2021年3月23日火曜日

3/21 明治安田生命J1リーグ第6節 VS. 湘南ベルマーレ @ レモンガススタジアム平塚

スタジアムレモンガススタジアム平塚主審小屋 幸栄
入場者数3,585人副審山内 宏志、田中 利幸
天候 / 気温 / 湿度雨 / 18.8℃ / 90%第4の審判員御厨 貴文
VAR大坪 博和
AVAR相樂 亨

湘南ベルマーレ湘南

 

セレッソ大阪C大阪

 
  • 監督
  • 浮嶋 敏
 
  • 監督
  • レヴィー クルピ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>


<選手コメント>


前回のアウェイゲームに引き続き、今回も大雨での試合となった明治安田生命J1リーグ第6節。敵地レモンガススタジアムでの湘南ベルマーレ対セレッソ大阪の一戦は0-0のスコアレスドローで終了。今季初の引き分けとなった。

■メンバー

湘南ベルマーレのスターティングメンバーは前節から2人入れ替え。連戦最後の試合ということもあり、これまで多くの選手を入れ替えながら起用してきた湘南にとっては少ない方である。外れたのは3バックの両サイド大岩一貴と大野和成で、代わって入ったのは舘幸希と三幸秀稔。前節は3CHの中央に入った田中聡が3バックの左に回った。
舘の特徴は対人の強さではあるものの身長は173cm、さらに石原広教は169cm、田中は174cmと3バックに高さは無いが、セレッソの2トップも大久保170cm、豊川171cmと高さがないので、機動力が高いこの3人を並べる選択となったのだろう。

一方のセレッソ大阪のスターティングメンバーは、やはり前節と全く同じ11人。ベンチも前節と全く同じ7人が入った。これでセレッソはここまでの7試合中6試合で同じスターティングメンバー。しかもスターティングメンバーに変化があった1試合も入れ替えたのは2人のみ。
クルピ監督らしい超固定メンバーである。

■荒天での試合

同じく大雨の降る中での試合となった1週間前のアウェイゲーム第4節横浜FC戦はピッチの所々に水たまりができる「田んぼサッカー」となったが、今節の湘南ベルマーレ戦はそれと同等、もしくはそれ以上の荒天にも関わらずレモンガススタジアム平塚は水捌けが抜群で水たまりができることはなかった。しかし今節の天候で問題になったのは「風」。コイントスに勝った湘南はコートチェンジで風上を選択し、セレッソボールのキックオフで試合は始まった。

■セレッソのボール保持と湘南のボール非保持

開始2分に湘南がCKを獲得したように、試合は立ち上がりから湘南がセレッソゴールに何度も近ずく形で始まる。
湘南は攻撃回数が多い=1回のボール保持にそれほど時間をかけず早めに完結させようとするチームなので、押し込まれる時間が続くという訳ではないが、セレッソがボール運びに苦労していた一方で湘南はやりたいことができている状態だった。

その要因となっている1つには、コートチェンジで選択した風上という部分ももちろんあるが、それ以上にこの試合に向けて準備してきたこと、この試合でやろうとしていることができている状態だったのだろう。

湘南のボール非保持は5-3-2でセットした状態から始まる。2トップは最初からCBにアプローチに出て行く訳ではなくCHを背中で消す形。中を閉めてCHにはボールを出させないという形である。

セレッソはならばとSBに。するとこれが湘南のプレッシング開始の合図。IHがSBにアプローチに出るのをきっかけに一気にボールサイドから選手を捕まえに行く。
そしてこうなれば湘南の2トップもCBを捕まえに行く。ここから逃げる選択肢の1つとしてロングボールというものもあるが、この試合では強風のためなかなか難しい。ということで立ち上がりから特にセレッソの両SBはなかなか時間がもらえないという状態になっていた。

すると、最初は8分のゴールキックからのビルドアップだったが、セレッソはCHがSBとCBの間に落ちてSBを上げる人を入れ替える形を見せる。
8分のゴールキックからの一発目に関してはこの形でボールを逃すことに成功したが、以降は単純にSBにアプローチをかけていたIHが降りるCHにアプローチに行き、SBはWBが前に出て対応するという形で湘南は解決。
CHが2トップのラインを越えて降りた時にはもう追わないというのも含めて、このあたりは準備してきた形なのだろう。

Jリーグ公式などの監督コメントでは触れられていないが、実際にDAZN中継での試合終了後のフラッシュインタビューで「相手のビルドアップは非常に人数をかけてるんで、とってカウンターというのが一番だった」と浮嶋監督は語っている。

また、このコメントの中で特に注目したいのが「相手のビルドアップは非常に人数をかけてる」という部分。
上の図ではセレッソの右サイドで奥埜が落ちる形を書いたが、逆サイドでは原川が落ちる形もあり、さらにはこれでもうまく行かないと清武も落ちてくる。今のチームはビルドアップで困ると人数で解決しようとする。
浮嶋監督がこの試合で狙ったのはまさにそこだった。
湘南は基本的に前から捕まえたいチームなので当然昨季までも同じように前から捕まえようとしていた。しかし徐々にそれができなくなるという展開になることも多かった。その理由としてはセレッソには人数だけではなく立ち位置で調整するという術を持っていたから。
実際に浮嶋監督も昨季第8節の対戦後のコメントで「相手もうまく立ち位置をとって、なかなか取れる回数が少なかったというのは結果としてあった」と試合を振り返っている。
しかし今は立ち位置で調整するということがなかなかできなくなっているので人数で解決しようとする。それなら勝負できると踏んだのだろう。

そして、この試合では23分に岡本がイエローカードを受けたことを筆頭に、試合を通じてのファール数がセレッソの5回に対して湘南が12回と湘南のファールが多い試合となっていたが、そのあたりも湘南にすれば織り込み済みだっただろう。むしろ湘南にとってはファールができているというのはある意味ポジティブだったと言えるかもしれない。
なぜなら、ファールになってしまうのは湘南にすればその手前段階でセレッソのボール保持をハメることができているから。セレッソの選手からするとハメられているので、打開するには個人や個々の関係だけではがすしかないという状況になっていたからである。
試合途中からセレッソの選手が主審の判定について異議を唱えるシーンが多かったのは、上手くボールを逃がせていないことへのストレスもあったからだろう。
この試合ではさらに雨と風という問題があり、7連戦をほぼ固定メンバーで戦ってきたことによる疲労の蓄積もある。
組織でも個人でも難しい状況だった。

■湘南のボール保持・セレッソのボール非保持

ボール保持で上手くいっていなかったセレッソだったが、ボール非保持でも上手くいっていなかった。

湘南の布陣は3-1-4-2。セレッソはミドルゾーンで4-4-2でブロックを組む。
最近は3-1-4-2は対4-4-2で優位性を作りやすいと言われている布陣なのだが、それが上手くいっていた。

湘南がセレッソに対して攻撃の起点とするのは2トップの脇。4-4-2に対してベーシックな狙いどころである。3バックに対して2トップ。そしてアンカーがセンターにいるので守備側はどうしてもそこを消すことが最優先となるのでその脇は空きがちになる。シンプルに2トップがめちゃくちゃ頑張ってスライドをするという手もあるが、今のセレッソではそれを90分続けるのは現実的ではない。
湘南は左右でこの2トップ脇を使う選手が違っており、左サイド(セレッソにとっての右サイド)は3バックの左に入る田中がドリブルで持ち出す。右サイド(セレッソにとっての左サイド)はIHの名古が下がってくるという形になっていた。
そしてこの2つのうちメインとなっていた帆が左サイドでの田中のドリブルでの持ち出し。田中は左CBに入っているが元々は中盤の選手。前節はアンカーに入っていたし、2種登録だった昨季の対戦時には左IHで出場していたこともわかるように、ドリブルでボールを持ち出すことも何なくできる。

この田中の持ち出しに対して坂元が出ていくと、十分引きつけてからWBの高橋に出す。すると高橋に対応するのは松田。そこで松田の背後に2トップ1人が飛び出す。前半は町野が飛び出していくというシーンが何度も見られた。
この町野に対応するのはCBの西尾。つまり西尾がサイドに引っ張られ、ブロックが順にずらされていくのだ。ここにセレッソのCHがなかなかいけないのはCHの前に湘南のIHがいるから。IHを空けてしまうとゴールへの最短距離を空けてしまうことになる。
CBを引き連れてサイドをとればIHはゴール前に。クロスに対してもう1人のFWとIH2人、そして逆サイドのWBが飛び込んでくる。
ずらされるのを嫌がって最初の坂元が行かないと田中は利き足の左で右WBの岡本へサイドチェンジが出る。

こうしてライン間を使って同サイド、そして逆サイドという選択肢を持つ湘南のボール保持に対してセレッソはボールの奪いどころを定められず。そして押し込まれ20分には中央を破られて山田にゴールネットを揺らされるも、最後山田の手にボールが当たったとしてハンドの判定。
以前にも少し触れたがゴールシーンは全てVARの対象で、現在のルールでは例え偶発的であっても手でのゴールは認められないということになっているのでハンドの反則となる。前半最大のピンチだったがなんとか事なきを得た。

一方でセレッソ最大のチャンスだったのは39分の豊川のシュートがゴールポストを叩いた場面だろう。
豊川の思い切りの良さが出たシーンだったが、逆にいえばセレッソがビルドアップに人数をかけるので前線には人がおらずシュート以外の選択肢はなかったとも言える。
しかしそこまでの過程を見ると、最終的に豊川にボールが入ったのはヘディングのこぼれ球で、起点となったのは丸橋のロングキックから。そしてこのロングキックを蹴られた場所は湘南の守備のスタート地点よりも前。
ということは湘南にとっては捨てている場所から蹴られたものなので、これを決められたらもうどうしようもない、この試合での湘南には止める術が無いという形だったとも言える。

■決められない湘南


厳しいながらも0-0で前半を折り返すと、後半開始からセレッソは2枚替え。大久保と豊川に代えて高木俊幸と加藤陸次樹を投入し、清武がトップ下、高木が左SHの4-2-3-1に変更する。
確かに2人とも(2人に限らないが)身体が重そうだったし、後半は風上となるので前線をフレッシュな選手でということだったのだろう。

しかし最初のチャンスは湘南。ペナルティエリア内に侵入した大橋がシュート。
セレッソは最終局面で止めてはいるものの、守備のスタート地点から順にずらされゴール前にいたいCBが動かされているのでどうしてもチャンスは作られてしまう。

後半は、セレッソが風上、湘南が風下になったことで湘南は長いボールで局面をひっくり返すことが難しくなり。、一旦押し込んでしまえばある程度の時間それを続けることはできるのだが、そうなれば湘南も5-3-2でしっかりと引いて守るのでセレッソが打開するためのスペースは得られず。
そして湘南が落ち着いてボールを持てる状況になれば、セレッソの守備は前半同様に取り所が無いのでボールを運ばれる。
55分には町野のスルーパスから大橋、名古、さらに町野と連続してシュートを放つ決定機を迎えたが決められなかった。

セレッソはボール非保持ではどういう修正をしたのかがよくわからなかっただ、ボール保持ではCBから直接縦に打ち込む場面が増えたのと、清武が下がってきたときに奥埜が前に出る場面が増えたのでビルドアップに人数をかけすぎている問題は修正しようとしているところはうかがえた。
ただチャンスらしいチャンスはなし。そして湘南も決められない。そして雨と風はどんどん激しくなっていった。

81分、セレッソは奥埜に代えて藤田を投入。湘南も同時に岡本、山田、町野に代えて古林将太、茨田陽生、石原直樹を投入する。

するとその直後に原川が大きくクリアした時に右足のモモ裏を痛めたようで交代を要求。86分に西川潤と交代し清武がCHへと移動。
90分に湘南も田中に代えて大岩一貴を投入する。

しかし最後まで両チーム共にゴールネットは揺らせず。
0-0のスコアレスドローに終わった。

■その他

先週に続いての大雨、さらに今回は強い風も加わったかなり厳しいコンディションでの試合となったが、この試合に関していえばこの悪コンディションに助けられたのはセレッソだったかもしれない。そう感じさせるほど、攻守共に上手くいっていなかった。
上手くいかないから選手たちもストレスをため、その分余計に連戦の疲れが見えていたような印象を受けた。
勝ち点1を分け合った結果となったが、湘南にとっては勝てなかった試合、セレッソにとっては引き分けに持ち込めた試合と言える。

そして日本代表に選ばれた原川と坂元はこの試合で負った負傷により代表から離脱。
初代表だっただけに2人にとってもツラい結果となってしまった。
負傷の原因として、両名共にここまで全試合フルタイム出場だったこと(原川は負傷で交代するまで)の影響ではないかという話しもあるようだが、こればっかりは結果的にそうなったというだけで何ともいえないところ。
松田陸も西尾もフルタイム出場を続けているし、清武、丸橋、瀬古もそれに近い時間プレー。坂元は昨季も34試合中33試合で先発している。それを原因にするのはちょっと乱暴かなと思う。
ただ、今季のチームは昨季以上に負荷がかかる戦い方をしているし、アウェイゲームは2週続けて大雨の中。2人ともおそらく筋肉系のトラブルなので、かなりの負荷がかかっていたことは間違い無いだろう。

この2人は少し時間がかかりそうなので次の試合でどうするか。新しい選手をはめ込んでくるだけだとは思うが、ここまでの公式戦でその準備をしておらずぶっつけ本番になる。固定メンバーで戦ってきたことの影響と言えるのはこっちかなと思う。


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