2021年3月15日月曜日

3/14 明治安田生命J1リーグ第4節 VS. 横浜FC @ ニッパツ三ツ沢球技場


スタジアムニッパツ三ツ沢球技場主審笠原 寛貴
入場者数2,857人副審聳城 巧、大川 直也
天候 / 気温 / 湿度雨のち曇 / 11.1℃ / 90%第4の審判員田中 玲匡
VAR木村 博之
AVAR岡野 宇広

横浜FC横浜FC

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • 下平 隆宏
 
  • 監督
  • レヴィー クルピ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催

雷雨のため117分遅延


<監督コメント>


<選手コメント>


前日の夜に大阪に豪雨と強風をもたらせた雨雲が、試合当日に横浜を襲ったためキックオフ時間が2時間遅れとなった明治安田生命J1リーグ第4節、横浜FC対セレッソ大阪の一戦は大久保嘉人のJ1通算190得点目を含む4点を奪ったセレッソ大阪が勝利。アウェイ初勝利で連勝を飾った。

■メンバー

横浜FCのスターティングメンバーは前節から8人入れ替え。残ったのは左サイドの松尾佑介と高木友也、GK南雄太のみで大きく選手を入れ替えた。とはいえ横浜FCは元々ターンオーバーで選手を入れ替えながら戦うチームなのでそれほど大きな驚きはない。
前線にはクレーべと齋藤功佑、右サイドにはジャーメイン良、CHには手塚康平と瀬古樹、CBには伊野波雅彦と袴田裕太郎、右SBにはマギーニョが入る。
今季リーグ戦で初めて先発から外れた小川慶治朗はベンチスタート。また大型補強したストライカー、伊藤翔、渡邉千真もベンチからとなっている。

一方セレッソ大阪のスターティングメンバーは前節と全く同じ11人。こちらは基本的にスタメン組、控え組という序列のつけ方をするチームなので、プレーするのに問題ない状況であれば中2日であろうがあまり関係はない。
入れ替わったのはベンチの1人のみで、小池裕太から新井直人へ、新井は移籍後初のベンチ入りとなった。
この交代は小池が左SB専門であることに対して新井は両サイドでプレーできるというのが大きいのだろう。とはいえ新井はまだトレーニングマッチでも90分プレーしていない段階なのでクルピクルピ監督の評価の高さも窺える。

■田んぼサッカー

降り続いた豪雨によりピッチのあちこちに水溜りができている状態での試合開始。いわゆる田んぼサッカーというやつである。
試合はセレッソボールのキックオフで始まったが、セレッソもそれを踏まえてキックオフから一気にサイドの深い位置へ蹴り込む。普通はロングキックを蹴る時でもターゲットとなりえる選手が上がるのを待って蹴るのが、水溜りでボールが止まる可能性があるのでそんなことはお構いなし。とりあえず蹴り込むという形で始まった。

このファーストプレーからもわかる様に両チーム共に長いボールを蹴り合う回数が増える。
そんな中で最初にチャンスを迎えたのは横浜FC。6分にジャーメイン良のクロスにクレーべが合わせるも枠外。水溜りのピッチはボールが止まることとボールが滑ることがどちらも起こり得て、どちらになるかはなってみないとわからないという状態なので、クレーべもうまく合わせられなかった。
そして11分にはセレッソにチャンス。スローインから割って入る中でのこぼれ球を豊川がダイレクトで狙うも南がセーブする。

こういったピッチコンディションでの試合は、普段以上に運に左右される幅が大きいためそこをクローズアップされることも多いが、実際にはそれ以上に大きく差ができるのは選手個々の技術。中継で前大宮監督の高木琢也さんも触れていたが、ボールの状態が安定していないにもかかわらず味方選手にボールを当てられるセレッソと、どうしてもスペースに向かって蹴る形がほとんどとなってしまう横浜FCとの違いは大きく、それが敵陣への侵入回数の差にもつながっていた。もちろんスペースに蹴ってもボールが止まったりもするのでチャンスになることもあるが、蹴ってしまうとボールを失う確率も高い。それに対して味方にボールを当ててそこで収まればボールも失いにくい。その違いである。

そんな中で25分にセレッソが先制点。
原川がアーリークロス気味のボールをゴール前に向かって蹴り込むと、そのボールがブロックに入った齋藤にあたって高く浮き上がる。
このボールに豊川が反応すると風に流されたのか出てこようとした南と袴田が交錯し豊川の頭にあたったボールがゴールイン。
豊川の今季初ゴールでセレッソが先制する。プレシーズンから得点を量産していた豊川にとってはようやくの一発となった。
これで横浜FCは開幕から4試合続けて前半に先制点を奪われるという展開である。

横浜FCにとっては不運なアクシデント的な部分もある失点だが、ボールを持っている時間の差が出たとも言える。
前半セレッソのボール保持率は55%。セレッソのパス本数が187本で成功率59%、横浜FCのパス本数が130本で成功率45%。パス成功率59%というのは通常ではあり得ないほど低いし、パス本数も1試合を通じてのリーグ平均が490.4本だということを考えると、この試合がどんな試合だったかというのがわかるかと思うが、その中でも両チーム間にこれだけの差があったというのが、両チームの違いを表しているのではないだろうか。
ちなみにこれまでの平均パス数ではセレッソの441.0本/試合に対して横浜FCは463.0本/試合。横浜FCの方がパスを繋ぐ戦い方を好むチームである。

この得点の後すぐに飲水タイムになり、その後のプレーから横浜FCはジャーメイン良と齋藤の立ち位置を入れ替え。
ジャーメイン良がクレーべと2トップになり齋藤は右サイドにでる。
これはピッチコンディションを考えてのもので、このコンディションであればトップ下的なプレーになる齋藤がボールを持つという形はなかなか作れない。それであれば高さもあり前への仕事もできるジャーメインをゴール近くに置いた方が良いという判断だったのだろう。

しかし前半はそのまま終了。雨足が徐々に収まっては来たもののまだピッチコンディションが回復するというところまでは至らなかった。

■ピッチコンディションが回復


横浜FCは後半開始から齋藤に代えて安永玲央を投入。安永は左IH、瀬古樹が右IH、アンカー手塚、前線は右から松尾、クレーべ、ジャーメイン良と並ぶ4-3-3になる。
ただし前線の両ワイドは大外に開くというよりも中央より。クレーべのサポートに入るというイメージか。

そして開始早々の46分。FKからクレーべが胸で落とし、それを受けた瀬古樹がワンタッチでジャーメインにパス。それをジャーメインもワンタッチで落としたところをクレーべがシュート。キム・ジンヒョンがなんとかセーブしたが、配置を変え、前線の距離を近づけた効果が早速出た。

また、後半に入ると雨も止み一気にピッチコンディションが回復。両チーム共にパスを繋ぎ始め、そこにボールを奪いにいくという場面が両チーム共に目立ち始める。
それがチャンスに繋がったのが54分からの一連の動き。
原川に対して手塚が襲いかかるもなんとか逃がす。しかしそのこぼれ球からの横浜FCのボール回しに対して大久保がプレスをかけるも横浜FCはロングボールで逃げる。そのセカンドボールを拾った坂元のところに高木友也、安永が挟み込んでプレッシャーをかけるが坂元はその局面を打開。そして繋いたボールを清武がミドルで狙うも南がセーブ。しかしその跳ね返しを拾った大久保が落ち着いて折り返しゴール前でフリーの豊川にパスを出すもなんと空振り。そしてそのこぼれ球を清武が思いっきりシュートを狙うも大きく枠外。
ピッチコンディションが回復したことで訪れた突然のトランジションの連続からそれを制したセレッソがゴール前で決定機を作るも追加点は奪えなかった。

しかしこの1分後の55分、横浜FCがジャーメインのシュートでゴールネットを揺らし1-1の同点に。
ジャーメインのシュートは西尾にあたってコースが変わったので流石のキム・ジンヒョンもノーチャンスだった。
ただしこの場面は今年の横浜FCの攻め方を象徴するような形だったと思う。

この時の布陣は普段の4-4-2ではなく4-3-3なので人数は異なるが、安永がクロスを入れる時にはボックス内に3トップの全員が入っている。
そしてサイドレーンでプレーしているのは、SBと2人のIH。そしてボックスの外にはアンカーと左SB。
こうしてクロスに対して人数をかけるのが今季の横浜FCの形。そしてボックスのすぐ外には、こぼれ球要員兼トランジション要員(こぼれ球を相手が拾った場合のプレッシング要員)を必ず配置している。

これで横浜FCは今季初めて後半での同点の状況を作ることに成功した。

■大久保嘉人の190点目

トランジションの連続、さらには得点で試合はどんどんオープンになっていく。
セレッソにすれば同点に追いつかれたので殴り合い上等。横浜FCも今季初めて同点に追いつくという状況を作ることができたのでその勢いに乗りたいのだろう。

横浜FCの守備陣形は4-5-1。中盤5枚が横一列に並んでスペースをうめ、中盤の前でボールを受けようとするセレッソのCHに対して迎撃形でアプローチ。両サイドはSHが埋めているが、セレッソのSBが横浜FCの中盤のラインを越えると、そこに対して出ていくのはSB。なので基本的に全て前向きで守備をしようとする。
これに対してセレッソは大久保、清武が降りてきてCHを助ける形でサポート。この2人の降りる動きで横浜FCの中盤のラインにギャップを作って両サイドに展開をしようというのが狙い。
清武は最初の3試合から、前節、今節と完全に動き方を変えた。(これについては今月末の代表ウイークの時に書けたらと思っています。)

すると60分、セレッソは松田陸のクロスに大久保が飛び込みゴール。セレッソが勝ち越し点を奪う。
この得点の時にTwitterで「VARがあったらヤバかったかも」と書き込んだのだが(試合開始時点でVARが機材故障のため動いていないとの情報があったが、実際にはこの時点では復旧していた)、それはシュートの場面でヘディングの後に手にもボールがあたっている可能性があったから。
以前のルールであれば、この得点シーンの様な状況ではヘディング直後に例え手にボールが当たっていたとしても故意ではなく偶発的なものなのでゴールと認められていたが、現在のルールでは得点シーンの場合は例え偶発的なものであったとしても手に当たった時点でハンドの反則となるからである。
VARチェックの結果ゴールに認定。手にはあたっていなかったことが確認された。(ゴールは全てVARチェックの対象になる)
大久保嘉人J1通算190得点目のゴールである。
この得点シーンはもちろん大久保の動きだし/飛び込みが最高なのだが、横浜FCの守備目線で行くとCBの間が異常に広がりすぎているという課題が目につく。
こうなるのも先に書いたように中盤のラインを越えてきたセレッソのSBに対して横浜FCはSBを出して対応しているから。にもかかわらず、それで生まれるDFラインの選手間を中盤の選手が埋める様な動きを全くしていないからである。
この場面では奥埜からのサイドチェンジを受けた松田陸に対して左SBの高木友也が迎撃型で出ていくがここでボールを取りきれず縦の坂元に出される。なので高木友也は2度追い、そしてジャーメインもそこにサポート。しかしその瞬間に松田はSB-CB間に飛び出し。安永が戻るも間に合わず、松田陸はクロスを上げ、CB間に飛び込んだ大久保が合わせるという流れである。
当たり前の話しだがSBが出ていくということはDFラインの4人の間が広がるということである。それに対して中盤を5人も並べているにもかかわらず誰も埋めるような動きをしていない。全部後追い後追いで動いているので最後は一番大切なゴール前でのCBとCBの間が広がることに。
失点自体が多いというところもあるが、この試合の前までで横浜FCはクロスからの失点が仙台の5失点に次ぐ3失点でリーグワースト2位となっているのはこの辺りにも要因があるのだろう。

■セカンドボール/トランジションの攻防


69分、セレッソは大久保と奥埜に代えて高木俊幸と藤田直之を投入。高木俊幸は左SHに入り清武が中央に入る4-2-3-1になる。同時に横浜FCは瀬古樹に代えて伊藤翔を投入。伊藤はクレーべと並び2トップに。そして左に松尾、右にジャーメイン、CHに安永と手塚の4-4-2となる。

こうなれば横浜FCが狙うのはクロスからの形。手塚が最終ラインに落ちる3バックビルドアップから両SBを上げて大外レーンはSBが担当。前線の4枚がボックス内に入りSBからのクロスを狙うというプレビューでも書いた形である。
クロスからどんどん決まればいいが、横浜FCにとってはこの形をどれだけ続けられるか。そのためには右サイドからクロスをい入れる形であれば、ペナルティエリアの外でセカンドボール回収担当およびボールを相手に奪い返された後にプレスに行くトランジション担当安永、手塚、高木友也がどれだけこぼれ球を拾えるか。
そしてセレッソにすればボールを奪い返し、そこからこの3人を外してカウンターに持ち込む、もしくは敵陣までボールを運ぶことができるかになる。

77分に横浜FCがジャーメインに代え小川慶治朗、83分にはクレーべに代え渡邉千真を投入しても狙いは変わらず。83分には同時にセレッソも豊川に代えて加藤陸次樹を投入する。

この勝負を制したのはセレッソ。
87分にキム・ジンヒョンから丸橋に出し、丸橋から斜めのボールで清武につけると、清武は高木を走らせるスルーパス。これで一気に最終ラインをブレイクし、折り返しを加藤が決め3点目。加藤はこれまでポスト直撃、PK失敗となかなかチャンスに決めきれていなかったがついにゴール。J1初ゴールを決める。

リードしていれば「時間を使う」という目的でクルピ監督も使える4枚目のカード。セレッソは90+2分に丸橋に代えて新井直人を投入。新井がセレッソデビューを果たす。

するとラストプレーとなる90+5分、CKからのこぼれ球を高木がブレ球でニア上に突き刺すシュート。清水時代にはよく見たような高木の強烈なシュートで4点目を奪う。
1失点はしたものの、瀬古と西尾、20歳と19歳のCBコンビが次々と出てくる百戦錬磨の強敵たちを跳ね返し、清武、坂元、原川、藤田の実力者が相手の網を掻い潜り、追加点を奪ったことで1-4としてセレッソ大阪が敵地で横浜FCを下した。

■その他

今季最多となる4得点を奪っての快勝となった。
田んぼサッカーから始まってピッチコンディションが回復した後半はオープンな殴り合いとなったが、力の差を見せつけることができたと思う。
まだまだ改善点は多いが清武がプレーを変えたことでビルドアップの部分も改善されつつある。捉え方は目線の高さにもよるのでなんとも言えないが、クラブが目指している方向には進んでいると思う。

横浜FCはこれで4連敗。ちょっと厳しい。後半はボール保持率もセレッソを上回り、ボックス内にも何度も侵入。10本のクロスを入れ、8本のシュートを放った。
ただ、今の戦い方を続けるのがいいのかどうか。続けるのであれば色々改善しなければならない点は多いと思う。

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