に新井直人と棲み分けはできていたのでトップ下の清武が下がりすぎることもなく左サイドでは比較的スムーズにボールを保持することができていたが、5枚で守る広島のDFラインに対して仕掛ける場面はほとんどなし。また左サイドはレーンが整理され人数をかけることでボールは持てていたものの、その分右サイドはどうしても人数が少ない。しかもその状態から例えば坂元に1対1を仕掛けさせるような仕組みもないので、できることといえば坂元が内側に入って相手の左WBを引っ張って大外に松田陸をオーバーラップさせるぐらい。
しかしそこからのクロスは広島の屈強な3バックにことごとく跳ね返され続けた。
なので両チームにとって可能性があったのはカウンターかセットプレーか。しかしいくつかあったチャンスにどちらも決められず。なのでピリッとしない内容だった。
試合が動いたのは後半、そしてセットプレー。
先制したのはセレッソ。後半開始早々に獲得したCKからこぼれ球を奥埜が詰めてゴール。奥埜のマークをしていた川辺が邪魔になってしまい大迫が弾くことが出来ず、そのこぼれ球を詰められるという、マンツーマンで守る広島にとってはどうしようもない形だった。
しかしその直後に広島が同点ゴール。これもCKからで、野上がニアでフリックしファーでジュニオール・サントスが押し込むという形。ACLでもやられたがゾーンで守るセレッソにとっては守りにくい形だった。
1-1となってからはセレッソが守備のスタート位置を前にすることで広島を押し込む場面が増えるが、セレッソのネガティブトランジションの設計が全くできていないので、逆に広島はカウンターで運ぶ場面も増えるというオープンな展開に。
この状況から決勝点を奪ったのは広島。セレッソが押し込んで獲得したFKから瀬古がシュートを放つも荒木が身体にあててブロック。そこから広島のカウンターが発動し、ジュニオール・サントスのパワフルなドリブルから最後は浅野が決めてゴール。
荒木のブロックが手にあたっているようにも見えたのでハンドかどうか、VARチェックで7分にも及ぶ中断があったが、最終的にはハンドだという確証が得られなかったということでノーハンド。浅野のゴールが認められた。
ビハインドとなったセレッソはさらに前がかりになるもゴールは決められず試合終了。1-2で広島の勝利に終わっている。
■現在のサンフレッチェ広島
前回の対戦で3-4-2-1に戻した広島は以降もそのシステムが定着。結局昨季までの形に戻した。
前回のプレビューでも書いた記憶があるが、おそらく城福監督としては前から守備をしてショートカウンターの形を増やしたいという狙いがあって、それをやるには昨季までの3-4-2-1だと2シャドゥとWBにめちゃくちゃ負担がかかるからだったのではないかと思うが、対人に強いCB陣とフラフラり前に行きたがる青山、さらにはシャドゥの人選とそれ以外の要素は3-4-2-1に適していると思うので、昨季までの形にもどしたのはある種必然だったんじゃないかと思う。
ただ、昨季までの形に戻して結果が出ているかというとそういうわけでもない。
前節は柏に3-0で快勝、4試合前の第27節には大分に4-1で快勝。もっといえば第25節に川崎Fに1-1で引き分けたりもしているが、前回対戦からのリーグ戦12試合で3勝6分3敗。これが今の広島のスタンダートだと言ってしまえばそうなんだろうが、得点を奪えず勝ち点を取り切れていない試合が多い。この12試合で複数得点を記録したのは3試合のみである。
そうなっている要因はいくつかあるが、その1つにはこの夏でチームの中心選手だった川辺駿がスイスのグラスホッパーに移籍したことだろう。
これにあたってセレッソに期限付きで加入していた松本が広島に復帰することになったが、川辺の後釜にはいったのはそれまで右WBに入ることが多かったハイネル。ハイネルはそれまでも何度かCHでプレーしていたこともあったが、川辺がチームを離れてからはCHのレギュラーポジションを掴んでいる。
傍から見るとちょっと意外な人選だが、どうしても青山が中盤にどっしりというよりもフラフラっと由に動くのと、前線も自由度が高くよくいえば流動的なので前後左右に広くプレーできる選手を起きたいという部分があるのだろう。
そして得点源として期待されたジュニオール・サントスはまだやはりあまりチームにはフィットしていない。
前回対戦でも強烈な推進力を見せたようにおそらくジュニオール・サントスを活かすにはロングカウンター気味の形を増やしたほうが良いように感じるが、城福監督はあくまで前線からのプレッシング、ショートカウンター、流動的をやりたいのだと思われる。
しかし、前節は1トップに起用されたドウグラス・ヴィエイラがハットトリックを達成。
ドウグラス・ヴィエイラは爆発力という面ではそんなに沢山の得点を奪うタイプではないが、後ろ向きでもプレーできるので広島の戦い方に対応できる。ここのところは連続で先発しており、ポジションを掴んでいる。
そしてもう1つがけが人も多いこと。
永井龍を筆頭に鮎川峻、土肥航大が離脱中。森島司は先週チーム練習に部分合流したという報道はあったが、まだ試合ではプレーできていない。
チームの戦い方としては、前線からのプレッシングによるショートカウンター、そしてシャドゥやWBまでもが同サイドに集まることのある前線の流動性。そして遅攻になれば3バックの選手までもが積極的に攻撃に絡んでくる人数のかけ方と後ろの対人の強さがベースになっているチームであることは変わっていない。
ただ、これまでは相手にもボールをもたせたりして後ろに下がる選択をすることもあったが、オリンピック中断あけ以降はラインを高くあげてボールを保持しながら敵陣でプレーする時間をできるだけ長くしようとしている様子も伺える。
■予想スタメン
ミッドウィークの試合ということで両チームともに連戦となるこの試合。
ただ両チーム共に前節が土曜日ということで前節からは中3日。中2日に比べるとかなりマシである。
ということでサンフレッチェ広島の予想スタメンだが、ほぼ前節のメンバーがそのまま起用されるのではないかと思われる。なのでGKも前節に引き続き林卓人。3-0で勝利しているので大迫に戻すということは無いだろう。
けが人もおそらくまだ。変わるとすればWBに柏好文を起用して東をシャドゥに上げる、もしくは浅野雄也を起用するという形だがどうするか。
一方のセレッソ大阪の予想スタメンだが、こちらは連戦中ということで多少の入れ替わりはあるだろう。ただ変えられないポジションも結構あって、GKやDFラインはそのまま。乾貴士も前節同様に速い時間帯での途中交代を視野にいれながらになるだろうが、引き続き先発する可能性が高そうだ。
日程的にはチアゴや前節ベンチに復帰した進藤亮佑、さらには鳥海晃司を使いたい場面ではあるが。
■プレッシングを回避しCHの背後を狙え
試合展開としては、やはり広島は前線からのプレッシングをしかけてくる可能性が高い。
これに対してセレッソがどうボールを保持するか。
このところボールを運ぶ形を見つけるのに時間がかかっていることが多いので、そこを早く見極めること。そしてそれまでに失点してしまわないことが大切である。
狙いたいのはCHの背後。広島のCHは前に食いついてくるのでその背後にボールを落としたい。普段から清武がやっているプレーなので清武がいれば一番良いが負傷中。FWが下がってくるとCBが必ず食いついてくるので、FWではなく中盤でここを取りたい。
もう1つ狙いたいのははDFライン背後への裏抜け。
広島の3バックは全員対人がめちゃくちゃ強い。
なので単純なロングボールや単純な足下へのクサビのパスなら潰されてしまう。
そのためのも背後のスペースを使うこと。ここで受けることができれば最高。そしてたとえ出せなくても、背後を狙うことでCHとDFラインの間、つまりCHの背後を使いやすくなる。
また広島は同サイドに人数をかけることも多いので、非保持では同サイド圧縮を狙いたくなるが、昨季もそうだったように結構逆サイドに展開するのも上手い。
なので逆サイドのSHはそこを常に意識しておくこと。最悪SBの外側まで下がる形になっても構わない。4バックは間を広げず、逆サイドのSBは大外をSHにまかせるぐらいでもいい。
長期連戦中で、3連敗中と厳しい試合が続いているが、広島も尖っているとはいえ札幌ほどではなく、さらに浦和の様に洗練されているわけでも無いので勝負できるポイントはいくつかあるはず。
何とか勝ち点を奪って、流れを取り戻したい。
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