2021年3月13日 14時00分:ニッパツ三ツ沢球技場
予想スタメン |
今季2度目の中2日での試合。明治安田生命J1リーグ 4節、セレッソ大阪は敵地ニッパツ三ツ沢球技場で横浜FCと対戦する。
■2021年の横浜FC
クラブ史上2度目のJ1となった昨季を15位で終えた横浜FC。降格なしのシーズンだったが見事残留圏でシーズンを終えることに成功した。
そして迎えた下平体制3年目となる今季。
斉藤光毅(ロンメルへ)、佐藤健介(山口へ)、中山克広(清水へ)、皆川佑介(仙台へ)、一美和成(G大阪へ復帰)など多くの選手がチームを離れることとなったが、伊藤翔(鹿島から)、渡邉千真(G大阪から)、小川慶治朗(神戸から)、ジャーメイン良(仙台から)、高橋秀人(鳥栖から)、岩武克弥(浦和から)、クレーベ(千葉から)、中塩大貴(甲府から)、韓浩康(秋田から)らを完全移籍で獲得し、さらに昨季は期限付き加入だった手塚康平、六反勇治、杉本竜士も完全移籍で獲得。戦力的にはむしろ上向いたと見る向きもある。
昨季は得点が奪えず守備が耐えきれないという試合が多かったからか、特にテコ入れされたのがFW陣。実績抜群の渡邉千真と伊藤翔。スピードスタージャーメイン良。空中戦に抜群の強さを誇るクレーベと十分計算できそうな選手が加わっている。
開幕戦では早速2トップにクレーベと渡邉、左SHに小川を起用。さらにSBには水戸から復帰した前嶋洋太と大卒の高木友也、CHには中村俊輔と手塚を起用した。
しかしこの試合で札幌に1-5で大敗。続くルヴァンカップでは1-0で柏になんとか勝利したものの、第2節の大分戦も1-2で敗戦。前節の浦和戦にも0-2で敗戦し、目下開幕3連敗。得失点差-7で最下位に沈んでいる。
とはいえ個々の試合をみてみると、内容的に上手くいかなかったのは完全にハメられてしまった札幌戦ぐらいで、大分戦、浦和戦はむしろ横浜FCがペースを握る時間帯も長かった。なのに3連敗となっているのは失点の内容、時間帯が悪すぎるから。
ここまでの9失点うちなんと8失点が前半。さらにその半分の4失点が前半15分まで。さらにここまでの3試合全てで試合の中で一旦は0-2の2点ビハインドの状況にされているのである。
以前から紹介しているように、サッカーではリーグや大会の参加チームによほど大きな差がない限り1チームの1試合平均得点は1.5点前後に収束する。つまりサッカーは1試合で両チームあわせておよそ3回の得点が生まれるスポーツである。そう考えると全ての試合で0-2にされていることがいかに厳しいかがわかるだろう。
そして失点の内容も良くない。札幌戦では完全にハメられ失点を重ねたが、大分戦ではシンプルなミスから2失点。そして浦和戦では今季初めて最初の15分を0失点に抑えたものの、35分以降に立て続けに2度のPKを献上してしまっている。
戦い方にもう少し踏み込むと、布陣は昨季も使っていた4-4-2。昨季同様に自陣からボールを繋いで運ぶという戦い方を行う。
ビルドアップ隊は2CB+2CH。相手の1列目の人数や出方を見て2-2、3-1と形を変える。
左CBには昨季は左SBを務めることも多かった袴田か甲府から加入した中塩、左CHにも手塚か中村俊輔と必ず左利きの選手を使っていることも特徴的だ。ビルドアップはチームとしてしっかりと落とし込まれている。
そして幅を取るのは両SB。小川、齋藤功佑、松尾祐介が入るSHは内側に入ってくる。
昨季までのセレッソも自陣からつなぐという戦い方をしていたのでなんとなくイメージしやすいかと思うが、自陣からつなぐということは手数をかけるということにもなり、その分相手も守備陣形を作る時間ができる。
なので相手を押し込むことはできるが、中央からゴールに向かって直線的にしかけるということは難しくなる。となるとフィニッシュにつなげるメインルートはクロスから。実際にここまで横浜FCは1試合平均16.7本のクロスを入れており、これはリーグ3位の本数である。
そしてこのクロスで特徴的なのが、中に入ってくる選手がかなり多いこと。
2トップはもちろん内側に入っている両SHもペナルティエリア内に入ってきているケースも多く、4人がボックス内で待ち受けるという状況になっていることが多い。冒頭に戦力的にはむしろアップしているかもしれないと書いたが、前線は昨季の一美、瀬沼、皆川から、今季はクレーベ、渡邉千真、伊藤翔。クロスのターゲットとして実績十分な選手が揃っているので、迫力は増したといえる。
おそらくここが下平監督が得点力という昨季の課題を解消しようとした部分だろう。
ただし、ボックス内に人数をかけるということは当然ながらボールを奪い返されると入れ替わられる、カウンターのピンチに繋がりやすくもなる。
これに対してはCHと逆サイドのSBをセカンドボールやトランジション要員として配置することでカバーしている。
しかし、立ち上がりに連続失点したことでしょうがない部分もあるが、札幌戦はここが上手くいかずカウンターを浴び、浦和戦の2本目のPKもここで止められなかったことで与えたものだった。
浦和戦を90分通してみれば、このセカンドボール・トランジション要員が上手く機能している時間帯のほうが長かったのだが、一度上手くいかなかっただけでも失点につながるリスクがある。
今後はこの辺りをどう判断するかだろう。
また相手のビルドアップに対しては、開幕戦の時点ではかなり積極的にプレッシングをしかけようという姿勢が見えた。しかし開幕戦ではそれを札幌にことごとく裏返されてしまったことで現在は少しトーンダウン。4-4-2でミドルゾーンでブロックを作る形から始まることが増えている。
本来はもっと積極的にボールを奪い返したいが、立ち上がりの失点がかさんでいるので慎重にならざるを得ないといったところか。
■プレビュー
横浜FCの予想スタメンだが、下平監督はもともと選手をあまり固定せず、ターンオーバーを上手く使い選手を入れ替えながら戦っていくタイプなので、今回も複数ポジションで前節から選手の入れ替えはあるだろう。ちなみにここまでの3試合で全て先発だったのは小川慶治朗1人のみ。そして1試合以上に先発している選手は20人もいる。
となれば今回は、GKは六反、DFラインはマギーニョ、伊野波、袴田、武田。CHに瀬古樹と手塚、両サイドに小川と松尾、2トップは齋藤とクレーベとなるか。
一方セレッソ大阪の予想スタメンだが、クルピ監督は下平監督とは対象的にメンバー固定型。特に前節は勝利していることから怪我やコンディションの問題がない限りメンバーの大きな変更はないだろう。
入れ替わるとすれば前節早めの交代となった奥埜と豊川に変わって藤田と加藤というところか。
大久保や清武はコンディション次第といったところになるが、今ここが変わると少し厳しい。
ちなみに、セレッソは4試合全てで先発しているのが9人、1試合以上に先発した選手はたった13人。実に対照的である。
試合のポイントとなるのはやはりまず立ち上がり。
横浜FCはどうしても慎重に入ってくるだろう。しかしセレッソはそれに合わせずにガンガン仕掛けたい。そもそも90分のマネージメントをするチームではないのでSBからガンガン背後にしかけて良いだろう。
そして試合の中で必ず押し込まれる時間は来るだろう。横浜FCは3連敗の最下位とはいえ、先に書いたとおりボールを運ぶ形は持っている。
なのでその時間帯にいかにボールを運び返せるか。清武、大久保、坂元が相手のトランジション要員を外して逆サイドに展開することができるか。
ここからカウンターに持ち込むことができれば得点のチャンス、持ち込むことができなくても自分たちの時間を作ることができる。
クレーベの空中線は一級品。瀬古と西尾の若いCBコンビ、特に西尾にとってはまるで少年漫画の様に次から次へと強敵が現れるが、その少年漫画の主人公としてとして強敵を打ち破る活躍に期待したい。
ちなみに横浜FCとの通算対戦成績は8勝6分2敗と相性は良く、さらにアウェイの試合に限るとこれまで一度も負けたことがない。
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